法制審議会戸籍法部会 第7回会議 議事録 第1 日 時  平成30年6月22日(金)    自 午後 1時30分                          至 午後 3時20分 第2 場 所  東京保護観察所会議室 第3 議 題  「戸籍法の改正に関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第7回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,浦郷委員,筒井委員,手塚委員,木村幹事が御欠席と伺っております。それから,川島委員が遅れて来られると伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。   事務当局からお願いをいたします。 ○杉浦幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,配席図,委員等名簿を配布させていただいております。また,部会資料7につきましては,事前にお送りしているところでございますけれども,日本弁護士連合会からの意見を反映した資料を差し替えた形でお手元にお配りしております。不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと存じます。   配布資料の御説明は以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   それでは,審議に入ります。   本日は,「戸籍法の改正に関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要について,事務当局から御報告を頂いた上で,各論点について討議をしていただくこととしたいと思います。   それでは,まず部会資料7の(試案前注)について事務当局から御説明お願いいたします。 ○北村幹事 それでは,(試案前注)の部分について御説明いたします。   まず,その前提といたしまして,この中間試案につきましては意見募集の手続を1か月間行いました。これに対して合計50通の意見が寄せられたところでございます。   資料の目次をめくっていただいたところに略号の説明あるいは団体の略称の説明を記載してございます。   資料の中で中間試案に掲げた個々の項目について寄せられた意見を,賛成,反対などの項目に整理し,意見を寄せられた団体等の名称を紹介するとともに,理由等が付されているものについては,その関連部分の概要を紹介してございます。   各団体の名称につきましては,日本弁護士連合会については日弁連と,大阪弁護士会については大阪弁と,日本司法書士連合会につきましては日司連と,熊本市中央区区民課につきましては熊本市と記載してございますが,それ以外の法人からは法人とし,個人の方から頂いた意見も多うございましたけれども,その方々については個人というふうに記載してございます。   また,表現等が異なっていても同趣旨であると判断したものについては,同一の意見として取り扱わせていただいております。   なお,完全に趣旨が不明であった意見については資料では紹介していないということとしてございます。   それでは,(試案前注)について頂いた意見等を御説明させていただきます。   まず,(試案前注)につきましては,前回の部会でも御説明させていただいたところですけれども,まず前提として,まずシステムの概要について御説明する,そしてネットワーク連携の概要について御説明をするものです。   さらに,戸籍事務内連携について御説明をした上で,これら戸籍事務へのマイナンバー制度導入によって,ネットワーク連携においては連携先の事務では戸籍の証明書の添付が省略できることとなって国民の利便性は向上するとともに,行政事務も効率化するということを記載させていただいております。   ネットワーク連携の前提としてどのように戸籍情報とマイナンバーとの紐付けを行うかについても,前回部会で御紹介させていただいた検討中の状況について記載をさせていただいて,それについても御意見を頂くこととした次第であります。   それでは,早速意見の概要について御説明いたします。   まず,戸籍事務へのマイナンバー制度導入そのものについての意見も多数頂いておるところでございます。   まず賛成の意見として個人の方から頂いているものとしては,行政機関に対する申請について,マイナンバーのみの記載等で戸籍証明書の添付省略ができれば国民の負担も減る,業務が簡素化すれば更によい,戸籍事務の効率化と届出の際に戸籍の謄抄本等の添付の必要がなくなる等のメリットがある,ただし,効率化の反面,個人情報の漏えいのおそれが高まるため,戸籍担当職員の自覚と十分な漏えい防止措置の構築が準備されなければならない,あるいは,セキュリティーが担保されることが条件であるが,事務手続の簡素化の面から賛成という御意見を頂いております。   他方,反対のものとして,日弁連,大阪弁護士会,個人から頂いておる意見でございます。まず,日弁連からは,平成30年1月18日付で「『国民の利便性の向上及び行政運営の効率化の観点から』戸籍制度の合理化・効率化や電子化の検討は必要であるとしても,その実現のためには,共通番号であるマイナンバーと戸籍情報を紐付けすることは必要ないだけでなく,プライバシー侵害の危険性が高くなる,また,費用対効果の観点からも問題がある,よって,戸籍情報と個人番号は紐付けしないよう求める」という意見表明をしているところであるとの御意見を頂いてございます。   大阪弁護士会からは,戸籍事務へのマイナンバー制度の導入を前提とする戸籍法改正には反対するとの御意見です。そして,今後,法制審議会の戸籍法部会で試案を踏まえ戸籍事務にマイナンバー制度を導入するにしても,マイナンバーを直接用いることには反対であるとの御意見です。また,機関別符号を用いたとしても,その符号を連携させることによる情報漏えいの危険は皆無ではない,戸籍情報はそのセンシティブな側面から情報が漏えいされプライバシーが侵害された場合の被害の大きさ,それを回避するために要するコストの大きさを考えると,リスクは多大であるとの意見を頂いているところでございます。   以下は,個人の方からの御意見ですけれども,マイナンバー制度につきましては,現在個人番号カードは普及していない,マイナポータルの利用も広がっていない,情報連携も部分的には稼働していないということで,利用拡大でなく利用の見直しこそ必要であるとか,戸籍の情報連携につきましては,電算化された戸籍を対象としているということもある,そのため最も利用と負担の多い相続などの手続では使えない,旅券については国籍確認のために戸籍謄本等の提出が必要なのか,その申請手続等の見直しをまず検討すべきであると。戸籍の届出については情報提供ネットワークの利用は必要ではなく,事務内連携はマイナンバー制度と切り離して検討することが可能だということで,このネットワーク連携は利便性の向上や行政事務の効率化にどの程度の効果があるのかまず検討すべき,さらに,マイナンバー制度利用のための導入費用に見合う効果があるか示すべきである。そして,マイナンバー制度で戸籍情報が他の情報とデータマッチングされることでどのようなプライバシー侵害や不利益が起こるかも検討し,導入の効果がプライバシーリスクや不利益の増大と見合うものであるのか検討すべき。中間試案には戸籍事務へのマイナンバー制度導入とは直接関係のない事項が混在している。親族的身分関係の探索が容易になることで,社会保障における親族の扶養,援助の強化に利用される可能性もある。何のための法改正か等を明確にすべきという意見を頂いておるところでございます。   なお,最後のところにつきましては,社会保障において親族的身分関係の探索が容易になるというところでございますが,マイナンバーを利用したネットワーク連携につきましては,親族の探索を行うということはそもそも想定していないということになろうかと思いますので,やや少し誤解が入っているものとは思われます。   さらに,先ほどこれらの意見と同種の意見を挙げて反対する意見が幾つかございました。こちらは御参照いただければと思います。   続きまして,4ページの「ネットワーク連携」に対する御意見として,戸籍情報とこのマイナンバーを紐付けするような制度を作ることには反対すると日弁連から御意見を頂いております。   大阪弁護士会からは,仮にネットワーク連携を行う場合であっても,マイナンバーを保有せず機関別符号のみ保有するという現在想定されている方式は堅持されるべきとの御意見です。   法人からは,氏名等が変更し得る戸籍情報については,その基本4情報と戸籍情報が一致していることを確認,例えば,婚姻によって戸籍の記載は完了しているけれども,住民票の記載は未了であるものについては,住民票の記載が完了したことを住基ネットで確認するなどした上で情報を提供するよう厳格に措置することが必要であるとの御意見です。   個人の方からは,情報提供ネットワークシステムでは,この基本4情報をやり取りしないということを前提にシステム構築を考えられているけれども,法律上はそのような規定がないので,中間サーバー上のデータを暗号化し,機関間の通信を暗号化しているならば,個人を特定する情報が漏えいすることはないという反対の側からの御意見も頂いているところであります。   「戸籍事務内連携」に対する意見ということで,まず日弁連からは,共通番号である個人番号や住民票コードでない戸籍事務内の番号を用いているからプライバシーに配慮したものと評価ができる,この点は堅持すべきであるとの御意見を頂いております。   仮に戸籍情報連携システムを構築するとしても,マイナンバーとは無関係の戸籍事務内の番号を用いる方式とすべきとの大阪弁護士会からの御意見です。   個人の方からは,戸籍情報連携システムを構築するのではなく,戸籍情報を一元化したクラウド型のシステムを構築すべきだと。自治体での業務運用がほとんど同じ戸籍業務はクラウド化に適しており,戸籍情報を一元化しシステムを一つにすべきとの御意見。さらに,戸籍情報連携システムを構築する場合,システムの維持運用費用は市区町村が分担することになるものと考えられるけれども,その点について各市町村の理解が得られるのか疑問であるとの御意見を頂いております。   なお,最後のこの点につきましてですけれども,戸籍情報連携システム自体は国において構築し,そのシステムの維持運用費用については市区町村の分担ではなく,国において責任を持って負担するということを想定しておりますので,少し誤解された上での御意見なのかなとは思ってございます。   続いて,4番の「戸籍情報とマイナンバーとの紐付け」の方法に関する意見についても幾つか頂いております。   日弁連からですけれども,(試案前注)の方法を採るならば,直接戸籍情報と個人番号を紐付けするものとはならないと思われるが,住民票コードも国民と外国人住民の全員に対して重複なく付番された「背番号」(共通番号)である点では,個人番号と変わりがないので,その利用は慎重であるべきである。機関別符号を受信して戸籍情報と結合させた後は,戸籍の附票から住民票コードを消去すべきであるとの御意見を頂いております。   大阪弁護士会からは,戸籍事務内の番号と機関別符号を紐付けるための手段として住民票コードを用いるものとされているけれども,法務省が全国民の住民票コードを保有するというのもプライバシー保護の観点から避けるべきであり,機関別符号を取得した後は住民票コードを速やかに削除すべきとの御意見です。   