法制審議会信託法部会 第55回会議 議事録 第1 日 時  平成30年12月18日(火)   自 午後3時32分                          至 午後4時10分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  信託法の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○中田部会長 予定した時刻が参りましたので,法制審議会信託法部会の第55回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,衣斐幹事,神作幹事,渕幹事が御欠席です。   まず,本日の会議資料の確認を事務当局からお願いします。 ○大野幹事 お手元の資料について確認を頂ければと存じます。   事前に,部会資料51-1「公益信託法の見直しに関する要綱案(案)」及び部会資料51-2「部会資料50からの変更点等の説明」を送付しております。資料がお手元にない方がいらっしゃいましたらば,お申し付けいただければと思いますが,よろしいでしょうか。   以上でございます。 ○中田部会長 今回は,前回までの検討を踏まえまして,部会資料51-1として要綱案(案)が提示されています。本日は,これに基づきまして,要綱案の取りまとめを目指すということになります。   本部会の調査・審議も大詰めでございますので,委員,幹事の皆様におかれましては,引き続き御協力のほどをお願いいたします。   それでは,本日の審議に入ります。本日の進め方でございますが,部会資料51-2に部会資料50からの変更箇所がまとめられています。そこで,まず,部会資料51-2について,事務当局から説明をしていただき,御審議をお願いしたいと思います。   本日は,部会資料51-2を中心に御審議いただきますが,取りまとめの対象は,飽くまで部会資料51-1となります。そこで,51-1全体につきましては,後ほど改めて御確認させていただく予定でおります。   それでは,部会資料51-2について,事務当局から説明していただきます。 ○舘野関係官 では,御説明いたします。   今回は,前回11月の部会における議論を踏まえまして,提案を修正した箇所を中心に御説明いたします。また,部会資料51-2について御説明いたしますが,見え消し版の補助資料と見比べていただきながら聞いていただきますと,より分かりやすいかと存じます。よろしくお願いいたします。   では,御説明いたします。   まず,第4公益信託の受託者及び第5公益信託の信託管理人では,第4の3として,公益信託の受託者の任務終了事由を,第5の4として,公益信託の信託管理人の任務終了事由を新たに追加しております。   第54回会議においては,公益信託認可の取消し事由と受託者及び信託管理人の任務終了事由との関係が分かりにくいという御指摘がありました。   部会資料51-1の第12の4(2)においては,欠格事由に該当する受託者や信託管理人を交代させることによって,当該公益信託の継続を図る余地がないままに当該公益信託が終了することとなってしまうのは,公益信託のほとんどが適正に運営されているという現状に鑑みると,過度な処分となるおそれがあると考えられることから,「公益信託の受託者及び信託管理人に関する欠格事由に該当するに至ったとき。」を,公益信託の任意的取消し事由としております。   これは,欠格事由に該当した受託者又は信託管理人を交代させることで,公益信託の継続を図ることを可能とするものですが,当該受託者又は信託管理人が欠格事由に該当したという事実は治癒することはないため,そのような受託者又は信託管理人までも,なお任務を継続させるべき必要性や合理性に乏しいものと考えられることによるものです。   そこで,部会資料51-1の第4の3及び第5の4では,受託者や信託管理人が欠格事由に該当することを実体的な任務終了事由と位置付けることとし,第4の3(7)として,「公益信託の受託者の欠格事由(第4の1(2)ア(ア)を除く。)に該当するに至ったとき。」を公益信託の受託者の任務終了事由とし,第5の4(7)として,「公益信託の信託管理人の欠格事由(第5の2(2)(ア及びオ(ア)を除く。)に該当するに至ったとき。」を公益信託の信託管理人の任務終了事由とすることとしております。   なお,その他の規律につきましては,信託法第56条第1項と同様でございます。   次に,第9公益信託認可の基準の4(2)でございますが,部会資料50の第9の4(2)においては,「公益信託事務に係る収入(寄附金及び預貯金の利子を除く。)があることが予定されていない公益信託について」は,収支相償等の会計基準を適用しない旨の提案をしておりました。   