日本司法支援センター評価委員会 第58回会議議事録 第1 日 時  平成30年7月3日(火)    自 午後 1時27分                         至 午後 4時23分 第2 場 所  東京地方検察庁教養課教場(中央合同庁舎6号館A棟15階1531号室) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの平成29年度に係る業務実績評価について  (2) 日本司法支援センターの第3期中期目標期間に係る業務実績評価について  (3) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について 第4 今後のスケジュール 議        事 山口参事官 ただいまから日本司法支援センター評価委員会第58回会議を開催します。   委員の皆様におかれましては,御多忙のところを御参集いただきまして,誠にありがとうございます。   最初に,本日は10名の委員全員の御出席を頂いており,定足数である過半数の出席要件を満たしていることを確認させていただきます。   さて,本年4月に委員の交代もあり,今回は新任委員の皆様を含め,委員が一堂に会する最初の機会でございますので,改めて委員長の互選をお願いしたいと存じます。   委員長の選任につきまして御意見をお持ちの委員はいらっしゃいますでしょうか。   では,増田委員お願いいたします。 増田委員 伊藤先生にお願いしたいと思います。 山口参事官 ただいま伊藤委員に引き続き委員長をお願いしたいとの御推薦がありましたが,御異論はございませんでしょうか。   (各委員了承)   それでは,各委員とも御賛同ということで,伊藤委員に引き続き委員長をお願いしたいと存じます。伊藤委員長,どうぞよろしくお願いいたします。 伊藤委員長 皆様の御意向でございますので,大任をお引き受けいたします。審議につきましてはよろしく御協力賜りますようお願いいたします。 山口参事官 ありがとうございます。それでは,伊藤委員長,以降の議事進行につきまして,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 議事に入ります前に,まず委員に交代がございましたので,御報告いたします。   本年4月7日付で内田正之委員,奥山弘幸委員,長内行雄委員,中村美華委員を,新たに当評価委員会にお迎えしました。そこで,新任委員の皆様から一言ずつ御挨拶をお願いしたいと存じます。   最初に,内田委員,お願いいたします。 内田委員 内田でございます。普段は弁護士をしております。よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 奥山委員,お願いいたします。 奥山委員 奥山でございます。公認会計士をしております。何分不慣れでございますが,よろしくお願い申し上げます。 伊藤委員長 長内委員,お願いいたします。 長内委員 長内行雄と申します。弁理士をしております。一生懸命評価をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 それでは,中村委員お願いいたします。 中村委員 中村と申します。企業の法務部長を承っております。よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 どうもありがとうございました。従来から引き続きの委員の方々も含めまして,よろしくお願い申し上げます。   続きまして,委員長代理の指名についてお諮りしたいと存じます。総合法律支援法施行令第5条第3項に,委員長に事故があるときは,あらかじめその指名する委員がその職務を代理するという規定がございますが,これに基づきまして,私から委員長代理を指名させていただきたいと存じます。   先ほど御挨拶いただきました内田委員は,仙台弁護士会会長や日本弁護士連合会副会長を歴任され,法テラスにつきましても造詣が深いと伺っておりますので,是非,委員長代理をお願いいたしたいと存じます。内田委員,いかがでしょうか。 内田委員 謹んでお受けいたします。 伊藤委員長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。   それでは,議事に入りたいと存じます。   まず,本日の議事につきまして,事務局から概要の説明をお願いいたします。 山口参事官 事務局から御説明いたします。   お手元のクリアファイルに議事次第,進行予定,出席者名簿,配席図及び「事前説明における御質問への回答」と題する資料を入れております。このうち議事次第を御覧ください。   まず,議事(1)につきましては,平成29年度の業務実績についての法テラスの自己評価とその理由等を踏まえまして,委員の皆様に御議論をいただけたらと思います。   次に,議事(2)につきましては,第3期中期目標期間の業務実績についての法テラスの自己評価とその理由等を踏まえまして,委員の皆様に御議論をいただけたらと思います。   御承知のとおり,法テラスは4年間の中期目標期間を設定して業務運営を行っており,平成26年度を初年度とする第3期中期目標期間が昨年度末に終了しましたことから,本年度は第3期中期目標期間全般の業務実績も併せて御評価いただくことになります。   なお,お手元クリアファイル中の「事前説明における御質問への回答」という資料は,これまで委員の皆様から頂戴しました御質問への回答をまとめたものですので,御議論の際に御参照いただけたらと思います。   最後に議事(3)につきましては,総合法律支援法上,法務大臣が法テラスの財務諸表について承認をしようとするときには,あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないとされておりますことから,本日併せて御議論をいただけたらと思います。   議事の説明は,以上でございます。 伊藤委員長 それでは,事務局から説明がありました議事次第に沿って進めたいと存じます。   なお,本日は法テラスの業務実績や財務諸表につきまして,委員会としての理解を深めるために,板東理事長を始めとする法テラスの皆様から資料についての御説明や委員からの質問に対する回答をしていただくことにしておりますので,よろしくお願いいたします。   続きまして,本日の配布資料について事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 クリアファイルの青いタグに「配布資料」とございますが,この後ろに配布資料目録が付いております。この配布資料目録に沿って御確認をお願いいたします。   まず,資料1は,当評価委員会の名簿です。 資料2-1は,「年度評価」とタイトルを付けました水色の紙ファイルであり,こちらは平成29年度の業務実績についての法テラスの自己評価等です。   次に,資料2-2は,「期間実績評価」とタイトルを付けましたピンク色の紙ファイルであり,こちらは第3期中期目標期間の業務実績についての法テラスの自己評価等です。   資料3-1として平成29年度の「業務実績報告書」,資料3-2として第3期中期目標期間の「業務実績報告書」,資料4-1として平成29年度の「財務諸表」,資料4-2として平成29年度の「事業報告書」,資料4-3として平成29年度の「決算報告書」,資料4-4として「監査報告」,資料4-5として「独立監査人の監査報告書」,資料5として「日本司法支援センターにおける契約の点検結果」をつづっております。   最後に,右側に赤いタグを貼った別つづりの机上配布資料として,資料Aから資料Cがあります。資料Aは「日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針」であり,本年度もこの方針に基づいて評価を行っていただきます。   資料B「独立行政法人の評価に関する指針」と資料C「『独立行政法人の評価に関する指針』のQ&A」は総務省から発出されているものであり,資料Aの基本方針は,これらを受けて策定されておりますので,参考としてお配りするものです。   資料の説明は,以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。ただいま事務局から説明がございました資料は全てそろっておりますでしょうか。万が一欠落等がございましたら,いつでもお申し出ください。   それでは,議事を進めたいと存じます。   ここからは各議事に関連する資料について,法テラスから御説明をいただいた上で,各委員から御質問等をお願いしたいと存じます。   なお,議事(1)の年度評価と議事(2)の期間実績評価についてですが,評価の対象となる個別の評価項目は共通のものとなっております。そこで,法テラスには資料2-1の年度評価と資料2-2の期間実績評価について同時並行で,評価項目ごとに,それぞれの自己評価及びその理由を説明いただく形で進めてまいりたいと存じます。   また,評価項目は全36項目にわたりますため,項目1-1から項目2-20までを前半,項目3-21から項目5-36までを後半として,二つのブロックに分けて御説明をいただき,それぞれに質疑応答の時間を設けたいと存じます。   また,本日は法テラスの山下監事,津熊監事にも御出席いただいておりますので,後ほど御意見をお願いしたいと存じます。   まず,法テラスの板東理事長から冒頭の御挨拶を頂戴したいと存じます。よろしくお願いいたします。 板東理事長 日本司法支援センターの理事長を,本年4月10日から務めております板東と申します。よろしくお願い申し上げます。   評価項目に即しての御説明に先立ちまして,一言御挨拶を申し上げたいと存じます。   まず,評価委員の皆様には,日ごろから法テラスの業務運営の向上につきまして大変御尽力を頂いておりますことを感謝申し上げますとともに,本日は大変長時間にわたりまして年度評価,あるいは第3期中期目標期間の評価につきまして御審議いただきますことを,改めて感謝申し上げたいと存じます。   法テラスは,本年3月末で第3期中期目標期間を終了したわけでございますが,この3期の間に,社会の大きな変化と,新たな社会的課題に応えるために法改正によるものなどを始めといたしまして,法テラスの業務・役割は,年を追って拡大をしてきているということを強く感じているところでございます。   そして,その業務の拡大の着実な実施,そのための仕組み,体制の整備について尽力をしてきたというのが第3期中期目標期間であったかと思っております。   特に平成28年には総合法律支援法の一部改正が行われ,様々な新たな業務が加わったわけでございますけれども,まず,平成28年7月から大規模災害の被災者に対する法律相談援助部分が施行され,早速,熊本地震の被災者に適用されることとなり,1万件余りの無料法律相談を実施したところです。   また,本年1月24日から施行された改正部分につきましては,認知機能が十分でない方々に対する特定援助対象者法律相談援助がスタートいたしまして,平成29年度末までの2か月1週間を見ますと,122件の相談が行われたところです。同じく1月24日からDV・ストーカー,児童虐待の被害者に対する法律相談援助もスタートいたしまして,同じく年度末までに141件の相談が行われました。   さらに,平成28年に成立しました刑事訴訟法の一部改正法が,本年6月に施行され,被疑者段階での国選弁護対象事件が勾留がなされた全事件に拡大されましたが,第3期中期目標期間におきましては,その円滑な実施に向けての準備に万全を尽くしてきたところでございます。   また,東日本大震災の特例法の有効期限についても,本年3月末に平成33年3月末まで3年間の再延長がなされたところでございまして,これに伴い,被災地の出張所7か所の設置も延長することとしました。   さらに,こういった法律関係以外にも第3期中期目標期間では,いわゆる司法ソーシャルワーク,これは自ら司法にアクセスすることに困難がある方々に対して積極的なアウトリーチも図りながら,福祉機関などと連携をして総合的な課題解決を図るという取組でございますが,この推進について事業計画の策定をして積極的に進めてまいりました。その結果,関係機関との連携による法律相談援助実績も伸び,そのことが先ほど申し上げました特定援助対象者法律相談援助にもつながっているものと考えております。   このように当センターの業務,役割は年々拡大をしているところでございますが,国民の皆様にとって一層身近で頼りになる司法へのかけ橋になるためにも,認知度の更なる向上やニーズの的確な把握,常勤弁護士などを始めとして必要な人材の確保・活用,また変化にも対応した組織・業務の見直し・改善,多様な機関・団体との連携の強化といった事柄にも不断に努めていく必要があると考えております。   本日は委員の皆様から様々な角度から忌憚のない御意見,御指摘を頂きまして,当センターの業務や組織運営の改善・充実に最大の努力をしてまいりたいと存じておりますので,よろしくお願い申し上げます。 伊藤委員長 板東理事長,ありがとうございました。   それでは,引き続きまして,法テラスから評価項目の前半部分の説明をお願いいたします。 細川部長 法テラス本部総務部長の細川でございます。