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最終宣言

G8司法・内務大臣会議
最終宣言(仮訳)
(ローマ、2009年5月30日)

前文

 2009年5月29日及び30日に、ローマで開催されたG8司法・内務大臣会議において、我々司法・内務大臣は、欧州委員会副委員長と共に、司法・内務の分野においてG8が共通の関心を有する数々の問題を協議した。現欧州連合議長国の大臣、INTERPOL(国際刑事警察機構)、UNODC(国連薬物犯罪事務所)及びUNICRI(国連地域間犯罪司法研究所)も会議に出席した。


我々は、国際テロ及び国際組織犯罪との闘いに関する戦略的に重要な課題に焦点を当て、組織犯罪との闘いにおいて極めて重要な手法は、没収その他犯罪収益に着目したアプローチによって犯罪組織から犯罪収益をはく奪することであるとの結論に達した。我々は、相互に依存した世界において、重要インフラ施設を防護することが重要であることについても強調した。


我々は、ジョバンニ・ファルコーネ判事の人柄と理念を追想することを目的とした特別行事を開催した。彼の識見は、国際組織犯罪と闘うためのパレルモ条約に深く反映されている。


我々は、増加する海賊による被害(特にソマリア沖におけるもの)について協議した。


我々は、採り得る介入策を分析することによって、人身取引及び密入国の事象について検討した。また、合法移民の有益性を認識しつつ、移民の統合という課題についても検討した。


我々が協議したその他の議題には、サイバー犯罪や児童ポルノ対策が含まれる。児童ポルノとの闘いに関しては、本宣言とは別に「児童ポルノ犯罪者によって脅かされる児童に対する危険性」と題する独立した宣言を採択することで、その闘いの緊急性及び重要性を強調した。


我々は、また、各国がますます対応を求められている新しい「世界的なセキュリティの問題」として、都市におけるセキュリティ問題について分析した。

結論

テロ対策

我々G8司法・内務大臣は、各国がテロとの闘いのためにとるいかなる措置も国際法、特に人権法、難民法及び人道法における義務に従うものであることを確保しなければならないことを再確認しつつ、あらゆるテロ行為に対し、その動機や、いつ、誰が行ったかにかかわりなく、再度強く非難する。


我々は、国際社会によって報告された努力と成功にもかかわらず、テロがいまだ国際の安全にとって最も深刻な脅威の一つであることも認識している。


我々の脅威評価によると、国際テロリスト・グループは強力な攻撃能力を維持しており、その構造や作戦上のモデルを異なる状況に適合させる点において、極めて組織的に柔軟であることを示していることが明らかとなっている。


国際テロを引き起こす過激化及びリクルートを継続する能力は、重大な懸念要因である。


これらの事象に対抗するための最善の防御は予防である。そのために我々は、過激化の受け手や、暴力的過激主義の拡大に用いられる経路に関する知識を広げ、共有する必要がある。


これを行うためには、テロ組織が、過激化させ、リクルートを行い、又は犯罪行為を計画するときに利用する活動や通信を、国内での監視に関する法の許す範囲内において、監視することが必要である。特に、我々は、テロリストによるインターネット利用に焦点を当て続ける必要がある。


G8各国間におけるテロ対策に関する協力は不可欠であり、また、共同の脅威評価や知識・ベストプラクティスの交換など新しく、且つ十分確立した仕組みによって協力関係の強化と、さらなる発展を継続することが重要である。


この分野における国際協力の重要な目的は、テロ資金供与の経路の遮断について、FATFのテロ資金対策特別勧告の実施により、関係国内法の許す範囲内においてオペレーション上の情報交換を行うことである。さらに、新たな形態によるテロ活動資金の供与についての研究、テロリストの機動力への対策、重要な社会インフラとすべての交通手段の脆弱性の最小化と回復力の向上、テロ目的によるサイバー空間の悪用の阻止、及び化学・生物・放射性物質・核(CBRN)によるテロを防止することが重要である。


特に、我々は、相互依存関係が深まっていることから、産業や社会が依存する重要な社会インフラを守るため、さらなる協力が必要であることを認識している。我々の専門家によるエネルギー及び化学インフラに関する最近の研究は、我々の知識をさらに深めることに資する重要な一歩を記すものであり、また、我々は、ローマ/リヨン・グループの専門家がこの研究を継続することを要請する。
我々は、基本的人権及び法の支配の尊重に反しない予防措置を含むテロ対策措置を策定することの重要性を強調した。


