法制審議会 民法・不動産登記法部会 第26回会議議事録 第1 日 時  令和3年2月2日(火)自 午後1時29分                    至 午後2時02分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  民法・不動産登記法の改正について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大谷幹事 それでは,少し早いですけれども,御出席の皆様おそろいですので,法制審議会民法・不動産登記法部会の第26回会議を開会いたします。   初めに,山野目部会長から御挨拶を頂きます。 ○山野目部会長 法制審議会民法・不動産登記法部会の第26回会議を始めるに当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。   委員,幹事の皆様におかれましては,本日も御多用の中御出席を賜りまして,誠にありがとうございます。   お手元には部会資料62-1をお届けしております。御覧いただきますとお分かりのとおり,「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)」を内容とするものでございます。本日はこれについて,委員,幹事の皆様方に取りまとめの審議をお願いいたします。   顧みますと,平成31年3月に第1回会議を催しましてから,本日の第26回会議を含め,ここに至りますまで,委員,幹事の皆様におかれましては熱心な調査審議をなさっていただきました。本日の会議もまた何とぞよろしくお願い申し上げます。 ○大谷幹事 ここで報道関係者が退出いたしますので,しばらくお待ちください。   部会を再開いたします。これ以降の進行につきましては,山野目部会長にお願いいたします。 ○山野目部会長 委員,幹事の皆様におかれましては,改めて,どうぞよろしくお願い申し上げます。   本日は増田委員,衣斐幹事が御欠席です。   事務当局から配布資料の確認を差し上げます。 ○宮﨑関係官 今回,部会資料62-1として「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)」を,62-2として「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)についての補足説明」を事前送付しております。お手元にないようでしたら,チャット機能などを用いて事務局までお知らせいただければと存じます。 ○山野目部会長 ただいま御案内申し上げましたとおり,部会資料62-1及び62-2をお手元に御用意ください。   本日は,部会資料62-1の1ページ目にお付けしております目次の項目に従って順次に審議をお願いしてまいります。   初めに,「第1部 民法等の見直し」についてお諮りをいたします。お手元の部会資料62-1で申しますと1ページから15ページまでになります。この範囲について,どうぞ委員,幹事の皆様におかれては御随意に御発言をなさってください。いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。   部会資料62-1について一巡する審議をお願いした後,最後にもう一度,62-1の全体について御発言があったら頂きたいという時間を設けようと考えております。現在の段階で特段おありでなければ,先に進むことにいたします。   続きまして,要綱案(案)の第2部に相当する「不動産登記法等の見直し」の部分についてお諮りをいたします。部会資料62-1で申し上げますと22ページまでになります。この範囲の部分につきまして,どうぞ御意見を御随意におっしゃってくださるようにお願いいたします。いかがでしょうか。 ○今川委員 今川でございます。確認に近いような質問をさせていただきます。16ページの相続登記の義務付けと,それから義務違反に対する過料の制裁についての質問です。   まず,特定財産承継遺言があって,法定相続人のうちの一人が被相続人の不動産を単独で取得している,そのような遺言があることが相続人に判明しないまま3年の期間内に法定相続分での登記がされたという事例についてです。この場合は,当該相続人は,本来であればその遺言に従った登記を申請すべきであって,法定相続分の登記がされたとしても申請義務を履行したことにはならないように思われます。しかし,この同じ事例において,要綱案の規律からしますと,法定相続分での登記ではなく相続人申告登記の申出がされていれば,申請義務を履行したものとみなされることになります。