法制審議会 第197回会議 議事録 第1 日 時  令和5年2月17日(金)   自 午後2時00分                        至 午後3時50分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題     氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号について    性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号について    家事事件手続法・民事保全法・民事執行法・倒産法等(IT化関係)の改正に関する諮問第120号について 第4 報告案件    家族法制部会における審議経過に関する報告について    担保法制部会における審議経過に関する報告について 第5 議 事 (次のとおり) 議        事 ○加藤司法法制課長 ただいまから法制審議会第197回会議を開催いたします。   本日は委員20名及び議事に関係のある臨時委員2名の合計22名のうち、会議場における出席委員16名、ウェブ会議システムによる出席委員4名、計20名に御出席いただいておりますので、法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに法務大臣挨拶がございます。 ○齋藤法務大臣 会議の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様におかれましては、御多用中のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。   さて、本日は、御審議をお願いする事項が三つ、部会からの報告案件が二つございます。   まず、議題の第1は、令和3年9月に諮問いたしました、「氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号」の答申についてでございます。  この諮問については、同年11月以降、調査審議が行われ、本日、その結果が報告されるものと承知しております。  戸籍において氏名の読み仮名を公証することは、まさにデジタル社会のインフラを構築するものであります。昨年6月に閣議決定されました「デジタル社会の実現に向けた重点計画」においても、本年の通常国会に必要な法案を提出することとされております。   議題の第2は、令和3年9月に諮問いたしました、「性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号」の答申についてでございます。  この諮問については、同年10月以降、調査審議が行われ、本日、その結果が報告されるものと承知しております。  近年における性犯罪の実情等に鑑みますと、この種の犯罪に適切に対処するためには、所要の法整備を早急に行う必要があると考えております。   議題の第3は、令和4年2月に諮問いたしました、「家事事件手続法・民事保全法・民事執行法・倒産法等(IT化関係)の改正に関する諮問第120号」の答申についてでございます。  この諮問については、同月以降、先行する民事訴訟手続のデジタル化に関する検討を踏まえつつ、調査審議が行われ、本日、その結果が報告されるものと承知しております。  民事・家事関係の裁判手続のデジタル化は、国民の司法アクセスを向上させ、ひいては国民に身近で頼りがいのある司法を実現するために必要不可欠です。令和3年12月に閣議決定されました「デジタル社会の実現に向けた重点計画」においても、これらの手続のデジタル化に関し、本年の通常国会に必要な法案を提出することとされております。   委員の皆様におかれましては、これらの議題について、御審議の上、できる限り速やかに答申を頂けますよう、お願い申し上げます。   次に、部会からの報告案件は、家族法制部会及び担保法制部会における各審議の途中経過についてでございます。  いずれの部会におきましても、設置以降、精力的な審議が行われ、家族法制部会については昨年11月に、担保法制部会については昨年12月に、それぞれ中間試案が取りまとめられ、パブリックコメントの手続が行われているところと承知しております。  本日は、家族法制部会の大村敦志部会長及び担保法制部会の道垣内弘人部会長から、それぞれ、これまでの審議の経過について報告がされますので、委員の皆様から御意見をお伺いしたいと存じます。   それでは、これらの議題についての御審議・御議論をよろしくお願い申し上げます。 ○加藤司法法制課長 法務大臣は、公務のためここで退席させていただきます。           (法務大臣退室) ○加藤司法法制課長 ここで、報道関係者が退室しますので、しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○加藤司法法制課長 まず、事務局から会議に当たっての留意事項を御案内いたします。  ウェブ会議システムにより御出席の委員におかれましては、御出席されていることを確認させていただくため、会議中は常にカメラをオンにしていただきますようお願い申し上げます。  また、本日の会議はペーパーレス化により、タブレット端末による資料配布となっております。操作方法等について御不明な点がございましたら、事務局に適宜お知らせください。   では、井田会長、お願いいたします。 ○井田会長 こんにちは、井田でございます。本日は、よろしくお願いいたします。   まず、前回の会議以降、本日までの間における委員等の異動につきまして御紹介いたします。  詳細はお手元にお配りしています異動表のとおりですが、新たに就任された委員等が本日出席されていますので、御紹介いたします。   東京大学社会科学研究所教授の佐藤香氏が委員に御就任されました。  佐藤委員、一言御挨拶をお願いいたします。 ○佐藤委員 佐藤香でございます。  社会調査と教育社会学を専門にしております。また、統計委員を務めさせていただいておりまして、それで身近な法律といえば統計法あるいは個人情報保護法等が深く関わっております。  国民の一人として審議に参加させていただきたいと思っております。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○井田会長 ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いいたします。   刑事局長の松下裕子氏が幹事に御就任されました。  松下幹事、一言御挨拶をお願いいたします。 ○松下幹事 はじめまして。  今年の1月10日付けで法務省刑事局長を仰せつかりました松下裕子と申します。  川原の後任で幹事を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○井田会長 よろしくお願いいたします。   次に、審議に先立ってお諮りしたいことがございます。  今回の議題の内容に鑑みて、櫻庭民事第一課長、脇村参事官、北村参事官、笹井参事官に関係官として審議に参加していただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。御異議もないようでございますので、櫻庭民事第一課長、脇村参事官、北村参事官、笹井参事官に関係官として審議に参加していただくことといたします。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣挨拶にもございましたように、本日は議題が三つございます。   なお、事務当局からの配布資料のほか、本日御欠席の芳野委員から意見書の送付がありましたので、これも配布させていただいております。   まず、「氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号」について御審議をお願いしたいと存じます。  はじめに、「戸籍法部会」における審議の経過及び結果につきまして、同部会の部会長を務められました窪田充見臨時委員から御報告いただきたいと存じます。   それでは窪田部会長、報告者席まで御移動をお願いいたします。   それでは、よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。戸籍法部会の部会長の窪田でございます。   この部会では、法務大臣から令和3年9月に受けた諮問第116号について、約1年2か月間にわたり調査審議を重ねてまいりました。そして、本年2月2日に開催された第14回会議において、戸籍法等の改正に関する要綱案を決定いたしました。本日はその概要について御報告を致します。   戸籍法制の見直しに関する諮問第116号は、個人の氏名を平仮名又は片仮名で表記したものを戸籍の記載事項とする規定を整備するなど、戸籍法制の見直しを行う必要があると考えられるので、その要綱を示されたい、というものです。  令和3年11月の第1回会議から令和4年5月の第6回会議までの間、議論を重ねて、中間試案を取りまとめ、5月27日から6月27日までの1か月間、パブリックコメントの募集手続を行いました。その後、部会におきましてはパブリックコメントの結果等を踏まえて更に調査審議を行い、最終的な意見の調整を進めました。このような審議経過を経て、本年2月2日の第14回会議において全会一致で要綱案を決定するに至ったものです。   それでは、要綱案の概要を御説明いたします。  まず、資料「第1 氏名の仮名表記の戸籍の記載事項化に関する事項」について議論を行ったところ、その「1 戸籍の記載事項への追加」については、パブリックコメントにおいて賛成意見が多く寄せられたことなどを踏まえ、戸籍に氏名を片仮名で表記したものを記載事項とすることとしたものです。   また、「2 氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性」については、市町村長が仮名表記を戸籍に記載する際の調査基準となるものですが、これについては戸籍法には規定を設けず、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によることとするという案と、戸籍法に氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならないとする旨の規定を設ける案の二つの案が議論されました。  そこでは、我が国には源頼朝の「朝」などに見られるように、通常の音訓とは別の人名特有の読み方である、いわゆる名乗り訓を幅広く許容してきた命名文化があることから、創意工夫を凝らした命名者の思いを最大限に尊重することとし、戸籍法には規定を設けず、権利濫用、公序良俗に反するものでない限り認めるとした方がよいという御意見があった一方、戸籍法に規定を置いた方が戸籍窓口において届出人に説明しやすいとする御意見や、氏名と関連性のないものが届け出られたときの対応を考えると、全く関連性のないものは認めないとする趣旨の規定を設ける必要があるといった御意見もありました。  