法人からは,中間試案で示された方法によると,住所地の市区町村で氏名,生年月日,性別,住所で照会された者に係る住民票コードを特定しなければならないこと,婚姻により戸籍が異動中である者や,転出により住所が変更になった者の追跡を市区町村で行わなければならないことなどにより,事務が煩雑・非効率になり,場合によっては住民票コードを特定できないということも想定される,そもそも,新たにマイナンバー制度を創設したにもかかわらず,なぜ旧来の住民票コードを利用することとなるのか疑問である。戸籍情報にマイナンバーを紐付けることを目的とするのであれば,連携情報によって戸籍に記載されている者の異動情報を把握できる法務省において戸籍に記載されている者の氏名,生年月日,性別,住所により一括してマイナンバーを取得する方法が合理的だという御意見です。   さらに,個人の方からは,総務省の研究会である住民生活のグローバル化や家族形態の変化に対応する住民基本台帳制度等の在り方に関する研究会の中間報告にある「附票管理システム(仮称)」と統合し,市区町村が管理する戸籍に直接的に住民票コードとマイナンバーの紐付けを実施すべきだとの御意見です。   その他,(前注)に関する意見として,個人の方から頂いているものがございます。戸籍の添付が不要となることは大変便利になると感じたとの御意見。さらに,年次計画を明らかにし,市区町村のシステム更改の道標を示すべき。中間試案の全体的な方向性はよいのではないかと思われるが,通信における安全性に懸念がある。LGWANによって一般向けの回線とは通信内容が一応の分離はされていたとしても,事業者においてはLGWANを用いて行われる通信について,盗聴及び改竄がそれなりに容易に行われてしまうので,行政機関同士での追加での暗号化通信を行うようにすべきとの御意見を頂いているところでございます。   一番多く頂いた御意見が,こちら(前注)の部分ということになりますので,一旦こちらで切らせていただきたいと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,パブリックコメントで(前注)に対して頂戴した御意見を今事務当局から御説明いただきましたが,これについて御質問等ございますでしょうか。あるいは,ここで示された御意見を踏まえた上での今後の議論の在り方について御意見を頂くということでも結構ですので,自由に御発言を頂ければと思います。 ○三橋幹事 すみません,議論の前提として確認ですが,通常,各省庁が行っている政令や省令のパブコメのときには,パブコメに対して出された意見を受けて,それに対する見解のようなものを公表するようになっていると思うのですが,この場合はどういうふうになるのでしょうか。 ○北村幹事 最終的にそれはまた公開はさせていただこうと思いますけれども,この部会においては,頂いた御意見を紹介し,委員の方から御意見等あれば賜りたいということでの説明をさせていただいているところでございます。 ○三橋幹事 コメントに対する見解みたいなものはないと。 ○窪田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○大橋委員 すみません,5ページのところで,総務省の研究会が言及されていて,私もちょっと見たんですけれども,海外に長く行かれる方がいて,そういう方の住民票がなくなる場合の個人認証手段みたいなことを考えて,附票を活用したいという,そういう方面から議論しているような研究会のような気がしたんですけれども,そちらの成果が本日の資料でA案,B案と二つの案として言及されています。前回ここで附票を活用してシステム構築するというようなお話があった,こちらの附票の活用と,総務省の研究会との関係というのは,直接あるのか,そこの関係を少し教えていただければと思います。 ○窪田部会長 それは事務当局から御説明を頂けますか。 ○北村幹事 まず1点目,附票を用いて最終的にマイナンバーあるいは機関別符号と紐付けをするという方策については,現在,前回もお示しさせていただいたとおり,関係府省の間で現在協議中であるというふうに御説明させていただいたところでございます。   それとは別に,附票管理システム(仮称)というものにつきましては,詳細等につきましては私どもの方からの御説明としてはちょっと遠慮させていただければと思います。 ○阿部幹事 すみません,これは個人の方の御意見なので,どういうことを意図して言っているかというのは,私は推測の域を出ないわけですが,附票管理システムというのを使って,海外の個人認証を考えるというのをうちの方の研究会でやっていまして,そのときに,戸籍の附票を使えばできるのではないかという話を別途,これはうちの研究会でやっているということです。   そのときに,そこに要は情報を台帳化するときに,戸籍の附票に生年月日・性別とかを転記するということを考えていたりするので,そうすると,そこを経由して住民票コードを渡せるのではないか。元々戸籍の附票を使って住民票コードを渡すというのは,別途,今北村参事官の方からお話ありましたけれども,そういうのが言及された部分はあったと思うんですけれども,そこを同じように使えばいいということをおっしゃっているのではないかということだと思います。 ○大橋委員 分かりました。 ○窪田部会長 大橋委員,よろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょう。 ○鷲﨑幹事 戸籍情報とマイナンバーとの紐付けの方法について,やはりどうしてももっとこういう方法があり得るのではないかという,そういう御指摘というのは当然出てくると思いますので,今後の出し方としては,複数のこういうアーキテクチャーが紐付けの方法がある中で,メリット・デメリットを評価した結果,これの採用というものを第1案としていますという見せ方において,納得感が広がっていくという形が望ましいと思いました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただ今,御意見ということで伺ったかと思いますが,この点に関して事務当局の方からは何かございますでしょうか。 ○北村幹事 そうですね,全ての点,そうなんですけれども,いろいろ御意見を頂いていますので,これらの意見を踏まえながら適切に反映した形での次回以降部会資料の作り方,あるいは案の提示等を検討していきたいと思ってございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   それから,今回,日弁連からの意見というのもいろいろな部分で出ておりますけれども,これについては何か,磯谷委員,何か補充していただくようなことはございますでしょうか。 ○磯谷委員 磯谷です。事務局におかれましては,ちょっと私ども会内手続の関係で回答が少し遅れてしまったにもかかわらず,これを反映していただいて,大変有り難いと思っております。   私どものこの点についての意見は,すでに日弁連は以前から戸籍とマイナンバーを直接結び付けることについては慎重な立場を採ってきておりますので,今回の意見もそういった経過も踏まえたものになっております。   ただ,内部でいろいろ議論をしたところでは,一部記載もいたしましたが,今事務当局の方で予定しているやり方というのが,直接マイナンバーと戸籍情報を結び付けるということではなくて,間に機関別符号というものを介在させるというものであって,一定の配慮が見られるというところは,私どもの中ではそういう認識であったということでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   特によろしいでしょうか。 ○須藤委員 磯谷委員にお伺いしたいんですけれども,東京弁護士会は,今回は何も出ていませんけれども,どういう議論をされているか,ちょっとお話しいただければと存じます。 ○窪田部会長 磯谷委員,どうぞお願いいたします ○磯谷委員 昨年度,私,東京弁護士会の副会長をしておりましたので,若干答えさせていただくと,実は,こういった問題について受け皿になる委員会があるところとないところとございまして,残念ながらちょっと東京弁護士会の方は受け皿となる適当な委員会等がないものですから,今回特に意見をお出しするところまで至りませんでした。これに対し,日弁連の方は受け皿がございますので,こういうふうな意見を出すことができたということでございます。 ○須藤委員 どうもありがとうございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかはいかがでしょうか。 ○落合幹事 すみません,私の方もマイナンバーとの紐付けのところになるんですけれども,結局,今のお話でいうと,関係府省での協議中ということになっているのかなということで,明確にどうやって紐付け,そもそもマイナンバーをどう使うのかということのお示しがまだ難しいのかなというような理解でいるんですけれども,機関別符号を使って連携をするというのは,通常これはマイナンバー制度において行われていることで,自治体間の情報連携にしても,自治体の中ではマイナンバーを持っているけれども,それとともに宛名番号というのを一回持った上で,それから中間サーバーには宛名番号と一緒に機関別符号を持って,機関別符号で情報連携をしているという形になるんですね。   一般的にマイナンバー活用ということであれば,例えば戸籍の届出を出すときに,本籍地でないところに出す場合は,戸籍の謄抄本を付けていただく。その代わりにマイナンバーを書いていただければ謄抄本の添付が不要ですよというのが通常のイメージだと思うんです。けれども今回のやり方は,機関別符号で情報連携をするということになっていますけれども,果たしてマイナンバーを戸籍の窓口で扱うことになっているのかどうかというのが,ちょっと分からないので,そこを教えていただければと思うんですが。 ○北村幹事 具体的にどう個々の戸籍の情報とその機関別符号とを紐付けるのか,それをどういうルートで紐付けるのかというのは,正に現在関係府省と調整中であるというふうに申し上げました。   次に,この試案の(前注)で記載させていただいたことにつきましては,マイナンバーを用いる部分につきましてはネットワーク連携というふうな御説明をさせていただいております。他の事務である児童扶養手当等の事務におきまして申請の際,マイナンバーを記載していただいて,そのマイナンバーを用いて戸籍の方に情報の照会をしていいただいて,戸籍の方から提供をするという形でマイナンバー制度を導入,活用していくというふうなことを考えてございます。   他方,戸籍の事務の中では,事務内連携という言葉を用いさせていただいておりますけれども,直接窓口で届出の際にマイナンバーを書いていただいて,それによって事務を処理をするということは直接現在は考えてはいない,そこは想定はしないことで今この試案の(前注)を記載させていただいているところです。 ○窪田部会長 落合幹事,よろしいでしょうか。あるいは続けて何かございましたらどうぞ。 ○落合幹事 そうすると,児童扶養手当の方は,その児童扶養手当の所管課の方で書いていただいたマイナンバーで情報連携で照会をすると。その照会先はどこになるのかというと,どこになるんでしょうか。 ○北村幹事 照会先は法務省のシステムの方になり,法務大臣が回答することになります。 ○落合幹事 分かりました。