相続人申告登記は法定相続人の氏名及び住所を公示するものであって,これにより申請義務を簡易に履行することができますが,法定相続分での登記によっても法定相続人の氏名や住所が公示される以上,相続人としてはやるべき最低限のことはやっているともとることができます。   以上から,先ほどの事例では,単独で所有権を取得した相続人については,遺言の内容を踏まえた登記申請をしなかったとしても,正当な理由がないとはいえないということで,過料の対象となるような具体的な義務違反はないと考えていいと思うのですが,いかがでしょうか。 ○村松幹事 御指摘いただきました事案についてですけれども,御指摘のとおりこちらも考えておりまして,今のケースに関しましては過料の対象となるような具体的な義務違反がないという整理をするのが適切だろうと基本的に考えております。 ○山野目部会長 今川委員におかれては,今のお答えでよろしいかどうか,またお続けになることがあれば仰せいただきたくお願いします。 ○今川委員 ありがとうございます。関連でもう1点,質問させてください。   今のケースは特定財産承継遺言の場合を想定しましたが,例えば法定相続人に対する遺贈の事例で,その遺贈による登記をする前に法定相続分での登記がされたというケースはどうなるのかということであります。遺贈なので,相続による移転ではないということから,別の考え方も採れるということかもしれませんが,この事例においても,法定相続分での登記ではなく相続人申告登記の申出がされていれば登記の申請義務を履行したものとみなされるというのは,先ほどと同じです。したがって,仮にこのような事例で遺贈による登記の申請をしないことについて正当な理由がないと整理すると,先ほどの特定財産承継遺言があった場合とバランスがとれない,よくないと考えます。したがって,この相続人に対する遺贈の事例でも,受遺者については遺贈による所有権の移転の登記を申請しなかったとしても,先ほどと同様に,正当な理由がないとまではいえないのであって,過料の対象となるような具体的な義務違反はないと考えてよいと思うのですが,いかがでしょうか。 ○村松幹事 今回のケースは特定財産承継遺言ということになっておりますけれども,このケースも,今川委員が今御指摘になりましたように,正当な理由というところで,具体的な義務違反はないという整理をするのがバランス上も適切だろうと思っております。基本的には全体として,相続人申告登記というもので相続人がどこの誰であるということを最低限示していただければ,それで相続登記の義務が果たされたということになることを想定して,全体として制度構成しておりますけれども,実際,具体の法律関係と若干ずれているけれども,しかし相続人申告登記がされた状態と同じ状態になっているということに関しましては,正当な理由があると考え,過料の対象となるようなものではないのだという整理をするのが,御指摘のとおり,適切だろうと考えております。 ○山野目部会長 今川委員におかれては,いかがでしょうか。 ○今川委員 ありがとうございました。よく分かりました。 ○山野目部会長 ありがとうございます。相続登記の義務付けの規律の運用の細部について,今川委員と村松幹事との間で確認をしてもらいました。ありがとうございました。   引き続き,第2部の部分についてお尋ねをいたします。御発言がおありの方はどなたでいらっしゃいますでしょうか。   よろしいでしょうか。   そうしましたら,これも後でもう一度時間を設けることにし,差し当たり進むことにいたします。   要綱案(案)の第3部でございますが,「土地所有権の国庫への帰属の承認等に関する制度の創設」,この部分につきまして御発言を頂きます。いかがでしょうか。   よろしゅうございましょうか。   それでは,御案内しておりますとおり,今,部会資料62-1として要綱案(案)をお示ししているところについて,ひとわたりのお尋ねをいたしましたけれども,もう一度これを見返していただいて,御意見がおありでありますれば承ります。いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。   それでは,これから要綱案についてお諮りしたいと考えておりますけれども,ここで手順について御案内を差し上げます。情報通信機器を利用して議事進行をこのように行っております関係上,念のため,情報通信機器を利用して出席しておられます委員,幹事の皆様方と適時に意見表明が相互に可能な状態にあることを確認した上で,手順を進めたいと考えます。   