テロとの闘いが、基本的人権の保護についての国際基準をより広範に遵守することを通じて強化され得るという事実を十分認識しつつ、我々は、第三国において法執行と司法能力を強化し、人権を保護することに役立つ積極的なキャパシティ・ビルディングに尽力することの重要性について合意した。


テロリストが我々の社会に突きつけた問題に対処するには、予防だけでは十分ではない。法の支配を十分に尊重した刑事手続により、有罪と判明した者に対し、効果的で、抑止力があり、かつ、行為に見合った刑罰が科されるべきである。我々は、テロリストや関連する犯罪を行う者の捜査及び訴追において、国家安全情報を共有し、保護するための2004年以来の我々の勧告を完全に実施するコミットメントを刷新する。

国際組織犯罪

我々、G8司法・内務担当大臣は、国際組織犯罪が国家の安全と国際的な安定に対する脅威であると考える。国際組織犯罪は法の支配を蝕み、経済に悪影響を及ぼす。


国際犯罪からくる脅威についての分析は、薬物取引、武器密輸、人身取引の世界的な広がりとともに、マネー・ローンダリングが増加しており、知的財産権の侵害が蔓延していることを示している。


我々は、国際犯罪と国際テロとの間に存在し得る結びつきを注意深く監視する必要があることについて再確認する。


我々は、最近の海賊の急増に懸念を表明した。各国は、海賊と闘うことを決意している。我々は、海賊行為の捜査及び訴追に伴う法的課題について検討した。我々は、これが専門家によるさらなる研究を必要とするものであると認識し、「海賊との闘い」と題する独立した宣言を採択した。


今日、国際組織犯罪からくる脅威は、従来にも増して、広がり、複雑化している。その結果として、これと効果的に闘うために優先事項として、国際協力をさらに強化することが、より一層必要である。この観点から、我々は、組織犯罪に関して、ローマ/リヨン・グループに、より改善された戦略的な方向性を与えるため、「G8脅威評価:国際組織犯罪からのG8各国に対する脅威」プロジェクトを活用することを決定した。


国際社会は、パレルモ条約(国際組織犯罪防止条約)及びその補足議定書によって、国際組織犯罪に対する闘いの重要な第一歩を踏み出しており、同条約等のさらなる実施が支持されるべきである。この観点から、G8は、国際組織犯罪防止条約の次回締約国会議に積極的に参加すること及びその完全な実施に向けてUNODCとともに努力することを奨励した。


G8司法・内務大臣として、我々は、国際組織犯罪の防止及びこれとの闘いにおける、UNODC、UNICRI及びINTERPOLの重要な貢献と、様々な国に対する支援における、それら機関の役割を認識する。


我々の検討の重要なポイントは、組織犯罪との闘いにおいて極めて重要な手法は、犯罪収益に着目したアプローチをとり犯罪組織から犯罪収益をはく奪することであるとの結論に達したことである。


そのような犯罪収益は、犯罪組織に資産の安全な隠匿先を与えないように、その資産の所在や架空の所有権にかかわらず、探知し、押収し、没収し得ることが重要である。この点については、法的共助の分野における国際協力が重要な役割を果たし得るものであり、このような国際協力は、可能な限り広範なものであることが奨励されるべきである。


我々は、G8ローマ/リヨン・グループにより組織された、多額の現金の密輸出入を発見・阻止する画期的な多国間演習である「マンティス作戦」の成功を強調する。司法・内務担当大臣として、我々は、この成功に勇気付けられ、今後この経験を発展させることを期待する。


一部の国における成功事例を踏まえると、犯罪組織からはく奪した資産を社会的利益及び特に治安確保のために用いることは、国家にとって一つの選択肢たりうる。このような資産の活用は、犯罪を予防し、これと闘うための十分な資金を国家に与えうるものであり、さらに、法規範が社会的に受け入れられる(「法遵守の文化」)上で、そして、法制度に対する国民の信頼を回復する上で、大きな影響がある。


我々は、この議論の法律上、運用上及び管理上の側面について専門的知識を深めることを決定した。我々は、専門家に対し、追加的な作業が、特に発展途上国との関係も含め、外国の有罪判決に基づく没収命令及び有罪判決に基づかない没収命令の執行に関する国際協力を行う能力を強化するかどうか検討することを要請する。