最終的には、戸籍法に氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならないとする旨の規定を設け、市町村長の行う審査においては、幅広い名乗り訓等を許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用としていただきたいとの部会の意向を明確にするため、要綱案にはその旨の(注)を付しております。   なお、改正法が施行されるまでに運用の全体像を示し、戸籍窓口において統一的に円滑な審査ができるような内容の民事局長通達等を作成することが想定されているものと承知しております。   また、既に戸籍に記載されている者については、第2の2に記載しておりますが、一般に認められている読み方以外でも、現に使用している氏名の読み方であれば許容することとしております。   次に、「第2 氏名の仮名表記の収集に関する事項」については、「1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について」に関し、仮名表記を届書の記載事項とし、出生届等、初めて戸籍に記載されるときの届書に記載された仮名表記を戸籍に記載することとしております。   また、「2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について」に関し、仮名表記の収集に当たり、国民や窓口の負担が少ない方法とすべきという観点から、仮名表記を自分で届け出ていただくのが基本であるが、仮名表記を持たない国民がいないような仕組みとする必要があることから、届出がない場合には市町村長が住民票の振り仮名情報を活用して記載してはどうか、届出がなかった場合に市町村長が戸籍に記載することになる仮名表記を事前に通知する必要があるといった御意見が述べられ、氏については戸籍の筆頭者が、名については個々人が、施行日から1年以内に届出をすることができるとし、併せて、あらかじめ戸籍に記載することとなる仮名表記を改正法の施行後遅滞なく通知するものとした上で、1年以内に本人からの届出がなかった場合には、市町村長がこれを戸籍に記載することとしております。   次に、「第3 氏名の仮名表記の変更に関する事項」については、「1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律」、「2 氏又は名の変更に伴う場合の規律」ともに、家庭裁判所の許可を得た上で、その旨を市町村長に届け出なければならないとの規定を設けることとしております。   なお、議論の中では改正法の周知、広報として、氏の仮名表記の届出者を戸籍の筆頭者としているが、配偶者等の同籍者と調整した上で届け出ることが望ましい旨を周知してもらいたいといった御意見が述べられました。周知に当たり十分に留意していただきたいと考えております。   戸籍法等の改正に関する要綱案の概要は以上のとおりです。よろしく御審議のほど、お願いいたします。 ○井田会長 御報告ありがとうございました。   それでは、ただいまの御報告及び要綱案の全般的な点につきまして、御質問及び御意見を承りたいと思います。   御質問と御意見を分けまして、まず、御質問がございましたら承りたいと思います。 ○大迫委員 大迫です。ありがとうございます。2点質問をさせていただきます。   先ほど部会長から御説明のありました要綱案の第1の2の注記の確認ですが、今回の資料としては配布されていませんが、部会で配布された資料番号14-2というのがありまして、そこで趣旨説明がなされている中に、「一般の辞書に記載されていない読み方の許容性の判断基準として、例えば、①漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方、②読み違い(書き違い)かどうか判然としない読み方、③漢字の意味や読み方との関連性をおよそ(又は全く)認めることができない読み方など、社会を混乱させるもの」という一定の例が引用されていますけれども、第1の2の注記はこの補足説明と同じ内容と理解をしてよろしいでしょうかという点が1点と、先ほど御説明のありました通達には、部会で配布された資料番号14-1にあるような具体的な例も含めて通達の内容になると理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうかという2点です。 ○窪田部会長 2点、御質問ありがとうございます。   まず、第1点目についてですが、基本的には第1の2の注記として記載されていること、その趣旨を明確にするのが部会資料14-2で詳しく説明されていたものということになりますので、同じ趣旨だと理解していただいて結構です。  単に一般に認められているものといったような形では、非常に狭く解される可能性もあるのですが、むしろ原則として命名文化として広いものが認められてきたということを踏まえてのものであるということを、(注)の中でも示すことによって明確にしておきたいという趣旨のものです。   2点目なのですが、通達については私自身は、一定の具体例は入れるということは考えられるのだろうとは思うのですが、まだ現時点では詰めているところではないかと思います。あるいはこれは事務当局に御説明を頂いた方がいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。 ○金子幹事 幹事の金子でございます。今後の運用に関わる問題ですので、私の方からお答えしたいと思います。   御指摘の補足説明といわれるものの中に、今挙げていただいた3点、許容されないものと想定される例が記載されております。このような内容を今後、通達の中に盛り込んでいって、一方では審査に支障がないようにという意味もございますけれども、他方においては、言わばその予測可能性といいますか、社会に対してのメッセージをきちんと発信したいと思っております。 ○大迫委員 よく理解できました。 ○井田会長 ほかに御質問はございますでしょうか。 ○毛利委員 ありがとうございます。少し確認なのですけれども、現に戸籍に記載されている者については、2ページ目の(8)でもありますが、一般に認められている読み方以外の読み方も、現にそれを使用しているということを証する書面を提出すれば、それを認めるという御趣旨ということでしょうか。  そうすると、最初の氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならないというのは、普通にいうと、これから生まれて戸籍に登録される人に、実質的にはその場合に対する規定ということになるという理解でよろしいでしょうか。 ○窪田部会長 御質問ありがとうございます。そのような理解を私自身もしております。 ○井田会長 ほかに御質問はございますか。   よろしいでしょうか。それでは、御意見を承りたいと思います。どうぞ。 ○大迫委員 ありがとうございます。この氏名の読み仮名の法制化については、過去にも何度か検討を重ねられた経緯がありますけれども、この度部会で取りまとめに至ったことについては、部会での熱心な御討議の結果だと感謝をしている次第です。   先ほど、部会長の御説明の中にもありましたけれども、日本には名乗り訓などに見られる命名文化や慣習が命名の自由の下に、我々の生活に広く根付いて、受け入れられてきた歴史があると思います。  パブリックコメントにおいても、読み仮名の許容性及び氏名との関連性についての中間試案では、先ほど御紹介にあった、戸籍法には規定を設けず、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によるという甲案が多数ということになったのは、このような歴史的背景に基づくものとして理解をしております。   そういう意味で、先ほど御質問に対して丁寧な御説明を頂きましたことで、こういう文化を尊重されるという趣旨での規定であることを理解しましたので、そういった運用がなされることを踏まえて、賛成させていただきたいと思います。   また、要綱案の第2の2(5)で、施行日以降に遅滞なく、市町村が、届出がない場合に記載する予定となる氏名の仮名表記を事前に通知するということの定めがありますけれども、これは丁寧な運用と考えます。仮名表記の許容性、氏名との関連性についても、先ほど御質問させていただいた内容の運用についての周知を丁寧にお願いしたいと考えます。 ○井田会長 ありがとうございました。   ほかに御意見はございますでしょうか。   よろしいですか。それでは、原案につきまして採決に移りたいと存じますが、御異議はございますか。   特に御異議もないようでございますので、そのように取り計らわせていただきます。   諮問第116号につきまして、「戸籍法部会」から報告されました要綱案のとおり答申することに賛成の方は、挙手をお願いいたします。  ウェブ会議システムにより出席されている委員につきましては、賛成の方は画面上で見えるように挙手していただくか、あるいは挙手機能ボタンを押していただくようにお願いします。           (賛成者挙手) ○井田会長 では、事務局において票読みは大丈夫ですか。   手を下ろしていただいて結構でございます。   では、反対の方、挙手をお願いしたいと思います。           (反対者挙手) ○井田会長 ありがとうございます。 ○加藤司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。   議長及び部会長を除くただいまの出席委員数は17名でございますところ、全ての委員が御賛成ということでございました。 ○井田会長 ありがとうございます。  採決の結果、全員賛成ということでございましたので、「戸籍法部会」から報告されました要綱案は原案のとおり議決されたものと認めます。   議決された要綱案につきましては会議終了後、法務大臣に答申することといたします。   窪田部会長におかれましては、社会的にも大変注目される論点につきまして、周到に調査審議をしていただきまして、誠にありがとうございました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。失礼いたします。 ○井田会長 次に、「性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号」について、御審議をお願いいたしたいと思います。   「刑事法(性犯罪関係)部会」においては、私が部会長を務めさせていただきましたので、審議の経過及び結果につきましては、私から御報告させていただきます。   諮問第117号は、「近年における性犯罪の実情等に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので、左記の事項を始め、法整備の在り方について、御意見を承りたい。」というものでした。   本諮問については、令和3年9月16日に開催された法制審議会第191回会議において、まず部会において検討させる旨の決定がなされ、この決定を受けて、刑事法(性犯罪関係)部会が設けられました。  