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか御意見,御質問等ございますでしょうか。   それでは,続きまして部会資料の7の第1から第3について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○杉浦幹事 では,資料6ページの第1から第3までに関する主な意見を御紹介いたします。   第1は,「電算化を原則とする規定振りへの変更について」の部分でございます。   「試案本文に対する意見」としましては,賛成意見として,既に大部分の市区町村で電算化されており,これを原則とする規定振りとするのは当然といった意見がある一方,紙媒体の戸籍を基本とすることを維持すべきとの反対意見もありました。   また,その他の意見としまして,1ポツ目,各市区町村が個別にシステムを調達するのではなく,国が一括して調達すべきとの意見がありました。   続いて,その下の2のこれに関連したその他の意見として3件ほど頂きましたが,いずれも電算化により多くの事項を最新の戸籍に記載してもそれほど労力を要しなくなっているという実情に即しまして,身分変動や転籍によって新たな戸籍を編製する場合でも従前の戸籍の記載事項をなるべく移記するようにするなどにより,現在戸籍に多くの情報を記載すべきとの意見と思われます。   続きまして,第2は「法務大臣が連携情報を管理することの根拠規定等の整備について」でございます。   「試案本文に対する意見」としましては,戸籍事務へのマイナンバー制度導入に反対することを前提として戸籍情報連携システムに関する根拠規定を設けることに対する反対意見がありました。   その下,その他の意見としましては,まず1ポツ目,できる限りプライバシー保護に配慮したシステム設計とすべきとの意見。そして2ポツ目,費用対効果の面からも検討すべきとの意見。そして3ポツ目,法務大臣の戸籍事務の管掌範囲や責任を明らかにすべきとの意見がありました。   タテ2の「試案本文の注に対する意見」でございます。   市区町村長を戸籍事務管掌者とする現行の規定は維持するというふうに試案本文の(注)では記載してございますが,これに対する賛成意見があったほか,市区町村長を戸籍事務管掌者とすることを維持しつつ,経費削減の観点から法務省が戸籍システムを設置すべきとの意見もありました。   続いて,資料9ページにまいりまして,第3の部分でございます。   第3は「文字の取扱いについて」の記載でございます。   まず,全般に対する意見としまして,戸籍と住民基本台帳とで文字を統一すべきという意見がありました。   また,次のタテ2の第3の1の部分でございますけれども,試案の1では連携情報に使用する文字として,同定作業により整備された戸籍統一文字を定めることと記載しておりますが,これについては賛成しつつも,文字に対する愛着が強い国民に対して十分理解を得るよう努めるべきとの意見がありました。   また,使用可能な文字の数をもっと少なくしてもよいのではないか,他のシステムとの統一化を図るべきではないかなどといった意見もございました。   タテ3にまいりまして,試案2の部分ですが,試案の2では戸籍統一文字及びその文字コードを公表するとともに,戸籍統一文字に紐付けることができる文字の同定基準を確定・公表するというふうに記載してございますけれども,この部分に関しましては,賛成の意見のほか,ここにありますその他の意見の1ポツ目,同定基準を確定するのは不可能ではないか,実際に同定作業をした結果を公表すれば足りるのではないかといった意見がありました。   次の試案2の(注2)の部分に対する意見,タテ4の部分でございますが,この(注2)では改製不適合戸籍,すなわち,戸籍の氏又は名の文字が誤字で記載されているため,コンピューターによる取扱いに適合しない戸籍については,当該戸籍に記載されている者に対して対応する正字により記載する旨の告知を改めて行うことによって,戸籍に正字で記載されることを促すこと。また,なお正字で戸籍に記載されることを希望しない者に係る戸籍については,引き続き改製不適合戸籍として取り扱うというようなことが(注2)で記載してございます。   この点につきましては,賛成する意見のほか,次のページになりますが,この際,紙戸籍を全て廃止すべきとの反対意見もありました。   また,賛成する意見の中でも,改製不適合戸籍という名称が好ましくないのではないかといった意見もありました。   最後に,その他の意見としまして,対応する正字により記載する旨の告知については,受け取った者が分かりやすく理解できるような文面とし,また,正字で記載されることを希望しない者がその旨の申出の機会を失わないよう配慮すべきとの意見もありました。   第1から第3までの意見は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,ただいま御説明を頂いたところにつきまして,御質問あるいはこうした御意見を踏まえての御意見等ございますでしょうか。   それでは,毎回で恐縮ですが,日弁連からも御意見が出ておりますので,磯谷委員,何か補足していただくようなことはございますでしょうか。 ○磯谷委員 ありがとうございます。   ただ,この今の第1から第3は特に日弁連としては大きな論点にはなっていなかったと思います。基本的には方針に賛成するような意見を出していたかと思います。   ありがとうございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   では,私の方からちょっと1点,文字に関しては,基本的には出された意見というのは連携情報等で使用する文字というのが制限されてもやむを得ないのではないか,あるいはもっと制限してもいいのではないかという方向であったとは思うんですが,むしろ,基本的な中間試案の中でも一定の文字に対する愛着というのはやはり尊重すべきであるということを踏まえて試案が出されておりますけれども,その方向での意見というのは特になかったというふうに理解してよろしいということですか。 ○杉浦幹事 9ページの一番下の部分に日弁連からの御意見ということで,文字に対する愛着が強い国民に対しては十分理解が得られるように努めるべきであるという御意見を頂いております。 ○窪田部会長 それがその部分ということですね。 ○杉浦幹事 そういうことになると思います。 ○窪田部会長 分かりました。   よろしいですね。ほかはいかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 6ページの末尾の方に,個人から,転籍した場合に以前の記載事項が消えてしまう点は改善すべきという御指摘ありますけれども,これは今回の電算化ですとか,それから身分関係情報を全て履歴をたどれるようにすることをもって,理論的といいますか,仕組みとしては改善されるという方向と捉えてよろしかったでしょうか。 ○杉浦幹事 確かにコンピューターですので紙の戸籍に比べますと新しい戸籍を編製するときに今までのような労力を要しなくても多くの記載事項をそのまま移記することは可能になるとは思います。   ただ一方で,今までもあまり戸籍に残してはおきたくないような事項を例えば転籍などによって見えなくするようなことを希望される方もいらっしゃいますので,これがなかなか難しいところかなと思っておりまして,よく検討する必要があるかと思っております。 ○鷲﨑幹事 つまり,今後のシステム化において一応履歴としては残しておくというパターンと,もう履歴からも抹消しておくというパターン,両方今後あり得るということですか。 ○北村幹事 履歴としては当然そこは持つことにはなると思いますけれども,戸籍として何を表示するのか,従来のようにそれを移記を要しないという形で表示しないとするのか,それとも別の方策によって表示しないという形にするのかについては,検討の余地があるかと思います。ただ,そのことと履歴を持たないということとはちょっと違うと。従前の戸籍でもたどれば履歴が分かるということですので,そこの点は同じかと思います。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○新谷委員 関連してですけれども,今の転籍の話で,具体的にどういうふうになっているのかということは,規則の話なので,お手元に六法があると思いますので,戸籍六法の264ページには管外転籍の場合の記載ということで,これは管外転籍の場合どういう形を記載するのかという規定があります。それから,39条というのは重要な身分事項の移記ということで,この事項は必ず移記しなければいけないと,この事項は省略できますということがありますので,この辺は先ほど事務局の方から言いましたけれども,非常に問題点があるわけですね。この事項は転籍すればなくなるからあえて転籍したいという形もあるわけですね。それから,いや,この全ての事項を,例えば養子縁組であれば養子については常に養子縁組に書いていきますが,養親についてはここに,御存じのように39条の1項の3号で養子について現に養親子関係の継続する養子縁組に関する事項,養子についてということで,養子について書きなさいと。養親は一回書いてしまえば転籍後は要らないんだよということですね。   そういうことで,その辺の議論はいろいろこれからあると思いますので,どこでどうするか,システムですから,恐らく今までより量を,紙の場合ですと先ほど御説明がありましたように10行なり9行しかありませんので,増えていけば掛紙ということで,その上に紙を重ねていかなければいけないと。元々手で書いていましたと。それからだんだんと最後は活字体になってきましたけれども,そういうことと持つ容量が違うというところがあったので,こういう形になっているので,その辺はいろいろ議論があるところではないかなと思います。 ○窪田部会長 御説明どうもありがとうございました。   今の点というのは,今後の検討課題の一つになり得るという理解でよろしいですか。つまり,データとして遡っていくという意味では,多分ネットワーク化,情報連携がされれば,過去のをたどっていくということは容易にはなるのだろうと思うのですが,それ以外に現在の戸籍に何を記載するかという点は,中間試案までの中では特に議論はされていなかったように思いますが。 ○北村幹事 中間試案の段階,あるいはその前の研究会の段階でも,市区町村長を戸籍事務管掌者とする規定は維持をするという前提でして,市区町村における戸籍のシステムは維持をしつつ,国の方で連携システムを持つということを検討していただいていたということになろうかと思います。その国の方の連携システムにおいては,その履歴の持ち方,個人をつなげていくということになりますので,履歴は持つ。そこで,それを表示するのかどうかというのは,また参照の際にどう使うのかというのは,いろいろ検討すべきことかなと思っています。   さらに,市町村のシステムをがらっと変える,この規定を変えて全て移記をする前提で一部を見せないこととするかどうかは,論点として取り上げるかどうかはなおちょっと慎重に検討させていただければと思ってございます。 ○窪田部会長 全部を移記するということでもないんだろうとは思いますが,その部分についてまずは事務当局で御検討をお願いできればと思います。 ○新谷委員 すみません,先ほどの1点だけ申し上げます。この意見が出ているところで,養父母欄の記載は省略することなく,養父母の氏名を全て記載すべきと。