本日はよろしくお願いいたします。   私から業務実績について御説明させていただきます。   まず前半部分について,平成29年度と第3期中期目標期間の業務実績について併せて説明させていただきたいと思います。ピンク色のファイルの一番最初のページ,「日本司法支援センター 中期目標期間評価 項目別評定総括表様式」に,平成29年度と中期目標期間の評価について自己評価を記載しておりますので,こちらを御参照いただきながら説明をお聞きいただければと思います。   まず,「Ⅰ.総合法律支援の充実のための措置に関する事項」の各項目を御説明いたします。   項目1-1,項目1-2は,いずれも震災関連の項目です。   項目1-1は「震災法律援助事業」に関するもので,原発弁護団と協力関係を保ちながら,震災代理援助等の利用促進に努め,移動相談車を利用した巡回・出張相談や夜間・休日相談等を実施したところ,震災法律相談援助は前年比100.8%と高い水準で維持されました。   項目1-2は「震災法律援助事業以外の手法による援助の充実」に関するものですが,各種専門家によるワンストップ相談会や「震災法テラスダイヤル」「女性の悩みごと相談」等を実施するなどいたしました。   以上を踏まえまして,各項目につきまして平成29年度,中期目標期間のいずれも自己評価「B」としました。   続きまして,項目1-3は「高齢者・障害者等に対する援助の充実」に関するもので,司法ソーシャルワークの項目にもなります。この項目は重要度「高」とされております。   中期計画で定めたとおり,司法ソーシャルワークについては,平成26年度中に事業計画を策定し,平成27年度から本格的に司法ソーシャルワークの取組を開始しました。  その後,評価指標となる福祉機関・団体との連携を契機とした各種法律相談援助件数は平成27年度から平成29年度に至るまで,おおむね毎年度増加しております。平成29年度においては,平成28年度までの取組結果を踏まえ,より効率的・効果的な取組となるようテーマを絞った連携推進策を展開しました。これら取組が効率的・効果的に推進されるよう,連携スキームについての事例集や各種福祉機関の役割などを簡単に解説した冊子などを作成し,地方事務所に配布するとともに,日本弁護士連合会,日本司法書士会連合会,厚生労働省等と協議を実施するなどしました。このような取組の結果,福祉機関・団体を指定相談場所として指定した数や連携を契機として実施した出張相談件数等が大幅に増加しました。   高齢者・障害者へのサービスの向上についても,全国の地方事務所等での取組事例を全職員に共有するとともに,高齢者や障害を持つ利用者への理解を深めさせる研修を実施するなどして,接遇スキルの向上にも取り組みました。昨年の評価委員会では,研修においてはハード面のみではなく,相談内容の真意をどのように確認するかというソフト面での研修を重ねるべきであるとの御意見を頂きました。この点については,利用者の応対に当たる職員を対象とした研修に高齢者等への対応方法や相談者の主訴の把握方法に関する講義を導入するとともに,それらの職員が応対しながら参照できるマニュアルを用意するなどいたしました。   以上を踏まえまして,項目1-3につきましては,いずれも自己評価を「B」としております。   続きまして,項目1-4は「職員の採用及び配置」に関するものです。この項目は難易度「高」とされております。   一般職員の採用については,幅広い職員を面接員に任命して複数回面接を実施し,多角的に適性を判断し,多様な人材を確保できるよう努めました。配置については,業務の平準化及び事務の合理化の観点も十分に考慮して行いました。   常勤弁護士の採用については,就職説明会を開催するとともに,ホームページ等を利用した情報提供を行うなど,広く常勤弁護士への応募を促してきたところですが,平成29年度は応募者が年々減少していることもあり,法曹経験者3名を含む21名の常勤弁護士を採用するにとどまりました。将来的な常勤弁護士の確保に向け,平成29年度は法科大学院向けの説明会を前年の7か所から20か所へと増やしましたが,その効果については検証中であり,引き続き効果的な募集方法を検討する必要があると考えております。常勤弁護士の配置の必要性,妥当性については内部での調査に加え,日本弁護士連合会とも連携して検証に取り組みました。平成29年度末時点の配置人数は215名となっております。   常勤弁護士の事件受任による財政的な効果については,事務所ごとの収支の試算を行うなど,その把握・分析に努めました。   また,これまでの検証を踏まえ,業務量等に応じた必要な人数の常勤弁護士を平成30年度以降に順次配置するため,事務所ごとの配置人数の見直しの検討を開始しました。   コールセンターでは,入電件数と業務量増加の状況を踏まえ,新規雇用の人数を抑制しつつ,入電件数に合わせたシフト体制を敷くなど,効率的な運営を行いました。   この項目の自己評価につきましては,常勤弁護士につき十分な採用人数を確保できているとまでは言えず,また配置の必要性などの検証結果を踏まえた配置が実現するには至っていないことから,平成29年度,中期目標期間とも自己評価は「C」としております。   項目1-5は,「職員の能力の向上」に関するものです。   平成27年度に研修要綱を策定し,平成29年度にその要綱に沿った研修を実施し,また「OJTハンドブック」を改訂して配布し,職員育成に関する体制の整備を図りました。   常勤弁護士についても裁判員裁判弁護技術研究室及び常勤弁護士業務支援室を活用しながら,様々な研修を実施し,その能力の向上を図りました。   以上を踏まえて,この項目については,いずれも自己評価を「B」としました。   続いて,項目1-6は,「一般契約弁護士・司法書士の確保」に関するものです。   関係機関と連携し,多数回の説明会,協議会の実施や,説明資料を配布するなどして,契約弁護士ないし契約司法書士の確保に努めた結果,中期目標期間を通じて,これらの人数が毎年度増加しました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目1-7から項目1-9までは,ガバナンス,監査,コンプライアンス関連の項目です。   項目1-7「ガバナンスの強化」については,本部では執行部会,全国地方事務所の所長や事務局長を集めた会議などを開催しました。地方事務所では執行部会議を開催しました。これらにより,本部が決定した業務運営方針に基づき,地方で迅速かつ的確な業務運営を実施できる体制の構築を図るなどしました。   続いて,項目1-8「監査の充実・強化」については,監事監査,内部監査,情報セキュリティ監査を実施し,平成29年度は事前の予備調査を充実させ,監査全体の質的向上を図りました。   項目1-9「コンプライアンスの強化」については,内部統制推進委員会の下に設置した業務管理小委員会で業務改善策の検証を行うとともに,各種監査での指摘に対する改善を図り,またコンプライアンス小委員会では職員に対するコンプライアンス意識の向上を図りました。   以上を踏まえて,項目1-7から項目1-9までの各項目につき,平成29年度,中期目標期間とも自己評価を「B」としました。   項目1-10「情報セキュリティ対策」については,重要度「高」とされております。   平成29年度において政府方針を踏まえ,情報セキュリティインシデントに迅速かつ適切に対応する緊急即応チームを設置する条項を新設するなどの関連規定の見直しを行うとともに,研修,標的型攻撃メール対策の訓練の実施や,情報セキュリティ教育を全職員対象に実施するなどしました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価を「B」としました。   項目1-11,項目1-12は,いずれも連携に関する項目です。   項目1-11は「効果的な連携方策の策定」に関するもので,全国の地方事務所で地方協議会を開催し,地方公共団体やその他関係機関・団体に対する業務説明や意見交換等を実施するなどしました。   項目1-12は「連携強化のための体制構築」に関するもので,関係機関・団体との綿密な連携体制を構築するために,福祉関係者や地方自治体職員を地方事務所の副所長として起用して執行部に加えるなどしました。   以上を踏まえまして,項目1-11,項目1-12の各項目につき,平成29年度,中期目標期間とも自己評価を「B」としました。   項目1-13は,「報酬・費用の立替・算定基準」に関するものです。   民事法律扶助業務に関しては,運用の適正化・平準化の取組を進め,民事法律扶助業務運営細則を改正して全国に周知しました。   国選弁護等関連業務に関しては,不服申立ての内容を分析し,平成29年度には算定基準の改正を実現しました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目1-14は「自然災害等に関するリスクへの対応の構築」に関するものです。   業務継続計画については,平成29年度中に策定し,公表することができました。平成26年度から当センターのデータについて,遠隔地に設置されたデータセンターにおいてもバックアップを行うシステムを構築しております。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   続きまして,「Ⅱ.業務運営の効率化に関する事項」の各項目を説明いたします。   項目2-15は「一般管理費及び事業費の効率化」に関するもので,重要度「高」とされております。   業務の内容に応じて職員を柔軟に配置し,給与体系についても国の制度に準じた内容の給与規定を維持するなどして,人件費の合理化・効率化を図りました。昨年の評価委員会において御指摘がありましたが,ラスパイレス指数については平成29年度も80.7ポイントと低く,これは中途採用者の採用時の格付が低いことが原因の一つですので,その解決策の一つとして,平成30年度から職員の昇格試験において民間企業などでの勤務期間を考慮して,一般採用者よりも早い時期に受験できるようにいたしました。   一般管理費及び事業費についても経費削減を推進し,効率化係数が織り込まれた厳しい予算額の範囲内での予算執行を達成しました。   契約手続につきましても,前年度同様,競争性・透明性・公正性を確保する方策を講じました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目2-16は,「事務所の業務実施体制の見直し」に関するものです。この項目は,難易度「高」とされております。   出張所に関しては,業務実施体制の見直しを検討した結果,平成26年度に新宿出張所を廃止し,池袋出張所についても平成30年度に東京地方事務所に統合することとしました。   司法過疎地域事務所の設置及び存置に関しては,設置可能性のある地域について,設置基準のほか,当該地域の法律事務取扱業務量・採算性などの要素も総合勘案した結果,平成29年度中の新規設置や統廃合は行いませんでした。   既存の司法過疎地域事務所の存置などの必要性や常勤弁護士の配置人数につきましては,事務所ごとの業務量の把握・分析を進め,業務量などに応じた必要な人数の常勤弁護士を順次配置するため,事務所ごとの配置人数の見直しの検討を開始しました。   しかしながら,実際に見直しに応じた配置を行うまでには至っていないことから,平成29年度,中期目標期間とも目標を達成するには至っていないと考え,自己評価は「C」としました。   項目2-17は,「情報提供業務」に関するものです。   コールセンターの業務範囲の拡大として,民事法律扶助業務の資力要件確認サービスの対象を全事務所に拡大しました。また,平成27年度に開始した地方事務所等が話中で応答できない電話及び着信から一定時間内に応答できない電話をコールセンターに自動転送する取組を継続・拡大するとともに,災害などの事情により対応できない地方事務所等の電話をコールセンターに自動転送する取組を実施するなどし,コールセンターの一層の活用によって業務の効率的運用を実現しました。   コールセンターのオペレーターにつきましては人員配置を工夫し,応答率95.8%を達成しました。   1コール当たりの運営経費は,平成29年度で795.3円となり,前年度と同程度の水準を維持できました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目2-18は,「民事法律扶助業務」に関するものです。   簡易な案件について単独審査の積極的活用を進めた結果,単独審査を実施する地方事務所の数は,前年度より2事務所増えました。   また,「民事法律扶助標準モデル」の運用を平成29年4月から開始しました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目2-19は,「国選弁護等関連業務」に関するものです。   報酬算定に対する不服申立てについて,地方事務所限りでの処理を可能とする制度を引き続き運用したほか,一括国選弁護人契約を締結している弁護士数も年々着実に増加しています。