部会においては、令和3年10月27日から本年2月3日までの間に、14回にわたって調査審議を行いました。  部会においては、諮問に先立って法務省で開催された「性犯罪に関する刑事法検討会」において示された検討結果が委員・幹事の間で共有された上で、各諮問事項について、委員・幹事から性犯罪に適切に対処するための方策について意見が述べられ、それらを踏まえて具体的な制度の「試案」を作成するなどして、議論を重ねました。  そして、この議論に基づき、合計9項目から成る「要綱(骨子)案」を作成し、更に詰めの議論を行った結果、賛成多数により、本日配布資料の「刑1」としてお配りしている「要綱(骨子)案」のとおり法整備を行うことが相当であるとの結論に達しました。   それでは、部会における審議の概要につきまして、「要綱(骨子)案」に沿って御報告いたします。   「要綱(骨子)案」の1ページの「第一」は、現行法上、「暴行又は脅迫を用いて」、あるいは、「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて」とされている強制性交等罪等の要件を改めるものです。  具体的には、性犯罪の本質的な要素である「性的行為に関する自由な意思決定が困難な状態でなされた性行為であるかどうか」という点を、「暴行」・「脅迫」や「心神喪失」・「抗拒不能」といった要件の中に読み込むのではなく、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という文言を用いて統一的に整理いたしました。この「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」について、現行法の下で、裁判例において「暴行」・「脅迫」や「心神喪失」・「抗拒不能」に該当すると認められた行為又は事由のほか、性犯罪被害者の心理等に関する心理学的・精神医学的知見を踏まえ、そうした状態の原因となり得る行為又は事由を具体的に列挙することとしています。   部会の議論においては、「意思に反して」といった要件とすべきであるという御意見も述べられましたが、これに対しては、仮に「意思に反して」といった被害者の内心のみに注目した要件とした場合には、人の心理状態や意思決定の過程には様々なものがあり得る中で、どういう場合に処罰されるかが明確であるといえるか、安定的な運用に資するか、こういった観点から疑問があるという御意見が述べられたことから、処罰範囲を明確にし、安定的な運用に資するため、被害者の内心そのものではなく、被害者の置かれた「状態」に着目した要件とすることとなりました。   この点に関し、当初、議論のたたき台として示された「試案」では、そうした要件として「拒絶の意思を形成し、表明し又は実現することが困難な状態」とされていました。  この要件は、もとより被害者が拒絶することを義務付けられるような、そういう趣旨のものではありませんでしたが、この点について、複数の委員・幹事から、「拒絶」といった文言が、被害者に何らかの行為をすることを要求しているかのような印象を与えるといった御意見が示されました。  そこで、そうした御意見を踏まえ、「試案」を改訂し、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」とした上で、改めて議論したところ、多くの委員・幹事からこれに賛同する御意見が述べられ、要綱(骨子)案「第一」のような形で取りまとめに至ったものです。   次に、「要綱(骨子)案」の3ページの「第二」は、いわゆる性交同意年齢を引き上げるものです。  現行法上、暴行又は脅迫を用いるなどしなくても強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することとされる年齢は、「13歳未満」とされていますが、要綱(骨子)案「第二」では、その年齢を「16歳未満」に引き上げた上で、13歳以上16歳未満の者に対する行為については、その者より5歳以上年長の者が性的行為を行った場合に強制わいせつ罪又は強制性交等罪として処罰し得ることとしています。   部会の議論においては、この年齢をどのように考えるべきかについて、現行法上、13歳未満の者に対する性的行為をそれ自体として処罰し得ることとされている趣旨を踏まえつつ、性的行為に関して有効に自由な意思決定をするための能力に着目して検討を重ねました。  その結果、16歳未満の者については、そのような能力が不十分であると考えられることから、いわゆる性交同意年齢としては「16歳未満」とすべきであるとの御意見が大勢を占めました。   その上で、一定の場合に処罰対象としないこととすることの要否・当否に関し、自由な意思決定の前提となる対等な関係があり得る同年代同士の場合については処罰すべきでないとの御意見が多く示され、具体的な年齢差については、3歳差以内の場合には処罰しないこととすべきとの御意見があった一方で、年齢差という形式的な要件で処罰範囲を画する以上、自由な意思決定の前提となる対等な関係となることはまずないといえる程度の年齢差とすべきとの御意見が述べられ、心理学的知見を踏まえて、行為者が13歳以上16歳未満の者より5歳以上年長である場合を処罰対象とすることとし、それ以外の実質的な要件は設けないこととしています。   次に、「要綱(骨子)案」の4ページの「第三」は、現行法上、強制わいせつ罪の対象とされている、陰茎以外の身体の一部又は物を膣又は肛門に挿入する行為を、強制性交等罪の対象とするものです。   次に、「要綱(骨子)案」5ページの「第四」は、配偶者間においても強制性交等罪等の性犯罪が成立し得るという見解に基づく実務の運用を、法律上明確化するものです。   次に、「第五」は、若年者の性被害を未然に防止するため、性的な行為をする目的で若年者を懐柔する行為に係る罪を新設するものです。  具体的には、わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、威迫、偽計、利益供与などの不当な手段を用いて面会を要求する行為やそれによって面会する行為、性的な映像の送信を要求する行為を処罰対象とすることとしています。   次に、「要綱(骨子)案」の7ページの「第六」は、性犯罪について、より長期にわたって訴追可能性を確保するため、公訴時効期間を延長するものです。  具体的には、性犯罪について公訴時効期間を5年延長するとともに、被害者が18歳未満の者である場合は、その者が18歳に達するまでの期間、更に公訴時効期間を延長することとしています。   次に、「要綱(骨子)案」の8ページの「第七」は、いわゆる司法面接的手法による聴取結果を記録した録音・録画記録媒体について、証拠能力の特則を新設するものです。  捜査機関が性犯罪の被害者等から聴取した結果やその状況を記録した録音・録画記録媒体は、現行の刑事訴訟法においては、いわゆる伝聞証拠として証拠能力が認められないのが原則ですが、「第七」では、そのような録音・録画記録媒体について、一定の要件の下で、主尋問に代えて証拠とすることができることとする一方、この場合でも、反対尋問の機会は与えなければならないこととしています。   次に、「要綱(骨子)案」の10ページの「第八」は、性的な姿態を一定の態様・方法により撮影する行為やその画像を提供する行為等を処罰する規定を新設するものです。  性的な姿態の撮影行為やその画像の提供行為等は、性的な姿態が、単にその場で認識されることを超えて、その姿態をとったとき以外の他の機会に他人に見られる危険を生じさせるものであり、しかも、特定かつ少数の者に見られるにとどまらず、不特定又は多数の者に見られるという重大な事態を生じさせる危険を有すると考えられます。  そこで、自己の性的な姿態を他の機会に他人に見られるかどうかという意味での被害者の性的自由・性的自己決定権を保護するため、これを侵害する行為を処罰することとするものです。   次に、「要綱(骨子)案」の14ページの「第九」の「一」は、有罪判決があった場合において、犯罪行為によって生じた物の複写物を没収できることとするものです。  現行法上、犯罪行為により生じた物は没収の対象となるものの、その複写物は対象にならないと解されていますが、原本と同じ内容の性的な姿態が記録されている複写物については、その危険性を除去する必要があることなどから、撮影罪等の犯罪行為により生じた物の複写物を没収することができることとするものです。   次に、「要綱(骨子)案」の15ページの「第九」の「二」は、刑罰としての没収ではなく、検察官が保管している押収物について、性的な姿態の画像等の廃棄・消去をすることができる制度を導入するものです。  撮影罪等を新設した場合であっても、例えば、公訴時効が完成するなどして公訴提起ができない場合などには、撮影罪等の犯罪行為によって生じた物を刑事手続において没収することができず、この場合、押収物を剝奪するなどの手段はありません。  こうした状況を踏まえ、検察官において、行政手続として、その保管している押収物が撮影罪等の行為により生じた物であるときはその押収物を廃棄するなどの措置をとることができることとしています。  その上で、聴聞や検察官の処分に対する不服申立て等の手続を整備することとしています。   以上の「要綱(骨子)案」について、一括して採決に付したところ、部会長である私を除く出席委員15名のうち、賛成14名、反対1名の賛成多数により、「要綱(骨子)案」のとおりの法整備を行うべきであるとの結論に至りました。  以上のような審議に基づき、諮問第117号については、「要綱(骨子)案」のように法整備を行うことが相当である旨の決定がなされたものです。   以上で、部会における審議の経過及び結果の御報告を終わります。   それでは、以上御報告させていただいた内容及び「要綱(骨子)案」の全般的な点につきまして、御質問・御意見を頂ければ幸いです。   御質問と御意見を分けまして、まず、御質問がございましたら、承りたいと思います。 ○毛利委員 幾つか御質問させていただきます。  まず、基本的なこととして、今回の改正は、現行法の強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪、それから、強制性交等罪及び準強制性交等罪との関係については、構成要件を広げるわけではないけれども、明確化するという趣旨なのか、むしろ処罰範囲を広げる趣旨があるのか、要するに、明確化をするにとどまるのかどうかという基本方針について、何度も部会などで大変慎重な審議をされてきたということですので、確認にとどまるかと思いますけれども、その基本的な方針を確認させていただきたいということが一点です。それから、最初の強制わいせつ罪あるいは強制性交等罪の要件につきましては、「次の(一)に掲げる行為その他これらに類する行為により」とございまして、この「類する行為」の解釈が、明確性との関係で問題になるかという気がいたします。その「掲げる行為」として8個掲げてあるのは、言わば例示的なものだということになりますと、その「類する」という文言で、刑法上、明確性において十分だといえるのかどうか、その辺りについて、どのような御議論があったのかということもお聞かせいただきたいと思います。   