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大臣就任に当たっての葉梨法務大臣訓示


大臣就任に当たっての葉梨法務大臣訓示の様子

令和4年8月12日(金)

 この度、法務大臣を拝命しました葉梨康弘です。
 御案内のように、私はこれまで、法務副大臣を2期、衆議院法務委員長を2期、さらに法務委員会筆頭理事を2期、それぞれ務めてまいりました。また、警察庁の係長時代には、赤煉瓦庁舎で法案の罰則協議を行ったこともあります。また、少年課理事官当時は少年法の改正、少年の更生、児童買春・児童ポルノ禁止法の立案等の課題で、法務省の皆様と密接な連携を図ってきましたので、皆様とのお付き合いは、かれこれ既に40年近くになります。
 この間私が感じたのは、法務省が大きく変わってきたということです。
 かつて基本法の体系を墨守し、執行面においても前例を踏襲するという印象のあった法務省は、この20年間、大きな変貌を遂げました。
 すなわち、本格的な人口減少時代に突入し、我が国の国力低下が危惧される中、国際化に対応し、時代に即応した法務・司法制度や誰一人取り残されない社会の実現は、喫緊の課題となっています。
 このため、刑事、民事、訟務、人権、矯正、保護、入管、公安調査など全ての部局で、制度・組織・運用の大幅な変更が行われてきました。国際化への対応も格段に進みました。
 この間の皆様の御努力に、改めて敬意を表させていただきます。
 そして、現在法務省が進めようとしている、共生社会の実現、困難を抱える方々への取組の推進、時代に即した法務・司法制度の実現、国際化・国際貢献の推進という4つの柱も、このような文脈の中で捉えることができます。
 私は、これまでの志をしっかりと引き継ぎながら、国家国民のための法務行政実現のため、全身全霊で取り組んでまいります。
 加えて、一昨日岸田総理から指示された6点の課題について、皆様と共有したいと思います。
 総理指示の内容ですが、第1は「国民から信頼される司法制度改革の推進」、第2は「個別法での人権救済による差別や虐待の解消」、第3は「『世界一安全な国、日本』をつくるための再犯防止をはじめとした総合的な施策の推進」、第4は「領土・領海・領空に係る情報収集と即応体制の確立」、第5は「円滑な外国人材受け入れの運用整備と今後の制度の検討」、第6は「ポストコロナの観光立国創造のための入国管理の実現」です。
 これらの課題はいずれも、これまでの法務行政の方向性と合致するものです。そして、現下の我が国が直面する課題にも直結するものです。皆様とともに知恵を出しながら、精力的に取り組んでまいりましょう。
 さて、法務省はよく、「国民の安全・安心を守り、国民生活の土台づくりに携わる重責を担っている。」と言われます。まさにそのとおりです。
 ここで忘れてはならないことは、法務省には、この重責を果たすため、「執行」と「企画」の両部門が共存しているということです。
 これまでの累次の法改正やこれから行わなければならない改革を考えるとき、執行部門、すなわち現場の強化は喫緊の課題です。
 現場が制度改正などについて行けず、消化不良を起こす事態は絶対に起こしてはなりません。
 そのためにも、本省にあっては、現場の体制増強や勤務環境の改善、教育訓練の充実などに尽力していただくとともに、各級幹部職員には、指揮官としての責任を再認識し、風通しの良い職場作りに意を用いていただきたいと思います。
 その際重要となるのが、特に都道府県レベルにおける「チーム法務省」としての各出先機関の連携です。
 私は副大臣時代、各県を訪れ、地方機関の連携を図るようお願いしてきました。
 例えばある県では、被害相談や所有者不明土地の探索を担当する法務局の職員に、地方検察庁での1日研修を受けさせることとするような事例も出てきました。これは、「人権相談が複雑化し、登記の運用も大きく変わる。どうしたら良いのか。」という法務局の問いかけに対し、「地検での調査のやり方も勉強してみたら。」という私の発言がきっかけになったものです。
 現場は、「新しい制度にどう対応していったら良いのか。」といった悩みを、部局を問わず抱えています。
 でもそれは、これまで専門性が垣根となってなかなか連携できなかった私たちの組織を大きく変えるチャンスだと考えています。
 皆様、今こそ「チーム法務省」を作る好機です。共に現場力の強化のため、全力を挙げていこうではありませんか。
 私も、新たに就任する副大臣・政務官と分担して、積極的に全国行脚をさせていただきます。
 また、法務省は、安全・安心や国民生活の土台となる法制度の企画部門を担っています。
 例えば、先ほどの総理指示の関係では、送還忌避・長期収容問題や、真に庇護すべき者の保護の問題の解決を図ることとされています。これは大変重要な課題で、法制度としてどのような対応ができるか、早急に検討していかなければなりません。
 そして、これ以外にも、法制度面で対応しなければならない課題は、多岐にわたります。
 その際留意していただきたいことを2点申し上げます。
 第1は、国民のための政策作りということです。皆様には、国民にとって使い勝手が良く、我が国の活力を高めるような法制度の在り方は何かということを常に念頭に置いて、企画立案に当たっていただきたいと思います。
 第2は、国民の理解と信頼の醸成ということです。法務省の所管法令は、他の省庁と比べ、国民全ての生活に関わるものも多く、国民のコンセンサスをどのように形成していくかということが、法制度整備の重要な鍵になります。
 このような点に意を用いつつ、私たちは、スピード感とバランス感覚を持って、今後の我が国の骨組み作りに当たっていかなければなりません。
 是非一緒に頑張ってまいりましょう。
 以上、私の所信の一旦を申し述べましたが、私たちの前には、まだまだ多くの課題が山積しています。
 これらの課題に対処するためには、私も含めた一人一人の職員が、誇りと使命感を持って、職責を全うしていくことが求められます。
 そのためにも、先にも述べたように、特に幹部職員が、風通しの良い良好な職場環境作りに取り組んでいくことが大切です。
 その上で、私たちは心を一つにして、一つ一つの課題に真摯に取り組んで行こうではありませんか。
 今後の「チーム法務省」の活躍を大いに期待して、私の訓示といたします。
(以上)