これに対し,第54回会議においては,現行実務上は信託財産を預貯金への預け入れの方法により運用している公益信託は少なく,預貯金の利子を収入から除いたとしても,ほぼ全ての公益信託に会計基準が適用されることとなり,規律を設ける趣旨を達成していないとの指摘がございました。   確かに,例えば,国債や合同運用信託などについては,特定公益信託における信託財産の運用として,預貯金とともに許容されており,その限りにおいて,これらは預貯金と同視されているとも言えます。   また,前回の部会における御指摘にあるように,多くの公益信託において,預貯金によらず,合同運用信託(元本の補填の契約をした金銭信託)での運用が行われているという公益信託の実務における社会実態が現存することを踏まえると,そのような運用による収入,すなわち国債等の利子や合同運用信託の収益の分配などを公益信託事務に係る収入から除くことには,一定の合理性があるものと考えられます。   そこで,部会資料51-1の第9の4(2)では,「公益信託事務に係る収入(寄附金及び預貯金の利子その他の主務省令で定めるものを除く。)があることが予定されていない公益信託について」,会計基準は適用しないものとするという旨の提案をしております。   次に,第10公益信託の名称の5についてですが,部会資料50の第10の5では,「4に違反する名称又は商号の使用によって事業に係る利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある公益信託の受託者は,その利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。」との提案をしておりました。この第10の5の規律により保護すべき公益信託の受託者の利益は,公益信託事務に係る利益であると考えられることから,部会資料51-1の第10の5では,その旨を明確にする修正をしております。   次に,第11公益信託の情報公開の「2 公益信託の公示」についてですが,部会資料50の第11の2の提案に対する第54回会議における御意見を踏まえ,部会資料51-1の第11の2(7),(9)及び(10)について,それぞれ,裁判所が新受託者又は新信託管理人を選任した旨の届出があった場合及び裁判所が公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更を命じた旨の届出があった場合である旨を明確にする旨の修正をしております。規律の実質について変更はございません。   次に,第12公益信託の監督の「5 裁判所の権限」についてですが,部会資料50の第12の5では,「裁判所は,信託法が裁判所の権限としている権限を原則として有するものとする。」との提案をしておりましたが,公益信託に関して裁判所が有する権限は,信託法上裁判所が有する権限と同一であるため,その旨をより正確に表すため,「原則として」という文言を削除しております。   次に,第13公益信託の受託者の辞任・解任,新受託者の選任及び第14公益信託の信託管理人の辞任・解任,新信託管理人の選任につきましては,まず,第13の「3 公益信託の新受託者の選任」の(2)において,今回,第4の3として,公益信託の受託者の任務終了事由に関する規律を新たに設けたことに伴い,形式的な修正をしております。第14の3(2)につきましても,これと同じ趣旨での修正をしております。   また,第14の「2 公益信託の信託管理人の解任」の(注2)及び第14の「3 公益信託管理人の選任」の(注4)につきましては,これも前回の部会における御審議を踏まえまして,公益信託の信託管理人の解任の裁判及び公益信託の新信託管理人の選任の裁判について,受託者は即時抗告ができないものとし,即時抗告権者を明確にする旨の提案を追加しております。   最後に,第17公益信託の清算の「1 残余財産の帰属」の(3)につきまして,部会資料の50の第17の1(3)では,「上記(1)の信託行為の定めにより残余財産の帰属すべき者として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合には,残余財産は,国庫に帰属するものとする。」との提案をしておりました。しかし,残余財産が最終的に,残余財産の帰属すべき者として指定を受けた者に帰属しないという状況は,その者が権利を放棄した場合のみに生じ得るものではなく,例えば,残余財産の帰属すべき者として,信託行為に定めた法人が後に解散した場合などにも生じ得ます。   そこで,そのような場合や,残余財産の帰属すべき者として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合などを含むものとして,部会資料51-1の第17の1(3)では,「上記(1)の信託行為の定めにより残余財産の帰属が定まらないときは,残余財産は,国庫に帰属するものとする。」