それと、中でも一番曖昧ではないかと思われるのは「(8)」で、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」、あるいは「憂慮している」という文言についてですが、「地位」というのはかなり曖昧な言い方であって、「影響力」とか、「憂慮させる」という文言についても、現実の事件などからしても大変大事なところかと思いますが、これで十分、処罰範囲を明確化、あるいは絞ることができているのかということについて、どのような御議論があったのかも伺えればと思います。  この「(8)」は、取り分け、ほかのものと少し違って、「影響力」というのは正に長期的なことが考えられると思います。長期的な「影響力」によって被害者が同意しない意思を形成することが難しくなっているということを裁判できちんと証明できるのか、あるいは、逆に言うと、被告人に防御がきちんとできるのかということについても教えていただければと思います。   あともう一つ、最後の、検察官による押収物の廃棄や、削除命令などについてですけれども、これは、その押収物が構成要件に該当する物件であることを検察官が判断して行うわけですが、行政処分としては行政手続を踏んでいるのですけれども、検察官限りで、刑事手続のように裁判所の令状などを経ずに、行政処分としてこのようなことを行ってよいということになるのか、刑事手続ではないからこれでよいとお考えということなのか、その辺りも確認させていただければと思います。 ○井田会長 ありがとうございます。大きく三点にわたって御質問いただきました。   私の理解、それはまた部会の理解でもあると考えているのですけれども、それに基づいて御質問にお答えしたいと思います。 現行法の性犯罪処罰規定、つまり刑法第176条、第177条及び第178条の各規定は、本質的に被害者において有効な同意が認められない場合を類型化したものです。そのうちの強制性交等罪及び準強制性交等罪についていえば、私は、不同意性交等罪と呼んでも差し支えないとさえ考えているところです。  ただ、刑法は、被害者側に有効な同意があるとはいえない場合における被害者側の心理状態、その正に性犯罪の本質的な部分を、正面から文言化していません。言い換えますと、被害者がどのような心理状態にあったのかを直接には定めておらず、暴行・脅迫という、加害者の用いる行為態様・行為手段の面から規定し、または、心神喪失・抗拒不能という、いささかミスリーディングな表現で被害者の陥った状態を規定しているにすぎません。そこから、二つの問題が生じていると私は考えています。   一つは、被害者側がそのときどのような心理状態に置かれていたのか、正にその本質的なこと、言い方を変えれば、性犯罪に関する自由な意思決定が困難な状態にあったことが決定的・本質的なことで、裁判でもそれが証明されるべき事実、すなわち要証事実であるべきなのですが、それが条文の文言に表れていないということです。もちろん、判例実務は、暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能という要件を解釈するに当たり、刑法は被害者側に有効な同意があるといえない場合を処罰するのだという性犯罪の本質的理解に基づき、それに合致するように、これらの文言を相当に緩やかに解釈することを通じて、適正な処罰範囲を確保するように努めてきたということができます。   そこから、二つ目の問題が生じてきます。暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能という文言それ自体は、かなり狭い文言であります。そして、強制性交等罪については、ほかに強盗罪の規定があって、その規定と構造的に類似しています。そのような文言の狭さ、それから、強盗罪との規定の類似性に災いされて条文が相当に狭く読まれることがあり、法解釈にばらつきが生ずるきらいがないではなかった。また、この条文を読んだ一般の市民にとっても、なかなか理解の困難な規定となっていたと思われるのです。   そこで部会は、性犯罪の本質、つまり性的行為に関する自由な意思決定が困難な状態にあったという本質が明確になるように、行為当時における被害者の心理状態を、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という要件を用いて正面からはっきりと文言化することとしました。それと同時に、被害者がそのような心理状態となってしまう原因となるような行為や事由も例示して、規定の趣旨がより明確化し、より安定的な運用ができるようなものとした、これが部会の理解であると思われます。   言い換えますと、毛利委員の第一の質問にお答えすることになるわけですけれども、現行法における処罰の範囲を拡大するという趣旨のものではなく、現行刑法の下でも、もし適切な解釈を施しさえすれば処罰可能であったものを、そしてそれだけを処罰するように明確化する趣旨の提案であると考えています。   二点目の問題、これも、今のことに関係することですので、続けて申し上げたいと思います。  原因行為・原因事由の範囲・程度については、これだけを読むと不明確な感じを持たれるかもしれません。しかも、「その他これに類する行為」や「事由」まで含まれるわけですので、これらはいわゆる例示列挙にすぎないのです。  ただ、要件の本体部分、そもそも性犯罪の本質を示す部分は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し又は全うすることが困難な状態」にあるというところです。ですから、最近の諸外国の刑法典の規定にありますように、この要件だけで条文を作るということも考えられるわけです。ただ、「要綱(骨子)案」は、その判断を容易かつ安定的に行い得るようにするという観点から、そのような状態の原因となり得る行為又は事由を広く拾い上げて例示列挙することといたしました。本体である被害者のそのような心理状態を引き起こす事由としては、例えばこのようなものがあると例示することで、処罰範囲・処罰対象をより明確化できると考えたものです。   なお、この列挙事由・列挙行為は、現行法の下で裁判例や、実務で見られたものを中心に、広く、これだけリストアップすればまず大丈夫という程度に類型化したものであって、これにより処罰対象のイメージを抱きやすくなっているのではないかと考えています。  確かに、「その他類する」という言葉自体は、類似のものに及ぼすというものであり、余り刑法らしくないという印象を持たれるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。私は、総務省の法令データシステムで刑法典の条文を読み出して、「その他」という言葉で検索を掛けたことがございますが、刑法典で40か所以上、「その他」という言葉が使われています。「その他の方法」、「その他の行為」という形で使われており、決して刑法として違和感のある文言ではないということがわかります。現行刑法においてもしばしば用いられている文言なのです。   次に、二つ目の御質問の中で、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」という文言は、取り分け不明確なのではないかという御指摘がございました。ただ、くり返しになりますが、今回の「要綱(骨子)案」は、現行刑法が正に罪刑法定主義の観点から問題を持っているという問題意識に立って、それを改善しようというものであり、その逆ではございません。  確かに、この「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益の憂慮」という文言は、それを単体で見れば、相当に幅広く理解できそうですが、本体の部分との関係で見ていただくと、被害者のそのような心理状態を引き起こす事由としてはこのようなものがあるということを例示することによって、処罰対象が明確化されていると考えているのです。そのような不利益の憂慮、それを不安に思い、心配することのゆえに、これは私の言葉ですけれども、その被害者にとって行動の選択肢が事実上一つに固まってしまう、あるいは収束してしまうような心理状態に置かれて、性的行為に応じたのであれば、それは処罰の対象にしてよいと考えております。   そのような意味で、「要綱(骨子)案」は、決して曖昧な概念を用いて処罰範囲を不明確にするものではなく、むしろ逆、すなわち、現行法の規定では内実が明らかでなく、判断がまちまちになりがちであり、かつ、国民の多くから疑問を向けられている規定の内容をより明確化し、それに該当するかどうかの判断を容易にし、安定的に行われるようにしようという趣旨のものです。   ちなみに、ドイツ刑法においても、処罰範囲を明確化するために限定列挙ではなくて例示列挙を使うという立法方法は、かなり以前から使われています。そのことは、それが決して罪刑法定主義の見地からの疑義を引き起こすものではないことの傍証になるかと考えます。   三点目の御質問、すなわち、検察官の判断のみで画像等の消去等が可能になるという制度でよいのかという点についてですが、これは恐らく事務当局の立場からは、これでよいとはなかなか言えないと思いますので、私の方から、なぜそれでよいのかということを述べたいと思います。   部会における議論では、性的姿態の画像等の没収・消去が問題となるのは、性犯罪の捜査において当該画像等の存在が明らかになる場合がほとんどであり、その多くは、当該画像等が記録された物が証拠物として差し押さえられている場合が多いであろうことから、没収・消去の主体を捜査機関にさせるのが適当であろうという御意見がありました。また、撮影対象者のプライバシー等の保護という観点からは、もし裁判所が事前に関与するとなった場合には、被害者としては一旦、捜査機関に事情を聴かれて、更に今度は消去のための手続が裁判所で行われるので、裁判所でもう一回重ねて聴取を受けるといった負担があるという理由から、裁判所の方がいいとは必ずしもいえないのではないかということです。   一つの参考になったのは、関税法上の輸入禁止製品の没収の手続です。そこでは、税関長の没収の判断が裁判所の判断に先行するものとされています。そのことからも、この「要綱(骨子)案」の「第九」の「二」のように、まず裁判所による審査が入る前に検察官の方で行い、裁判所の関与は言わば事後的にするという制度は、決して不当なものではないと考えた次第です。  諸利益の衡量といいますか、様々な事情を勘案した上で、より合目的な、よりよい制度はどのようなものかという見地から検討した結果、このような制度に落ち着いたということです。 ○毛利委員 どうもありがとうございました。 ○井田会長 それでは、ほかに御質問はございますでしょうか。 ○髙杉委員 新設される犯罪、特に「要綱(骨子)案」の「第八」で新設される撮影罪、影像送信罪及び記録罪等ですが、外国で実行行為が行われた場合の国外犯の規律についてどのようにお考えなのかを教えていただければと思います。 ○保坂関係官 部会におきましては、特段、国外犯に関して議論はされておりませんが、答申がいただけた場合、法律案を立案していく過程で更に検討する必要があると思っております。先ほどの部会長からの御説明のように、撮影罪等は、性的自由・性的自己決定権を保護法益とする性犯罪として設けようとするものであり、現行の性犯罪につきましては刑法第3条の国民の国外犯の対象になっていることからしますと、こういった撮影罪等を国民が国外で犯すことが想定されるのであれば、同様に、国民の国外犯の対象とするというのは一つの筋ではないかと考えているところでございます。 ○髙杉委員 刑法第3条と3条の2の被害者が日本国民の場合も、場合によっては可能性があるという理解でよろしいでしょうか。 ○保坂関係官 その点も含めて、更に検討したいと考えております。 ○井田会長  ほかに御質問はございますか。   よろしいでしょうか。それでは、次に、御意見を承りたいと思います。 ○大迫委員 若干長くなると思われるので、恐縮ですけれども、意見を述べさせていただきます。   まずは、部会の皆様が、性犯罪に関する可罰性のある行為が適正に処罰されるように刑事実体法を見直し、社会におけるいろいろな形態の性犯罪の防止に努めるという思いで熱心な検討をされたことについて、敬意を表したいと思います。   ここからが私の意見ですけれども、第一に、暴行・脅迫要件、心神喪失・抗拒不能要件の改正の点ですが、これまでの規定方法とは異なって、行為や事由を例示して規定をする方法がとられています。この点は、被害者の方々の救済や今後の性犯罪の防止のために、性犯罪の実態を前提にして、可罰的な性犯罪行為をより捕捉できるようにしようという観点からこのような規定方法がとられたという意図は理解できるところです。   しかし、他方で、例示された行為や事由の中には、先ほど御質問の中にもありましたように、「第一」の「一」の「1(一)」及び「(二)」の「(7)」や「(8)」などのように、対象が広範囲で不明瞭であるなど、各類型の対象とする範囲が不明確であり、そのため対象行為・事由の外縁が明確になっていないという問題があります。  また、「第一」の「一」の「1」の「その他これらに類する行為」・「事由」との規定は、明確性という点だけではなく、類推処罰の観点からも問題があると考えられますし、これらの行為・事由は主観面の対象となることから、故意・過失の要件となる認識の対象も不明確になっており、また実行行為の着手時期なども不明確になると考えます。これらの点は部会でも議論となっていましたが、いまだ明確になっていないと思います。罪刑法定主義の観点から、行為・事由の外縁をきちんと明確にする必要があると考えます。   そのため、この要綱に沿った法案になる場合には、例示された行為・事由の解釈、各用語の定義などを、立法趣旨に沿って外縁を明確にし、これを国民に周知することが不可欠だと考えます。また、部会での「試案」の説明では、繰り返し、この「試案」はこれまでの可罰的だと評価される行為をできるだけ捕捉するための規定であって、可罰的だと評価される行為を拡大するものではないという説明がなされておりますし、先ほどの部会長の御質問に対する御回答においても同じような御説明があったと理解をしておりますので、その趣旨に沿って各行為・事由が解釈されて、実務での運用がなされる必要があると考えます。   また、その説明を前提にすれば、13歳以上16歳未満の者に対する5年以上前に生まれた者のわいせつ行為や、配偶者間の行為に関する処罰規定には除外規定がないことから、今後の実務では、運用において、これらの者の行為についても処罰の対象の拡大とならないように一般的な違法性阻却事由や責任阻却が適正に運用され、機能することが重要になることも申し上げておきたいと思います。   「第七」の被害者等聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則についての「要綱(骨子)案」は、その特則の対象が対象事件を性犯罪に限定することなく、対象者についても児童や性犯罪被害者にも限定されておらず、「公判準備又は公判期日において更に供述することで精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者」として、供述者一般が対象となっています。これは、刑事訴訟法の根幹である伝聞証拠禁止の原則を変容させかねない重要な内容だと思います。   部会の意見でも、今後この問題が刑事訴訟法の原則を揺るがすことを危惧するという意見もありましたけれども、正に同感です。反対尋問の機会を確保する規定があるとしても、過去に録音・録画された内容に対して時間をおいて行われる反対尋問が適正な反対尋問の保障といえるかについても、疑問のあるところだと考えます。しかも、その要件は、一定の措置の下ということが定められていますけれども、措置の内容も、供述者の特性に応じて不安又は緊張を緩和すること、あるいは供述者の特性に応じて誘導を避けるなど、不当な影響を与えないことと定めているだけであり、このような措置は余りに抽象的で、伝聞証拠の禁止の例外規定としては認められないと考えます。  部会では、この措置として、司法面接的手法をとることが想定されているという御説明もありましたけれども、司法面接的手法については、一定のプロトコルはあるものの、具体的な方法として、聴取主体がどうあるべきかや、記録の汚染防止やその検証をどうするかなど、刑事裁判の中で活用するためには、今後、更なる議論が必要であると考えます。   また、本件の諮問時の諮問内容は、性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備であったにもかかわらず、この「要綱(骨子)案」では、先に述べましたように、性犯罪の被害児童や被害者に限定されることなく、供述者一般に適用される内容になっていて、諮問の枠を越えた案となっています。仮に司法面接による記録媒体固有の証拠法の制度を検討するのであれば、別途刑事法全般の問題として、刑事事件や司法面接の実務、制度に精通した方々によって、制度の必要性の有無や司法面接の在り方などの議論を尽くすべきだと考えます。  この「要綱(骨子)案」のこの証拠能力の特則の点は、その内容、検討の方法の両面において反対します。   以上、反対の立場から意見を述べさせていただきました。 ○井田会長 詳細な御意見を頂きました。御意見として承りたいと思います。   ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、特段の御意見もないようですので、原案につきまして採決に移りたいと存じますが、御異議はございますか。    特に御異議もないようでございますので、そのように取り計らわせていただきます。   諮問第117号につきまして、「刑事法(性犯罪関係)部会」から報告されました「要綱(骨子)案」のとおり答申することに賛成の方は、挙手をお願いします。  ウェブ会議システムにより出席されている委員につきましては、賛成の方は、画面上で見えるようにしていただくか、挙手機能ボタンを押していただくようにお願いします。           (賛成者挙手) ○井田会長 ありがとうございます。それでは、手を下ろしてくださって結構でございます。   反対の方、挙手をお願いいたします。           (反対者挙手) ○井田会長 手を下ろしてくださって結構でございます。ありがとうございました。   それでは、事務局において票読みをお願いいたします。 ○加藤司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。   議長を除くただいまの出席委員数は17名でございますところ、原案に賛成の委員は16名、反対の委員は1名でございました。 ○井田会長 ありがとうございます。  採決の結果、賛成者多数でございましたので、「刑事法(性犯罪関係)部会」から報告されました「要綱(骨子)案」は、原案のとおり議決されたものと認めます。   議決されました「要綱(骨子)案」につきましては会議終了後、法務大臣に対して答申することといたします。   次に、「家事事件手続法・民事保全法・民事執行法・倒産法等(IT化関係)の改正に関する諮問第120号」について、御審議をお願いしたいと存じます。   初めに、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会」における審議の経過及び結果につきまして、同部会の部会長を務められました山本和彦臨時委員から御報告を頂きたいと存じます。  では、よろしくお願いします。 ○山本部会長 民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会の部会長を務めました山本でございます。   この部会では、令和4年2月の諮問第120号について、1年弱の期間にわたり調査審議を重ねてまいりましたが、本年1月20日に開催されました第17回会議において、民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続の見直しに関する要綱案を決定いたしましたので、本日はその概要等について御報告を申し上げます。   諮問第120号は、近年における情報通信技術の進展等の社会経済情勢の変化への対応を図るとともに、時代に即して民事執行手続、民事保全手続、倒産手続、家事事件手続といった民事・家事関係の裁判手続をより一層適正かつ迅速なものとし、国民に利用しやすくするという観点から、これらの手続に係る申立書等のオンライン提出、事件記録の電子化、情報通信技術を活用した各種期日の実現など、法制度の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたいというものでありました。これを受けて、この民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会が設置され、これまで審議を行ってまいりました。   なお、この部会における審議の途中経過につきましては、令和4年9月の第196回法制審議会総会において中間報告をさせていただきましたが、本日は改めて要綱案の決定に至るまでの審議経過を簡単に御説明した上で、最終的に取りまとめました要綱案の概要について御報告を致します。   まず、審議経過の概要でありますが、当部会では、第1回会議を開催いたしました令和4年4月から各論点について調査審議を重ね、同年8月に中間試案を取りまとめ、同年10月までの間、パブリックコメントの手続を行いました。その後、パブリックコメントに寄せられた意見も踏まえて更に調査審議を行い、先ほど申し上げましたように、本年1月20日の会議において全会一致で要綱案を決定するに至ったものであります。   続きまして、要綱案の概要を御説明いたします。項目番号の順番に御説明を致しますが、時間の関係がありますので、適宜ポイントを絞って御説明をしたいと思います。   まず、要綱案1ページを御覧ください。