このほか平成26年に設置された国選弁護等算定業務室において報酬算定業務を集約し,効率的に処理しており,全体として業務運営の効率化を図ることができております。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目2-20は,「司法過疎対策業務」に関するものです。   司法過疎地域事務所の設置以外のものとして,司法過疎地域に設置された公設系法律事務所に派遣される予定の一般弁護士に対しても,当センターが行う研修への参加を認めたほか,司法過疎地域における巡回法律相談をこれまで行っていなかった地域においても実施するなどしました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価を「B」としました。   前半部分は,以上となります。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま説明いただきました項目は多岐にわたっておりますが,いずれの点からでも結構ですので,委員の方々から質問等をお願いいたします。どうぞ御自由に御発言ください。   奥山委員,どうぞ。 奥山委員 奥山でございます。   項目1-8「監査の充実・強化」に,情報セキュリティ監査を実施した地方事務所数が記載されていますが,本部について情報セキュリティ監査は実施をされたのでしょうか。   また,監査を実施する方は,情報セキュリティに関する資格を持っている方が実施されたのかどうか,お教えいただければと思います。 伊藤委員長 ただいまの点について,法テラスの御担当の方からどうぞ。 千葉監査室長 監査室の千葉でございます。   ただいまの御質問でございますが,まず,本部について情報セキュリティ監査は実施しておりません。   また,地方事務所における情報セキュリティ監査につきましては,いわゆる政府統一基準に従いまして,センターが定めた情報セキュリティ対策基準等への準拠性を監査しているところでございます。   監査者の資格ということでございますが,情報セキュリティ監査につきましては,監査室において実施しており,一般の職員である私どもが対応しておりまして,専門的な資格は有しておりません。 伊藤委員長 奥山委員,いかがでしょうか。 奥山委員 もちろん地方事務所における情報セキュリティも重要だと思いますが,情報セキュリティは,何より本部のセキュリティが十分でなければ意味をなしません。現在,システムの構築をなさっている最中だと思いますので,システム構築が完了した後,運用・運営が落ち着いたところで,是非とも専門家に確認してもらうことも必要かと思っております。   それから,同じく項目1-8に,本部及び地方事務所について内部監査を実施したとの記載があり,内部監査についても,見直しをして,適時,実施されているということでよろしいかと思うのですが,内部監査の結果については,資料3-1の業務実績報告書にも特に記載がありません。例えば,指摘事項の数だけでなく,どのような指摘があったのか,重要な指摘があったのか,あったとしても制度的,若しくは財政的・技術的に即座に対応できないもの等々もあるので,そうした質的な面も含めて記載をしていただくと,評価をする上で,単に数だけではなくて,量的・質的にも十分な監査が実施されているかが分かるかと思いますので,そのような情報の提供をお願いしたいと思っております。 伊藤委員長 法テラスの御担当の方から,お願いします。 千葉監査室長 御意見ありがとうございます。検討させていただきます。 伊藤委員長 よろしく御検討ください。   奥山委員,よろしゅうございますか。 奥山委員 はい,結構でございます。 伊藤委員長 それでは,他の委員の方,どうぞ御発言をお願いいたします。   増田委員お願いします。 増田委員 御説明ありがとうございました。   項目1-3「高齢者・障害者等に対する援助の充実」の「連携を契機とした法律相談援助の実施」について,指定相談場所相談や巡回相談を充実させたという部分を,私は大変高く評価しております。特に社会福祉協議会や福祉事務所等において出張相談等を行うことについては,法律相談をすること自体に非常にハードルが高いと感じ,法律相談をする場所に行き慣れていない方々にしてみると,普段から関係している場所,顔見知りの人がいそうな場所,自分が電話をかけたことのあるような場所で法律相談ができることは,法律相談を受けることに対するハードルが非常に低くなり,利用件数が伸びる要因にもなっているのかなと思ったところで,これは,是非,今後も続けていただきたいと思っています。   そして,利用件数が増えたもう一つの理由として,連携スキーム事例集や連携便利帳といったものが効果的だったということなのかと思っており,この事例集や便利帳に大変興味があるのですが,これらがどういった内容のもので,実際に効果的であったのかどうかについて教えていただければと思います。 伊藤委員長 センターの方からお願いします。 森室長 司法ソーシャル推進室の森と申します。   連携スキーム事例集,連携便利帳の内容について御質問を頂きました。例えば,ある福祉機関の中で指定相談場所相談を実施するとした場合に,まず相談の担い手となる弁護士さんを確保しなければなりません。また,その施設の福祉職員の方に事務手続についての理解を深めていただかなければならないなど,いろいろな側面からの準備があります。   こうした一つ一つのプロセスを経て,指定相談場所相談等を実現していくのですが,そのためのノウハウが必要であり,そのノウハウを組織で共有して全国で展開していくということを進めてまいりました。連携スキーム事例集は,そういったノウハウ,プロセスについて,実践例を基にまとめたものとなっております。   それから,私ども法テラスの職員は,必ずしも最初から福祉の制度,福祉機関について知識があるわけではございませんので,主だった福祉機関,例えば,社会福祉協議会,福祉事務所,あるいは地域包括支援センターなどの機能や組織,あるいはそこで働く福祉職の役割,そういったものをコンパクトにまとめた連携便利帳を作成し,研修のテキストとして用いているところでございます。 伊藤委員長 増田委員,いかがでしょうか。 増田委員 はい,ありがとうございました。 伊藤委員長 常勤弁護士や,あるいは一般職員について,御関心のある委員はいかがでしょうか。どうぞ,内田委員。 内田委員 内田でございます。   先ほど常勤弁護士の採用について,応募者自体が減少しているというお話があったかと思うのですが,この原因についてはどのように把握されておられるのか。また,その対策について,先ほどの御説明でも一部触れているところはあったと思うのですが,改めて確認の意味もあってお尋ねしたいと思います。 磯部課長 本部の常勤弁護士総合企画課長の磯部でございます。   まず御質問がありましたスタッフ弁護士の応募の減少の原因について,確たるものがはっきりしているわけではございませんが,一つに,母数となる司法修習生の数が減ったことが挙げられるかと思います。加えまして,今,司法修習生が弁護士になる就職戦線が非常に活性化していると聞いており,これも一つの原因になっているのではないかと捉えております。さらに3つ目が,スタッフ弁護士という働き場所,働き方があるということについて,司法修習生やその下のロースクール生,大学生の認知度が若干下がってきていることが挙げられるのではないかと思っております。   そこで対策についてですが,ロースクール生,司法修習生に積極的に働き掛けていくために,例えばロースクールへの説明会などを昨年度から大幅に増やす取組をしております。また,修習生に向けても,各種説明会,インターネットを使った広報などを使いまして,積極的に働きかけているところです。ただし,この結果がどういう形で出てくるのか,これは少し様子を見守っていかなければならないと認識しております。 伊藤委員長 内田委員,いかがでしょうか。どうぞ。 内田委員 ありがとうございます。実は,私は弁護士会の方で,同じ過疎対策の制度として,ひまわり基金法律事務所等の弁護士を養成する活動に長年携わっているのですが,応募者減ということで言えば,法テラスだけでなく,ひまわり基金事務所や都市型公設事務所等に赴任する弁護士の応募も例年になく減っており,この傾向は多分つながるところがあるのではないのかなと思っております。原因と対策を考えるに当たっては,もちろん御認識はいただいていると思うのですが,こうした傾向についての認識も必要かなと思います。   あともう一つ,私は,実際にスタッフ弁護士の内定を受けた方と接する機会があるのですが,内定を受けた方は,一般の修習生と比べると法テラスについて,随分,知識を持ってはいるのだと思うのですけれども,それでも,例えば,採用の具体的な中身や,採用された後の赴任のことなどについて,余りよく分かっていないと感じます。取り分け地方で内定を受けた方だと,内定を受けてから実際に被養成弁護士としてスタートするまでにかなりの期間がありますので,その間に情報提供していくということも必要なのかなと思います。   一般の弁護士,若手弁護士と比べた場合に,スタッフ弁護士やひまわり基金の被養成弁護士が格段に恵まれているのは,研修体制だと思っております。この点は,法科大学院等でスタッフ弁護士の制度の説明等をされる際には,研修が非常に充実しているのだということについて,今も触れられているかとは思いますが,是非,強調していただきたいと思います。これは私の意見にわたりますが,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 ただいまの点について,センターの側で何かございますか。 磯部課長 御意見ありがとうございます。私どもも,全く同じ問題意識,現実認識をしておりまして,取り組んでいるところです。   内定者に対するフォローについてですが,昨年までは余りフォローができていなかったとの反省に立ちまして,今年度からは,各地方にいる内定者について,フォローのための説明会の開催や,毎月メールによる情報提供を行うなどしているところであり,引き続きこうした取組を継続していきたいとと思っております。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。 内田委員 はい。 伊藤委員長 ありがとうございます。   ただいまお話が出ました常勤弁護士の関係で,他の委員の方で何か御質問等ございますか。   山中委員,いかがでしょうか。 山中委員 いや,結構です。ほかのことで,また後ほど質問したいと思います。 伊藤委員長 分かりました。   栃木委員も常勤弁護士の関係で何かお尋ねがございましたら,御遠慮なくおっしゃってください。 栃木委員 特にございません。 伊藤委員長 よろしいですか。   中村委員,常勤弁護士の問題に限らず,御質問ございましたらお願いいたします。 中村委員 結構でございます。 伊藤委員長 ほかには,池亀委員も,何か御発言ございませんか。 池亀委員 質問ということではないのですが,各事務所への適切な常勤弁護士の配置というのは,本当に非常に難しい問題だなと承知しております。というのは,毎年,弁護士の合格者数が変わりますし,また数が変わることに加えて,どの地で開業するのかというのは,毎年異なっていくだろうと思います。それを踏まえた上で,事務所の設置をし,さらに適切な数の常勤弁護士を配置するという話ですので,不確実なことを前提にするというか,条件にするということになってしまうのだと思います。ある地方で開業した弁護士が何人いるという結果から,このぐらいの人数が不足し,このぐらいの事務量があるはずだから,この事務所にはこのぐらいの常勤弁護士が必要ではないかという分析した上で配置をする,つまり結果を見て対策をしなければならないのに,それを毎年,毎年,適正な配置という結果を求められるというのは非常に難しい。毎年,検討まではしたけれども,適切な設置ができなかったので「C」だという評価をされているのが非常に気の毒だと感じています。 伊藤委員長 資料で言いますと,項目2-16の関係ですね。 池亀委員 はい。 伊藤委員長 業務量に応じた必要な人数の常勤弁護士を配置できるように検討,見直しをしているということですが,ただいまの点に関しまして,こういう点での検討をしたとか,あるいはこういった難しい問題があるなど,何かセンターの側で補充していただくことがあればお願いいたします。 磯部課長 常勤弁護士総合企画課の課長の磯部でございます。   池亀委員,ありがとうございます。正に不確実な,情勢が刻々と変わっていく中で,適切な配置を求められておりまして,難渋しておるところではございます。しかしながら,適切な配置,体制整備は必要なことでございますので,こちらでも検討を進めております。   検討を進めた中で,今年度から少しずつ配置人数等を変更していこうということを試みております。本所併設型の事務所におきましても,司法過疎対策地域事務所におきましても同様でございます。それぞれの業務量,また当該地域の弁護士数,こういったものを指標にしまして,適切な常勤弁護士の配置人数はどれぐらいなのかということを考えながら,少しずつ変えていこうという動きをしているところでございます。 伊藤委員長 池亀委員,よろしゅうございますか。 池亀委員 はい,ありがとうございました。 