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総括宣言

G8司法・内務大臣会議

ミュンヘン市・2007年5月23~25日

総括宣言

我々G8各国の司法・内務担当閣僚及び検事総長並びにフラッティーニ欧州委員会副委員長は,2007年5月23日から25日,ブリギッテ・ツュプリース連邦司法大臣及びヴォルフガング・ショイブレ連邦内務大臣の招待により,ミュンヘンにおいて司法及び内務分野における重要な共通の関心事項について議論した。我々は,テロ対策及び移民統合政策に関する最近の話題のほか,知的財産権の執行のための効果的なメカニズムを含む国際組織犯罪に関する問題に焦点を当てた。

我々はまた,アフガニスタンにおける麻薬栽培及び密輸との闘いや児童の性的搾取との闘いを始め,他の多くの問題についても議論した。これらについて,我々は,本宣言のほかに,「アフガニスタンの麻薬対策」及び「児童ポルノとの国際的闘いの強化」と題する2つの宣言を発出した。

本会合には,インターポールのロナルド・ノーブル事務総長がゲストとして参加し,インターポールが現在取り組んでいるプロジェクトについての報告を行った。

総括

テロ対策

テロリストによる攻撃を防止し,個々の世界中のテロリスト・ネットワークを解体するための一致協力した努力にもかかわらず,国際テロは,全世界に脅威を与え続けている。近年における,ニューヨーク,ワシントン,マドリッド,モスクワ,ベスラン,ロンドン及び他の多くの場所での攻撃は,テロの新たな局面を明らかにし,開かれた自由な社会が特に脅威にさらされていることを示した。我々は,テロ対策への共同の取組に全精力を傾注するとともに,必要のある限り,これを強化しなければならない。この点,治安及び法執行当局間において既に行われている包括的かつ迅速な情報共有を継続することが,顕著な役割を果たす。テロリスト・ネットワークが世界的なものとなっている性質にかんがみると,このような情報共有は,市民を攻撃から効果的に保護する上で,きわめて重要である。

テロリストが,新しい通信情報技術の活用をこれまで以上に進めていることから,我々は,特に同分野における協力を更に強化する。我々は,この分野における既存の取組に加え,以下の事項に合意した。

  •  テロリストによるインターネットの利用について,知識と経験を深めること。
  •  同分野における自発的な情報共有を一層強化し,テロリストによるインターネット利用・悪用に対処するための国際協力の可能性を,更に活用すること。
  •  テロリストによるインターネットの利用に対処するための治安当局及び法執行当局の取組に対し,他の機関がこれを支援することが可能であるか,また,そのための方法について模索すること。
  •  テロリストによる他の通信情報技術及び放送システムの利用に関し,更なる協力を模索すること。
  •  G8ハイテク犯罪24時間コンタクトポイントネットワークの拡張強化を継続するとともに,各国内における利用の促進を継続すること。
  •  テロリスト目的による特定形態のインターネットの悪用につき,それぞれの国内法制の枠内で,犯罪化に向けた取組を行うこと。

効果的な治安対策は,可能な限り早い段階で,すなわちテロ組織が形成され,具体的な攻撃計画が策定されるよりも前に,動き出さなければならない。そこで我々は,一部の国内居住者が過激化・暴力化し,最終的に,いわゆる「ホーム・グロウン・テロ(国内で発生するテロリズム)」に行きつく過程について,知識と経験を深めていくことに合意した。我々は,過激化対策の持続的な成功が,治安当局単独ではなしえず,移民統合政策や,若い世代その他の脆弱なグループに対する支援を通じた市民社会の関与を始めとする,幅広い取組を必要とすることに合意する。我々はまた,国内の関連するコミュニティとの対話についてを検討し,同分野における経験を共有するよう専門家に指示することに合意した。

テロ容疑者を含む,国家の安全への脅威となる外国人の国外追放を可能とする国内的法制度は,特定の事案においては,国際人権法上の義務を完全に遵守しつつ,自国の安全を守り,テロとの闘いに協力する義務を果たすための有効なツールとなり得る。我々は,国家の安全と,安全への脅威とみなされた者の人権をともに保障する必要を踏まえつつ,効果的かつ安全な国外追放政策を立案し,実施することの困難性について議論した。我々は,近年G8の専門家によってこの分野において実施されてきた作業を基礎として,各国間における経験の更なる共有と可能な解決策の分析を促進する。

我々はまた,市場経済及び社会の生命線を構成するが故に,テロの脅威に対する特別の保護を必要とする重要エネルギーインフラの安全に対し,特別な注意を払う必要がある。我々の国民は,エネルギーの供給が確実に機能し,テロ攻撃によって影響を受けないことを期待している。そこで我々は,エネルギーインフラの脆弱性と潜在的脅威についての専門家による評価と,保安のためのベストプラクティスの共有を,継続し,強化していくことに合意した。同時に,我々は,全ての重要インフラの防護を強化するという我々のコミットメントを改めて確認する。したがって我々は,ローマ・リヨン・グループに対して,G8各国間でベストプラクティスの交換を強化しその他の重要インフラについて,同様の分析を開始することを要請する。