児童ポルノ

児童の性的搾取は、恥ずべき犯罪である上に、基本的人権の重大な侵害である。


G8司法・内務担当大臣として、我々は、「性犯罪目的の旅行者」を含むあらゆる形態の児童の性的搾取及びインターネット上の児童ポルノの蔓延を断固として非難する。


性的搾取及び性的虐待からの児童の保護に関する欧州評議会条約の批准を検討することは重要である。


この分野におけるG8の協力は十分確立されており、我々は、より効果的にこの卑劣な事象と闘うことができる。


我々は、ローマ/リヨン・グループの専門家によるこの分野のG8イニシアティブ及びプロジェクトを評価する。これらには、「G8児童性犯罪指名手配者」ウェブサイトや、「性犯罪目的の旅行者」を阻止し訴追する取組のほか、ノースカロライナ大学チャペルヒル校において開催された児童の性的搾取に関する先般の国際研究シンポジウムが含まれる。これらのイニシアティブは、こうした被害を防止し、闘う能力を強化するものであり、我々は、これらをさらに発展させることが重要であると考える。


技術革新の継続的な進展によって、特に法規制及び検挙活動に関して、この分野における国際協力の在り方を改善する余地が一層大きくなる。


我々は、特に、我々の多様な法制度の下において適切である場合には、児童性愛サイトの閲覧を阻止することを目的として児童ポルノを含むサイトのブラックリストの創設や、児童ポルノの報告を増加させるための方策を採ることなどの積極的な方策について、検討が行われるべきと考える。このブラックリストは、何らかの国際機関等によって運営され更新・普及されうるとともに、適切な国内機関によって、所要の調整が施され、用いられうる。


効果的な国際協力は、多国間タスクフォースへの多くの参加や、専門的なソフトウェアの共有、さらにはオンライン上のおとり捜査及びその他の国際的な法執行活動の緊密な連携を通して成し遂げられるだろう。


したがって、専門家に対し、我々は、上に述べたような国際協力のための仕組みの実施に関する様々な側面を研究することを奨励する。


オンライン上及びオフライン上の児童ポルノと闘うために共に努力することの重要性を認識しつつ、我々は、本宣言とは別に「児童ポルノ犯罪者によって脅かされる児童に対する危険性」と題する独立した宣言を採択した上、児童ポルノ、特にインターネット上の児童ポルノと闘うため、ともに取り組み続けるという我々のコミットメントを再確認する。

サイバー犯罪とサイバー・セキュリティ

広範囲の犯罪にわたるサイバー犯罪の危険性は、技術進歩の速度と歩調を合わせて増大している。

 

憂慮すべき事態の一つは、ID詐欺が世界的に増加していることであり、これは、個人の財産及び身体の安全を脅かし、国家の安全に対する努力を損なうものである。我々は、ローマ/リヨン・グループの専門家が今年初めに国連犯罪防止・刑事司法委員会に提出した、この議題に関する実用的なガイダンスを賞賛する。

 

ソーシャル・ネットワークや、暗号化サービス、VoIPサービス、ドメイン・ネーム・システム(DNS)の犯罪目的の利用、情報システムに対するその他の新たな、かつ進歩した犯罪的攻撃は、法執行機関の能力に対してますます課題をつきつけるとともに、それらの攻撃は拡大している。

 

我々は、これらの脅威に対処するためには、最も脆弱な社会階層、特に若者と年配者を含むインターネット利用者の権利を尊重しつつ、捜査においてインターネット上の活動を追跡するため、プロバイダと法執行機関との協働を改善させることが不可欠であると信じる。各国が技術的に進んだ対応をとり、G8の24時間ハイテク犯罪コンタクト・ポイントのような既存の国際協力の枠組みを強化することが不可欠である。

 

我々は、24時間コンタクトポイント・ネットワーク「訓練会議」などこの分野における捜査メカニズムを強化することの重要性を認識し、更なるセッションを企画するというイタリアの提案を歓迎する。さらに、2005年に英国が議長国の際に設立されたメリディアン・プロセスとその会議への参加を含め、G8各国によるサイバー犯罪に関する幅広い協働を奨励する。

 

したがって、我々は、法執行機関の間の国際協力を強化し、政府と民間部門(プロバイダやコンピュータ緊急対策チームを含む。)とのパートナーシップを促進することを継続するのであれば、所要の解決策を見いだすことにコミットする。さらに、G8各国は、国境を越えるサイバー犯罪捜査の分野において、協力の強化を継続すべきである。現在、G8各国は、この分野における経験について調査・要約を行い、G8及び、可能であればG8を超えて使用される一連の実用的な勧告を特定することを目的として、多段階イニシアティブ「国境を越えるサイバー犯罪捜査」の実施について取り組んでいるところである。このプロジェクトが成功すれば、サイバー犯罪捜査を行う法執行機関同士の一層効果的な情報交換と実践的な協力が促進されるであろう。