「第1 民事執行」でありますが、この第1の1は、民事執行の手続において全ての裁判所に対するインターネット申立て等を可能とするとともに、代理人のうち委任を受けた者等についてはインターネットを用いてする申立て等によらなければならない、インターネットを用いてする申立て等の義務付けを規定しております。   第1の2は、民事執行の手続において裁判所に書面等が提出された場合であっても、それを裁判所で電子化し、電子データを事件記録として保管することとするもの、それから、第1の3は、裁判官が作成する裁判書や裁判所書記官が作成する調書、配当表についても電子データで作成することとするものです。これらの規律によれば、民事執行の事件記録は基本的に電子データで保管されることとなります。   第1の4は、民事執行の手続における各種期日について、ウェブ会議や電話会議の利用を可能とするものです。加えて、第1の5及び6では、売却決定期日をなくし、売却決定期日を経ることなく売却をする仕組みを設けること、また、配当期日については必要がある場合に指定をすることとし、配当期日を経ることなく配当を実施する仕組みを設けることとしております。   第1の7は、要綱案第1の2及び第1の3の裁判所に提出された書面等や、裁判所において作成される裁判書等の電子データ化が実現した場合には、インターネットを利用してその閲覧等もすることが可能となることを踏まえまして、電子データで保管されている事件記録の閲覧等について規律を設けるものであります。   第1の8は、インターネットを用いた方法による送達やウェブサイトの利用等を含む最高裁判所規則で定める方法による公示送達を、民事訴訟手続の場合と同様、民事執行の手続においても可能とするものであります。   第1の9は、債務名義の正本の提出に関する規律を見直すものです。民事執行の手続において必要となる判決などの債務名義等について、電子データで裁判所に保管されていれば、民事執行の手続を担当する裁判所がオンラインでその内容を確認することができるため、事件を特定する情報を当事者が提出すれば、書面の提出は不要とすることにしております。   第1の10は、民事執行の手続におけるITを活用した証拠調べ手続や費用額確定処分の申立ての期限について、民事訴訟と同様の規律を設けることとしています。また、いわゆる配当留保供託、(3)ですね、がされた事案について、長期間にわたって追加配当等が実施できないという事態を解消するための仕組みも導入しております。   第1の11は、執行官が執行機関となる民事執行の手続についても、執行裁判所が執行機関となる場合と同様、IT化することとするものであります。   「第1 民事執行」の項目は以上となります。この後、要綱案は様々な民事・家事関係の裁判手続を全面的にIT化するもので、基本的に同様の事項がずらっと並んでいくということになっておりますが、時間の関係がございます、繰り返しになりますので、適宜省略をさせていただいて、極力簡潔に御説明したいと思います。   要綱案8ページ以下の「第2 民事保全」、保全処分ですが、これについては民事保全の手続についても、インターネットを利用した申立て等、事件記録の電子データ化、期日におけるウェブ会議又は電話会議の利用、電子データ化された事件記録の閲覧等、先ほどの民事執行と同様の規律を設けるものです。そのほか、11ページの「7 その他」のところですが、(4)で、民事保全の手続において必要な本案の訴えの提起等の証明は、いわゆる起訴命令等がされた場合の証明ですが、民事保全の手続を担当する裁判所がオンラインでその訴えが提起されたかどうか確認できるわけですので、これも事件を特定するための情報を提供すれば書面の提出は不要ということにしております。   要綱案11ページ以下、「第3 破産手続」ですが、これについても、やはりインターネット申立て、事件記録の電子データ化、期日におけるウェブ会議、電話会議等の利用、電子データ化された事件記録の閲覧等の規律は同様になっております。特徴的な点としては、12ページの(2)イで、委任を受けた代理人等のほか、破産では破産管財人等についてもこのインターネット申立てを義務付けるという規律を設けております。また、少し飛びますが、15ページの「7 その他」の(3)で、破産債権表の更正ということについても新たに規律を設けております。   同じく15ページの「第4 民事再生、会社更生、特別清算及び外国倒産処理手続の承認援助の手続」については、基本的には破産手続等と同様の項目について同様にIT化をすることとしております。   要綱案16ページ以下、今度は「第5 非訟事件」でありますが、非訟事件手続についても同様に、インターネット申立て、事件記録の電子データ化、期日におけるウェブ会議、電話会議の利用、それから電子化された事件記録の閲覧等の規律を設けております。そのほか、17ページの5では、和解調書の送付について、必ずこれを当事者に送付しなければならないという規律を新たに設けております。また、18ページの6、事件記録の閲覧等のところの(2)自己の提出した書面について、①で、非訟事件では事件記録の閲覧に裁判所の許可が必要とされているわけですが、当事者については自分が提出した書面については裁判所の許可なく閲覧等の請求をできることとする規律を新たに設けております。この点は、次にお話しする人事訴訟とか家事事件、人事訴訟の事実の調査に関する記録、あるいは家事事件についても同様とされております。それから、19ページの「9 その他」(3)のところで、調書の更正についても新たな規律を設けているということであります。   続いて、要綱案20ページ以下が「第6 民事調停」であります。民事調停の手続についてもこれまでと同様の規律を基本的に設けるほか、21ページの5では、調停調書の送付、これもやはり必ず行うということにしており、また、22ページの6(2)では、秘密保護のための閲覧等制限についての民事訴訟法の規定を民事調停にも新たに準用することとしております。   要綱案23ページ以下が「第7 労働審判」でありますが、労働審判についてもこれまでと同様の規律を設けるほか、やはり25ページの5のところで、調停調書あるいは審判書に代わる調書についても当事者に送付をしなければならないという規定を設けているところであります。   要綱案27ページ以下が「第8 人事訴訟」でありますが、人事訴訟についてもこれまでと同様の規定、規律を設けるほか、29ページの5の部分で、和解調書等の送達をしなければならないという規律を新たに設けております。   それから、31ページ以下の「第9 家事事件」ですが、家事事件についてもこれまでと同様の規定、規律を設けるほか、32ページの2②のところでは、家事事件においては申立て等に係る書面以外の裁判所に提出される資料等、例えば戸籍謄本等が紙媒体で提出される場合について、一部の事件類型については、電子データ化をしなければならないとする対象から除外しております。全て電子データ化しなければならないという規律の例外を家事事件の一部の事件について設けているということであります。それから、34ページの5では、いわゆる受諾調停について、当事者双方が不出頭の場合にも可能とするような規律、6では調停調書の送付を義務付ける規律を新たに設けているところであります。   最後、要綱案の37ページ、第10では、子の返還申立事件の手続(ハーグ条約実施法)に係る手続についても、家事事件と基本的に同様の形でIT化するということであります。   最後、「第11 その他」は、所要の規定を整備するということでございます。   以上が民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続の見直しに関する要綱案の概要であります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 ○井田会長 御報告ありがとうございました。   それでは、ただいまの御報告及び要綱案の全般的な点につきまして、御質問及び御意見を承りたいと思います。   御質問と御意見を分けまして、まず、御質問がございましたら承りたいと思います。どうぞ。   特にございませんか。よろしいでしょうか。   それでしたら御意見を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○大内委員 大内でございます。  今般取りまとめられた要綱案では、民事訴訟の周辺の各種の民事手続を全面的にIT化する方針を打ち出されておりまして、昨年5月に成立した改正民事訴訟法に基づくIT化と併せて、一連の手続を一気通貫にデジタル化で行えるようになりますと、民事裁判制度の私どもにとっての利便性が飛躍的に向上するだろうということで、大変期待させていただいているところです。   その上で、心配しすぎなのかもしれないのですけれども、私ども企業として第三債務者になるケースを想定いたしますと、書面あるいはメールでの送達ということが混在している制度になり得ると思っておりまして、両方に備えるということが実務的に負担というか、混乱というか、間違いというか、こういったことはないだろうかということを心配しており、例えば送達方法はシステムに統一していただくようなことがあると助かるなと思っている次第です。 ○井田会長 ありがとうございました。  御意見として承りたいと思います。   ほかに御意見はございますか。よろしいですか。   それでしたら、原案につきまして採決に移りたいと存じますが、御異議はございますでしょうか。   特に御異議もないようでございますので、そのように取り計らわせていただきます。   諮問第120号につきまして、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会」から報告されました要綱案のとおり答申することに賛成の方は、挙手をお願いいたします。  ウェブ会議システムにより出席されている委員につきましては、賛成の方は画面上で見えるように挙手していただくか、挙手機能ボタンを押していただきたいと思います。どうぞ。           (賛成者挙手) ○井田会長 ありがとうございます。手を下ろして結構でございます。   反対の方は挙手をお願いいたします。           (反対者挙手) ○井田会長 ありがとうございました。   では、票読みをお願いします。 ○加藤司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。   議長及び部会長を除くただいまの出席委員数は17名でございますところ、全ての委員が御賛成ということでございました。 ○井田会長 ありがとうございました。  採決の結果、全員賛成でございましたので、「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会」から報告されました要綱案は、原案のとおり議決されたものと認めます。   議決されました要綱案につきましては会議終了後、法務大臣に対して答申することといたします。   