伊藤委員長 ほかには前半部分に関して御発言はございますか。   では,私から,ごく最近のことになりますが,本年6月の大阪地震に関しまして,何か法テラスにおいて,取組や対応されていることについてお話しいただけることがあればと思いますが,いかがでしょうか。 近藤課長 総務課長の近藤から御説明いたします。   大阪地震が発生しまして,被災者の方々のニーズについて,どのような声が上がってくるか注視してきました。その中で,大阪弁護士会において,被災者の方々に対して無料の電話相談を実施するという情報に接しましたので,こうした現地の弁護士会等の活動について,法テラスに問合せがあった場合に,コールセンター等で適切に御案内できるような体制を整えているところでございます。   今後,どういう現地のニーズが出てくるか分かりませんので,適切に対応できるよう,引き続き,注視していきたいと考えております。 伊藤委員長 分かりました。この点はよろしいですか。   どうぞ,増田委員。 増田委員 震災対応ということで,熊本のときにも適切な御対応をされたと伺っております。あってほしくないですけれども,毎年毎年こういう災害があるということで,データのバックアップシステムなどに関して対応されており,また,コールセンター等に問合せがあったときの回答の内容や項目などについては一定程度マニュアル化されていると思うのですが,そうしたマニュアルの整備や蓄積はされているのでしょうか。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 諏訪課長 情報提供課長の諏訪から御説明させていただきます。   御質問いただきました件につきましては,東日本大震災発生時から法テラスへ実際にお問合せいただいた内容を基に,弁護士会にも御協力いただきながら,FAQを作り上げております。その後,災害の都度,その中身をブラッシュアップしながらコールセンター中で情報共有して,対応に当たっている状況でございます。 伊藤委員長 増田委員いかがでしょうか。 増田委員 是非,消費生活センターにも提供していただければと思っております。 伊藤委員長 法テラスから,お願いします。 近藤課長 平成28年の熊本地震につきましては,そのときの対応や,どのような相談内容があったかといった統計につきまして,平成28年度版の法テラス白書に特集を設けて御紹介しております。 伊藤委員長 内田委員お願いします。 内田委員 項目2-16「事務所の業務実施体制の見直し」の中で,業務量の把握についてですが,これは質問というよりは,むしろ意見に属することになろうかと思いますが,代理援助の件数や法律相談の件数,あるいは国選弁護の受任件数は,業務量を把握するのに非常に分かりやすいとは思うのですが,例えば,司法ソーシャルワークにおいてケース会議にスタッフ弁護士が参加しているとか,職員からの相談に情報提供という形でコミットすることも結構多いのだろうと思います。そうした活動も,業務量としては十分評価されるような基準作りをしていただきたいということを意見として述べさせていただきます。 伊藤委員長 ただいまの点に関しまして,法テラスの側で何か御説明ありましたら,お願いします。 磯部課長 常勤弁護士総合企画課長の磯部でございます。   御意見ありがとうございます。正に委員おっしゃるとおりでございまして,司法ソーシャルワークや情報提供の活動,常勤弁護士が多く取り組んでいるところである反面,これを業務量という形で把握することがなかなか難しいと認識しております。この点につきましては,何とか形にして,指標の中に盛り込み,その中で業務量の検討をするようにしていきたいと考えているところでございます。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。   どうぞ,増田委員。 増田委員 情報提供業務のメールでの問合せへの対応について,最近では,一般の方々が電話を利用しない傾向が非常に強く,今後は,メールも利用しなくなるのではないかというふうにも聞いていまして,SNS等で対応してほしいという要望も実際にあるのですが,まずはメールへの対応を充実させる必要性は非常に高いと思っています。   メールへの対応はもう既に取り組んでおられますが,メールでの回答の仕方は,非常に難しく,口頭で説明するより,もっと厳密な対応が必要になるのだと思っております。その対応についてのバックアップですが,法テラスのコールセンターを見学させていただいたときに,弁護士の方が回答内容をチェックすると伺って,非常に手厚い体制をとっているなと思いました。   バックアップ体制をもう少し広げる必要があるかや,その場合,業務量を算出する上での負荷の係数が1.25など少し加重されていると思うのですが,その係数が適切であるのかどうか,更に対応を広げるような予定があるのかについて教えていただけますか。 伊藤委員長 ただいまのメールでの問合せに対応する対応の仕方等に関して,センターの側で説明をお願いいたします。 諏訪課長 情報提供課の諏訪から御説明させていただきます。   メールでの問合せ自体は,スマートフォン用のホームページを改修して以降,増えておりまして,その傾向は現在も続いております。   法テラスコールセンターの業務としてみると,メール対応は電話による対応よりも手間が掛かっておりまして,係数1.25としているように,業務負担としては重たいところはございます。ただ,利用者から,電話ではなくて,手軽にメールで問合せをされたいという御意見,御要望自体は多いところですので,今後もこちらのメール対応については力を入れていきたいと考えております。   法テラスのメールでの情報提供は電話での情報提供と同じく,基本的にお問合せに応じて,FAQと関係機関のデータベースを選んで返信メールに貼り付け,利用者に返信するという方法で行っておりますので,弁護士相談や司法書士相談のように,具体的なアドバイスが欲しかったという御意見も実際に頂きますので,この点をどのように調整していくか,今後も検討していきたいと考えております。 伊藤委員長 増田委員,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 増田委員 はい,結構です。 伊藤委員長 ほかには御質問等ございますか。   どうぞ,長内委員。 長内委員 項目1-3について,年度評価に「高齢者・障害者へのサービス向上」という欄があり,これは職員の能力の向上にも関係するのかなと私は理解しておるのですが,この中で,新たに本部担当職員1名がサービス介助士の資格を取得と記載があります。この点,介助士の資格を取得して,そういう面で支援をするというのは,これはすばらしいことだなと私は理解しておりまして,職員が介助士等の資格を取得することに対して,法テラスにおける環境といいますか,支援は,実際どのような状況になっているのかお聞きしたいと思います。 伊藤委員長 この点はいかがでしょうか。 佐々木課長 人事課長の佐々木でございます。   現在,サービス介助士の資格を奨励することはしていないのですが,例えば,社会福祉士については,そういう資格を有する,又は資格を取ろうとしている職員を採用するといった配慮をさせていただいております。 伊藤委員長 長内委員の御質問は,特に介助士の資格取得について記載してあることから,センターとしてどのような理由でこのような特記をされているのかという趣旨の御質問かと思いますが。 近藤課長 サービス推進室長を兼ねております近藤から御説明いたします。   サービス介助士の資格ですが,平成29年度は1名,平成28年度は2名が取得しておりますが,いずれも本部に設けられたサービス推進室の職員が取得しております。   その目的と申しますのは,車椅子を使用した介助演習など,本部が中心となって地方の職員に対して行う,接遇面での研修の講師などを行う前提といたしまして,介助士の知識があった方が良いということで,毎年1~2名が資格を取得し,それに基づいて職員の教育をしているという趣旨であり,この資格取得のための費用等は法テラスで負担するという位置付けになっております。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 長内委員 ありがとうございます。 伊藤委員長 ほかにございますでしょうか。   それでは,前半部分についての説明及び質疑は,ここで一旦終了し,10分程度休憩をした後に再開したいと思います。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   引き続きまして,法テラスから評価項目の後半部分の説明をお願いいたします。 細川部長 引き続きまして,法テラス総務部長の細川から御説明いたします。   ここでは,まず「Ⅲ.提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」に係る各項目について御説明を申し上げます。   まず項目3-21は,「情報提供業務の質の向上」に関するものです。   コールセンター及び地方事務所で,第三者による客観的評価結果を踏まえ,的確な主訴把握能力の向上に重点を置いた研修を行いました。電話による多言語情報サービスでは,対応言語にタガログ語を追加するとともに,関係機関データベースの登録情報全件の一斉内容確認を実施しました。さらに,FAQの文言や構成の全面的見直しに着手しました。   九州北部豪雨については,被災者からの問合せに対応するため,九州北部豪雨に関するQ&Aの作成など,被災者のニーズに適した情報提供も迅速に実施しました。   満足度調査については,5段階評価のアンケートで,コールセンターは4.7,地方事務所は4.4と,いずれも高水準を達成し,全体平均でも4以上の評価を得ることができました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   続きまして,項目3-22は,「法教育に資する情報の提供等」に関するものです。   平成29年度,本部においては,法教育シンポジウムをさいたま市と大津市で開催しました。地方事務所においては,全国各地で社会人,一般市民向けの講演会など,趣向を凝らした取組を実施しました。   参加人数20名以上の講演会などの実施回数ですが,平成28年度は回数が806回だったものが,平成29年度には815回,延べ参加人数が6万0,093名だったものが5万9,178名と,ほぼ同程度の実績を維持しました。   以上の結果を踏まえまして,平成29年度の自己評価は「B」としましたが,中期目標期間全体としては,毎年度様々な工夫を重ねて法教育シンポジウムの実施方法を発展できたことから目標を上回る成果を上げることができたと考え,自己評価を「A」としました。   項目3-23は,「民事法律扶助」に関するものです。   利用者の利便性を向上させるため,全50地方事務所中49事務所で,代理・書類作成の援助申込みから平均14日以内に援助開始決定を行うことができました。また,平成30年1月24日から施行した特定援助対象者への新たな援助については,業務方法書等の規程類の改正作業やマニュアルの策定,厚生労働省や日本弁護士連合会及び日本司法書士会連合会などとの協議,利用促進を図るための広報活動などの準備を進めた結果,円滑に開始することができました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としています。   項目3-24は,「迅速かつ確実な選任・選定態勢の確保」に関するものです。   支部を含む全ての地方事務所において関係機関との間で年度内に1回以上,国選弁護人及び国選付添人の迅速かつ確実な選任態勢についての協議の場を設け,裁判所から国選弁護人等候補者指名通知請求を受けてから指名通知を行うまでの目標時間を設定し,おおむねこれを達成できています。とりわけ被疑者国選弁護事件については,目標時間として原則24時間という時間を設定しておりましたが,平成29年度においても全事件の99.9%で24時間以内の指名通知が行われています。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目3-25は,「裁判員裁判対象事件への対応態勢の強化・充実」に関するものです。   支部を含む全地方事務所において,年度内に1回以上,裁判員裁判名簿の作成や名簿登載者の質の確保などについて関係機関と協議を実施しました。45の地方事務所,支部において裁判員裁判に関する研修を実施しました。   常勤弁護士については,事例研修や専門研修を実施しました。   以上を踏まえ,いずれも自己評価を「B」としました。   項目3-26は,「契約弁護士のサービスの質の向上に資する取組」に関するものです。   支部を含む全地方事務所において説明会を実施するなどして,契約弁護士に対する適時適切な情報周知を実施し,また弁護士会との共催,又は地方事務所の主催で弁護活動の質の向上を目的とした研修を実施しました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目3-27は,「犯罪被害者支援業務の質の向上」に関するものです。   