お手数をお掛けいたしますけれども,私の声が聞こえていらっしゃる方は,次のいずれかの方法,すなわち画面上にある手の形をした挙手ボタンを押していただく,あるいは手振りなどジェスチャー等によってお知らせを頂く,あるいはマイクボタンを通じて直接お知らせいただくなどの方法で,声がお手元に達しているということの確認を頂きたく存じます。   事務当局においては,出席委員全員と適時に意見表明が相互に可能な状態にあることを確認してくださるようにお願いいたします。よろしくお願いします。   事務当局から報告があり,全ての委員の皆様方と適時の意見表明が相互に可能な状態にあることを確認いたしました。ジェスチャーや押しボタンで手を挙げていらっしゃる皆さんは手を下ろしていただいてよろしくございます。御協力を頂きましてありがとうございました。   それでは,これから「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)」についてお諮りをいたします。   この部会といたしましては,基本的に部会資料62-1のとおりとして「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」を取りまとめることにしたいと考えますが,それでよろしゅうございましょうか。御意見がおありの方の御発言を承ります。 ○今川委員 今川です。御提案のとおり要綱案を取りまとめていただくことについて賛成をいたします。 ○山野目部会長 ただいま賛成の御意見を頂きました。   続きまして御発言なさる方はどなたでいらっしゃいますでしょうか。   よろしゅうございますでしょうか。   それでは,特段の反対意見はないものと受け止めさせていただき,出席委員全員の一致により賛成を頂いたものとして取り扱い,当部会として要綱案を取りまとめることに決めます。   要綱案につきましては,これまでも字句,表現の修正がされてまいりましたが,今後,総会での答申に至りますまでの間にも法制的な観点から形式的な表現等の修正があり得るものと考えられます。このような形式的な修正につきましては,部会長と事務当局に御一任を頂きますようお願いしたいと考えます。この段,このように進めてよろしゅうございましょうか。 ○中村委員 特段申し上げるべきことはなく,ただ賛成という意味で手を挙げさせていただきました。 ○山野目部会長 中村委員におかれては,どうもありがとうございます。 ○橋本幹事 私も異議なしということで手を挙げたのです。異議ありません。 ○山野目部会長 橋本幹事におかれては,どうもありがとうございました。   続いて御発言なさる方はどなたでいらっしゃいますでしょうか。   よろしゅうございますか。ありがとうございます。   それでは,要綱案につきましては,ただいまお諮りしたとおり,字句等の推敲を部会長と事務当局にお任せいただくということのお委ねを頂きました。   ただいま御了承いただきました要綱案の今後の取扱いにつきまして,事務当局から説明を差し上げます。 ○大谷幹事 要綱案をお取りまとめいただきましてありがとうございました。今後についてですが,来週,2月10日水曜日に法制審議会の総会が開催されます。そこで本日お取りまとめいただいた要綱案を御審議いただく予定でございます。総会において要綱が取りまとめられますと,その後,法務大臣に答申されるという流れになります。 ○山野目部会長 今後の取扱いは,事務当局から御案内申し上げたとおりでございます。   この部会のこの会議で取り扱うべき内容にわたる事項をおおむね了しつつあります。この段階におきまして皆様方から特段の御発言がありますれば,御随意にお話しいただき,承りたいと考えます。この部会における調査審議を顧みてお考えになったことや,今後の制度運用に係る御要望等でも構いません。御随意にお話を頂きたいと望みますけれども,いかがでしょうか。 ○藤野委員 ありがとうございます。どこで発言しようかと思って迷っているうちに,ここまで来てしまったのですが,今回,部会資料62-1と併せて62-2ということで,更に補足説明を付けていただきまして,結論としては,前回の部会で私の方から発言させていただいた「他の土地等の瑕疵に対する工事」の論点に関し,新たな規律は設けないという結論が維持されたということで,率直に申し上げると残念なところはあるのですが,この1週間,短い間に更に御検討いただき,この部会における議論の到達点をこういう形でまとめていただいたということに関しては,厚く御礼を申し上げたいと思っております。   