空中及び上空からのテロリストの脅威により効果的に対応するため,我々は航空保安の分野における協力を強化してきた。たとえば,安全で容易な海外渡航イニシアティブ(SAFTI)行動計画の成功裡策定に対するフォローアップとして,航空保安を向上させるための更なる手段を検討し,国際民間航空機構(ICAO)に対し,更なる取組の基礎として提供するための勧告やベストプラクティスを作成した。

インターポールの紛失盗難渡航文書データベースに関して,我々は,国内のパスポートデータにアクセスすることにより,同データベースへのリアルタイム接続から生じる「ヒット」の処理を支援することのできる係官を, 24時間コンタクトポイントに配置することに合意した。このことにより,同データベースは,テロリストや犯罪者が紛失盗難文書を悪用することを阻止するためのより効果的なツールとなる。

知的財産権の執行

海賊行為及び模倣行為は,イノベーションを生み出す国民経済の力を毀損する。これらは,善良な顧客を欺くものであり,健康や生命に対する危険をもたらすこともある。また,複雑な世界的犯罪ネットワークは,知的財産犯罪への関与を増大させつつある。このような理由から,海賊行為及び模倣行為との闘いは,刑事法,規制,経済政策はもとより,消費者保護の上でも,重要な要素である。

我々は,これら取組の中で,民事法が重要な役割を果たし得ることに合意する。各国は,それぞれの国内法制と整合する範囲内において,権利者が,迅速化された手続によって,権利の民事的執行を求めることができるような法制度の確立を検討すべきである。この手続は,権利者による申立てのみに基づいて,相手方当事者の意見を聴くことなく,又は,告知期間の短い聴聞手続により,決定が得られるような仕組みとすることが考えられる。また,当該手続に基づく裁判所の決定は,原則として,即日執行可能とすべきである。他方で,相手方当事者は,このような迅速化された手続の悪用から保護されなければならない。

刑事法による執行も,知的財産権の保護に重要な役割を果たす。最も悪質な部類の侵害事案においては,刑事法の役割は特に大きい。侵害行為の内容及び有責性の程度に見合った刑罰を科すことが可能でなければならないし,また,実際に科されなければならない。法執行機関に対しては,知的財産保護上の問題に関して,十分な訓練が行われるべきである。また,知的財産権犯罪の世界的性質にかんがみると,海賊版や模倣品と闘うために法執行当局が情報を共有し,国境を越えた協力的な捜査を展開するための効果的な方法がなければならないことにつき,我々は合意する。この点に関し,我々の専門家は「深刻かつ組織的な知的財産権犯罪の協力的な捜査・訴追のための原則と勧告」を作成し,また,このような事案における国際協力を促進するため,各国のコンタクトポイントを特定した。我々は,この作業を支持し,国際的な知的財産犯罪への取組の継続と強化に合意する。

民事法及び刑事法による執行が重要な役割を果たしていることから,我々は,知的財産権の効果的な執行を促進する目的で民事法及び刑事法を活用することに関心を有する発展途上国及び新興工業国を支援する計画の作成を支持する。

児童の性的搾取との闘い

我々は,児童と性的行為に及ぶ目的で,母国から他国に渡航する者によって敢行される児童の性的搾取と闘うための我々の努力について議論した。残念ながら,渡航先国の多くは,この問題について国内において精力的に取り組むために必要な法律やリソースを欠いている。それゆえ,世界中の児童を効果的に守るには,G8各国を含む母国側の行動が不可欠である。

児童の性的搾取や児童買春ツアーが全世界的に増加してきたことから,G8各国の多くは,児童の性的搾取を取り締まる新たな法律を制定してきた。現在,G8各国はすべて,自国民が海外で犯した児童の性的搾取を処罰するための国外犯規定を有している。また,G8各国の多くは,当該行為が渡航先国において犯罪を構成するか否かに関わりなく,自国民を児童買春ツアーに関する行為によって訴追することが可能である。

我々は,児童買春ツアーの訴追を可能とするこの権限の活用を促進する緊急の必要性について議論した。我々は,児童を搾取する者は,その国籍に関わりなく,母国又は渡航先国のいずれかにおいて,責任追及を受けるべきことに合意する。我々は本日,この憎むべき犯罪に対する取組から得られた経験と教訓,並びに,このような事件の捜査及び訴追を成功させるための戦術と戦略を議論した専門家作成の文書を発出する。これらの戦略は,渡航先国の当局との確固たる連携の確立から,母国の法廷において使用し得る証拠を入手するための最適な手法にまでわたっている。旅行業界と協力して,母国の刑事法が及ぶことをこうしたツアーの典型的な渡航先国への旅行者に周知させたり,児童との性的行為が,国内においても海外においても違法であることについて,母国政府が積極的に広報啓発を行うなど,予防的対策も重要である。国際的なレベルにおける児童の性的搾取との闘いは,広範囲かつ協調した行動によってのみ効果を上げることができるのであるから,我々は,渡航する性犯罪者の母国となり得る全ての国が,同様の手段を講じることを希望する。