地方事務所において関係機関・団体から法テラスに対する意見などを聴取し,本部において日本弁護士連合会と連携しながら犯罪被害者支援に携わる弁護士に関する利用者の意見をアンケートにより聴取し,ニーズをくみ上げ,業務の改善に役立てました。   精通弁護士紹介態勢の整備については,女性弁護士を含む犯罪被害者支援に精通している弁護士を前年度よりも増加させました。   平成30年1月24日から開始されたDV等被害者法律相談援助業務も,担い手である契約弁護士を1,716名確保し,全国で141件の相談を実施しました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価を「B」としました。   項目3-28は「被害者参加旅費等支給業務の適切な実施」に関するものです。全事件において,請求の受理からおおむね2週間以内に支給を行うことができたことから,いずれも自己評価は「B」としました。   続きまして,「Ⅳ.財務内容の改善に関する事項」でございます。   項目4-29は,「自己収入の獲得」に関するもので,難易度「高」とされております。   まず,寄附金収入獲得への取組です。法テラス公式のツイッターやホームページなどで呼びかけをしており,またこれに加えて,使途特定寄付金制度やしょく罪寄附に関するチラシなどを作成・配布するなど,寄附金獲得に向けた様々な方策を実施しました。   常勤弁護士の有償受任などによる自己収入の確保については,研修などにおいて自己収入の確保の必要性や重要性について再認識させ,それぞれの地域の実情に応じた自己収入の確保に努めました。   地方公共団体などからの財政的支援の獲得についてですが,これまでに敷地・建物の無償貸与を受けて設置した事務所を維持するとともに,今回の中期目標期間中に新たに設置した秋田県鹿角市及び青森県鰺ヶ沢町の地域事務所について建物の無償貸与を実現することができました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目4-30は「効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫」に関するものでございまして,平成29年度,中期目標期間とも自己評価を「A」としております。   取組としましては,償還金を確実に口座から引き落とすための生活用口座からの引落しを推進するとともに,コンビニエンスストアでの支払いを可能とした督促を実施するなどしております。その結果,平成29年度の立替金の償還実績は,平成28年度比103.9%である112億9,641万円となり,大きな成果を上げることができました。   償還免除及びみなし消滅も,一斉償却などの施策により,平成28年度以上の49億8,556万円余について実施しました。   このように償還実績を大きく拡大しつつ,回収見込みのない債権を適切に償却することができ,平成29年度,中期目標期間とも所期の目標を上回る成果が得られたことから,いずれも自己評価を「A」としました。   項目4-31は,「償還率の向上」に関するもので,重要度・難易度ともに「高」とされております。   前項目で説明した立替金回収に関する各種の取組により,償還率は平成28年度の86.8%から88.1%に向上し,中期目標期間全体を見ても,年々上昇させることができました。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目4-32は「立替金債権等の管理・回収状況の開示」に関するものです。   平成29年度においても,引き続き発生年度ごとの立替金額や償還額など立替金債権の管理・回収に係る基本的なデータを一覧表にし,業務実績報告書に掲載したことから,いずれも自己評価は「B」としました。   項目4-33は「立替金等の悪質な償還滞納者への対応の構築」に関するもので,悪質な償還滞納者などへの対応について,過去に発出した事務連絡をマニュアルに組み込み,対応の徹底を図りましたので,いずれも自己評価は「B」としました。   項目4-34は,「財務内容の公表」に関するものです。   当センターの事業のまとまりごとに財務諸表の附属明細及び決算報告書を作成し,事業報告書及び業務実績報告書に記載するなどの取組を継続したことから,いずれも自己評価は「B」としました。   最後に,「Ⅴ.その他業務運営に関する重要事項」の各項目を説明します。   項目5-35は,「認知度の向上に向けた取組の充実」に関するものです。   広報活動については,期間を通じて本部と地方事務所の活動を可能な限り連動させ,効率的・効果的に実施いたしました。   関係機関との連携を通じた広報活動については,本部において金融庁,日本弁護士連合会及び日本司法書士会連合会と連携して,多重債務者相談強化キャンペーンを実施したほか,法務省のイベントに出展しております。   認知度につきまして,名称認知度は第3期中期目標期間を通じて50%を維持することができました。もっとも当センターの広報は,ここ数年,業務認知度を上げることに軸足を移しております。   平成29年度の認知度調査では,名称認知度について前年度より1.5%減,業務認知度も0.9%減となっております。統計上の誤差の範囲内の数字とも言えますが,伸び悩みは否定できず,これは認知媒体として毎年上位であるテレビへの露出が減少したことも影響しているのではないかと考えており,今後も改善のための検討を進めてまいりたいと考えております。   以上を踏まえて,いずれも自己評価は「B」としました。   項目5-36は,「業務運営の体制維持」に関するものです。   施設・設備に関しましては,職員や業務量に合わせた備品の整備を行うとともに,レイアウト変更を行うなどして必要面積を確保し,耐震性などに疑義がある事務所については移転を実施するなど,適切な整備を行いました。移転を行った具体的な事務所といたしましては,平成26年度は和歌山地方事務所,平成27年度は安芸地域事務所,平成28年度は石川地方事務所,平成29年度は静岡地方事務所及び平戸地域事務所となります。   また,人的体制の確保のため,業務量の変動を適切に捉えた上での人員配置,能力主義に基づく若手職員の積極的な登用を実施いたしました。   以上を踏まえ,自己評価は「B」としております。   後半部分は,以上となります。 伊藤委員長 ありがとうございました。情報提供業務から始まりまして,民事法律扶助,国選弁護,犯罪被害者援助,財務,その他認知度や設備に関する事項,大変多岐にわたるものがございますけれども,どの点からでも委員の皆様より御質問等をお願いいたします。   どうぞ,奥山委員お願いします。 奥山委員 項目3-22に法教育に関する評価がございます。社会人・一般人向けとされていることについては納得感があるのですが,学校への出前授業というものもあります。学校といっても小学校から大学まであり,現実的に,法テラスについての知識が必要なのは,もちろん多くの場合は成人であり,せいぜい高校生ぐらいからなので,高校,大学ならば法テラスの存在について知ることが必要だと思うのですが,資料を見ますと小学生を対象とした出前授業というものも行っております。これは法テラスが行うべき教育なのか,それとも法務省やほかの官庁,がすべきものなのか,この辺はどのように整理されているのか,お教えいただければと思います。 伊藤委員長 どうぞ,お願いいたします。 鈴木局長 本部事務局長の鈴木からお話しさせていただきます。   法教育に関しましては,弁護士会,法務省,検察庁,それから裁判所もそれぞれ取り組んでいるところであり,さらに文部科学省も法に関する教育が重要だということで取り組んでいるところと理解しております。   そのような中で,法テラスがどういう役割を果たすべきかについては,基本的には社会人向け,大人向けという整理をさせていただいており,法を利用して自分たちの生活を向上させていただくための活動と考えているところではあります。しかし他方で,法テラスのスタッフ弁護士は,所属している弁護士会,あるいは地域から求められて学校に赴くことがあり,そのような際に小学校,中学校,高校で法教育を行うという活動もしておりますので,そうした取組はここの中に組み込ませていただいております。   そういう意味で法テラスが担うべき根本を考えますと,社会人向け,大人向けと考えておりますが,決して学校教育向けを否定しているわけではありませんので,求めに応じて対応させていただいているというところでございます。 奥山委員 分かりました。ありがとうございます。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。   法教育に関して,増田委員も以前より御関心が深いと承っておりますが,いかがでしょうか。 増田委員 私がイベント参加者の属性についてお伺いいたしましたところ,年齢が高い方が多い傾向があったということでした。高齢者を対象とした場合の法教育の効果,効果のレベルがどうなのかなということを,私も日々の業務の中で感じておりまして,高齢者については対処療法的な啓発を継続的に行う必要があります。法教育となりますと,もう少し若い年齢層のほうが効果があるのではないかと理解しておりますので,若い年齢層をターゲットとした勧誘について,力を入れていただきたいということが一つあります。   それから,20人程度の参加者を集めて実施しているということですが,それだけの参加人数を開拓するのは結構大変なのではないかと,私の業務からは推測しているのですが,その辺は御苦労がおありなのか,それとも工夫されていて大丈夫ですということなのか,お教えいただけますでしょうか。 伊藤委員長 お願いいたします。 諏訪課長 情報提供課の諏訪から御説明させていただきます。   今回,さいたま市,大津市でイベントを開催し,その参加者の年齢構成が比較的高かったのではないかと御指摘をいただきましたが,お示しした資料を御覧いただきますと,30代,40代がかなり少ない状況になっております。さいたま市のイベントは,平日の日中に開催したこともあり,比較的30代,40代の参加者が少なかったのではないかと見ていたのですが,大津市のイベントでは,土曜日に開催したものの,同様に30代,40代の参加者が少ない状況でした。大津市でのイベントは「大人のための法教育」というタイトルだったことも影響して,比較的年齢層の高い方が参加されたのだろうと考えています。   法教育ニーズの開拓という点ですが,各地方事務所で関係機関と連携をとり,ホームページでも法教育に取り組んでいるという広報を行っている関係から,申込み自体は,かなり来ていると感じています。   また,若い年齢層をターゲットにした取組については,現在,法テラスの中で,こういう年齢層をターゲットにしようと決めているわけではございません。先ほど鈴木局長から説明がありましたが,一般市民に向けた取組というところで方向性が決まっていますので,その中で,各地方事務所でいろいろ取り組んでいるところです。ただ,視点としては,難しい説明の法教育というよりは,どちらかといったら演劇とか落語のような,見やすくて,それが法教育につながるような取組を目指しており,それが担当している職員にとってもやりやすいという認識を持っていますので,今後,各地方事務所の取組を見ながら,適切な取組があれば法テラス全体でその方向に進んでいくことは考えられると思っております。 伊藤委員長 増田委員,いかがでしょうか。 増田委員 はい,結構です。ありがとうございました。 伊藤委員長 ほかにはどうでしょうか。   奥山委員お願いします。 奥山委員 項目4-31「償還率の向上」のところでございます。   償還金の収入は非常に重要だということでございますけれども,その中で,経年で見た場合,償還率が高くなってきているということは,大変立派なことだなと思っています。 まず,1点目の質問は,償還率の88.1%というのは,各年度において償還されるべき金額のうち,実際償還された金額の率という理解でよろしいでしょうか。   2点目は,その次の項目4-32に「立替金債権等の管理・回収状況の開示」に,立替発生年度ごとの償還等の状況についての表があります。平成18年度から,立替金が発生した年度から今年度までの償還額がずっと載っているのですが,これを見ると,平成18年度分については,償還割合が82.8%,処理率が95%なので,多分,最終的な償還率は,85%前後に,若しくはもう少し高いかもしれませんが,なるのではないかと思います。そうすると,その差額分は,償還されない,すなわちセンターに回収できない金額ということになると思います。各年度に発生した立替金における償還割合も同程度になるとみて,最終的な償還割合が85%から86%程度だとして,約15%ずつが償還されない金額になるという理解でよろしいのかという質問です。   3点目ですが,この表をただ載せるだけではなく,昨年度との対比で見ると,償還割合は各年度分,僅かずつ,平成18年度もコンマ数%ですが上がっているので,そういう努力をしたということは,例えば,この表に「過去と比べて」などと少し記載して,立替金が償還されているし,センターも努力をしているということが分かるようにした方が,評価委員としては非常に評価をしやすいと思います。   