人身取引、不法移民、合法移民の統合

司法・内務担当大臣として、我々は、人身取引が基本的人権の重大な侵害であるとして強く非難するとともに、この分野において活動し巨大な利益を得ている犯罪組織と闘い、テロ組織と結びつく可能性を阻止することを決意するものである。


我々は、国際犯罪組織を潤し、合法移民の統合を妨げる不法移民及び密入国と闘うという共通のコミットメントを再確認する。


我々は、移民をより発展した国へ向かわせる圧力を増加させる現在の国際金融危機に対し、懸念を表明する。


この状況に対応するため、我々のこれまでの検討と経験を踏まえ、不法移民の防止と対抗策を改善しつつ、国際協力を強化していくことが必要である。


不法移民の出発地と経由地となる国に対して、特別な注意が払われるべきである。


渡航文書の不正使用の発見及び防止は、引き続き優先事項とされなければならない。我々は、機械読取式旅券が世界の安全に対して重要な寄与をしていることを認める。したがって、我々は、国際民間航空機関(ICAO)の締約国であって、現在、機械読取式旅券を発給していないすべての国に対し、2010年4月1日から規格に合った機械読取式旅券を発給することをすべての国に求めるとした、2005年に承認されたICAOの要件に適合するために、すべての適切な行動をとることを奨励する。
ICAOの推奨事項に沿って、すべての非機械読取式旅券は、遅くとも2015年4月1日に失効されるべきである。


IC旅券(eパスポート)が、新たなセキュリティ能力の向上に資するためには、互換性が不可欠である。我々は、すべての国に対し、IC旅券のチップの中の情報が真正であることを確かめること、及び国内法が許す場合は、国際民間航空機関公開鍵ディレクトリ(ICAO・PKD)を使用することを要請する。G8は、IC旅券を発給又は発給を予定する締約国やIC旅券を自動的にチェックする国境管理を実行している締約国がICAO・PKDに参加すべきであるというICAOの推奨事項を全面的に支持する。


G8は、既存の国際約束(人身取引議定書及び密入国議定書)の可能な限り広範な締結と履行を奨励し、これらの国際約束を完全に履行するために必要な能力を第三国が身につける技術支援をすることについてコミットする。


合法的移住には、移民の統合を助長する措置が伴わなければならず、また、移民コミュニティに対して支援活動を増大させることは、移民受入れ国と移民の双方に利益をもたらすであろう。


このため、我々は、合法的移民の管理及び統合政策における経験とベストプラクティスの共有を前向きに捉え、現在までに行われた活動を継続するというコミットメントを再確認する。

都市におけるセキュリティ

都市におけるセキュリティの問題は、国家政策における重要性を増しつつあり、また、国内の治安や人々の生活の質に対して直接的な影響を与えるものである。


これは、先進国と発展途上国に共通の問題となっている。


都市が安全でないことは、特に最も脆弱な社会階層に影響を及ぼし、移民の統合を阻害する。


さらに、都市の荒廃は、街頭犯罪と組織犯罪が結びつきを強め、様々な形態の暴力が増長しやすい環境を与え得る。


都市は、グローバル社会における極めて重要な新しい活動拠点であることから、テロ攻撃の標的でもあることは見落とされるべきではない。例えば、都市は、現代のあらゆる形態の交通手段がもたらす相互連結に基づいて繁栄している。したがって、我々は、新たな脅威を調査すると同時に、既知の脅威、特に爆発物から乗客や貨物を守るため、ベストプラクティスを共有し、共通の基準を推し進めることに専念し続けなければならない。


都市におけるセキュリティの問題について、我々は、それぞれの経験を比較し、そしてG8では初めて、この分野における国際協力を発展させることの有用性について認識を共有した。


我々は、安全政策の進展にあたり、特に、公共機関との密接な関与を通じて法遵守の文化を育成し、民主主義を促進する一助となることから、地域コミュニティを関与させることの効果を再確認する。


都市におけるセキュリティの管理については、すべての機関、特にこの分野において中心的役割を担う地方自治体との協働による努力が必要である。


我々は、ローマ/リヨン・グループの専門家に対し、より深刻な形態の犯罪とのつながりの可能性を含め、都市における治安悪化の動向について調査し、適切に国際協力の調整を行うよう検討することを要請する。

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