法制審議会 第184回会議 議事録 第1 日 時  令和元年6月20日(木)   自 午後1時32分                        至 午後1時51分 第2 場 所  東京高等検察庁第二会議室 第3 議 題  民法(親子法制)の見直しに関する諮問について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○福原司法法制課長 それでは,ただいまから法制審議会第184回会議を開催いたします。   本日は,委員20名のうち13名に御出席いただいておりますので,法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに,法務大臣挨拶がございます。 ○山下法務大臣 法制審議会第184回会議の開催に当たり,一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,御多用中のところ,本会議に御出席いただき,誠にありがとうございます。また,この機会に,法制審議会の運営に関する皆様方の日頃の御協力に対し,厚く御礼申し上げます。   さて,本日御審議をお願いする議題は,「民法(親子法制)の見直しに関する諮問」についてでございます。   民法の懲戒権の規定については,児童虐待を行う親によって,自らの行為を正当化する口実に利用されているとの指摘があり,昨日国会で成立した「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」にも,改正法の施行後2年を目途として,その規定の在り方について検討するとの条項が設けられております。   そこで,この課題に対処するため,法制審議会での御検討をお願いするものであります。   また,法務省ではこれまで,いわゆる無戸籍者問題の解消に向け,無戸籍者の情報収集や手続案内など,様々な取組を行ってきたところでございますが,この度,無戸籍者が生ずる一因として指摘されている民法の嫡出推定制度につきましても,その見直しに向けた御検討をお願いすることとしたものであります。   この諮問については,速やかに審議に着手していただきたいことから,本日,臨時の総会を開催することといたしたものでございます。御審議,御議論,どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○福原司法法制課長 ここで報道関係者が退室しますので,しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○福原司法法制課長 では,小出関係官,お願いいたします。 ○小出関係官 本年2月21日をもちまして,前会長の井上正仁委員が委員としては御退任になりましたので,委員の皆様の互選に基づきまして,法務大臣が指名するという方法により,新会長を選任する必要がございます。   新会長選任までの間,仮議長を選出すべきかとも存じますが,特に御異論がなければ,新会長の選任まで,私が進行を務めさせていただきたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。   まず,互選の手続に入ります前に,前回の会議以降,本日までの間における委員の異動につきまして,御紹介いたします。   詳細は,お手元にお配りしております異動表のとおりでございますが,新たに就任された委員で,本日御出席されている委員を御紹介させていただきたいと思います。   まず,弁護士の橋本副孝氏が御就任になりました。 ○橋本委員 橋本でございます。 ○小出関係官 読売新聞東京本社論説副委員長の大沢陽一郎氏が御就任になりました。 ○大沢委員 大沢です。よろしくお願いします。 ○小出関係官 それでは,会長の選任の手続に入らせていただきます。   法制審議会令第4条第2項は,「会長は,審議会の委員の互選に基づき,法務大臣が指名する。」と規定されておりますので,皆様には会長の互選をお願いしたいと存じます。   御意見がございましたら,御発言をお願いいたします。 ○内田委員 法制審議会委員としての御経歴からも,また学識,御見識,お人柄からいたしましても,岩原紳作委員が会長にふさわしいと存じます。 ○小出関係官 ありがとうございます。   ほかに御意見はございますでしょうか。 ○林委員 ただいま内田委員がおっしゃいましたように,私も次期の会長には,岩原紳作委員が適任であると思います。 ○小出関係官 ありがとうございます。   ただいま2名の委員から,岩原委員を御推薦いただきましたが,ほかに御意見はございますでしょうか。   それでは,ほかに御意見がございませんようですので,会長には岩原委員が互選されたということでよろしいでしょうか。   (「異議なし」の声あり)   では,そのようにさせていただきたいと思います。   それでは,ただいまの議事のとおり,会長には岩原委員が互選されましたので,法務大臣に会長の御指名をお願いいたします。 ○山下法務大臣 ただいま互選されました岩原委員を会長に指名いたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○小出関係官 それでは,私の議事進行は,ここまでとさせていただきます。どうも御協力ありがとうございました。 ○福原司法法制課長 誠に恐縮ではございますが,ここで大臣は公務のために退席させていただきます。 ○山下法務大臣 よろしくお願いいたします。           (法務大臣退室) ○福原司法法制課長 それでは,岩原委員,恐縮ですが,会長席へお移りいただけますでしょうか。 ○岩原会長 一言御挨拶を申し上げさせていただきます。   会長に御指名いただきましたが,至らぬことが多いかと存じます。皆様のお力添えを頂きまして,何とか務めを果たさせていただきたいと存じますので,どうかよろしくお願い申し上げます。   法制審議会令第4条第4項は,「会長に事故があるときは,あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代行する。」と規定されておりますので,会長代理を指名させていただきたいと存じます。   長期にわたり法制審議会で御活躍をいただいております井田委員を指名させていただきたいと存じます。   井田委員,どうぞよろしくお願いします。 ○井田会長代理 井田でございます。大変非力ではございますけれども,御指名いただきましたので,岩原会長をお支えしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○岩原会長 どうかよろしくお願いいたします。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣の御挨拶にもございましたように,本日の議題であります「民法(親子法制)の見直しに関する諮問」について,御審議をお願いしたいと存じます。   なお,資料につきまして,事務当局からの配布資料のほか,本日御欠席の神津委員から意見書の送付がございましたので,席上に配布させていただいております。   初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○平田参事官 民事局参事官の平田でございます。   諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第108号。   児童虐待が社会問題になっている現状を踏まえて民法の懲戒権に関する規定等を見直すとともに,いわゆる無戸籍者の問題を解消する観点から民法の嫡出推定制度に関する規定等を見直す必要があると考えられるので,その要綱を示されたい。 ○岩原会長 続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○小野瀬幹事 民事局長の小野瀬でございます。   それでは,諮問第108号につきまして,諮問に至りました経緯及び,その諮問の趣旨等を御説明申し上げます。   まず,民法第822条の親権者の懲戒権に関する規定につきましては,児童虐待を正当化する口実に利用されているとの指摘があったことを踏まえて,平成23年の民法改正の際に,その規定を見直し,懲戒権は子の利益のために行使されるべきものであり,子の監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権の行使に当たらないことを明確にする改正を行ったところでございます。   もっとも,懲戒権に関する規定については,その後も児童虐待を正当化する口実に利用されているとの指摘がされておりまして,今般の通常国会で成立いたしました「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」により,親権者の体罰禁止が明文で定められました。   また,この改正法の検討過程において,懲戒権に関する規定の在り方の再検討を強く求める指摘がされまして,改正法の附則において,「政府は,この法律の施行後2年を目途として,民法第822条の規定の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との,いわゆる検討条項が設けられました。   これらのことを踏まえますと,懲戒権に関する規定の見直しが必要であると考えられます。   次に,いわゆる無戸籍者問題は,国民でありながら,その社会的な基盤が与えられておらず,社会生活上の不利益を受ける方が存在するという重大な問題でございまして,法務省ではこれまで,無戸籍者に関する情報の収集や手続案内等,その解消のために様々な取組を行ってきたところでございます。   もっとも,夫以外の者との間の子を出産した女性が,嫡出推定制度により,その子が夫の子と扱われることを避けるために出生届をしないことが,無戸籍者の生ずる一因であると指摘されていることを踏まえますと,この問題を将来にわたって解消していくためには,民法の嫡出推定制度の見直しが必要と考えられます。   このように,児童虐待が社会問題になっている現状を踏まえて,民法の懲戒権に関する規定等を見直すとともに,無戸籍者問題を解消する観点から,民法の嫡出推定制度に関する規定等を見直す必要があると考えられますことから,これらの見直しについて,法制審議会の御意見を求めるものでございます。   