との提案をしております。   御説明は以上でございます。 ○中田部会長 ただいま説明していただきました点について,御審議をお願いいたします。   部会資料50からの主な修正点は次のとおりです。   まず,第4の3及び第5の4として,前回の部会での御意見を踏まえまして,それぞれ受託者又は信託管理人の任務終了事由に関する提案が新たに追加されています。   また,第9の4(2)の提案につきまして,これも前回の部会での御意見を踏まえまして,収入から除かれるものが預貯金の利子だけでないことを明示するための修正が加えられ,あわせて,預貯金の利子以外に収入から除かれるものとして想定されるものが補足説明の中で説明されています。   また,前回の部会で,信託管理人の解任の裁判及び新信託管理人の選任の裁判に対する受託者の即時抗告権について御議論いただきましたが,その結果を踏まえて,第14の2の(注2)及び3の(注4)が加えられています。そのほか,若干の形式的な修正がございます。   この部会資料51-2につきまして,どこからでも結構でございますので,御意見を頂きたいと存じます。どうぞ御自由に御発言ください。 ○小野委員 最初に発言するほど中身のある発言ではないんですが,前回議論したことなので,ほぼ確認になるんですけれども,欠格事由がある受託者も新受託者が選任されるまでは,信託法の規律に従って,受託者としての業務を行う。ただし,信託法の規律に従って,信託管理者が選任されることもあり得る。こういう理解,何となく,欠格事由があるのにと思うところもありますけれども,それは現在の信託法もそうだからと理解しています。ということでよろしいのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。 ○中田部会長 ありがとうございます。   ほかに関連する御質問,御意見ございますか。 ○能見委員 前回も,その点について発言したと思いますけれども,小野委員が言われるとおりなんだと思いますけれども,業務を行うという言い方をすると,何かちょっと強い感じがいたします。受託者は引き続きできるのは、恐らく信託財産が減らないようにすうとか,そういう保全的な行為をするだけなのではないかと思うのです。ということだと思いますので,前回の私の発言を少し補足する意味もありますけれども,以上です。 ○中田部会長 ありがとうございます。   ほかに関連する御意見ございますか。   それでは,今,お二人の委員から御指摘いただきました点について,御説明をお願いいたします。 ○大野幹事 ただ今,小野委員,能見委員から御発言がありました点につきましては,事務当局といたしましても,それぞれの御発言で示された理解のとおりであると考えております。 ○中田部会長 それでよろしいでしょうか。 ○能見委員 例えば,受給者を選考して奨学金を交付するような公益信託であるというときに,受給者の選考・奨学金の交付という業務をそのまま続けていいのかという辺りが,どうなるのかというふうに思います。私は,そういう業務をそのまま続けるのではなくて,先ほども言いましたように,財産を言わば保全するような,財産の損失を被らないようにする,そういう保全行為をするということで,受託者はそのまま残るというふうに思いました。それでいいのかどうか,もう一度確認したいと思いますけれども。 ○中田部会長 これは,信託法の本体の規定との関係だろうと思うんですけれども,よろしいでしょうか。   今,業務という言葉が出ていますけれども,恐らくこれは,信託法自体の規定によるのだろうと思います。先ほど小野委員がおっしゃったとおりでありまして,そうしますと,信託法59条の3項でしょうか,こういった規律によることになるので,おのずと限定がされることになるという理解ではないかと思っておりますけれども。   よろしいでしょうか。ありがとうございます。   そのほか,51-2につきまして,御発言ございませんでしょうか。 ○穗苅幹事 第12の5の裁判所の権限の点につきまして,確認をさせていただければと思います。   先ほどの御説明にありましたとおり,「原則として」という記載が削除されております。この権限の具体的内容については,公益信託法の見直しに関する中間試案の補足説明の別表3のところで,1から48という形で一旦整理されておりまして,その後,特に議論はなかったかと思われるのですが,第12の5の裁判所の権限が意味するところは,中間試案の補足説明の別表の3の1ないし48ということでよろしいのでしょうか。 ○中田部会長 関連する御発言はございますか。   それでは,今の点について,よろしくお願いします。 ○大野幹事 穗苅幹事がおっしゃったとおりです。そのように御理解いただければと存じます。 ○中田部会長 ほかに,51-2につきまして,いかがでしょうか。 ○吉谷委員 第9の4でございますけれども,補足説明に書いていただいたとおりであるというふうに私も意見を持っておりまして,提案につきましては,「その他の主務省令で定めるものを除く。」という形のままで結構かと思い,賛成させていただきますが,現行の公益信託におきまして,元本補填付きの金銭信託を預金同様の機能のものとして利用しているということでございますので,その点を踏まえた主務省令の定めが置かれるということを望んでいるということを加えさせていただきます。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ただいまのは,御意見を御表明いただいたというふうに承ります。   そのほか,ございますでしょうか。   部会資料51-2につきましては,ほかに御発言ございませんですか。   それでは,部会資料51-1全体について,御意見等ございましたらお願いいたします。 ○林幹事 51-2で,最後の清算,17の1の(3)の清算で「残余財産の帰属が定まらないときは」とされている点についてです。反対するものではないのですが,信託法の規定を見つつ,こうされたということは理解ができるのですが,ただ素朴に,定まらないときというのが,どういうものになるのかというのが一見分からなかったのです。   個人的には,従前のままでも違和感がなかったからという面もあるのですが,いずれにせよ,現行の信託法と比較すると,帰属権利者として定められた者が放棄したとき,結局,帰属権利者がいなくなったので定まらなくなったという,放棄した場合もこの中に読み込んでいるのだと,そういう前提で理解していますので,現行の信託法を横で見ながら,基本的に従前の提案とほぼ一緒だという見方で,基本的には賛成と思っています。   あとは,確かに法人などの場合,要するに,清算業務が完全に終わったと思っているのに,実は後からこういうことがあって,法人がどうするのかという問題が生じたときとか,論理的にはあり得るというふうには理解したので,若干分かりにくかったのですが,このような理解の上で結論としてはこれで賛成ですので,一応論点の理解だけ申し上げたいと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。   それでは,51-1全体につきまして,御意見などございましたら,お出しいただきたいと存じます。 ○小野委員 すみません,本当に全体についてということで,ちょっと発言させていただきます。   この要綱案どおりということであればという,自然人もいよいよ受託者として資格要件を付与されるということで,公益信託が今後,制度ができた後,普及するということが一番重要だと誰もが感じると思います。   その場合,信託業,また,兼営法であれば信託協会があり,公益法人は公益法人協会がありますけれども,やはり,各自思い思いに公益信託協会のようなものが作られるよりも,やはり主務官庁であるところの法務省が主体となって,できれば法律上の団体として,公益信託協会のようなものを設立していただいて,公益信託の普及に努める、また普及だけではなく,教育もあるかもしれませんし,ガバナンスの徹底とか,場合によっては,地方によって基準が異なるかもしれないようなものに対して,統一であるべきということではありませんけれども,それなりに水準を設けるとか,民間の力に委ねるという観点もあるかもしれませんけれども,飽くまで公益信託を議論している以上,公益の代表として,やはり法務省が主体となって,できたらそれは法律上の団体として,そういう普及に努めるということを検討していただければと思います。たまたま今,年末ということで,慈善団体といいますか,認定NPO法人や,公益法人もありますけれども,いずれも団体制が必要とされるところ,公益信託は人でできるというところで,本当の意味で軽装備又は歳末だけの短期間というものも,人であるがゆえに可能だと思います。   認定NPO法人ですと,サンタクロースみたいのがあります。こういう時期,誰もが優しい気持ちになりますが,気持ちになったところで,それは実行できないのが普通なんですけれども,そこに期間限定のサンタクロース公益信託があれば,なおかつ,それは法務省が主体となった公益信託協会がしっかりと見ているということで,安心して,寄附文化の醸成という観点でも,寄附ができるのではないかと思います。   そうすると,いろいろな意味で,他の制度と競争するのではなくて,お互いに支え合いながら,お互いにいいところを出しながら,公益信託制度が普及するかと思います。是非そういう形で,そういうものを検討していただきたいと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。   