法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年4月9日(金)
名張毒ぶどう酒事件の最高裁判所決定に関する質疑
【記者】
先日の名張毒ぶどう酒事件の関係で,最高裁判所の決定で審理が高等裁判所に差し戻されました。足利事件で再審の無罪が確定し,布川事件の再審開始決定がされた中で,確定判決に対して慎重な流れがこのところ見えるような状況なのですけれども,その現状をどのように御覧になっているかという点と,名張毒ぶどう酒事件で捜査段階での自白の信用性が揺らぐような状況になりつつあるのですけれども,可視化が改めて自白の信用性,任意性を高めるために役に立つのかどうかと,逆に捜査を萎縮させることにならないかという観点から可視化についても一言御見解をいただければと思います。
【大臣】
今回の名張毒ぶどう酒事件の最高裁判所の決定については,私も承知をしていますが,最高裁判所の個別の御判断について,私から何か申し上げることは差し控えるべきであろうと思っています。いずれにいたしましても,足利事件等も踏まえて,検察官の会同の折,あるいは,その他指示をするときに,やはり捜査の適正についてきちっと改めて認識をし,そして心するようにと,こういうことを申し上げているところでして,それを受けて,今後も捜査の適正には万全を期してやっていくものだと確信をしています。それから,取調べの可視化については,この問題とはまた別にして,必要性を十分に考えており,実現をするためのいろいろな勉強や検討をしているという段階ですので,できるだけ早期に取りまとめをして,国会等で皆様に御報告,御提起をすることができるようにしていきたいと思っています。
人名用漢字に関する質疑
【記者】
自分の娘に「玻南」というやや難しい漢字を使って名前をつけようとした両親が提出した出生届を役所で受理されなかったことについて裁判所に不服を申し立てたところ,最高裁判所でそれが棄却されて,結果的に名前をひらがな表記にした出生届を届け出るという事案が昨日明らかになったのですけれども,結局,やや難しい漢字での届出を受け付けるかどうかというのは,裁判所によって判断が分かれている現状があったり,あるいは人名漢字でどういう漢字を使えるのかというのは,法務省令で定められているという部分があるようですけれども,その辺の現状と,法務省令の今後の在り方について,大臣のお考えがもしあれば御見解をお願いします。
【大臣】
名前に関わる字というのはどのくらいあって,どのようなものかというのは大変難しいことだと思います。ただ,名前に使うことのできる文字については,常用漢字の様々な増加なども念頭に置きつつ,裁判所の御指摘も含めながら,増加させている状況です。ちなみに私も改めて調べましたら,常用漢字が1945字,戸籍で使える名前としては常用漢字を含め2930字ということで,かなりいろいろな御指摘を含めて,できるだけ使えるようにしていくということにはなっています。これからもいろいろな常用漢字の変化とか,そのときの国民の皆様がよく分かっていて,お互い確認しあえるとか,御本人の不利益にならないとか,いろいろなことを考慮しつつ,今後もきちっと適宜適切に節目節目で対応をしていくことになると思っています。
政務三役会議の議事概要公表に関する質疑
【記者】
内閣府の方なんですが,枝野大臣が,政務三役会議の議事概要を公表するというふうに先日から発表されておりまして,報道によると,2日分から,本日,公表を始めるということなのですが,そのことに対するお考えと,法務省として同じような対応をとられるお考えがあるのかどうかをお伺いしたいのですが。
【大臣】
これは枝野大臣の方でそのような対応をされるというお考えであることは承知しています。私どもの方でどのような形をとっていくのかということは,これからまた考えていきたいと思っております。ただ,決して閉鎖的にやろうという気持ちがあるわけではなく,頻繁にやっておりますのでどうしましょうという段階です。
事業仕分けに関する質疑
【記者】
今月下旬にも第二陣の事業仕分けが始まるとの報道がなされておりますが,法務省の所管法人は特に挙がっていなかったと思うのですけれども,こういった事業仕分けが行われることについての受け止めと,省内でもそうした,いろいろな事業の見直しを行うことについて,大臣は現段階でどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
本当に必要なものをきちっと残し,そして,本当に不要だと思われるようなことを適切に変えていくということは大事なことだろうと思います。そういう意味では事業仕分けという形できちっと,多くの国民の皆様に分かっていただく行政運営ができるということが望ましいものだと思っています。省内でもできる限り自ら点検しようということで,いろいろ関係のところの実情などを私たちも検討しているところでして,事業仕分けということでやっていくというのみならず,自ら管轄のところについて十分に点検を行って,そして,本当に必要な行政が滞ることがなきようきちっと対応をしていきたいと思っています。
中国の死刑執行に関する質疑
【記者】
中国での邦人の死刑の執行について,今日にも3人また執行されそうだということですけれども,改めて受け止め,例えば抗議をなさる意思があるのかどうか,付け加えて,死刑廃止議連のほうが政府が強く抗議できないのは日本に死刑制度があるからだというふうに言っているのですけれども,大臣は普段議論の場を起こしたいと,議論をして欲しいというふうにおっしゃっていますけれども,中国での死刑執行を受けて,大臣として議論の場を設けたいとか,あるいはどこかでやって欲しいというような思いがあるかどうか,この二点をお伺いできますか。
【大臣】