山本部会長におかれては、多岐にわたる論点につきまして、17回に及ぶ部会において調査審議していただき、大部の要綱案をまとめてくださいまして、誠にありがとうございました。   本日の議題は以上ですが、引き続き、現在調査審議中の部会から、その審議状況等を報告していただきたいと思います。  本日は、家族法制部会の部会長である大村敦志委員、そして、担保法制部会の部会長である道垣内弘人臨時委員にお越しいただいておりますので、各部会における審議状況等を御報告していただき、御報告後、委員の皆様から御質問等をお伺いしたいと存じます。   それでは、まず大村部会長、よろしくお願いします。 ○大村部会長 家族法制部会の部会長を務めております大村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。私からは、家族法制部会の検討状況について中間報告をさせていただきます。   お手元の配布資料の御説明でございますけれども、お手元には民3-1「家族法制の見直しに関する中間試案」、民3-2「法制審議会家族法制部会における調査審議の概要」と題するカラー刷りのいわゆるポンチ絵、そして、民3-3として「家族法制の見直しに関する中間試案の概要」という3点をお配りしております。本日は時間の関係もございますので、3-2のポンチ絵の資料を用いまして調査審議の概要を御報告させていただきたいと存じます。   まず、この資料の1ページ目を御覧いただきたいと思います。家族法制部会では令和3年3月から、諮問に基づきまして、父母の離婚後の子の養育の在り方に関する諸課題として、例えば親権の問題、養育費や親子交流に関する問題などを中心として調査審議を進めております。その際には、親の離婚を経験したお子さん方を含め、様々な立場の方からのヒアリングをしたり、あるいは心理学や外国法制などの専門的な知見についての御報告を頂いたりと、幅広く様々な観点から調査を進めてまいりました。様々な意見対立がある論点も含まれておりますけれども、全体を通じてこどもの利益の確保の観点を重視するということで議論が進められております。  こうした審議、調査を経て、令和4年11月15日に開催された第20回会議におきまして全会一致で中間試案が取りまとめられました。この中間試案につきましては、令和4年12月6日から本日までを期間といたしましてパブリックコメントの手続が行われているところであり、今後はその結果を踏まえまして、更に調査審議を進めていく予定でございます。   次に、中間試案の内容につきまして御説明をさせていただきます。これも時間の関係がございますので、幾つかの点に絞って御説明をさせていただきます。なお、この部会で調査審議の対象となっている事項には様々な意見の対立があるものも含まれているところから、中間試案には複数の案を併記する形で取りまとめられている事項が含まれております。  御覧いただいております資料1枚目の、まず下の枠を御覧いただきたいと思います。中間試案の全体像として、最初に、父母双方が子を養育する責務を負うということなどを明確化するという考え方を提示しております。そのほか、親権が親の義務であるということを示す工夫として、親権という用語の見直しを検討すべきであるという考え方、あるいは、中間試案における各項目について、DVや虐待がある事案に適切に対応できるようにすべきであるといった考え方を提示しております。その上で、一番下になりますけれども、①親権、②養育費、③親子交流、④養子、⑤財産分与の各制度に関する様々な論点について、様々な考え方が併記されているところでございます。   資料を1枚めくりまして、2ページ目を御覧いただきたいと思います。資料の2ページ目には、父母の離婚後等の親権者に関する規律の見直しについて取り上げております。  まず、資料の左側の論点1、父母の離婚後の親権者について御説明を申し上げます。現行の民法では、父母が離婚するときは常にその一方を親権者と定めなければならないとされており、離婚後の父母双方を親権者とするということが認められておりません。中間試案では、この規律を見直し、離婚後の父母双方を親権者とすることを可能とする甲案と、現行の規律を維持するという乙案の両案を併記しております。さらに、資料中に甲①案から甲③案と記載してありますとおり、甲案の中でも、どのような場合に父母双方を親権者とし、どのような場合に父母の一方のみを親権者とするかについて考え方が分かれているところでございます。   このことを踏まえつつ、資料の中ほどから右側の論点2では、甲案を採用し離婚後の父母双方が親権者となった場合等における親権行使に関する論点についての考え方を提示しております。親権には、いわゆる身上監護に関する権利義務と財産管理や法定代理等に関する権利義務が含まれますけれども、このうちの身上監護に関する権利義務については、父母の一方を監護者と定めるということで身上監護をすべき主体やその責任の所在を明確にすべきではないかという問題があります。この点、監護者の定めをすることも、定めをしないことも可能にして、このような定めをしない限りは父母双方が身上監護を共同で行うという考え方や、父母の一方を監護者と定めなければならず、その監護者のみが身上監護を行うという考え方などを提示しております。   また、右側の方になりますけれども、親権のうち財産管理や法定代理等に関する部分については三つの考え方を提示しております。一つ目は、父母双方が財産管理等を共同して行うこととし、父母間の意見が対立した場合には家庭裁判所の手続により調整を行うという考え方、二つ目は、父母双方が財産管理等を共同で行うこととし、父母間の意見が対立した場合には監護者が単独でこれを行うことができるとする考え方、そして三つ目は、監護者が定められている場合には、監護者が財産管理等についても単独で行うこととし、その内容を事後的に他方の配偶者に対して通知するという考え方ということになります。   更に資料をめくっていただきまして、3ページ目を御覧いただきたいと思います。3ページ目の左側には養育費に関する論点を記載しております。中間試案では養育費に関する規律の見直しについて様々な考え方を提示しておりますけれども、例えば、父母の離婚時に養育費の定めをすることを協議上の離婚の要件とするという考え方、あるいは、養育費請求権に一般先取特権を付与するという考え方、さらに、父母間において養育費の取決めができない場合に対応する制度として、取決めがなかったとしても一定の要件の下で一定額の養育費支払請求権が発生するという考え方などを提示しております。   資料の右側に移りますけれども、ここには親子交流に関する論点を記載しております。中間試案では親子交流に関する規律の見直しについても様々な考え方を提示しておりますけれども、例えば、養育費と同様に、親子交流の定めをすることを協議上の離婚の要件とするという考え方、あるいは、家庭裁判所が親子交流の定め等をするに当たっての考慮要素を明確化するという考え方、親子交流に特化した保全処分の規律を新たに創設するという考え方などを提示しております。   資料を更にめくっていただきまして、最後のページになりますが、4ページ目を御覧いただきたいと思います。養子制度に関する規律の見直しといたしまして、未成年者を養子とする養子縁組につき、現行法では家庭裁判所の許可が不要とされている、いわゆる連れ子養子縁組や孫養子縁組につきましても、その許可を必要とするという考え方、あるいは、養子縁組後における親権者の規律を明確化すべきであるという考え方などを提示しております。   それから、下の方でございますが、財産分与に関する規律の見直しといたしましては、家庭裁判所が財産分与に関する判断をするに当たっての考慮要素を明確化すべきであるという考え方、財産分与の請求期間を現行法の2年から3年、あるいは5年に伸長すべきであるという考え方などを提示しております。   なお、その他の論点として、例えば調停や審判における相手方の住所や収入等に関する情報を取得する手続ですとか、養育費等に関する金銭債権の民事執行において、1回の申立てにより複数の執行手続を可能とするということによって、より債権者の手続負担を軽減する方策などについても検討をしているところでございます。   以上が家族法制部会において取りまとめられました中間試案の概要でございます。  家族法制部会では、パブリックコメントの結果も踏まえまして、また、皆様の御意見も十分に伺いながら、引き続き調査審議を継続したいと考えているところでございます。   私からの御報告は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井田会長 どうもありがとうございました。ただいまの大村部会長からの審議経過報告につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。 ○富所委員 どうもありがとうございました。言わずもがなかもしれませんけれども、一言意見を申し上げさせていただきたいと思います。   この問題は今、御説明がありましたように、共同親権か単独親権かをめぐりまして賛否が割れている状況です。十分な議論が必要だと思っておりまして、まずは難しい論議に取り組んでいらっしゃる部会の皆様の御尽力に感謝を申し上げたいと思います。   親権や養育費、それから面会交流などについては、離婚した当事者間の感情のもつれから、ともすればこどもの幸せという視点が置き去りにされがちだという印象を受けています。別れた相手への不信感から、養育費を支払わないとか、面会させたくないとかという事例も珍しくありません。親権や養育費については、取ったとか取られたという言い方をよく耳にします。御存じのとおり親権は親の支配権ではなくて、こどもの利益のためにある制度であって、養育費や面会交流についても同様だと理解しています。海外では離婚に裁判所の関与を必要とするところが多いとされていますけれども、日本は当事者間の協議による離婚、協議離婚が大半を占めていて、こういう仕組みがこどものためにあるのだということが十分に理解されていない、なかなか知る機会もないのではないかと思っております。  今回、親権に関する議論が非常に世間的関心も含めて高まっています。単独か共同かという結論の如何にかかわらず、こうした制度はこどものために存在しているのだということを政府や自治体、それから、当事者からの相談に乗ることも多いであろう弁護士会、それから、もちろん我々メディアも含めてですけれども、改めて情報発信に努めていかなければいけないのではないかと思っています。   私からは以上です。 ○井田会長 ありがとうございました。貴重な御意見をいただいたと思います。   ほかに御質問、御意見はございますか。特によろしいでしょうか。   では、大村部会長、ありがとうございました。  引き続き、部会において御審議のほどをよろしくお願いいたします。   続きまして、道垣内部会長、報告者席まで御移動をお願いしたいと思います。   では、道垣内部会長、担保法制部会の御報告をお願いしたいと思います。 ○道垣内部会長 よろしくお願いいたします。担保法制部会の部会長を務めております道垣内弘人と申します。   