ここまで御回答をいただいて,もう一つ後で質問させていただきたい点がございます。 伊藤委員長 では,ただいまの奥山委員から,償還率に関して3点ほど御質問・御意見がございましたが,センターの方でどなたにお答えいただけますか。 八尋課長代行 民事法律扶助第二課の八尋と申します。   まず,最初の御質問の償還率ですが,平成29年度でいくと,平成29年度末までの償還予定額に対する平成29年度末までに実際に償還があった金額の割合であり,これが88.1%でした。   2点目の御質問ですが,項目4-32の償還金の回収状況の開示については,平成18年度であれば,15%近くの償還金を免除しています。被援助者の中には,生活保護受給者や生活保護の生活水準に近い方もいらっしゃいますので,どうしても返済が難しい方のために償還金を免除する制度があり,免除要件に該当するかどうかを確認し,免除を決定しています。   3点目の御質問ですが,償還金の回収について工夫し,努力している点は,項目4-30に記載していますが,項目4-32にも記載することを今後は検討したいと思います。 奥山委員 立替金の性質については,事前にも伺い,通常の債権とは違う性質を持っていることは理解しておりますので,15%程度償還が不可能だろうというのはやむを得ない部分があると思います。   その上でお伺いしたいのですが,先ほどの表の平成18年度分から平成29年度分の表の残額を全部足すと,民事法律扶助立替金の債権残高になるのではないかと思いますが,そうすると,この残高が貸借対照表上の残高になって,これに対して貸倒引当金が設定されていると理解して良いのかが,1点目の質問です。   もし,そうだとすると,この立替金は,通常の回収できる可能性の高い一般債権,かなり回収が困難な債権,それからほとんど回収ができないために貸倒引当金が100%計上されている破産更生債権というふうに分類されていると思います。これを各年度に発生した立替金ごとに分類した表を作ってほしいと思います。この一般債権について,私が見る限り,40%ぐらいの貸倒引当金を計上しているのですが,80%程度がずっと回収できているのであれば,一般債権の貸倒引当率は40%も必要なのかという非常に素朴な疑問です。計算式等は私には分からないのですが,素朴に,85%程度が最終的に償還されるということであれば,残っている債権もそれほど高く貸倒引当金を計上する必要があるのかということにつながるので,もしできれば,この表を一般債権と貸倒懸念債権と破産更生債権に分類した発生年度別の表を作っていただき,次回の会議でも結構ですし,その前でも結構ですので,教えていただければと思います。これは単に情報提供をお願いしているだけですので,今,お答えいただく必要はありません。 伊藤委員長 ただいまの御指摘に関しては,いかがでしょうか。 伊東課長 財務会計課長の伊東から,若干補足させていただきます。   数字で申し上げると,一般債権の割合が平成29年度で25.9%,貸倒懸念債権が47.9%,それから破産更生債権が26.2%となっております。それから,貸倒引当金をどう積み立てるかにつきましては,一般債権につきましては実績を用いて貸倒実績率法で行っておりまして,そのほかの貸倒懸念債権や破産更生債権等につきましては個別にサンプル調査を行って,それに基づき引当率を計算し,貸倒引当金を計上しております。 奥山委員 ありがとうございます。資料4-1の財務諸表の35ページに,債権と貸倒引当金の明細表が付いていますので,これを年度別にばらしてもらえればというのが,今私が言っているお願いです。計算式は,いろいろな意味で見積もりなので,私はそれが誤っているとか誤っていないと言っているわけではなくて,各年度に,例えば破産更生債権がどれだけあって,貸倒懸念債権がどれだけあったかを一覧にしていただけると,大体,どういう形で回収率が積み上がっていくのかが非常に分かりやすくなるので教えていただきたいという趣旨です。会計方針については,私も見させていただき,おっしゃるとおりだと思いますので,そこはまた後で教えていただければと思います。 伊東課長 御指摘ありがとうございました。承知いたしました。 伊藤委員長 ほかにはいかがでしょうか。   どうぞ,中村委員。 中村委員 償還につきまして,若干補足いただければと思い,御質問させていただきます。   今,償還ができない割合と免除という話も出てまいりまして,その後の項目では償還しない悪質な方というお話もある中で,まず,償還免除というのは,当初から免除するケースもあるのか,あるいは一定の段階になったときに免除をされるのかどうかなど,その辺りの経過を若干補足で御説明いただければと思います。 伊藤委員長 免除の基準と決定時期に関連する御質問ですが,いかがでしょうか。 八尋課長代行 民事法律扶助第二課の八尋です。   免除には幾つかの種類がありますが,まず,本人からの申請により,償還金を免除する場合があります。生活保護受給者や生活保護の生活水準に近い方からの申請を受け,免除を認めています。その他,最初は償還していただく予定だったところ,被援助者が死亡したり,調査しても所在が分からない場合などは,職権により免除する場合があります。 なお,免除については,事件終結後に申請をしてもらいますので,事件終結後に免除決定することになります。 中村委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。   ほかにいかがでしょうか。   どうぞ,池亀委員。 池亀委員 法教育にまた話を戻して恐縮ですが,従前からいろいろと意見を申し上げて,平成29年度の計画以降,平成30年度についてはというところが記載されておりまして,着々と対応いただいているということを理解しております。ありがとうございます。   そこで,一つもう少し整理が必要なのではないかという印象を持っている点をお伝えして,平成30年度以降に御対応いただければと感じているところを申し上げたいと思います。   資料3-1の資料編の資料47の「法教育活動一覧」を拝見しました。それと併せて項目3-22の「地方事務所における取組」の下のなお書き以降とをパラレルに見させていただいているところなのですが,この一覧は,平成29年度計画において,意見交換,講演会,学校における出前授業等815回を実施した内訳なのだろうと理解しております。その中に,大別すると福祉関係者向けのものとDV関連,犯罪被害者等の刑事に関するもの,それと自立支援事業をされている生活困窮者の方に向けたもの,あるいは行政の方に向けたものと大別することができるのではないかと考えておりまして,これを除くと,残りが市民向けなのだろうと承知しているところなのですが,項目3-22の記載を拝見しますと,「平成29年度計画においては,講演会,意見交換会,学校における出前授業のほか,業務説明のうち具体的事例を取り入れるなど,地域住民等の法的問題に関する対応能力の向上につながるようなもの(参加人数20名以上のものに限る。)を法教育事業として展開,集計した」という記載ぶりになっております。   人数の方は,ここの表の中に記載されているのですけれども,対象者について中には大学教員,あるいは弁護士,司法書士というような法曹を対象とした者も含まれているものがあったりしまして,恐らくそれは司法ソーシャルワークの関連で後見制度利用促進法の関係があって,弁護士や司法書士,あるいは社会福祉士,地域包括支援センターなどの福祉関係者が合同で説明を受けたようなものも入っているのではないかと思われるところです。   一方,項目1-3の「高齢者・障害者に対する援助の充実」でも,やはり同じように福祉関係者に対しての事業説明をなさっていて,それが1,457回実施したとありまして,もう一つ,項目1-11の関係機関との効果的な連携方策の策定に向けた取組の中でも,同じように福祉関係者に対しての地域包括支援センター,福祉事務所,社会福祉協議会については計831回行っているという記載があるのですが,これらのカウントの関連性がよく分からないなというのが正直なところです。   法教育の話なので,項目3-22のなお書き以降のところに戻らせていただきますと,平成30年度以降は,市民向けの取組のみを法教育事業として整理することとし,他方で業務説明を含む関係機関への取組は関係機関との連携強化の項目で報告することとしたとありますので,平成30年度は,関係機関への取組は項目1-11でカウントされるということでよろしいのか確認をさせていただきたいというのが一点です。 また,資料47を見ますと,関係機関,行政,警察,あるいは弁護士・司法書士を含め福祉関係者等への業務説明を法教育と記載して,なおかつ業務説明も入っているものも含まれているので,そこを整理していただけたら,平成30年度以降は,私の頭の中がすっきりするなと思っているので,御対応いただければと考えております。よろしくお願いします。 伊藤委員長 従来から業務説明と法教育の関係に関しては,本委員会で質問があり,その都度お答えいただいていますが,ただいまの御指摘の点に関してはいかがでしょうか。 鈴木局長 池亀委員御指摘のとおりで,ここがまだ混在しているところがございます。その意味で平成30年度からは,ここはきちんと整理しようということで,内部でも検討しておりますので,また御説明させていただきたいと思っています。 池亀委員 ありがとうございました。   その上で,法教育について,私がざっと見た概算ということで受け止めていただければよろしいかと思っているのですが,法教育815回のうち,今申し上げた福祉関係者,DV・犯罪被害者,自立支援,行政の人が入っているなというものをチェックすると,530件ぐらいあるのです。残りが280件くらいになりますので,法教育で設定する目標値として800回ということが年度計画に上げられていて,地方事務所における法教育事業を年800回以上実施するとあるのですが,この数字はこのまま維持するということだと難しいのではないかという印象を持っております。平成30年度の計画はもう進んでいると思うのですが,整理していくと,かなり少ない数字になっていくのかなと思っていて,目標値が800件のままでいくと,つらい結果になる気がいたしますので,こういう事情で設定目標値を変え,このぐらいにした上で,これだけ回数が実現できましたという記載ぶりにしていただくのがよろしいのではないかと思いまして,補足させていただきます。 鈴木局長 重ね重ねありがとうございます。また少し検討させていただいて,そのような方向になるのかなとは思っておりますが,また御説明をさせていただきます。 池亀委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。   ほかにはいかがでしょうか。従来から認知度に関しては名称認知度,業務認知度,それぞれの基準で,いろいろ本委員会でも御指摘などございましたが,改めて何か御質問ございますか。   山中委員,お願いいたします。 山中委員 非常に一生懸命おやりになっているので,まあ,まれに「C」が付いたりしてはおりますが,それを十分御承知の上で自己評価をされているわけですから,取り立てて意見を申し上げるということでもないのですが,今日こちらへ出てくる前に「無料法律相談」という項目をヤフーとグーグルで検索をしてみましたら,テレビコマーシャルで結構名前を売っている法律事務所も出てくるし,それから各地域の弁護士会が出てきました。ただ,これらには1時間1万円とか,そういう料金を取っているという情報込みのものもあります。クリックする項目がたくさんあって見ていくと,もちろん法テラスも出てきて,法テラスを知らない人がホームページをいろいろ見るところまでいくと,法テラスは法律に基づいて国が相当程度関与して,極めて公共的性格の強い組織だということが分かるのですが,そこまでいかないで,ほかの弁護士事務所とか弁護士会とかの詳細を見てしまう。これは一工夫できないか,もう少し法テラスを知らない人が検索をしても,そこに目が行くような,そういうホームページの組立て等が必要ではないのかと思ったのです。それは認知度とも関係するわけで,法テラスを知っている人は別にすぐ電話番号を調べて電話すればいいわけであって,法テラスを知らない人がまだ半分いるという中で,難しいのは,認知度を高めて,更に法テラスの業務量の拡大を狙っていくべきなのかどうかだと思います。これは常勤弁護士の確保の問題等にも関連するし,全体の予算確保ということにも関係してくるわけです。法テラス設立からもう12年たったのですが,これから認知度を更に高めたり,業務量を拡大して,それぞれの地域の弁護士会と競合しながらも,しゃかりきになって頑張っていこうという心づもりなのか,それとも,これまで12年の積み重ねがあって,これまでの延長線上でいろいろ改善点は自覚しつつも,その延長線上でそれほど大きな突拍子もない飛躍をする意味もないので,そこそこ頑張ってやっていこうということなのか。理事長が交代されて,新しい体制で,いろいろ課題を抱えながら,どういうふうに法テラスが国民に対して司法支援サービスを提供する一翼を担っていくのかということを,腰を据えてお考えになってもいい時期に来ているのかなという気がいたします。   