諮問第108号についての御説明は以上のとおりでございます。よろしくお願いいたします。 ○岩原会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明のございました諮問第108号につきまして,まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   何か御質問ございませんでしょうか。特にございませんか。   特にないようでございますので,ここで諮問第108号の審議の進め方について,御意見があれば承りたいと存じます。いかがでしょうか。 ○内田委員 諮問第108号に含まれる論点,いずれも大変重要な論点ですけれども,専門的・技術的な事項が相当含まれていると思います。   そこで,通例に倣いまして,新たな部会を設置して調査・審議をし,その結果の報告を受けて,総会で更に審議をするということにしてはどうかと思いますので,部会の設置を提案したいと思います。 ○岩原会長 ただいま内田委員から,部会設置等の御提案を頂きましたが,これにつきまして,御意見はございませんでしょうか。   何か御意見ございませんか。よろしいでしょうか。   それでは,特に御異議もございませんようですので,諮問第108号につきましては,新たに部会を設けて調査・審議することといたします。   次に,新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員及び幹事に関してでございますが,これらにつきましては,会長に御一任いただきたいと思いますが,御異議ございませんでしょうか。   (「異議なし」の声あり)   どうもありがとうございます。それでは,この点は,会長に御一任を願うということとさせていただきます。   次に,部会の名称でございますが,諮問事項との関連から,諮問第108号につきましては,「民法(親子法制)部会」という名称にしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   (「異議なし」の声あり)   それでは,これも特に御異議もないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   ほかに,部会における審議の進め方を含め,御意見ございませんでしょうか。この際何か,よろしいですか。   それでは,諮問第108号につきましては,「民法(親子法制)部会」で御審議をいただくこととし,部会の御審議に基づいて,総会において更に御審議を願うことといたしたいと存じます。   これで本日の予定は終了となりますが,ほかに,この機会に御発言いただけることがございましたら,お願いいたしたいと存じます。何かございませんでしょうか。 ○小杉委員 大したことではないんですが,この問題,特に早急に,速やかにお願いしたいなと,それだけです。   今回のこの問題,本当に心痛むようなことが幾つも発生していますし,どちらの問題も,現に苦しんでいる方がいらっしゃるので,できるだけ早く結論を出していただきたい。部会には,そのようにお願いしたいと思います。 ○岩原会長 どうもありがとうございます。   ほかに何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。   それでは,ほかに御意見も御発言もございませんようですので,本日はこれで終了とさせていただきたいと存じます。   本日の会議における議事録の公開方法につきまして,審議の内容に鑑みて,会長の私といたしましては,議事録の発言者名を全て明らかにして公開することとしたいと存じますが,いかがでございましょうか。   (「異議なし」の声あり)   どうもありがとうございます。それでは,本日の会議における議事録につきましては,議事録の発言者名を全て明らかにして公開することといたします。   なお,本日の会議の内容につきましては,後日,御発言をいただいた委員の皆様に,議事録案をメール等にてお送りさせていただき,御発言の内容を確認していただいた上で,法務省のウエブサイトに公開したいと思います。   最後に,事務当局から何か事務連絡がございましたら,お願いいたします。 ○小出関係官 それでは,次回の会議の開催予定について御案内申し上げます。   法制審議会は,2月及び9月に開催するのが通例となっております。次回の開催につきましても,現在のところは,本年9月に御審議をお願いする予定でございますが,具体的な日程につきましては,後日改めて御相談させていただきたいと思います。   委員,幹事の皆様方におかれましては,御多忙とは存じますが,今後の御予定につき,御配意いただきますよう,よろしくお願い申し上げます。 ○岩原会長 どうもありがとうございました。   それでは,これで本日の会議を終了いたします。   本日はお忙しいところ,お集まりいただき,熱心に御議論いただき,誠にありがとうございました。 -了-