今回,新たな規律を設けない,という選択肢がなされたということとも関連して申し上げますと,今まで大きな災害や予測し得ない事象に直面し,正に民法にも答えが書かれていないというときに,それを補ってきたのが現場の知恵だったと思っております。今年は東日本大震災から10年を迎えるということになりますけれども,やはりあのときも私も実務の現場におりまして,復興に向けて動き出す中で様々な課題に直面したときに,多くの事業者たちが現場で知恵を絞り,時には弁護士や司法書士の先生方の力をお借りして,時には自分たちの力で,あるいは法務局や裁判所,関係省庁や地域の自治体のお力を借りて,一つ一つ問題を乗り越えてきたというのがあるわけでございます。  今回,2年近く議論していただきまして,これまで指摘されてきたような問題に対して,こういう形で丁寧な答えを示していただきました。事業者の現場から出た声,そして,それを受けて私が部会の場で発言させていただいた内容が全て反映されたわけでは当然ございませんけれども,やはり所有者不明土地の管理制度であるとか,そういった新しい制度の創設,あるいは相隣関係の見直し,不動産登記の見直しといったことで,これだけの規模で提案がまとめられたというのは非常に大きな一歩だと思っております。こうなると,あとはもう,今回の改正によって作られるルールを基に,事業者の方でより適正な土地の管理と利用を実現していくために再び現場が知恵を振り絞っていくということになりますし,また,それと同時に,これらのルールをいかすために,裁判所を始めとした関係機関に御尽力いただくこともまた必要不可欠かと思っておりますので,今回の部会での一連の議論の趣旨を踏まえた運用,ということを,正に62-2の第1の1にも書いていただいている明記されなかったルールの背景にある事情なども踏まえて,お願いできればと思っております。   委員としての立場上,いろいろわがままを申し上げてきたところもございましたけれども,忍耐強く議論に取り込んでいただいたということで,改めて最後に御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 ○山野目部会長 藤野委員におかれては,本日,部会資料62-2で補足説明を差し上げている事項に関連して,改めて御所見を頂きました。御意見の趣を理解いたしました。どうもありがとうございます。   続いて御発言なさる方はどなたでいらっしゃいますでしょうか。   ほかに特段の御発言はなくていらっしゃるでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,ここで私から皆様方へ一言御礼を申し上げます。本来なら起立して御挨拶すべきところでございますが,起立をいたしますと,ウェブ画面を御覧になっている皆様の視野から外れてしまいます。御無礼ではございますが,着席のまま御挨拶を差し上げます。   今日ここに至りますまで,この部会の調査,審議に熱心に力を尽くしてくださいました委員,幹事の皆様に,順序不同で,いささかお時間を頂き,それぞれ御礼の言葉を差し上げますことをお許しください。   まず,弁護士会からお出ましを頂きました委員,幹事の先生方に御礼を申し上げます。要綱案に盛り込むことをお決めいただきました所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令は,いずれも新しい制度を創設しようとするものであり,野心的な提案であります。顧みますと,この部会ではなく,国土審議会土地政策分科会特別部会の2017年12月5日の会議におきまして,弁護士会からおいでになった委員の先生が不在者の財産の管理の制度をヒントにして,しかし,それとは別に,スポット管理とでもいうべきものを設ける提案をなさったことが,今日ここに至る提案の小さな,しかし重要な芽生えでありました。その後,この部会の調査審議が始まり,第1回会議におきまして,やはり弁護士会からお出ましを頂きました先生からメガ共有という印象深いお言葉で,取り組むべき事象の一つが摘示されました。その第1回からこの第26回会議に至りますまで,弁護士会におかれては毎回,あらかじめバックアップ会議における丁寧な御準備を頂き,当日は弁護士会の意見の豊かな集約成果を御披瀝いただきました。厚く御礼申し上げます。   法制審議会は,もとより民事,刑事の基本法制の見直しに係る提案を作る場所でありますが,この部会に託された諮問事項は土地政策との関連を意識しなければならないものでした。