ですから,縁組が三つも四つもあれば,例えば養父母がいれば掛ける3ですと2掛ける3,6書かなければいけないということになりますけれども,現行は最後の養子縁組の養父母の氏名を書けばいいということになっていることで,こういう養父母の氏名を全て記載すべきだという御意見が出ているのではないかなと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ほかはいかがでございますでしょうか。   それでは,続きまして,部会資料7の第4並びに第5について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,部会資料7の第4及び第5について御説明したいと思います。   12ページを御覧ください。   「第4 市区町村における連携情報の参照について」でございます。   タテ1の「届出の受理の審査のための連携情報の参照」を御覧ください。市区町村の戸籍事務従事職員につきましては,新しくできますこの戸籍情報連携システムを使いまして,戸籍の届出の受理の審査に当たって戸籍情報を確認する必要がある場合にはこれを参照するといったことができるものがタテ1として書かれてございます。   タテ2が「連携情報の参照範囲」ということで,この届出の受理の審査のために確認する戸籍の情報ですけれども,これは審査のために必要なものであれば,それはそのまま確認するといったことが書かれてございます。   タテ3の方は,「不正な情報参照等を防止する方策」というところで,連携情報につきましては審査に必要な範囲で確認するとは言いながら,十分な不正参照の防止策を講じるといったことが挙げられております。具体的には,個人の戸籍情報の適切な管理というところで,漏えいの防止義務を設けた上で違反があった場合には罰則規定の適用の対象とすると,そういったことが掲げられておったわけでございます。   意見でございますが,1番として,賛成・反対がございますけれども,「試案1「届出の受理の審査のための連携情報の参照」に対する意見」というところで,法人で賛成,逆に反対で大阪弁護士会から反対の御意見が出ております。大阪弁護士会の反対の御意見としましては,そもそも戸籍情報連携システムといったものはどんなシステムであるのか,また,総務大臣所管の情報提供ネットワークシステムとの関連性も明らかでなく,どのような場合にどのような情報をどのような範囲で参照・利用するのか明らかでないという意見が出されております。また,13ページの方にわたりますと,相続手続におきましては,電算化されていない除籍や改製原戸籍等が必要になるので,この部分についてはシステムを利用できないのではないかと。そういったことからいって,このようなシステムを導入するメリットは見当たらないのではないかというような意見が出されております。   その他の意見としましては,熊本市と個人から出されております。熊本市の方からは,出生から死亡までいろいろ確認する必要がありますので,一人一人の一連の戸籍が検索できるようなシステムにする必要があるのではないかといった意見が出されております。   また,個人からは,情報連携ではなく一元化した戸籍クラウドに情報を照会する必要があるのではないかという意見も出されております。   また,婚姻の届出の審査に当たりましては,直系血族,3親等内の傍系血族,直系姻族に該当しないかどうか,いわゆる近親婚の制限に当たるかどうかということを調査しておりますけれども,連携情報の参照のために従来以上に届出の処理に時間を要し,戸籍への迅速な反映が滞るのではないかという意見も出されております。   タテ2の「試案1「届出の受理の審査のための連携情報の参照」の注に対する意見」でございます。   こちらにつきましては,賛成ということで,戸籍関係の手続等に戸籍謄本の添付が不要になりますと,事務手続に要する期間が大いに短縮されると考えられ,自治体,申請者,その他関係機関にとっても効率的な運用が可能になるという意見が出されております。   また,その他の意見としましては,届出の際に戸籍の謄本等の添付が不要ということになりますと,実際手元に戸籍謄本が残らないということになりますので,本籍の表示を忘れている人なんかも出てくるのではないかという懸念が前提となっているのではないかと思われますが,本籍等の表示等を届書に正確に記載することができないような事案が発生するのではないか,これによって届書の記載不備によって届書の受付,審査が停滞するのではないかという意見が出されております。   この点につきましては,本籍を実際書けない方もいるというようなことは伺っておりますけれども,本人確認というのをきちんといたしまして,実際の運用上は本人であれば戸籍の謄抄本を発行しているという実態もありますので,特にこの連携情報の参照によって出てくるような問題ではないのではないかと考えているところでございます。   タテ3番,「試案2「連携情報の参照範囲」に対する意見」でございます。   これにつきましては,前記1に同じということで,大阪弁護士会からは反対の意見が出ております。   タテ4,「試案3「不正な情報参照等を防止する方策について」に対する意見」でございます。これにつきましては,賛成として個人の意見が出されております。戸籍届出を受理するに当たって,情報参照には上司の関与(承認)を必要としたり,不正参照の可能性のある場合にコンピューター処理画面に警告のメッセージを表示する等,きめ細やかな漏えい防止対策を講ずることにより,多くの国民から支持されるものではないかという賛成意見でございます。   また,反対意見としましては,大阪弁護士会と個人の方から出されておりまして,罰則の防止策としては余り意味がないのではないかと。また,警告のメッセージを表示したところで意味がなくて,直ちに強制終了するようなシステムが必要ではないかと。また,連携情報のアクセスのたびに指紋認証や虹彩認証,そういったものを行えるような仕組みにしてはどうかというふうな意見も出されております。   ポツの二つ目ですけれども,個人の方からは,罰則規定も余り抑止力にならないのではないかといった意見が出されているところでございます。   その他の意見としましては,日弁連と個人の方から出されております。   まず,1番目のポツですけれども,「不正な情報参照等を防止するために十分な方策を講ずるものとする」という点は徹底すべきではないかと。また,監査の頻度,制度を工夫するなど,その運用を十全にすることが求められるといった意見がございます。   また,ポツの二つ目でございますけれども,システム的な整備ができないかという点も検討すべきではないかということが日弁連の方から提言されてございます。   その他,セキュリティーに関する研修あるいは人材育成というのもきちんとやるべきではないか。あるいは事前の参照が不正な参照として扱われないようにするべきではないか。業務委託された場合にはどうするかといった検討が必要ではないかといった意見が個人の方から出されているところでございます。   ここまでが第4ということで,続きまして,15ページの「第5 管轄法務局等における連携情報の参照について」について御説明いたします。   第4が市区町村で連携情報を参照するということでございましたけれども,第5につきましては管轄法務局等が戸籍事務への指導,受理の照会ですとかあるいは戸籍訂正の場面で実際は戸籍に触れる機会がございますので,戸籍情報連携システムを使って参照するというようなことをしてはどうかというものです。   また,タテ2番の連携情報の参照範囲でございますけれども,こちらも市区町村と同様に確認に必要なものは見られるようにしてはどうかということが書かれております。   また,タテ3番で,そうはいっても不正な情報参照というのをきちんと防止する必要がありますので,そういった措置を講じるとともに,罰則規定の適用なども検討する必要があるのではないかといった意見でございます。これに対しても御意見が寄せられております。   意見の概要のところですけれども,大阪弁護士会から,これにつきましては,反対するという意見が出されております。   その他の意見としましては,日弁連と個人ということで出されております。日弁連は市区町村の第4と同じという意見です。もう一つの個人の意見は,第5は管轄法務局が参照するということで,同じく法務局がやっている事務であります帰化などの国籍事務やあるいは不動産登記,こういったものにも活用してはどうかという意見で,戸籍謄抄本の添付を省略できるようにすべきではないかという意見でございます。   第5までの説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,第4,第5についての寄せられた意見についての御説明を踏まえて,何か御質問,御意見等ございますでしょうか。 ○川島委員 どうもありがとうございます。   第4の「3 不正な情報参照等を防止する方策について」1点申し上げます。   意見の多くがその徹底や強化を行うべきだというように受け止めました。とりわけ,事前の漏えい防止策として,以前部会で申し上げましたが,必要とする情報しか閲覧できないようなシステムを整備していくことについて,その他意見の中でも同様の趣旨のものがありましたので,本部会として改めて検討していただけたらと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   この点は,今後の検討課題として対応していくということになると思います。 ○櫻庭関係官 システム的な負荷とか業務の効率性とか,いろいろな観点を総合的に考慮しながらまた引き続き検討していきたいと思います。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。   それ以外,いかがでしょうか。 ○久保野幹事 第4の2との関連で,第4の2は届出の受理の審査のために確認する戸籍の情報について,審査のため必要な範囲であれば特段制限を設けないという参照範囲を記載していますけれども,御意見の中に,熊本市の御意見で開示の請求がされたときの対応についての御意見がありまして,参照範囲を考えるに当たって届出の受理の場面以外にはどのような検討が必要かということが今後検討課題に入ってくるのかなと思いました。 ○櫻庭関係官 これはまた検討したいと思います。 ○窪田部会長 それでよろしいでしょうか。 ○久保野幹事 はい。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○落合幹事 すみません,自治体としては1市,熊本市さんだけですけれども,個人という中には恐らく相当の,人数は分かりませんけれども,自治体で戸籍事務を扱っていらっしゃる方と思われる意見が見られます。これ一つで何か致命的に難しいということではないんでしょうけれども,一つ一つ確認,クリアしていかなければいけない点があるのかと思いますけれども,その辺はどのようなことで潰していこうというお考えはありますでしょうか。 ○窪田部会長 その点,事務当局いかがでしょうか。 ○北村幹事 また後ほど今後の部会の進め方については御意見等賜りたいと思っていますけれども,頂いた御意見を踏まえて最終的な取りまとめの文言,あるいはそれをどのように法律に盛り込んでいくのかについて,正にこの頂いた御意見を参考にして,反映できるものは反映する,そこをこの部会の中で御議論いただきたいと思ってございます。 ○窪田部会長 落合幹事から頂いた御質問もそういう部分を含んでいたのではないかと思います。