法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年3月17日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件として,「法務局における遺言書の保管等に関する法律関係手数料令」が閣議決定されました。続いて,私から2件報告がございます。
 1件目は,オンラインによる在留申請手続の対象範囲の拡大に向けた取組等についてです。
 本日,オンラインによる在留申請手続の対象範囲を拡大するための省令を公布しました。今回の改正により,本月24日から,オンライン申請の対象となる在留資格に「特定技能」が追加されるほか,在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請など,オンラインで申請できる手続も拡大されます。
 法務省としては,更なる利便性の向上や窓口混雑緩和を図るため,オンライン申請を積極的に活用いただけるよう,引き続き運用の改善等を進めてまいります。
 また,現在,地方出入国在留管理局においては,申請窓口の混雑緩和を図り,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,本年3月中に在留期間の満了日を迎える方について,その日から1か月後まで申請を受け付ける取扱いを行っています。現下の状況に鑑み,この取扱いを継続し,本年4月中に在留期間の満了日を迎える方についても同様の取扱いを行うこととしました。
 法務省としては,引き続き状況に応じた柔軟な対応に努めてまいります。
 2件目は,平成31年及び令和元年における「人権侵犯事件」の状況についてです。
 法務省の人権擁護機関では,人権相談などを通じて,人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には,人権侵犯事件として立件し,事案に応じた適切な措置を講ずるなどして,全ての人がお互いの人権を大切にし,尊重する社会の実現に向けて,取り組んでおります。
 本日,平成31年及び令和元年の1年間における「人権侵犯事件」の状況を公表いたしました。
 昨年の特徴としては,「インターネット上の人権侵害情報に関する事案」が,平成29年に次いで,過去2番目に多い件数となっており,また,「セクシュアル・ハラスメントに関する事案」が前年比で8.5パーセント増加したことが挙げられます。
 法務省の人権擁護機関としては,引き続き,その時々の人権状況を的確に捉え,人権相談,人権侵犯事件の調査救済を通じて,被害の迅速な救済に積極的に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルスの感染拡大により,特定技能の在留資格を取得した外国人や技能実習生の来日や帰国などにどのような影響が及んでいるのでしょうか。今後,新たな対策を考えているのであれば教えてください。

【大臣】
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,技能実習生等の来日が遅れたり,本邦に在留中の技能実習生等の帰国が困難になるなどの事例が生じているものと承知しております。
 現在,このような状況を踏まえ,全ての在留資格を対象に,入国手続等で用いる在留資格認定証明書の有効期間を,通常は3か月間であるところ,6か月間有効なものとして取り扱うこと,帰国便の確保や本国国内の居住地への帰宅が困難な技能実習生については,「短期滞在」又は就労が可能な「特定活動」への在留資格変更を許可することなどの措置を講じているところです。
 これらの取扱いについては,外国人技能実習機構を通じるなどして,監理団体等に対する周知を図っております。
 今後においても,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえつつ,個々の外国人の置かれた状況に十分配慮しながら,更なる措置の実施も含めて,柔軟に対応してまいります。

チャーター機による集団送還に関する質疑について

【記者】
 3月10日にスリランカへチャーター便で強制送還がありました。この裁決に大臣は関わっていらっしゃるのかどうか。そして,今ちょうど新型コロナウイルス感染症などで大変な状況であるわけですが,送還の時期や,このことをいつ知ったのかなどの事実関係を教えてください。

【大臣】
 3月10日,出入国在留管理庁が,退去強制処分を受けたスリランカ人44人について,チャーター機によるスリランカへの集団送還を実施したことは承知しております。
 この集団送還は,出入国在留管理庁において計画及び実施をしたものでございますが,私も,事前に出入国在留管理庁から報告を受け,承知をしていたところです。もっとも,その報告の時期や具体的内容等については,個別の具体的事案に関わるものでございますから,お答えを差し控えさせていただきますが,一般論として申し上げますと,出入国在留管理庁において,入管法の定める適正な手続に従って送還を実施しているものと承知をしております。

【記者】
 チャーター便では,今まで過去8回送還をされたということで,そのうち3回がスリランカなんですね。今回も44人のうち半数以上が難民申請をした経験がある方ということですし,難民不認定の告知の翌日に強制送還された方も含まれていると聞いております。なぜ,今回スリランカへの集団送還なのか,難民申請を抑制するためなのではないかなど,いろいろと推測はできるのですが,今,大臣は事前に送還の事実は知っているというお話でしたが,事務方からはどのような説明を受けて裁決に応じたのでしょうか。

【大臣】
 裁決という手続はございませんが,今回の集団送還については,出入国在留管理庁から事前に報告を受けて承知をしていたところです。具体的内容については,個別の具体的な事案の内容に関わる事柄であることから,お答えを差し控えさせていただきますが,一般論として申し上げますと,出入国在留管理庁においては,入管法の定める適正な手続に従って,退去強制処分を決定した上で,速やかな送還に努めているものと承知をしております。
 また,退去強制処分は,在留状況や家族関係を含む諸般の事情を考慮の上,在留特別許可を行うべき事情がないと判断された者についてなされたものと承知をしております。

【記者】
 スリランカへの送還について,お答えできないとのことでしたが,難民申請が不許可になって前日に告知された方とか,過去8回の送還のうち3回がスリランカであったことについて,スリランカについての説明そのものについては事務方から大臣へ説明があったのか,その送還の実態については,大臣は御存じなんでしょうか。

【大臣】
 先ほどもお答えしたとおり,事前に出入国在留管理庁から報告を受けておりました。その報告の具体的内容等については,個別の具体的事案の内容に関わることなので,お答えを差し控えざるを得ないのですが,法の定める適正な手続に従って,退去強制処分を決定し,決定した者については速やかな送還に努めているものと承知をしております。

法務省職員が被害者となった事件に関する質疑について

【記者】
 昨日,さいたま市で,法務省の職員の方が被害に遭う事件が発生しました。被害に遭った女性は,少年鑑別所に勤務されていた職員だと伺っています。大臣が事実関係を把握されていることや,事件の御所感を伺えますか。

【大臣】
 被害者の女性が矯正施設の職員であることは事実でして,御冥福を心からお祈り申し上げます。
 なお,それ以外の詳細については関係部局において事実を確認中であり,また,捜査中の事案でもございますので,お答えを差し控えさせていただきます。

外国人への差別・偏見等への対応に関する質疑について

【記者】
 先ほど大臣から昨年の人権侵犯事件についてお話がありました。新型コロナウイルス感染症の関係でも,日本人を含むアジア人が差別をされている事案が報告されていて,政治家や当局者がこれを非難するメッセージが報じられていることはご存じかと思います。日本でも中国人お断りの貼り紙などをしているところがあると報じられていますが,これについて,大臣からメッセージを出すお考えはおありかどうかお聞かせください。

【大臣】
 外国人に対する人種を原因とする差別や偏見は許されないものでございまして,法務省としてもこのような差別や偏見を許さないということを強調事項として掲げているところです。御質問の件については受け止めさせていただきたいと思います。

【記者】
 川崎市の在日コリアン集住地域の公的施設に,正月に脅迫のはがきが届き,今月に入っても模造刀が置かれたりと,外国人もしくは外国出身者に対する差別,犯罪予告のような事案があったこと,これに関してはメッセージはいかがでしょう。

【大臣】
 個別の案件についてはなかなかお答えを差し控えざるを得ないところでございますが,一般論として申し上げますと,外国人に対する差別や偏見,また差別に基づいた行動については,断固として許さないという姿勢を法務省はとっているところです。
(以上)