買春旅行者の需要が,被害児童の供給を促している。渡航者の母国は,この需要を抑止するとともに,これらの犯罪行為を十分に捜査し訴追するための効果的かつ応答性の高い措置を取ることによって,性的搾取を防止する重要な役割を負っている。児童との性的行為を目的とした渡航を阻止することに成功すれば,売春その他の商業的な性的搾取を強いられる児童を減らすことができる。

それゆえ我々は,児童を性的搾取から保護するための包括的な条約の起草に向け,近時,欧州委員会において行われている努力を支持し,同条約の交渉に参画する各国が,その完成と採択に貢献することを促す。

我々は,「児童ポルノに対する国際的闘いの強化」と題した別個の宣言において,これらの重大な犯罪を予防し,捜査,訴追する能力を向上させていくことを誓った。我々は,ローマ・リヨン・グループに対し,インターネット・サービス・プロバイダとの協力による方法を含め,いかにして児童ポルノを発見し,その拡散を防止していくかについて,専門家間の対話を促進するように求める。

さらに,我々は,性的搾取の目的で児童が誘拐されているという懸念に接した。我々は,ローマ・リヨン・グループに対して,そのような犯罪の発見と予防について専門家の知識を集約し,取るべき適切な予防的手段があるかどうかを検討するように求める。

財産回復

我々は,ローマ・リヨン・グループによる,腐敗収益の回復に関する2004年イニシアティブの実施に関する報告を歓迎する。繰り返し主張してきたように,国際協力は,腐敗に対する我々の闘いの重要な要素であり,G8各国は,国連腐敗防止条約を支持し,条約規定を実際の行動に移すことについてコミットしている。我々が,財産回復地域ワークショップを通じて提供してきた支援は一例に過ぎず,メンバー国は,腐敗した公務員によって不正に持ち出された財産の凍結又は没収を求める国に対して,個別又は共同の支援の提供を継続する。本日,我々は,没収された大規模な腐敗の収益の処分及び移転を容易にするための原則と手続きを概観するものや,財産回復に対するある種の障害を克服する方法を検討するものなど,我々の指示により専門家が準備したいくつかの文書を発出する。これらの文書及びローマ・リヨン・グループの報告は,腐敗収益の回復を容易にするために我々が取ってきた重要なステップや,我々が提供できる経験を明らかにするものである。

腐敗との戦いや,法制度へのグッド・ガバナンスの導入の経験を有する国は,そのような経験を必要とする国に対して技術的な支援を提供することで,国際的な安全保障に寄与する。国連腐敗防止条約は,腐敗との闘いにおける技術支援に組み入れるべきメカニズムを規定しており,我々は,そのような支援の提供を促進するため,締約国会合とUNODCが進めている作業を支持する。UNDP-POGAR(国連開発計画(UNDP)による「アラブ諸国における腐敗対策及び法整備支援プロジェクト」)やOECDなど,国連腐敗防止条約の実施その他のガバナンス問題に関して地域レベルで活動する組織もまた,有用な役割を果たすことができる。我々は,各国に対して,この種の政府間イニシアティブへの貢献を検討するように求める。また,各国の貢献の効果を最大化するため,支援提供国及びUNODCの双方に対し,国際組織犯罪防止条約及び付属議定書に基づく技術支援との相互補完性を確保する措置を取るよう求める。

移民の統合

グローバル化及び世界の特定地域における人口統計的発展にかんがみると,大規模かつ持続的な人の移動という現象は,その重要性を引き続き増加させていくものと考えられる。統合がうまくいかない場合,移民は受入側社会の一体性と治安にとって問題となる。

統合の成功は,移民の参加意志にかかっている。彼らは,社会に融和するように努めるべきであり,原則として出国に先立って受入国の言語を習得し,また,教育を修了するよう努めなければならない。同時に,受入国の政府,コミュニティ,民間団体そして個々の市民も,統合を促進するために果たすべき役割を持っている。統合の成功には,受入国の側にも,合法的な移民を歓迎し,彼らを差別から保護して,社会的・経済的な枠組への受入れを促進する意志が必要である。

我々は,移民プロセス管理は,出発国及び経由国との協働と協力によってのみ成功しうることに同意する。例えば,循環移民によりもたらされる潜在的な利点を活用するなど,開発政策と移民政策をより緊密に連携させることは,移民の母国の発展に寄与する一方で,不法移民の減少や頭脳流出の抑制にもつながる。

我々は,統合の進展に関する情報を交換し,統合に関する共通の関心事項の検討を継続し,第三国との協力に基づく不法移民に対する協働した取組の可能性及び戦略を模索し,また,一時的な移民に関する異なる政策や経験を議論するに当たって,G8が有益なフォーラムであると確信する。そこで我々は,専門家に対し,これらの問題を引き続き取り扱うよう求めることに合意した。

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