すべての意見を取り込んだものができるということではないんだろうと思いますが,ただ,提案の中にはやはり今回は対応できなくてもそれに対してどう考えるのかという見通しは用意しなければいけない部分というのは非常にたくさんあると思います。その点も今後の議論の中で御検討いただければと思います。   ほかはいかがでしょうか。   それでは,続きまして部会資料7の第6について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○田中関係官 それでは,部会資料7の「第6 届書類の電子化,保存について」御説明いたします。   中間試案におきましては,2点ほど挙げております。   まず,1「届書類の電子化」ということで,届書類を受理した市区町村において,内容を確認した上でこれを電子化して国が新たに構築する戸籍情報連携システム(仮称)に送信する。この届書類を参照できる者というのは,届出事件本人等の本籍地の市区町村職員及び届出を受理した市区町村の職員に限るというものです。   2点目は「届書の加工制限」についてでございまして,届書につきましては事務の障害にならないように届書様式について一定の見直しを行うというものでございます。   寄せられた御意見の概要を申し上げます。   まず,1の「届書類の電子化」でございます。   これについては,賛成という御意見を日本弁護士連合会,大阪弁護士会,日本司法書士会連合会,法人から頂いております。   まず,日弁連からは,届書類の原本を確認する必要がある場合に利用するために,届書の保存場所,あるいは保存期間等に関する規律を行うということを前提として賛成する。ただし,現行の規律よりも早期に届書類の原本が破棄されることがないような規律とする必要があるとする御意見です。   大阪弁護士会からは,戸籍情報連携システム(仮称)がマイナンバーと紐付けをするという前提のものでないのであれば,電子化に賛成。ただし,電子化をする場合であっても,届書の原本,紙の原本の保存に関する規定は設けるべきであるという御意見です。   その他の意見として,熊本市中央区から寄せられた御意見で,こちらは戸籍実務に根差した届書の取扱いについて御示唆を頂きました。まず,送付日の定義をどう考えるか,戸籍簿には,本籍地において届書の送付を受けた日付を記載いたしますが,この送付日の定義をどう考えるか。あるいは,何をもって届書の原本として扱うのか。窓口で受理した届書と電子化した届書のどちらが原本であるのか。いつまでがその原本であるのかといったところ。あるいは,市区町村で受理した届書そのものと電子化の届書を照合する,確かに電子化されたといったところの確認を誰が行うのか,法務局で行うべきではないかといった御意見。届書の保存期間については,現在の市区町村の戸籍事務をめぐる環境が自治体ごとに異なるので,慎重に検討すべきであるといった御意見を頂いたところでございます。   2,試案1の(注)に対する御意見について,現在,戸籍の届書は,原則として法務局に送付する取扱いとなっておりますが,戸籍の記載を要しない届書について,法務局に送付する対象となっていないことから,当面現行の取扱いを維持して,法務局に送付をしない取扱いを維持することとするというのが(注)で掲げさせていただいたところでございますけれども,これに賛成する意見としては大阪弁護士会から頂きました。   一方,反対する御意見について,五つほど項目がございますけれども,いずれも外国人のみを届出事件の本人とする届書等について,電子化をして戸籍情報連携システム(仮称)に送信をすべきであるとする御意見でございます。   まず,日本司法書士会連合会から,仮にこの制度の建付け上,送信することができないとされた場合であっても,届書類を受理した市区町村は届書類を電子化して保存すべきであり,届書類を参照できるものについては,届出事件本人等が当該届書類の受理証明又は届書の記載事項証明の申請を受け付けた住所地の職員又は届出を受理した市区町村の職員に限るべきだとする御意見を頂きました。   次に,個人の方から,戸籍に記載を要しない外国人の届書についても,法務局における帰化等の事務で使用できるように送信してはどうかとの御意見を頂きました。   次は司法書士の方から,届出事件本人及びその親族は,戸籍情報連携システム(仮称)に対し届書記載事項証明,届書の写しを請求できるようにすべきであるという御意見を頂きました。   次に,法人から,システム上の届出書類を閲覧・検索できる者は,届出事件本人等の住所地の職員及び届出を受理した市区町村の職員に限ることが考えられるという御意見を頂きました。次も法人から,外国人に係る届書類は,当該外国人にとって唯一の身分関係の公証手段となり得るものであるので,電子化すべきだという御意見を頂きました。   次に,3,試案2の「届書の加工制限」についてでございます。   こちらに賛成の御意見は,日本弁護士連合会,大阪弁護士会,個人の方から頂きました。   最初に,個人の方から,婚姻届の届書様式の規制はよい。これに付随する意見として,届書の記載事項の見直しをする必要があるのではないかということで,例えば婚姻届において初婚とか再婚についてチェックする欄がございまして,再婚の場合は婚姻の解消の年月日を書くこととなっておりますが,離別の年月日というものを正確に記載できる者はほとんどいないのではないかという御意見。   二つ目,最近流行りのデコ届書をどう取り扱われるのか。デコ届書というのは,恐らくデコレーション届書ということで,デザインされた届書ということになろうかと思いますが,この取扱いに関する御意見でございます。   三つ目,大阪弁護士会からは,いわゆるデザイン届書については電子化や事務の簡便化・統一化の観点から求められる様式を維持し,これに支障のない範囲であれば,市区町村や各事業者によるデザイン届書の使用を否定する理由がないことから,このような範囲でデザイン届書の使用を許容する方向で検討すべきであるという御意見を頂いております。   次に,4,届書類の関係のその他の御意見ということで二つ頂きました。いずれも個人の方からですけれども,1点目,オンラインで戸籍の届出ができるように法律が整備されているはずなのに,10年たっても実現できていないのは改善する必要があるという御意見。   2点目,現在全国の市区町村で保管されている樺太の関係届書と外務省保管の一部村役場の戸籍原本,これは外務省において行政文書として保管されていると承知しておりまして,戸籍法に基づく帳簿ではございませんが,こういったものを法務省又は外務省で一括保管した上で,市区町村ごとに整理して保管してはどうかといった御意見を頂いております。   私からは以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明いただきました第6の点について,御意見を踏まえた上で御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。   私の方からちょっと1点,質問させてください。17ページの届書類の電子化の(注)の部分で,反対意見というのがほぼ同種の問題というか,問題提起なんだろうと思いますが,これはいずれにしても今後検討すればよいことなのかもしれませんが,現時点で事務当局から何か御説明のようなもの,こうした意見について一応こう考えているといったようなことはございますでしょうか。 ○田中関係官 外国人の方は,通常住所地などで届書を出されるといったことが多いかと思いますが,届書の写しが正に身分関係を公証する手段となっているというところで,そういったニーズがあるといったところを御意見で頂いたものと考えておりますので,御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。 ○窪田部会長 分かりました。それでよろしいかと思いますので,よろしくお願いいたします。   ほかいかがでございますでしょうか。特に第6の点についてはございませんでしょうか。   それでは,続きまして部会資料の7の第7から第9について御説明お願いいたします。 ○遠藤関係官 それでは,部会資料の「第7 市区町村及び法務局の調査権について」御説明をいたします。   第7では,タテ1で「市区町村の調査権について」,タテ2で「法務局の調査権について」ということで,現行法上行われている調査権について根拠規定を設けるということを意図した提案となっております。   (注)の中で,市区町村及び法務局の調査権は現在行うことのできる任意調査の範囲に限定されるものとすると書かせていただいておりまして,試案本文の提案の趣旨を明らかにしているというところでございます。   この試案第7の1に対する意見としましては,三つの反対の意見を頂いております。   まず,日弁連からですけれども,調査の方法や限度,要求できる調査の対象者の範囲等が明確に規定されない限り反対である,現在行うことのできる任意調査の範囲に限定されることを条件とすべき,さらに,報告的届出と創設的届出については区別して考えるべき,また,調査開始後に届出人の死亡等により調査不能で結果的に受理されないということも考えられるので,調査による処理遅延の危険性についても留意すべきという御意見を頂いております。   また,個人の方からは,協議離縁や養子縁組等について,市区町村役場が当事者間の紛争に巻き込まれることがあるけれども,こういった規定を設けることによって,調査権の行使,不行使をめぐって窓口職員の過失が問われることが考えられる,また,窓口の担当者が委縮して不必要な調査をし始めたり,些細な疑義でも法務局に照会したりするなどして,戸籍処理に時間がかかることになるのではないかという御意見を頂いております。   また,大阪弁護士会からは,市区町村長の調査権については,法律上の根拠なく行われていること自体に問題がある,そういったことに鑑みまして,いわゆる形式的要件の審査に限るべきである,また,そもそも創設的届出の審査に関しては,民法の解釈と直接関連するもので,安易に調査権を認めるのは問題である,また,こういった調査を認めることによって,不必要な身分行為への躊躇や翻意を招くおそれもあるということ,さらに,行政現場の窓口担当者としても,本来司法判断に属する事項について,法律的,専門的な判断を迫られることになり,過大な負担が課せられることになる,さらに,調査権限の範囲や調査の方法,調査の内容,調査結果の報告方法等を任せられた行政の現場では,日常業務の中で大きな混乱が生じる,一方,報告的届出につきましても,性別を変更した者,あるいは高齢者の懐胎能力の問題等について,そういったことを前提にして戸籍事務が処理される可能性を想定すると,懐胎能力あるいは受精能力等々のプライバシーに関わる調査が実施されることがあり得て,プライバシー侵害のおそれが高まる,さらに,市区町村長に届出人その他関係者に対する質問又は文書提出の要求をなし得る権限を認めると,届出人その他関係者はこれに対応する義務を負うことになるが,そのような義務を負わせるのは相当ではないということで,詳細な反対意見を頂いております。   「試案2「法務局の調査権について」に対する意見」ですけれども,こちらについても日弁連,大阪弁護士会から反対の意見を頂いています。   大阪弁護士会からは,基本的には先ほど申し上げた第1に対する意見と同様ということで,反対であるということでございます。