それともう一つ,これは昨日の新聞記事を持ってきたのですが,昨日の日経新聞に,「民事裁判にIT化の波」という,これはシンガポールが非常に進んでおり,韓国や中国もそういう取組を始めているそうですが,政府の有識者会議が提言をまとめて,最高裁もいろいろ検討を始めているという記事が出ていました。その中で,いわゆる本人訴訟というのは民事事件が14万件ある中で,半分ぐらい占めていて,なかなかすぐの取組は難しいということでした。   当然,IT化ということになると,いろいろな一般の弁護士会,あるいは弁護士事務所もそうですが,相当の下準備が必要になってくるわけです。ですから,いきなりシンガポールのように制度改革を実行に移すというところにはいかず,いろいろな関係者の意見聴取といったところから始めるのだろうと思いますが,そういう最高裁の検討の動きとか,政府の有識者会議の提言とか,その情報の収集なり,あるいは仮にこういうものが徐々に制度化されていくとしたときの法テラスの取組,必要な取組というのはどういうところに出てくるのかという下検討のようなことはされているのかどうか,お聞きしたいと思います。 伊藤委員長 前半部分の御質問は,今後の業務の在り方の基本方針のようなことと思います。また,IT化との関係についての御質問もございました。いずれも大変難しい問題で,今この場で直ちにどういう検討状況にあるかをお答えいただくのは難しいかもしれませんけれども,現時点での認識等がございましたら,御説明いただければと思います。 板東理事長 IT化の問題につきましては,後ほど鈴木事務局長からお答えさせていただきたいと思います。   私からは,前半部分の非常に大きな問いを頂きましたことについて,直ちに適切なお答えができるかというのはございますけれども,一言申し上げたいと存じます。法テラスは司法へのアクセスが困難な人たちに対して,どのように「かけ橋」を作ることができるかというのが大きな使命であり,今まで,資力がないことによりアクセスができない,あるいは過疎地に住んでいることでアクセスができない,あるいは知識がないことでアクセスができない,そのようないろいろな方々に対してのかけ橋を考えてきたのだと思っております。さらに現在,司法ソーシャルワークの取組を行っておりますように,本人や,それを支えている関係者の方々から見ても,これがどこまでが法的問題なのかというのはなかなか分からない,あるいはほかの問題と非常に複雑に絡み合っていて,総合的な解決が必要になるような問題というのが非常に増えているのではないか,そういう潜在的に法的な問題を抱えていらっしゃる方々がたくさんいらっしゃるのに,なかなか顕在化していないという状況ではないかと思います。そうしたところに,今,積極的にアプローチをし,事務所に来ていただく,あるいは電話をかけていただくのを待っているだけではなく,そういう潜在的なアクセス困難者の方々に対し,いろいろな機関とも連携しながら,積極的にこのかけ橋を築き上げていくというのが,法テラスの業務の中で,特にこれまで以上に意識をしていかなくてはいけない部分ではないかと思っております。第4期中期計画の中にも,司法ソーシャルワークのさらなる進展が盛り込まれておりますが,そういった取組が,先ほども常勤弁護士に関する業務量のお話もございましたように,これまで業務の中で明確に位置付けられていない部分もあるのではないかと思っております。そうしたところも含めて,真に必要なサービス,業務とは何なのだろうかということを,御指摘のように,いろいろな社会の変化もございます中で,更にアンテナを張りながら考えていかなければいけないのではないかと思うところです。   そのために,法テラスは,ある意味では国民が何に困っているかということに関するビッグデータを持っているわけですので,社会の動きの中で,今,どういうことが司法サービスに求められているのか,その辺りの分析ももう少しきちんとやっていかなければいけないとも思っているところです。   ですから,先ほどの御質問のように,法テラスのほかにいろいろなサービスがあるではないか,ほかと競合しているではないかというところを無理やり広げていくというよりも,なかなか資金的にも成り立たないような司法サービスの部分であったり,潜在的ないろいろなニーズや対象者であったり,そういうところを今まで以上により積極的に考えていくというのは,法テラスのこれからにとって必要ではないかと感じているところでございます。 鈴木局長 後半のIT化の部分ですが,政府,それから裁判所等でIT化の議論が進んでいることは承知しております。この点については法務省とも協議をさせていただいて,法テラスとして,どういうことを担うべきなのかを考えていかなければいけないという話を,最近,始めたところでございます。   法テラスとしては,これまでは,本人訴訟より,必要があれば代理人を付けるというところで役立とうとしてきたのですが,IT化を利用した本人訴訟ができるということになれば,情報提供領域で何らかのお手伝いをするのかなど,検討しなければいけないなということを認識し始めたというのが率直なところでございます。   また,日弁連を始め,弁護士会,あるいは司法書士会でも,この動きに対してどう対応するかという協議を始めたと聞いておりますので,その情報も取り込みながら考えていきたいと思っております。 伊藤委員長 山中委員,現段階ではよろしゅうございますか。 山中委員 去年,業務の見直し意見の文言を議論させていただいたときには,どうしてあえて「理事長のリーダーシップ」などという表現を入れるのかという御質問をしましたが,是非,板東理事長の新鮮な発想で,大いにリーダーシップを発揮していただきたいということをお願いしておきます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ほかに御質問,御意見がないようでしたら,法テラスから御説明いただきました業務実績評価につきまして,監事の御意見をお願いしたいと思いますが,よろしいでしょうか。 津熊監事 それでは,監事の津熊から意見を述べさせていただきます。   法テラスの業務は,平成29年度及び第3期中期目標期間のいずれにおきましても全般的に適正に運営されていると認められると考えます。   次に,個別事項の4点につきまして,若干の意見を申し上げます。   第1は,項目1-3の中の司法ソーシャルワークの取組についてです。平成29年度は司法ソーシャルワークを効率的に推進するとの観点から,特に福祉事務所,自立相談支援機関における指定相談場所相談,巡回相談の推進に重点を置いた取組を実施いたしました。すなわち,平成29年度におきましては,司法ソーシャルワーク,高齢者・障害者支援をテーマにした地方協議会を32か所の地方事務所,支部で合計66回開催したほか,福祉機関・団体職員を対象とした業務説明を平成28年度は1,300回余りでしたが,平成29年度は1,457回実施いたしました。また,連携のプロセスを掲載した連携スキーム事例集や連携先となる福祉機関等の組織や業務内容,福祉専門職の役割などを整理した連携便利帳を作成し,組織内共有を図るなどして,福祉機関・団体等との連携強化に努めたと認められると考えます。   これらの取組を行った結果,福祉機関・団体との連携を契機とした法律相談援助は大幅に増加いたしました。すなわち,連携対象機関における指定相談場所は,平成26年度は37か所,平成27年度は85か所,平成28年度は152か所と年々増加しまして,平成29年度は185か所まで増加しましたし,地域包括支援センター,福祉事務所,社会福祉協議会などの主要連携対象機関で実施した巡回相談は,平成26年度は78回,平成27年度は136回,平成28年度は193回でしたが,平成29年度は312回に及ぶなど,指定相談場所相談,巡回相談を拡充させました。   また,連携を契機としたセンター相談,事務所相談も毎年増加し,平成29年度は3,636回実施し,そのうちの約3分の2が連携対象機関からの紹介を契機とするものでありました。   以上のように,平成29年度において所期の目標を達成したと認められ,また第3期中期目標期間を通じても司法ソーシャルワークの取組が着実に進展していると評価できると考えております。   第4期中期目標期間におきましても,引き続き積極的な取組を実施していくことを期待しております。   第2は,項目2-16中の出張所,司法過疎地域事務所についてであります。   出張所及び司法過疎地域事務所の見直しは,地域の実情を多角的・総合的に把握した上で長期にわたり地域住民や自治体,関係機関等との調整が必要となることなどから,難易度が「高」に設定されております。平成29年度において新規設置や統廃合を行わなかったことなどから,平成28年度に引き続き「C」評価とし,中期目標期間も「C」の自己評価をしております。しかし,出張所に関しては,中期目標期間を通じ,被災地出張所7か所につき,被災地自治体の要望等を踏まえ,関係機関と協議・検討し,平成30年3月まで設置期間を延長しましたほか,平成26年度に業務体制の見直しにより新宿出張所を廃止し,その後も継続して見直しの検討を進めた結果,平成30年度には池袋出張所を東京事務所に統合させることといたしました。また,司法過疎地域事務所に関しましては,本部において設置基準,地域のニーズを踏まえ,法務省,日弁連等の意見を聴取して,平成26年度には鹿角地域事務所,平成27年度には鰺ヶ沢地域事務所を新設いたしました。また,平成29年度におきましては,事務所ごとに取り扱う事件の処理,件数等の業務量の把握・分析を進めまして,業務量に応じた必要な人数の常勤弁護士を平成30年度以降順次配置できるように,事務所ごとの配置人数を見直しました。   このように,平成29年度におきましても,平成30年度以降につなげる取組を行ったと評価できると考えております。   第3は項目3-27,犯罪被害者支援業務の質の向上に向けた取組状況についてであります。全ての地方事務所におきまして被害者支援連絡協議会に参加したほか,同協議会に伴う分科会等にも積極的に参加するなどし,犯罪被害者支援に関わる関係機関・団体との連携の維持・強化を図りました。犯罪被害者支援に精通している弁護士は,中期目標期間を通じて毎年度増加し,平成29年度は3,736名となり,そのうち女性弁護士につきましては全ての都道府県で複数名確保し,総数で平成29年度に849名に達しました。精通弁護士を紹介するまでに要する平均日数は2.1業務日となり,紹介体制の整備を進めることができました。   改正総合法律支援法の施行に伴い,法テラスは平成30年1月24日から新たな業務としてDV等被害者法律相談援助を開始いたしました。これに先立ち,日弁連,関係省庁等に対し,協議や制度周知を通じて協力依頼を行うとともに,各地の弁護士会と協議を行い,同援助実施に必要な人数の契約弁護士及び複数名の女性弁護士を確保するなどして体制を整備し,同法施行後,適切かつスムーズに同援助を開始することができました。その結果,平成29年度援助実施件数は141件,その内訳はDVが111件,ストーカーが27件,児童虐待が3件に達しました。よって,所期の目標を達成したと認められると考えております。   第4は,項目4-30,効率的かつ効果的な立替金債権等の管理・回収方法の工夫についてでございます。   償還実績額は,平成26年度から毎年度100億円を超えるレベルを維持し,かつ増加傾向が続いておりますが,平成29年度の償還実績額も平成28年度比103.9%,4億2,342万円増の112億9,641万円に大きく増加いたしました。その主な要因は,平成26年12月から導入した償還金の引落し口座の対象拡大に基づきまして,生活口座からの引落しを積極的に推進することにより,滞納が発生する前の償還を確保したことが認められるわけですが,あわせて,滞納者に対して滞納が長期にわたることを防ぐためにコンビニ督促や長期滞納者督促などの本部による集中的な督促を行うことなど,様々な工夫を施してきたことによって回収効果を上げることができたと認められると考えます。   他方,免除対象となる立替金の処理と回収見込みのない債権の集中的な償却を実施することによりまして,平成26年度以降,毎年度45億円を上回る免除を行っており,債権管理コストを削減していると評価できると考えます。   以上の取組により,中期目標を大きく上回る成果が得られたものと認められると考えております。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま津熊監事より,業務全般について適正に行われているとの評価,個別的に司法ソーシャルワークから始まり,立替金債権の処理・管理に及ぶただいまの監事からの報告に関しまして,何か御質問,御発言ございますか。   よろしいでしょうか。   (各委員了承)   そういたしましたら,ここで少し休憩を取りまして,10分後に再開したいと存じます。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   議題(3)の「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」に入りたいと思います。法テラスから財務諸表等についての説明をお願いいたします。 