51-1全体については,これでよいということを前提に,さらに,立法が成立した場合には,更にその普及に努めていただきたいという,こういう御意見と承りました。   今後のことなどについては,後ほどにも御意見を承る機会を設けたいと思いますけれども,51-1自体について御意見等,更にございますでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。   要綱案の案の内容について,賛同いたします。信託財産の範囲や受託者の範囲の拡大を始め,公益信託に関する規律の見直し・整備により,公益信託が民間による公益活動に幅広く活用され,そのような取組の促進につながることを期待いたします。   その上で,2点コメントを申し上げます。   まず,公益信託が税制上の優遇措置を受けることによる不正行為の防止の観点だけでなく,公益信託そのものの社会的信用を維持するといった観点から,行政庁において適正・適切な認可・監督がなされることが重要だと考えます。そのための省令などの整備について検討いただくよう,お願いをするものであります。   2点目は,正に小野委員と全く同じことを考えておりまして,公益信託が幅広く活用されるためにも,公益信託協会のような,公益信託に関わる協会・団体というものが組成をされまして,特に,こうした法律で規律することに加えて,内部において当事者におけるルール作りですとか,あるいはガバナンスに資するような検討,そして,小規模な公益信託におけるサポート的な機能のようなものも必要だと考えておりまして,これは行政当局だけでなくて,この種の制度に関わる関係各所において協力しながら,そうしたものが作られることを期待いたします。   少々気が早い話でしたので,発言を控えようと思いましたが,小野委員と全く同じ思いを持ちましたので,発言させていただきました。 ○中田部会長 どうもありがとうございました。   ほかに,51-1について,いかがでしょうか。○吉谷委員 新たな公益信託というものが発展するべきであるというのは,おっしゃるとおりであると思っておりまして,その関連では,私の立場からは,既存の公益信託についても,新たな法制度になった後についても,スムーズな運営ができるようにということを希望しておりまして,要綱案では第19の1のところに書いてある以上のものはないとは思っておりますけれども,新たな公益信託法に移管するに当たりまして,スムーズかつ受託者にとって,できるだけ負担のないような形で移管がされるべきであるというふうに考えております。 ○中田部会長 御意見ありがとうございました。   ほかに,51-1の内容について,御意見はございませんでしょうか。   御発言がございませんようでしたら,要綱案の取りまとめに入ってよろしいでしょうか。   それでは,本部会における調査・審議の結果といたしまして,公益信託法の見直しに関する要綱案につきまして,本日の部会資料51-1の内容で取りまとめるということにしたいと思いますが,いかがでございましょうか。   ありがとうございます。御異論がないようですので,信託法部会といたしまして,全員一致をもって,部会資料51-1の内容で要綱案を決定したということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。   この要綱案につきましては,今後,法制審議会総会に報告することになります。それまでの間にも,誤字等の修正その他,実質的な内容の変更にはわたらない細かい表現や字句等の修正が,なおあり得るかと思いますが,そのような意味での形式的な修正につきましては,恐縮でございますが,部会長である私と事務当局に御一任を頂きたいと思いますが,よろしいでしょうか。   ありがとうございます。ただいまの点につきましては,そのような取扱いにさせていただきたいと思います。   それでは,今後のスケジュール等につきまして,事務当局から御説明願います。 ○大野幹事 本日は要綱案を取りまとめいただきまして,誠にありがとうございました。   今後は,2月に予定されております法制審議会の総会において,本日取りまとめいただきました要綱案御審議をしていただく予定でございます。法制審議会の総会における御審議の結果,要綱の決定がされますと,法務大臣に答申されるということとなります。 ○中田部会長 ありがとうございました。   先ほど,小野委員,川島委員,あるいは吉谷委員から,今後のことについての御要望などございましたけれども,ほかに全体を通じて,何か御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,以上をもちまして,この部会の議事を終えることができたということになりますので,最後に民事局長の小野瀬委員に御挨拶をお願いしたいと存じます。 ○小野瀬委員 民事局長の小野瀬でございます。   本部会の御審議の終了に当たりまして,事務当局を代表いたしまして,一言御挨拶を申し上げます。   