また,現在の範囲内にとどまるということであれば,わざわざ明文化する必要性は乏しいという御意見を頂いております。   続きまして,21ページ,「第8 戸籍訂正について」でございます。   第8のタテ1ですけれども,この部分は,現行法の113条,114条の戸籍訂正許可手続と人事訴訟関係の整理についての提案ということで,113条,114条の戸籍訂正許可手続については人事訴訟によって戸籍の訂正をすべき事項は対象としないということで提案をしたものでございます。   この試案1に対する意見として,日弁連,それから大阪弁護士会からは賛成の意見を頂いております。   大阪弁護士会からは,関係者に異議がなければ許可審判による戸籍訂正を認める裁判実務は,かつては検察官による人事訴訟追行資格の規定がなく,対立当事者構造がとれなかったことなどによるものであるけれども,法律の規定が整備された現在では,こういった区別を設ける必要性がなくなっている,合意に相当する審判であれ,許可審判であれ,実質的にはそう変わらないという発想もある,こういった規定を置いた場合,身分関係の当事者の死亡,行方不明,意思無能力等の場合は,許可審判あるいは合意に相当する審判もできなくなるので,手続は重くなってしまうけれども,狭義の司法権に関する基本原理に照らせば,こういった帰結は当然であって,こういった規定を設けたからといって不当に手続を重くするものとは言えないという意見を頂いております。   第8の2につきましては,こちらは市区町村の職権訂正と裁判所による訂正許可手続等との関係についての提案でございます。   第8の2は様々なことが盛り込まれておりますけれども,まず第1文では,市区町村長が管轄法務局等の長の許可を得て職権による戸籍訂正手続を行うことができるものとする,この点につきましては,訂正事由があることが明らかであると認められる場合に限定をした形での提案となっております。   第2文ですけれども,これは職権による戸籍訂正手続と裁判所での手続との関係の整理ということになりますけれども,職権による戸籍訂正ができない場合又は職権による戸籍訂正をした事項について更に訂正を要する場合には,家庭裁判所の手続によって行うものとするという整理を示したものでございます。   3文目は,職権による戸籍訂正手続については,訂正事由のある戸籍の名欄に記載されている者に対して通知を行うものとするということにしておりまして,ただ,通知を行うタイミングにつきましては,あらかじめ行うこととするか,戸籍訂正を行った後に行うこととするかについては並列した形で記載をしておるところでございます。   この第8の2に対する意見として,まず個人の方からの賛成意見がありました。職権で訂正できる範囲を広げ,訂正を迅速にする必要があるという趣旨のものです。   他方で,日弁連,大阪弁護士会からは,反対の意見を頂いております。   日弁連からは,アクセス可能な資料から認定できる間接事実の積み上げによる判断も許容しているように読める,仮にそうであるとすると,実質的な判断を管轄法務局長等が行うことになるので,戸籍法の趣旨,目的にもとるという御意見でございます。   大阪弁護士会からは,訂正事項が重大なもの,あるいは戸籍訂正が身分関係に影響を及ぼすものについても,法務局等の長が許可さえすれば,当事者の関与,あるいは司法判断を抜きにして戸籍の訂正がされてしまうことになってしまう,こういった事前の司法判断をなくして簡易な行政手続で解決するような仕組みを原則化すべきではないという御意見。さらに,権利義務関係に重大な影響を及ぼし得る過去の事実関係を,証拠資料に基づいて確定していくという作用については,裁判手続に委ねるのが相当である,裁判官は戸籍実務には精通していないかもしれないけれども,事実認定あるいは関係人に対する手続保障については堪能である,裁判官よりも戸籍実務に詳しい者に権限を移管するという基本的な発想が誤っている,さらに,職権訂正が不可能な場合等に限る必要はない,裁判所が事後審査だけを担当する機関となってしまうのは適当ではない,職権訂正については事前の通知を要求すべきであるという御意見を頂いております。   また,関連するその他の意見としまして,個人の方から複数意見を頂いています。   「職権による戸籍訂正をした事項につき更に訂正を要する場合」も,軽微明白なものは更に職権で訂正できてもよいのではないか。管轄法務局長等の許可を得て行う職権による戸籍訂正が原則となることで,法務局が事務負担に耐え得るのかが疑問である。復本籍解消の戸籍訂正については,法務省からの戸籍訂正指示という形をとるべき。市区町村長が一から訂正の用紙や記載例を作成する負担を負うことは容認し難い。それから,24条2項でできる戸籍訂正の類型を通達等でまとめるべき。戸籍の記載又は届書類その他の書類から訂正事由があることが明らかであると認められる場合,もはや被訂正者は訂正を拒否できないのであるから,事後通知で足りるといった意見を頂いております。   第8の3につきましては,市区町村長限りの職権訂正ができる場合があることについて,これを明文化するという趣旨のものでございます。具体的な範囲としては,訂正事由があることが当該市区町村長において戸籍の記載又は届書類その他の書類から明らかに認めることができる場合であること,これは第8の2の条件でございますけれども,これに加えまして,訂正事項が軽微でかつ戸籍訂正を行っても身分関係に影響を及ぼさないことを要するものとするという形での提案をさせていただいております。   この点に対する意見としましては,日弁連,それから大阪弁護士会からは反対の意見ということで,基本的には先ほどのタテ2に対する意見と同様ということかと思います。   最後に,「4 「戸籍訂正について」に関する意見」としまして,個人の方から,戸籍訂正は市区町村長限りの職権訂正と113条及び116条だけで十分である,戸籍法24条2項による管轄法務局長の許可については,そもそも対等の者に対して許可を求めること自体,地方分権の考え方に反する,軽微なものであれば,何も法務大臣の許可を求めるまでもないという御意見。それから,家庭裁判所に申立てをする必要がある場合であっても,当事者に対して法務局や市町村は申立書の記載方法等を支援する必要があるといった意見を頂いております。   第8については以上でございます。   続きまして,「第9 死亡届出の届出資格者の拡大について」ということで,こちらでは任意後見受任者について死亡届の届出資格を付与するものとするということを提案させていただいております。あわせて,任意後見受任者が死亡届を届け出るときには,任意後見契約の登記事項証明書等を添付させることとするということを併せて提案させていただいております。   この第9に対しましては,賛成の意見を日弁連と大阪弁護士会から頂いております。   日弁連からは,戸籍は死亡による自然人の権利能力喪失を公示する機能を有しており,簡易な証拠方法で認定するということが期待されていることから,可能な限り迅速に戸籍に反映させることが望ましいという御意見。   それから,大阪弁護士会からは,任意後見受任者については,本人の意思能力を常に確認する必要がある,そういったことから,生死の状況についても知ることができる密接な関係を有しているということから,賛成である,また,届出資格の確認のための明確な資料がなければ,資格の有無の判断は困難になる,届出資格の確認のために登記事項証明書を有する成年後見人等とのバランスを考えると,死後の事務処理の受任者のうち届出資格がある者については,公正証書等により委任された者に限るべきという意見を頂いております。恐らくこの御意見は,試案の本体というよりも,補足説明の中で更に検討することとされたということで言及されております死後の事務処理の受任者についての御意見かと存じます。   第9のその他の意見としまして,個人の方から,届出義務者が届出を行わず,かつ死体の埋葬のためなどやむを得ない場合に限って,福祉事務所長,それから社会福祉主事も届出資格者とすることを検討すべきであるという御意見。さらに,死亡診断書を作成した医師が死亡者の個人番号を確認できる限りにおいて,医師から死亡の事実を直接報告させるような仕組みにするべきではないかといった御意見も頂いているところでございます。   第9までは以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明を頂きました第7から第9までについてのパブリックコメントにおける御意見を踏まえまして,御質問あるいは御意見等ございますでしょうか。 ○落合幹事 調査権のところなんですけれども,今の中間試案では規定を設けるという表現になっていますけれども,今後,法律なり政省令において,包括的な調査権なのか,あるいはもう少し,今回も意見出ていますけれども,こういう届出のときはこういうとか,その辺のところは何か想定はございますでしょうか。 ○北村幹事 調査権に関しましては,今までこの部会でも様々な御意見を頂いてきたところかなとは思ってございます。また,今回,詳細な御意見を頂いておりますので,これらを踏まえまして,次回以降,論点としてはかなりもう出されているところではあるのかなとは思っていますけれども,どういう規定なら置けるのか,あるいはどういう場面を想定し得るのか,改めて御議論いただいた方がいいかなと思っていまして,その辺りを中心に今後御議論いただこうかと考えているところでございます。 ○窪田部会長 19ページの第7のところですと,(注)の中で現在行うことのできる任意調査の範囲に限定されるというふうな形で,ただ,それを具体的にどういうふうに規定するのかということがまだ明確になっていないと思うんですが,それは検討課題ということなのだろうと思います。   あるいは,日弁連から頂いている御意見もそうした部分に関わるところがあるのかと思うのですが,今の点も含めまして第7,第8に関しては日弁連から,今まで議論が出てきている点と重なる部分もあいますが,御意見が出ています。磯谷委員,何か補足していただくようなことはございますでしょうか。 ○磯谷委員 第7,第8につきましては,実は内部もかなりいろいろ議論をいたしました。率直に言って,第7につきましては市町村や法務局の調査権そのものを否定するということはなかなか難しかろうと。そうであれば,やはりきちんと明文の規定を置くということは,これはプラスなのではないか。特に今個人情報などで非常に扱いが微妙になっているところですので,きちんと書いておくという必要があるのではないか。あるいは,(注)のところでも今座長から御指摘がありましたように,現行の任意調査の範囲内であるとか,濫用事例に限って発動されるとかいうふうなところもありまして,かなり積極的に評価する意見もあったのですけれども,最終的にやはり意見としては,例えば任意調査とはいいながら,やはり法律に規定をすることで,応答義務が生じるというふうに受け止められる可能性もあるんではないかというふうな意見もありましたし,またプライバシーの詮索については,非常に慎重な意見を述べる方が多かったということなどから,かなり書き方も悩んだのですけれども,最終的には,ここに記載があるような範囲等が明確にならない限りは反対であるというふうな形に落ち着いたというところでございます。   第8の方もまた同じくかなり中ではいろいろ意見もございまして,ただ,基本的にはやはり現行のものと比べて戸籍の記載のみではなくて,アクセス可能な様々な資料から間接事実の積み重ねのような形で訂正事由の有無が判断されて,そして行政機関によって訂正されるということについて,非常に抵抗があるという意見が多かったもので,やはりそういったことは本来的には裁判所がすべきではないかというような意見がございました。   