実際,要綱案で提案している事項の中には,土地基本法の新しい規定をにらみながら理解することが望まれるものが見られます。この部会に国土審議会の委員をもお務めになっている委員をお迎えし,適時に重要な御発言を頂きましたことは誠に有益なことでございました。引き続き同審議会の委員をお務めになられることでしょうから,今度は反対向きに,ここで得られようとしている成果を土地政策の方に反映する御工夫を頂くことがかないますれば有り難いことです。   所有者不明土地管理命令及び管理不全土地管理命令は,いずれも新しい制度であり,取り分けそこで選任される管理人につきましては,その実体法的な権能の在り方はもとより,管理人が訴訟の当事者となる局面における訴訟法律状態の考え方の的確な分析を欠かすことができません。加えて,これらの制度は非訟事件手続法における規定整備が実質的な重要性を帯びますけれども,この側面を含め,民事手続法の観点から常に正確,的確な知見の御提供が部会の審議を支えました。   土地の所有権の国への帰属の要件や手順を定める個別法の構想を要綱案に盛り込むことを御決定いただきました。この審議会の答申として意見を取りまとめようとしているものでありまして,法務省が所掌する法制として整備されていくことが想定されておりますけれども,その法制としての彩りは公法的な側面も濃いものであります。その検討を進めるに当たりましては行政法の知見が不可欠でありました。また,元々不動産登記制度の行政法学的な考察は学問的な蓄積の乏しい領域でありましたが,そうした困難な状況の中,新しい制度の創設をも含む不動産登記制度の見直しの立案に当たって,行政法学の観点からの懇切な御教示を頂きました。   委員をお出しいただいた司法書士会及び土地家屋調査士会は,委員のバックアップに携わられた皆さんも含め,御尽力を多とします。不動産登記制度の見直しにおいて有益な意見を頂きましたことはもとより当然のこととして,実体法に係る事項につきましても,不動産の法律実務の担い手として有益な数々の御意見を下さいました。かつての民事行政審議会を含む法務大臣の諮問組織の歴史の中で,こうして実体法事項にまで及ぶ寄与を両会から頂いた経験は,今後の記憶にとどめられるに違いありません。   産業界の御意見を集約いただくに当たりましては,多様な種類の事業者の要望や意見を取りまとめていただく必要がありましたから,相当の御労苦があったものと拝察します。御労苦の成果として民法の改正により創設が見込まれる仕組みが,実際の経済の営みにおいてどのように用いられるか注目してまいりたいと考えます。   この部会は労働問題と見られる題材を扱う場面はありませんでしたが,労働者の視点から意見を述べていただく際には,広く生活者の立場からお気付きになった点について有益な御指摘を頂きました。   要綱案に盛り込まれた事項の中には,新しく創設されることを見込むものを始めとして,それが判決手続において用いられる場面にあって訴訟運営に工夫を要するものが見られますし,また,様々な財産管理の制度を運用するに当たって,家事事件や一般の非訟事件の手続運営において御労苦をお願いする側面がございます。裁判所のお考えをお伝えいただく役割をお願いした委員,幹事におかれては,これらの局面を見据え,ここまでの部会の調査審議においても折々に有益な御意見を頂きました。今後,制度が実際に運用される段になりますと,様々な連絡調整をお願いしなければならず,恐れ入りますが,引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。   法制面の全般ということでは,内閣法制局におかれても,ここでの調査審議が法制上の措置として実現がかなうよう,必要な見守りをしていただきました。   この部会が扱う事項の特性から,法務省事務当局とは別に,法務局行政の立場からも適時に有益な御発言を頂きました。ただいまお決めいただきました要綱案が現実のものとなります際は,新しい不動産登記の仕組みに即応し,それをめぐる情報連携を担っていただくほか,土地の所有権の国への帰属の手続において他の府省と連携したお仕事をお願いすることとなります。法務局職員の皆様におかれましては,予算や人員の点で難しい面もありますが,是非法務局行政の新しい段階にあって,引き続き国民の権利義務の基盤を支えるお仕事をなさっていただきたいと望みます。   民法の先生方に御礼を申し上げることにより委員,幹事の皆様への御礼の締めくくりといたします。