まず、配布資料について御説明申し上げます。お手元には民4-1といたしまして「担保法制の見直しに関する中間試案」と題する資料がございまして、さらに、民4-2ということで「担保法制の見直しに関する中間試案(概要)」と題しますカラー刷りの資料がございます。本日は時間の関係もございますので、民4-2のカラー刷りの資料を使いまして、担保法制部会におけるこれまでの審議状況やその背景、中間試案の概要について御報告申し上げます。   まず、審議状況やその背景について御報告申し上げます。資料の1ページを御覧ください。担保法制の見直しに関しましては、令和3年2月に法制審議会への諮問がされた後、同年4月に担保法制部会の第1回会議が開催されました。その後、1か月におおむね1、2回のペースで会議を開催して調査審議を進めてまいりました。そして、昨年の12月6日に開催されました第29回会議におきまして、中間試案の取りまとめを行いました。中間試案につきましては、本年1月20日から3月20日までの予定でパブリックコメントの手続が実施されております。   日本の企業の資金調達においては、以前から不動産担保や個人保証を利用した融資が多用されてまいりましたが、不動産を有しない企業も増えていることや、保証人が過大な責任を負う場合があることから、それらに過度に依存しない資金調達方法を整備する必要性が指摘されております。その一つとして、動産・債権等を担保の目的とする融資が注目されてきているわけでございます。   2ページ目を御覧ください。動産や債権等を目的とする担保につきましては、設定者から債権者に財産権を移転するという形をとります譲渡担保や、商品等の売買において代金が完済されて初めて所有権が買主に移転するという旨を約定する所有権留保など、民法には直接に規定のない手法というものが発展してまいりました。これらについてはルールの形成が判例に委ねられてきたわけなのですが、判例がなくルールが不明確な点も残されております。このような状況を踏まえまして、担保法制部会におきましては、動産や債権等を目的とする担保取引に適用されるルールを明文として設けることによって、その法律関係の明確化を図り、安定性を確保するということを目的といたしまして、調査審議を行ってまいりました。   次に、中間試案の概要について御報告申し上げます。今回の中間試案で取り扱っております項目は多岐にわたりますので、ここでは幾つかの点に絞って御報告させていただきます。   まず、「1.動産・債権を目的とする担保権の実体的効力」というところなのですが、資料の3ページを御覧ください。ここに記載しました項目では、特定の動産や債権を目的とする担保取引において、担保権者と設定者のそれぞれがどのような権利義務を有するのかなどを扱っております。設定者が目的物を使用しながら担保の目的として利用するニーズに対応するため、設定者による目的物の使用収益権限を明文として規定することや、担保設定後の担保余力を活用するニーズに対応するため、順位を付けての担保の重複設定を可能とすることなどが提案されております。   次に、同じく3ページの2でございますけれども、「2 .集合動産等を目的とする担保権の実体的効力」というところですが、そこに記載した項目では、現行法の下での集合動産譲渡担保を踏まえ、動産の集合体を一括して担保の目的とすることができることを明確化すること、設定者が集合動産の構成部分を一定の範囲で処分することができること、この範囲を超えた処分が行われた場合に担保権者が採り得る手段や、第三者保護に関する規定を整備することなどが提案されております。   続きまして、「3.担保権の対抗要件及び優劣関係」というところでございますが、ここにおいては、基本的には現行法の下での譲渡担保と同様の規律内容が提案されていますが、現行法にない規律として、登記により対抗要件を備えた動産譲渡担保権が、占有改定によって対抗要件を備えた動産譲渡担保権に優先するという、言わば登記優先ルールが提案されております。これは、外部から認識することのできない公示方法であるところの占有改定によって対抗要件を具備した担保権があった場合、これを知らないで後から担保権の設定を受けた債権者の利益が害されるという指摘に対応しようとするものであります。また、現行法の下での所有権留保を第三者に対抗するために引渡し等の対抗要件具備が必要かということについては、学説上ですが、見解が分かれております。   中間試案におきましては、目的物の代金債権を担保する所有権留保とそれ以外の債権をも担保する所有権留保とを区別した上で、後者につきましては対抗要件を必要とするということが提案される一方で、前者に関しては対抗要件の要否について両案を併記するという形をとっております。さらに、動産・債権譲渡登記制度に関して、同一の動産又は債権を目的とする担保に関する権利関係を一覧的に公示する仕組みの導入などの見直しを行うことについても、引き続き検討することとされています。   資料の右側を御覧ください。「4.担保権の実行」について御説明いたします。現行法の下では、動産譲渡担保については裁判所を利用せずに実行するという私的実行が認められております。その方法として、担保権者が目的物を自己に帰属させる方法、これを帰属清算方式といいますが、これと、担保権の目的物を処分してその代金を被担保債権の弁済に充てるという処分清算方式というものがあります。そして、中間試案におきましてはそれぞれの手続を具体的に規定することが提案されています。更にそれに加えて、裁判所における競売手続も利用することができるということを明確化しようとしております。そして、担保の実行に当たり、設定者が目的物を占有している状況におきまして担保権者が目的物の価値を評価することは容易ではないということから、簡易迅速な目的物の引渡しを実現する方法を規定することが提案されておりまして、そのほかにも、集合動産譲渡担保や債権担保の実行手続を規定することがこの項目においては提案されております。   「5.担保権の倒産手続における取扱い」について御説明いたします。現行法の下での譲渡担保権者などが倒産手続において別除権者や更生担保権者として取り扱われているということを踏まえまして、この扱いを明文化した上で、さらには担保権実行手続中止命令や担保権消滅許可制度の対象とするということが提案されております。また、設定者についての再建型倒産手続開始の申立てを理由に担保権の目的物を設定者の財産から逸出させるような特約を無効とするということが提案されているほか、倒産手続が開始された後に発生、取得した財産に対する担保権の効力については、現行法の下で見解が分かれているということを踏まえまして、現時点では複数の案を併記するということになっております。   最後に、「6 .その他」について御説明いたします。近時、企業の個別財産ではなく事業そのものを評価し、そこから生まれる収益を担保価値として把握することの重要性が高まっているとの指摘があります。そのことから、事業のために一体として活用される財産全体を包括的に目的財産とする担保制度を設けるべきかどうかについては、引き続き検討するということにされています。また、動産及び債権以外の財産権を目的とする担保に関する規定や、ファイナンス・リースに関する規定、普通預金を目的とする担保の規定の要否についても引き続き検討することとされております。   以上が中間試案の概要でございます。  部会といたしましては4月以降、パブリックコメントの結果も踏まえて更に調査審議を尽くしていきたいと考えております。   以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○井田会長 どうもありがとうございました。   ただいまの道垣内部会長からの審議経過報告につきまして御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。 ○大内委員 ありがとうございます。  事業担保制度等の新しい担保権、これはスタートアップ企業などにとりまして、資金調達手段の多様化等のために大変有用であると考えておりまして、私どもとしても制度の検討をお願いしてまいったところですので、是非取組を引き続きお願いしたいと思っております。   一方で、非常に難しい問題だと思っておりますのは、企業、特に中小企業やスタートアップ企業にとりまして、ステークホルダーといいますか、実質的に与信を与えているという利害関係者は多数おりまして、労働債権といった一般の先取特権、それから、物の売買の場合につきましては動産売買の先取特権等々、実質的にそういった与信が行われることによって事業を支えているという面もあろうと思います。ですので、ミクロで一つ一つの制度を見るということも非常に重要なのですけれども、果たしてどういった制度にすることが結果的にスタートアップなどの企業に役に立つのかというのは案外難しい問題をはらんでいると思いますので、是非そうした観点を踏まえた取組をお願いしたいと思います。意見でございます。ありがとうございました。 ○井田会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。   ほかに御質問、御意見はございますか。よろしいですか。   では、道垣内会長、ありがとうございました。引き続き部会において御審議のほどをよろしくお願いいたします。   これで本日の予定は終了となりますが、ほかにこの機会に御発言いただけることがもしございましたら、お願いいたしたいと思います。特によろしいでしょうか。   ほかに御発言はないようでございますので、本日はこれで終了といたします。   本日の会議における議事録の公開方法につきましては、審議の内容等に鑑みて、議事録の発言者名を全て明らかにして公開することとしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、発言者名を全て明らかにした上で議事録を公開することといたします。   なお、本日の会議の内容につきましては後日、御発言いただいた委員等の皆様に議事録案をメール等で送付させていただき、御発言の内容を確認していただいた上で法務省のウェブサイトに公開したいと思います。   最後に、事務局から何か事務連絡がございましたら、お願いいたします。 ○竹内関係官 事務局から、次回の会議の開催予定につきまして御案内を申し上げます。   法制審議会は、2月及び9月に開催するのが通例となっております。次回の開催につきましても、現在のところは本年9月に御審議をお願いする予定でございますが、具体的な日程につきましては後日、改めて御相談させていただきたいと存じます。委員、幹事の皆様方におかれましては御多忙とは存じますが、今後の御予定につき御配意いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○井田会長 ありがとうございました。   それでは、本日の会議を終了いたします。   お忙しいところをお集まりいただき、重要な御指摘、また貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。 -了-