逆に,この市町村による訂正であっても,特に第8の2においては,事後的には裁判で更にまた訂正できるという機会も設けられているという,そこを重視して,最終的には司法が関与できるというふうな意見もありましたけれども,しかし,全体的には慎重な意見が多かったというところでございます。ただ,最終的な意見としては,現行法の範囲内であれば賛成するというようなところで落ち着いたということでございます。   第9については,特段議論はございませんでした。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   詳しい御説明を頂き,ありがとうございます。   ほかに,御質問,御意見等ございませんでしょうか。 ○畑委員 第8の戸籍訂正の2の職権による訂正についていろいろ御懸念が出ていて,もっともなところもあるかと思います。外部からも出ている懸念を払拭するためには,恐らくどういう場合なのかということをもう少し何らかの形で示していくということが必要なのかなという気がいたします。今までの部会の議論でも多少出ていると思いますけれども,とりわけ,人訴事項を訂正してしまうような場合というのは,この部会の審議では刑事事件で有罪判決が確定しているような,ある種極端な場合だということが前提になっていたのではないかと思いますけれども,その辺りをもう少し明らかにする。これは法文上明らかにするとか要綱で明らかにするというのは難しいのかもしれませんが,何らかの形でその辺りを説明していくということが必要になるのかなという気がいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ただいまの点は,是非それを踏まえた上で検討課題としていただくということで,お願いできればと思います。 ○大橋委員 調査権のところについて,いろいろ懸念が出されているので,ちょっと情報提供しておいた方がいいのは,市町村の調査権というのは,今回新しくこれを創設しましょうという話ではなくて,省令には既に規定があってやっていることなんですね。それで,それをなしにしろというのは実際にはなかなかできないということであって,省令に書いてあるので,先ほど義務という言葉が出てきましたけれども,人によっては既に義務というかもしれません。ただし,それは法令の後ろに罰則等の強制を付けていないので,任意調査だという前提でやっているということなんです。   それで更に法務局の調査になると,今は通達レベルでしか根拠がないのに必要性があってやっているというものを,今回,はっきりと法律に出しましょうということです。私は調査権に関するいろいろな法律規定を見ると,真実性の要請というのは現在では非常に強くて,他方でプライバシー侵害に対しての懸念もあるので,きちんと調査権を法律に書くというのが一般的になっている中で,今やっていることは決して,ほめられることではないわけです。それをはっきりと書いた上で議論していただくというのが大事かなという気がします。   先ほど任意調査であることをはっきりしろという意見がありましたが,具体的には住基法では調査に従わなければ罰則が後ろに付いているので,これは任意ではないんだなというのが分かるわけで,これは普通のやり方です。だから任意調査の趣旨を普通に示せといったら,多分そういうやり方で後ろに罰則がないということで示すしかないのです。けれども,それで不安だということであれば,もう明文の中ではっきり相手方の許容する範囲内でという文言まで付けて確認規定を置くという,何かそういう議論になるのかなと思います。あとは,やはりこういう不安を払拭するためには,今も出ていますけれども,通達とか省令とかではっきり調査の適用事例を示すというような補完措置を付けながらやっていかないと,法定か否かという二者択一だけでこれを議論するのは難しいのかなという,そんな感想を持ちました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。   議論の前提自体について確認をするということと,任意規定であるということを具体的により明確な形で示せるかどうかについても方法を検討するということ等を踏まえて,これは今後の議論の中で具体的に検討させていただくということにさせていただければと思います。   ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,次に部会資料7の「中間試案以外の戸籍事務に対する意見」について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,25ページ以降の「中間試案以外の戸籍事務に対する意見」について,簡単に御説明させていただきたいと思います。   今回寄せられた御意見の中には,中間試案で取り上げた項目につきまして直接関係しないものの,本部会における調査審議におきましても関連し得る戸籍事務に関する意見がございました。これらの意見につきまして趣旨を同じくするものを整理してみましたので,これについて御説明差し上げたいと思います。   まず,タテ1でございます。「戸籍制度の在り方そのものに関するもの」についての御意見が寄せられました。   大阪弁護士会からは,夫婦とその子が同一戸籍として編製され出生事項の戸籍記載がされてしまうということが無戸籍者問題の根本的な問題ではないかといったところで,このような戸籍制度の在り方を議論する必要があるのではないかといったことが挙げられております。   また個人からも,このマイナンバー制度を導入するということに当たって,この制度も抜本的に見直すという必要があるのではないかという意見も挙げられております。   また,個人2人からでございますけれども,戸籍について廃止する必要があるのではないかと,そういった御意見も出されているというところでございます。   次に,タテ2,「目的規定の創設に関するもの」でございます。   現在,戸籍法には目的規定がございませんけれども,戸籍法に目的規定を創設し,地域的・人的適用範囲も明記するべきではないかと。また,外国人に関係する身分形成,身分登録及び身分公証事務の関連条文も整備すべきではないかという意見が日司連とあと法人の方から出されてございます。   また,タテ3番,「出生届出の記載事項に関するもの」でございます。   現行法は出生届書に嫡出子と嫡出でない子の別を記載するということになってございますが,ここに記載するものについては見直す必要があるのではないかといった意見が法人,個人から寄せられてございます。   ページをおめくりいただきまして,26ページ,タテ4,「届書の保存期間に関するもの」でございます。   届書につきましては,今回の改正でスキャナーで読み込んで戸籍情報連携システムというところに送信して管理するということも想定しているところでございますけれども,虚偽の届出においては証拠書類ということにもなりますので,市区町村の負担に配慮しながら一定の期間は当該届出を受理した市区町村において保存すべきではないかということが記載されております。仮に少なくとも1年間と書いておりますけれども,そうした届出書の保存期間に関する意見が出されてございます。   次に,タテ5,「相続への対応等,いわゆる広域交付に関するもの」でございます。   こちらは御意見の中で一番多かった意見ということで取り上げさせていただきます。いわゆる広域交付といいますけれども,現在,戸籍証明書につきましては本籍地の市区町村でのみ取れるということでございますが,本籍地以外の市区町村でもこうした戸籍証明書を取れるようにしたらいいのではないかといった議論でございます。   ポツ1の最初の法人からの意見でございますと,(1)ですが,本籍地以外の市区町村においても戸籍謄本等の請求ができるようにすべきではないかと。また,(2)でその戸籍謄抄本につきましても電磁的な記録によって提供を受けられるようにすべきではないかと。また,(3)で相続手続が効率化できるように,法定相続人の関係を可視的に示した家系図,電子家系図のようなものも出せるようにしてはいいのではないかと,そういった意見も寄せられております。   それ以下,個人の御意見でございますが,住民票のようにどこの役所でも戸籍謄抄本を取得できるようにしてほしいということで,現在住民票の方は広域交付ということで住所地以外の市区町村でも住民票の交付をしているわけですけれども,そういった形でどこの役所でも戸籍謄本等を取得できるようにしてほしいと。類似の意見が多数寄せられておるところでございます。   また,26ページの最後のところですけれども,戸籍証明書を本籍地以外の市区町村の窓口でも即時取得できるようにすることも検討すべきではないかと。また将来的には電子申請を含む電子証明書の検討も必要ではないかということで,紙だけではなくて,電子証明書みたいなものも検討する必要があるのではないかという意見が寄せられてございます。   27ページのタテ6,「届書記載事項の一部証明に関するもの」でございます。   現在,出生届だとか婚姻届とか,いろいろな届出が出されておりまして,その届書の記載事項というもので証明しておるわけでございますけれども,これをきめ細かく,届書の記載事項の一部を証明するような,そういったものも交付できるようにするべきではないかといった意見が出されてございます。   続きまして,タテ7,「人口動態調査その他調査統計に関するもの」ということで御意見が寄せられてございます。   現在,届書には人口動態調査に関するものについても記載されてございますけれども,戸籍情報連携システムが一律的に保健所の方に送信できるような,そういった仕組みを考えるべきではないかといった意見と認識しております。また,最近ではエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングということで,統計等を積極的に利用した証拠に基づく政策立案というのがうたわれておりますけれども,これに資するような形で,匿名化した情報等を使っていろいろ学術研究とかの用に供したりとか,届書のデータを積極的に活用すべきではないかといった意見が寄せられております。   また,同様の意見ですけれども,届書の記載事項について,人口動態調査に使われておりますので,こういったものについてもうまく連携できるようにしてはいいのではないかといった意見が寄せられてございます。   続きまして,タテ8の「届書情報の電子化に関するもの」ということで,政府の方針として昨今デジ・ガバ実行計画などが出されておりますけれども,その中で行政手続のワンストップサービスを推進しておりますので,死亡届あるいは出生届はその端緒になるということで,届書の情報を提供するということ。これにつきましては情報セキュリティー対策を十分に確保した上でという留保がついてございますが,他の行政機関に対して届出書類の情報を提供するということも視野に入れるべきではないかといった意見が出されております。   また,タテ9,「その他の意見」ということで,振り仮名を登録する制度を設けるべきではないか。あるいは,夫婦別姓を認めるように変更できないか。