伊東課長 財務会計課長の伊東でございます。私から説明させていただきます。   平成29事業年度財務諸表等につきまして御説明いたします。   「財務諸表」というタイトルの付いた資料4-1から資料4-3までを御覧ください。   資料4-1の財務諸表は,法人全体の状況を表示する法人単位財務諸表と一般勘定及び国選勘定の勘定別財務諸表の計3種類により構成されております。   次に,資料4-2の事業報告書につきましては,主要な損益の発生要因を明らかにするなど,法テラスの運営状況につきまして,国民に分かりやすい形での情報開示を行うものでございます。   さらに,資料4-3の決算報告書は,年度計画において定めました予算の区分に従い,決算の状況を表示するものでございます。   以上,3点の平成29事業年度財務諸表等につきましては,監事による監査結果報告書におきまして,会計処理は適正に行われているとの評価を,また独立監査人の監査報告書におきましても,無限定適正意見を受けておりますことをあらかじめ御報告させていただきます。   それでは,法人単位の財務諸表により概要を御説明いたします。財務諸表の1ページから4ページ目になります。なお,主要な財務データの経年比較に関しましては,資料4-2の事業報告書の20ページに記載されておりますので,こちらも併せて参考に御覧ください。   まず,貸借対照表について御説明いたします。貸借対照表は,期末時点における法人の資産,負債及び純資産の状態を示すものです。平成29年度末現在の資産合計は201億8,500万円でありまして,前年度末との比較で13億1,700万円,約7%増加しています。これは,システムの再構築によるソフトウェア9億0,800万円の増加や工具器具備品の2億7,700万円の増加,そのほか,その他の無形固定資産の2億3,900万円の増加等が要因です。   この資産に対応します負債の合計は,187億2,700万円であり,前年度末との比較で2億6,300万円増加しております。これは,運営費交付金債務10億8,000万円の減少等がある一方で,リース債務が2億5,900万円増加,長期リース債務が9億7,300万円増加,資産見返負債が3億1,900万円増加したことなどが要因です。   続きまして,損益計算書について御説明いたします。損益計算書は,法人の運営状況を明らかにするため,一会計期間に属する全ての費用と,これに対応する全ての収益を記載したものです。   経常費用は合計331億1,700万円であり,前年度との比較では8,500万円の減少です。これは,民事法律扶助立替金の増加などに対応して貸倒引当金繰入額が3億9,200万円増加した一方で,契約弁護士報酬が3億1,800万円減少,人件費が1億6,900万円減少したことなどが要因です。   契約弁護士報酬の減少は,国選勘定における契約弁護士報酬の実績減によるものであり,人件費の減少は常勤弁護士及び非常勤職員の給与支給実績等の減少によるものです。   一方,経常費用に対応する経常収益は,合計336億4,000万円であり,前年度との比較では3億8,600万円増加しております。これは,政府受託収益が3億4,700万円減少した一方で,資産見返運営費交付金戻入が3億6,400万円増加したことや,平成28年度から適用しております業務達成基準に基づきまして,運営費交付金収益が4億9,300万円増加したことなどが要因です。   先ほど申し上げましたとおり,政府受託収益の減少は,国選勘定における契約弁護士報酬の実績減によるものであり,資産見返運営費交付金戻入の増加は民事法律扶助立替金の増加に対応して貸倒引当金繰入額が増加したことによるものです。   また,平成29年度は臨時利益,運営費交付金精算収益化額として5億3,100万円を計上しております。これは,業務達成基準に基づいて収益化できなかった業務統合管理システムの構築費などの未精算分でありまして,このような未精算分につきましても中期目標期間の最終年度では収益化しなければならないため,経常利益とは区別して表示しております。   以上の経常費用,それから経常収益及び臨時利益の差額といたしまして,当期総利益10億5,400万円を計上しております。   続きまして,キャッシュ・フロー計算書について御説明いたします。キャッシュ・フロー計算書は,発生主義に基づく損益計算書とは異なり,法人の一会計期間における資金の動きを示す財務諸表です。   まず,業務活動によるキャッシュ・フローは,プラス2億1,100万円であり,前年度との比較では4億500万円の減少です。これは,契約弁護士報酬の支出が4億4,600万円減少した一方で,民事法律扶助立替金の支出が11億9,900万円増加をしたことなどが要因です。   次に,投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス3億3,200万円であり,前年度との比較では3億2,000万円減少しております。これはソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出が2億7,000万円増加したこと,有形固定資産の取得による支出が5,100万円増加したことなどが要因です。さらに,財務活動によるキャッシュ・フローはマイナス1億7,300万円であり,前年度との比較は6,100万円の減少です。これは,リース債務の返済による支出が増加したことが要因です。これらのキャッシュ・フローにより,資金期末残高は77億1,200万円となっており,前年度末との比較では2億9,400万円減少しております。   最後に,行政サービス実施コスト計算書について御説明いたします。併せて事業報告書の28ページを御覧いただければと思います。   行政サービス実施コスト計算書は,納税者である国民の観点から,法テラスの業務運営に関し,損益計算書上の費用だけでは把握できないコストも含めて表示しているものです。   まず,損益計算書の費用331億1,700万円から,民事法律扶助事業収益や有償受任事業収益などの自己収入180億1,400万円を差し引きまして,国民負担となる業務費用が151億300万円となります。この金額に,将来交付される運営費交付金によって賄われるために,貸借対照表上に引当金を計上する必要がないとされております引当外賞与見積額1,700万円及び引当外退職給付増加見積額マイナス1,300万円並びに機会費用15万7,950円を合計しまして,国民負担となるコストは計151億700万円となります。   前年度との比較では1億8,800万円増加しておりますが,これは一般管理費が9,400万円減少した一方で,政府受託収益が3億4,700万円減少したことなどが要因です。   財務諸表に関する説明は,以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   次に,監事の御意見をお願いいたします。 山下監事 先ほど伊東課長からの報告と重なる部分も多いかと思いますが,御報告させていただきます。   財務諸表のうち貸借対照表については,平成29年度は平成28年度と比較して,資産が13億1,700万,負債が2億6,300万円増加しています。これは,資産についてはシステムの再構築に伴って工具器具備品が2億7,700万,ソフトウェアが9億800万,その他の無形固定資産が2億3,900万円増加したことによるものです。   負債については,運営費交付金債務が10億8,000万減少,リース債務が2億5,900万円増加,長期リース債務が9億7,300万円増加しています。運営費交付金債務の減少は,中期目標期間の終了時点においては,期間中に交付された運営費交付金を精算するものと定められている会計基準に従った結果です。また,リース債務及び長期リース債務の増加は,システムの再構築に伴うものです。   また,損益計算書については,平成29年度は平成28年度と比較して経常収益が3億8,600万円増加,経常費用が8,500万円減少,臨時利益が5億3,100万円増加しています。経常収益については,運営費交付金収益が4億9,300万円増加,政府受託収益が3億4,700万円減少,資産見返運営費交付金戻入が3億6,400万円増加しています。   運営費交付金収益の増加は,先ほど申し上げました第3期中期目標期間の最終事業年度の会計処理に伴うものです。政府受託収益の減少は,国選勘定での契約弁護士報酬の実績減によるものであり,資産見返運営費交付金戻入の増加は,民事法律扶助立替金の増加に伴う貸倒引当金繰入額の増加によるものです。   経常費用については,契約弁護士報酬が3億1,800万円減少,貸倒引当金繰入額が3億9,200万円増加,人件費が業務費及び一般管理費合わせて1億6,900万円減少しています。契約弁護士報酬の減少及び貸倒引当金繰入額の増加は,先ほど申し上げました国選勘定での契約弁護士報酬の実績減及び資産見返運営費交付金戻入の増加理由と同様です。人件費の減少は,常勤弁護士及び非常勤職員の給与支給実績等の減少によるものです。   臨時利益については,業務統合管理システムの構築費等の未精算分の精算を先ほど申し上げました第3期中期目標期間の最終事業年度の会計処理として行った結果です。   この結果,平成29年度は平成28年度と比較して,当期純利益が10億200万円増加しております。これを受けまして,平成29年度に係る財務諸表,決算報告書は会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査を経ており,監事の監査報告の中で,会計監査人の監査の方法及び結果は相当であると認めるとしております。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの財務諸表等につきましての説明及び監事の御意見に関しまして,委員の方々から何か御質問,御意見等はございますでしょうか。   どうぞ,奥山委員。 奥山委員 財務諸表の8ページ目の法人単位の注記事項のところに債務保証に関する注記が6億2,900万ございます。これは,14ページに「7 保証債務の明細」という形で増減が記載をされております。増減のことは,これは当然のことだと思うのですが,減少された部分について,これは減少によって新たに何かしら債権が生じるのか,それともここからストレートに損失が発生しているのかをお教えいただければと思います。 伊藤委員長 では,お願いいたします。 野島課長補佐 財務会計課課長補佐をしております野島の方から御回答を申し上げます。   これは民事法律扶助業務の中で立担保をさせていただくことがあるのですが,主には事件の終結に伴いまして,立担保の必要性がなくなった際に取り消され,減少するという関係性にございますので,損失が生じているというものではございません。 奥山委員 了解いたしました。 伊藤委員長 ほかにいかがでしょうか。   財務諸表等だけではなく,本日の議事全体に関してでも結構ですので,何か御質問や御意見がございましたらお願いいたします。   よろしいでしょうか。   (各委員了承)   それでは,もし追加の御質問ございましたら,事務局を通じまして法テラスに御質問いただいて回答を得ることができますので,委員の方々におかれましては,事務局宛てに適宜の方法で御連絡をお願いできればと存じます。   他に特段の御発言がございませんようでしたら,以上をもちまして,本日の議事を終了したいと存じます。   (各委員了承)   最後に,事務局から今後のスケジュール等について説明を,お願いいたします。 山口参事官 まず,本日の議事録の作成についてですが,従前どおり事務局の方で原案を作成した後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただき,最後に委員長に全体を御確認いただいた上で公表するという手順で行いたいと考えておりますが,よろしいでしょうか。   (各委員了承)   ありがとうございます。   次に,次回の8月2日木曜日15時から予定している会議におきまして,年度評価等,本日の議事事項について評価委員会としての御意見を取りまとめていただくことになります。その際には,本日の御議論を踏まえまして,まずは事務局の方でたたき台の案を作りまして,来週7月10日火曜日をめどに委員の皆様にメールでお送りし,併せて翌日11日をめどに郵送でもお送りしたいと思っております。   委員の皆様方におかれましては,大変恐縮でございますが,その次の週の7月18日水曜日中に事務局宛てにメール等で御意見を頂けたらと思います。   御意見を頂きましたら,事務局の方で整理をいたしまして,取りまとめの案を作成し,次回の評価委員会の前,できる限り早くお示ししたいと考えており,この辺りのスケジュールにつきましても,また別途メールで詳細をお送りさせていただきたいと思っております。この間,更に御質問等がございましたら,何なりと事務局宛てにお申し付けください。      以上でございます。 伊藤委員長 資料,あるいは取りまとめについての原案を作成するまでの期間が限られておりまして,恐縮ではございますけれども,よろしく御協力お願いいたします。   それでは,以上をもちまして本日の評価委員会を終了したいと思います。長時間ありがとうございました。 ―了―