平成29年法律第44号による債権関係規定の見直しこの方,民法をめぐっては取り分け立法が活発な時期になってまいりました。大きな規模の改正,小さな規模の改正があるたびに,民法の体系や個別の原理について考え込む場面が多くていらっしゃるものと存じます。このたびも難度の高い論点が多くありましたけれども,民法の先生方におかれては,いつもお力を尽くしてお考えを頂き,会議のたびごとに有益な御発言を頂きました。本日を迎えるに当たり,改めて御礼を申し上げます。   委員,幹事の皆様のほかに,部会におきましては各府省から関係官をお迎えいたしました。総務省,財務省,農林水産省,そして林野庁及び国土交通省からお出ましいただいた所管の皆様が関係官として,政府として一体をなす政策動員がかなうよう要所において目配りを頂きました。時に省庁の間で意見の調整を要する事項もありましたが,努力をしてくださり,よく法務省事務当局を助けてくださいました。   委員,幹事,関係官の皆様への御礼と併せ,これらの方々を支え,時に傍聴をしてくださった皆さんにも御礼を申し上げます。皆さんもまた広い意味においてこの部会のメンバーであり,そこでの調査審議に貢献してくださいました。ありがとうございました。   ただいま御決定を頂きました要綱案は,この後の手順として,2月10日に催される予定の総会に報告をいたします。皆様に熱心にお考えを頂いた要綱案が,総会委員の皆様に得心いただくことがかなうよう,事務当局と共に努めてまいります。総会とその後の経過につきましては,また節々にお知らせをする所存です。   私からの御礼の御挨拶をここまでといたします。   続きまして,この部会の運営を支えてくださった法務省事務当局を代表して,民事局長から御挨拶を頂きます。 ○小出委員 民事局長の小出でございます。当部会の審議の終了に当たりまして,担当部局を代表して一言御礼の御挨拶を申し上げます。   当部会における審議は,冒頭,部会長からお話がございましたけれども,平成31年3月の第1回会議から本日まで合計26回に及び,この間,委員,幹事の皆様におかれましては多岐にわたる論点について,パブリックコメントの結果や地方公共団体の関係者,不動産業界関係者からのヒアリングの結果等も踏まえ,大変密度の濃い御審議を賜りました。   従前の法制度や登記実務の考え方からの大きな転換でございまして,当初から合意に達することが難しいのではないかと思われた論点が少なからずあり,また途中,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から,やむなく数か月間開催が見送られるといった障害もありましたが,様々な難局を乗り越え,本日,要綱案をお取りまとめいただいたことは,山野目部会長を始めとする委員,幹事の皆様の多大な御協力,御尽力があったからこそと深く感謝いたしております。   今回の見直しは,喫緊の課題となっております所有者不明土地の発生を予防するための仕組みと,所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組みを整備し,この問題の抜本的な解決を目指すものであります。もちろんこの問題の解決のためには,見直し後の制度について,その趣旨を踏まえた適正な運用がされることが前提ではありますが,関係各方面から正に待ち望まれた見直しであり,そして,社会のニーズに的確にこたえるものとして,その意義は非常に大きいものと考えております。   今月10日に開催されます法制審議会の総会で要綱が決定され,答申がされました後は,担当部局といたしまして所要の法案を速やかに国会に提出するとともに,早期に法律として成立するよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。委員,幹事の皆様方には今後とも様々な形での御支援,御協力を賜りますよう,引き続きお願い申し上げます。   これまでの熱心な御審議に重ねて御礼を申し上げまして,私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○山野目部会長 民事局長におかれては,どうもありがとうございました。   これをもちまして,法制審議会民法・不動産登記法部会における全ての審議を終了いたしました。   改めて,本日まで熱心な御審議を賜りました委員,幹事,関係官の皆様に深く御礼を申し上げます。   法制審議会民法・不動産登記法部会第26回会議をお開きといたします。どうもありがとうございました。 -了-