28ページにいきますと国籍の表示欄を設けてほしい,あるいは無戸籍者問題についても何か解決できるようにしてほしいですとか,あるいは戸籍制度は150年の節目を迎えますので,戸籍制度を作った人の足跡を追うなどしてはいかがとか,あるいは条文中にちょっと難しい字を使っているので,分かりやすい字に改めてはどうかというふうな,そういったいろいろな意見が寄せられておりますが,これらの点につきましては,適宜参照していただければと思います。   私からの説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただいま「中間試案以外の戸籍事務に対する意見」について御説明がありましたが,これについては何か御質問,御意見等ございますでしょうか。 ○大橋委員 ここの5の相続への対応というところにも一部出ていますし,今までの意見の中でも,今回の改正でこういう大きなシステム変更することについてのメリット・デメリットということをいろいろなところで言われていて,何か非本籍地で受理が簡単にできるようになるということだけしかできないみたいな印象を与えているような気がしたんです。   ですから,例えばここにあるような広域交付が,すぐにではなくても可能になりますとか,マイナンバー連携して最初は三つくらいの事務から始めるにしても,先々これが拡大していくという夢が私たちにはありますとか,戸籍のワンストップサービスがもう少し済みますとか,電算化されていない除籍とか改製原戸籍を現在は使えていないけれども,これもだんだん電算化を進めていくとか,更には人口がだんだん重なってくるに従ってカバーできる率が上がっていくことになるのでというようなことで,何か年計画を示せとかという案もありましたので,中長期的にはもう少し発展可能性があるシステムだということとか,こんなことができますという,家系図とかという話もありましたけれども,何かそういうちょっと夢を語るような部分が必要で,費用のことをすごく言われているので,そこが一つ不足しているかなという気がしました。   それで,あと一つは,ほとんど私の感想というか意見というか,分からない点なんですけれども,戸籍法に関しても地方分権のことを気にされる方がいて,国と地方の関係ということを戸籍法についても言われている方がいます。私がよく分からないのが,戸籍法の137条という条文です。市町村長に対して過料を科すという規定があって,これはかなり特異な規定だと思うのです。届出の受理とかを市町村長がやらなかったら過料を科すという規定になっているんですけれども,ただ,現行法だとこの事務は法定受託事務で,法務局長が指示とかを出して,指示によって是正させていくというようなことからすると,普通の流れでいくと国地方係争処理とか高裁での審理とかという方に流れていきそうなんですけれども,戸籍法はそれを除外しているという理解なのかなと思ってみたりしています。その代わりに,この仕組みを置いているという理解なのかなと推測します。けれども,この簡裁での手続やその先の手続,ここで定められた過料の額で足りるのかとか,制裁である過料を首長に対して科すというこの規定の生存理由について,かなりよく分からないところがあるので,これは質問というか確認なんですけれども,また機会があるときで結構ですので,教えていただければと思いました。 ○窪田部会長 今の2点について,事務当局の方から何かございますか。 ○櫻庭関係官 今回いろいろ意見を頂きましたので,やれる範囲でやっていきたい,検討を進めていきたいと考えておりますし,先ほど大橋先生の方からありました137条につきましては,きちんと今までの経緯等を整理しまして,また御説明させていただきたいと思います。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。 ○安達委員 今,大橋委員の第1の御意見に関して回答があったわけですけれども,私としては,以前のこの部会でも広域交付というのが大変よいサービスになると申した記憶があります。今後,相続に関わる人が増えていくということが予想されますので,国民の利便性を向上するという観点で,是非この意見を取り上げ,なるべく早くこのようなサービスを始めるという視点で是非御議論いただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。御意見ということでうかがっておきたいと思います。 ○須藤委員 どうもありがとうございます。   私も大橋委員がおっしゃった,もう少し政策ビジョンを長期的にはっきりと示すべきだということに賛成です。それから,大橋委員も安達委員もおっしゃった,政策的な利便性というのをもう少し強調もすべきだと思います。それから,27ページの7番目で「人口動態調査その他調査統計に関するもの」と書いてあるんですけれども,ここにあるように匿名性をきちんと保持した上で,やはりEBPM,これはOECD諸国,とりわけヨーロッパ諸国では当たり前のことで,日本はかなり遅れをとっている国の一つでもあるわけですけれども,きちんと根拠を持った政策立案に資するためには統計整備が必要で,やはり戸籍統計等もほかの統計と連結させながら,もちろん匿名性を維持しながら,社会保障制度とか医療制度の改革,税制改革などに資するように持って行かないと意味がないと思います。   デジタル・ガバメント構想が,今,内閣官房で策定されて,全省これを遂行しようということになっているわけですが,その観点からすると,戸籍法改正に関する議論はかなり慎重な議論になっているように思えます。事柄の重要性からみて慎重な議論は重要と思いますが,長期的なビジョンを掲げて行政の在り方についてより積極的に考えるべきと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ただいまのも御意見ということで今後の議論の参考にさせていただくということにさせていただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。   幾つか出された意見と重なるんですけれども,5番目の広域交付については今後の論点に追加していただけたらと思います。国民の利便性の向上という観点に加えて,せっかくシステムを整備していきますので,その有効活用という観点からも意義のあることだと思います。   もう一つは,戸籍事務にマイナンバーを紐付けしていくこと自体への疑義も意見として寄せられておりますので,こうした仕組みを作ることの必要性などを国民に理解してもらえるように,マイナンバー制度を戸籍事務に導入する意義や,導入による費用対効果について丁寧に説明していくことが必要だと思いますので,その点についても法務省だけでなくて,関係省庁との連携なども行いながら対応していただけたらと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   その点も事務当局の方で是非反映させた形で今後の議論をしていただきたいと思います。   今回,「中間試案以外の戸籍事務に対する意見」ということで出されておりましたけれども,ただいまの御意見の中でももう5について積極的に論点として取り込むべきだという御意見が複数出ておりましたし,それ以外にもやはりメリットとしてどういうことが考えられるのか等について,もう少しやはり検討した上で最終的な要綱をまとめる必要があると思いますので,是非その論点の整理の中で検討をお願いできればと思います。 ○川島委員 今日は会議に遅れて参りまして大変失礼いたしました。時間に余裕もあるようですので,1ページ目の試案の(前注)について1点申し上げたいことがありますので,発言してもよろしいでしょうか。 ○窪田部会長 どうぞ。 ○川島委員 ありがとうございます。   この試案の(前注)について,プライバシー侵害の危険性などを理由に,戸籍事務においてマイナンバーを活用することへの反対意見が多く見られたところであります。プライバシー保護に対する国民の不安を払拭するために,戸籍法の側面から対応できることは,この部会で検討を尽くすということになりますが,その他の観点から懸念されることは,法務省から関係する省庁への対応を求めていくことが必要だと思いますので,こうした心配,不安の声だとかということをやはり政府の中で連携をとっていただきながら,きめ細かな対応をしていただくようにお願いをいたします。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   では,それも事務当局の方で反映をしていただくということでお願いいたします。   最後に取りまとめ的なことを私の方からお諮りしたいと思いますが,これまで中間試案について寄せられた御意見について紹介をしていただき,それを踏まえて今後の部会の進め方についてお諮りをしたいと思います。   事務当局においては,中間試案において挙げていただいた論点について,頂戴した意見を踏まえた上で更に最終的な取りまとめを検討していただきたいと思います。特に,もう先ほども触れた点ですが,本中間試案に対して寄せられた意見の中では,やはり利便性の向上や行政事務の効率化にどの程度の効果があるのか,費用対効果についての御指摘もあったところでございます。この点については,今後の戸籍法改正やシステムの構築が将来的にどのように発展していくのか,そのような点も併せて御議論いただくことで理解を得られるような方向で努力しなければいけないと考えております。   先ほどもありました中間試案の中には取り上げられていなかった論点の中でも,とりわけ御意見を多く頂いたものとして,相続への対応,それから本籍地以外の市区町村での戸籍証明書を取得できるようにしてほしいという,いわゆる広域交付に関する御意見がございました。こうした論点は,今もお話しした国民の利便性が向上するという今回の諮問の趣旨にも合致するものですし,将来どういうふうに発展していくのかという点にも深く関わる論点だと考えられます。   また,第6の記載事項を証明する制度,あるいは第7の戸籍の届出データを調査統計に活用する制度などについても,今後検討を進めていくべき課題であるような点であると思います。6,7というのは「中間試案以外の戸籍事務に対する意見」の中での番号ですけれども。   つきましては,今後こうした論点について本部会においては引き続き御検討いただきたいというふうに存じますが,この点について御意見等ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。また中間試案に対して頂戴した意見あるいは論点について,引き続き御議論いただいた上で,最終的には本年末あるいは来年初め頃に要綱の取りまとめを目指すというスケジュールが考えられるのではないかと思います。この点については,スケジュール等について御意見ございますでしょうか。   特段御意見がないようであれば,ただいま申し上げたような方向で今後の議事を進めさせていただければと思っております。   今後の会議の日程等に関しましては,事務当局において調整をお願いしたいと思います。   それでは,次に次回の会議の日程等について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○杉浦幹事 次回の会議は,7月27日金曜日,時間は午後1時半から午後5時30分までの予定でございます。開催場所は,法務省の地下1階の大会議室を予定しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,本部会の第7回会議はこれにて閉会させていただきます。熱心な御審議を頂きまして,どうもありがとうございました。 ―了―