中国での死刑の執行については,政府として総理大臣等がコメントをされております。そういう意味では日本の政府として一定の考え方を示して中国にも伝えているという状況であろうと思いますので,私のほうから個別に何か抗議をするとか,中国に対してものを申し上げるとかという立場にはないと思っています。それぞれの国の制度ということになりますので,私から何かおかしいとか,なかなか申し上げる問題ではないと思いますが,ただかなり,司法制度,それから刑事手続とか刑罰法規が日本と,それから諸外国とまた違ったものを持っておられるということは言えるのだろうと思います。そういう意味ではその違いというものを踏まえて,私たちも冷静に考えていく必要があるのだろうと思いますが,ただ違いがあるだけに日本の多くの皆様が違和感といいますか,それから何か反発のようなものを感じられることがあるのかなと思いますし,そういうところは日中の関係を考えたときに懸念されるところではないかと,中国もそういうところは少し考えていただけると良かったのではないかとは思いますが,それぞれの制度の中での話ですのでなかなか難しいことだと思います。二点目ですけれども,これは中国が云々ということは別に,私も常日頃から申し上げていますように,国民的な様々な議論とかあるいは納得とか,そういうことが必要なことなんだろうと思いますので,いろいろな部分で議論がされていくということが望ましいのではないかと思っています。私もできるだけ議論の機会をどういう形でさせていただくのがよいのか,そんなことも合わせて,また私の職務ということも念頭に置きつつ,また話をしていきたいと思っています。
新党結成に関する質疑
【記者】
昨日,杉並区の山田区長と横浜市の前市長の中田さんらの首長連合が新党を立ち上げる方針を示しました。中田前市長は大臣もよく御存知かと思うのですけれども,こうした地方の首長たちが新党を立ち上げる動きについて大臣の受け止めをお願いできますでしょうか。
【大臣】
それぞれまた新しい政治の動きをそれぞれの皆様が,いろいろな形で作っていこうという動きが活発になっているなということは感じています。ただ,まだどのような方向になっていくのか,なかなか見えにくいという状況がありますので,冷静に見守らせていただきたいと思っています。
【記者】
首長連合の新党についてですけれども,いろいろな動きが活発になってきている感じがするという言及がありましたけれども,これは,今の政権与党の施策に対する不満というふうに受け止めたほうがよいのでしょうか。その辺大臣はどのように思っていらっしゃいますか。
【大臣】
必ずしも政権与党に対する不満というよりは,昨年,政権が交代をして,政治の変化が起こったわけで,そういう変動を違った立場でいろいろとやっていこうというところではないかなと思いますので,政権与党への不満ということにとどまるものではないだろうと思っています。ただ,影響がないかと言われれば,国民の選択肢が増えていくということで,影響が全くゼロということではないのだろうとは思います。ただ,政権交代が可能な二大政党ということでここまでやってきていますし,それぞれの御主張もまだよく分かりませんけれども,首長連合の皆さんも永田町の論理にとらわれずというようなことをおっしゃているようで,ここは私たちも地方主権ということも一丁目一番地ということで今取り組んでいるので,あまり批判的ならばまた違った方向へ行くのでしょうけれども,似たようなところもあるのだろうなと,こんなことも感じました。
JRの不採用問題に関する質疑
【記者】
JRの不採用問題について,一人当たり2200万円の和解金で政治決着する見通しとなりました。長年争われてきた事案ですけれども,この解決に向かうということについての受け止めをお願いできますでしょうか。
【大臣】
考えて見ますと,もう随分時間が経過をして,それぞれいろいろな御主張とか,あるいは,いろいろなことがずっと続いてきたのだろうと思いますけれども,それぞれの年齢も上がっていくことでもありますし,一定の落ち着いた状況といいますか,そういう事実上大分落ち着いているということを考えれば,やはりこれできちっと最終的な決着,解決がつくということが望ましいのではないかと感じています。
入国管理局の問題等に関する質疑
【記者】
10日ほど前のことで恐縮なのですが,3月末に国連人権理事会の移民に関する特別報告者のホルへ・ブスタマンテさんという方がいらっしゃいました。結局は大臣とはお会いできなかったと聞いているのですが,各地で詳細な人権の状況について調査,視察をされました。その後31日の記者会見で日本には非常に人種主義と差別意識が根強いと,人種差別の撤廃と防止のための特別な法整備が必要であるというようなことも暫定的ですがおっしゃっているのですが,先日,第4次出入国管理基本計画を策定されたわけですけれども,今後の包括的な移民政策といったようなことを含め,こういった国連からの勧告が他にも出ているわけですが,今後どのような対策を立ていきたいか,基本的な考えを今後の課題として伺いたいのですけれども。
【大臣】
まだ,正式な御報告,あるいは報告書がまとめられていないということでもありますので,個別に検討してコメントさせていただくという段階ではないと思っています。ただ,今御指摘の今後の政策といいましょうか,外国人の皆さんに対する考え方,第4次の出入国管理基本計画,ここでも今後日本の経済,あるいは少子社会というようなことを踏まえて,外国人の皆さんの受け入れについて検討する必要があるということも掲げています。ただ,これはやはり,日本の社会全体といいましょうか,どういう国であるべしということにかかわる問題ですので,既にこの計画を閣議に御提起をして,その際にも政府として今後の外国人の受け入れ問題について全体として関係省庁も含め検討をいただきたいということは御提起をさせていただいていますので,私も必要であれば積極的に,一緒に議論を進めていきたいと思っています。
【記者】
3月22日の強制送還中に亡くなられたガーナ人の男性がいましたけれども,その後,報告を受けるということを大臣はおっしゃっていましたが,新たな報告ですとか事実関係ですとかそういったものは大臣のところに届いていますでしょうか。
【大臣】
改めて報告などをさせることになっています。
【記者】
今のところは新たな報告がないということですか。
【大臣】
別に報告をさせないとかそういうことではありませんので,順次それは個々に報告をもらって対処しているということです。