当部会におきましては,公益信託法の見直しに向けた調査・審議を,平成28年6月に再開いたしましたけれども,公益信託法に関する調査・審議だけでも,会議の開催は25回に及んでおります。この間,委員,幹事の皆様におかれましては,多岐にわたる論点について,大変密度の濃い御審議をしていただきました。   また,委員,幹事の皆様の中には,平成16年10月の第1回会議から長きにわたり,御協力を賜った方もおられます。本日,要綱案を取りまとめていただきましたが,これもひとえに,中田裕康部会長を始めとする委員,幹事の皆様方の多大な御尽力があったからこそと深く感謝いたしております。誠にありがとうございました。   今回の公益信託法の見直しでございますけれども,平成18年の信託法改正時の衆参両院の附帯決議を踏まえて行われたものでございますが,公益法人制度との平仄を合わせつつ,公益法人と公益信託,法人と信託との違いも踏まえた柔軟な制度設計がされたものと感じております。我が国の寄附文化の醸成に資するものであり,その意義は大変大きいものと思っております。   先ほど,大野幹事の方から説明がありましたが,来年2月に開催が予定されております法制審議会の総会で要綱が取りまとめられまして,答申がされました後は,法務省といたしまして,所要の法案をできるだけ早く国会に提出するとともに,早期に法律として成立するように目指してまいりたいと考えております。   立法課題が山積しておりまして,また,国会情勢には厳しいものもございますので,法案の提出・成立に至るまでには,いろいろと困難もあろうかと思いますが,精一杯努めてまいりたいと思いますので,委員,幹事の皆様方には今後とも,様々な形での御支援,御協力を賜りますようお願い申し上げます。   これまでの御熱心な御審議と要綱案の取りまとめに向けた御尽力とに重ねて御礼を申し上げまして,私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○中田部会長 私からも一言,御挨拶させていただきます。   2年半にわたる長期の審議を経まして,本日要綱案をお取りまとめいただきました。このことにつきまして,部会長として,皆様に心からお礼を申し上げます。   2006年に新しい信託法が制定されましたが,公益信託法の改正は先送りになりました。これは,当時進められていた公益法人制度の改革の実施状況等を見た上で,公益信託法の改正に取り組むこととされたからでしたが,実質的には,公益信託法が非常に難しい問題を含んでいるということもあったのではないかと思います。   すなわち,公益信託は,信託法制と公益法人法制のそれぞれの難問が重なり合う位置にあること,関連する問題は私法と公法の広い領域にわたること,関係する府省庁も複数に上ること,現行法の下で確立した実務,これは主務官庁制,信託業法,租税優遇という堅固な制度の下で築き上げられた実務ですが,そのどこをいかし,どこを改めるかについて,各人各様のイメージを持っていることなど,多くの要因があると思います。   幸いなことに,この部会は,関連する様々な分野のエキスパートの皆様に御参加いただき,多岐にわたる論点について,それぞれの観点から深い御議論を頂くことができました。時には白熱した議論もありましたが,公益信託がより多く利用されるようになってほしいという気持ちにおいては,全員が一致していたのではないかと思っております。   本日,このような形で要綱案をお取りまとめいただきましたが,部会メンバーの皆様それぞれに御満足いただいているところのほか,御意見を折れていただいたところもあろうかと存じます。しかし,今回の要綱案が,その全体において,公益信託法制及び信託法制のあるべき方向に向かっての大きな前進であるということは,部会メンバーの共通の認識となっているのではないかと存じます。   ただいま民事局長からもお話がございましたが,今後は,法制審議会総会における要綱の決定,法案作成,国会での御審議へと向かう運びとなり,もし国会で可決されますと,新しい公益信託法制が実現することになります。部会メンバーの皆様におかれましては,立法に向けての各段階で,また,もし立法がされましたらその運用の段階で,今回お取りまとめいただきました新たな公益信託制度が有意義なものとして広く受け入れられますよう,引き続きお力を賜れればと存じます。   最後になりますが,委員,幹事,関係官の皆様に改めてお礼を申し上げまして,私の御挨拶とさせていただきます。長い間,本当にありがとうございました。 ○中田部会長 それでは,以上をもちまして,法制審議会信託法部会の審議を全て終わることといたします。本日まで熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。 -了-