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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年4月3日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として主意書に対する答弁書が2件ありました。続いて,私から3件報告がございます。
 まず冒頭,このたびの新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々に心より哀悼の意を表しますとともに,現在治療中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 そして,昼夜を問わず,最前線で検査や治療などに御尽力されている医療従事者の方々に対して心からの敬意を申し上げます。
 しかしながら,国民が一丸となって感染の拡大に立ち向かうべきときに,患者・濃厚接触者の方や,医療従事者の方,本邦外出身者に対する誤解や偏見に基づく差別的取扱いや言動の事例が報告されていることは誠に残念です。このような不当な差別を行うことは許されるものではありません。
 法務省では,これまでも,新型コロナウイルス感染症に関連した不当な偏見・差別を行わないよう呼びかけるとともに,人権相談の窓口の周知を行ってきました。
 このたび,3月28日に政府の対策本部で決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」も踏まえ,昨日,改めて,人権擁護局の各SNSにおいて,このような偏見・差別が許されないこと,及び人権相談窓口の案内の発信をしたところです。
 法務省として,不当な偏見・差別が行われることのないよう,引き続き,人権擁護活動にしっかりと取り組んでまいります。
 次に,新型コロナウイルスの影響による上陸拒否の対象地域拡大及び再入国許可により出国した外国人の扱いについてです。
 法務省では,4月1日の政府対策本部における報告・公表を踏まえ,本日午前0時から上陸拒否の対象地域を拡大し,73の国・地域に滞在歴がある外国人等について,特段の事情がない限り,上陸を拒否することとしました。
 そして,このような上陸拒否の対象地域の大幅な拡大を踏まえ,昨日までに再入国の許可により出国した「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する外国人については,再入国する場合に,原則として,特段の事情があるものとして,上陸を認めることとしました。
 一方で,本日以降に再入国の許可により出国した外国人については,再入国する場合に,原則として,特段の事情がないものとして,上陸を拒否することとし,本邦に在留する外国人に対し,これら地域への渡航を控えていただくよう要請をしております。
 法務省としては,引き続き,国内への感染者の流入防止のための水際対策について,万全を期してまいる所存です。
 最後に,3件目は,出入国在留管理庁における,窓口混雑緩和策の対象の更なる拡充及び帰国困難者に対する在留期間の伸長についてです。
 これまで,出入国在留管理庁では,在留申請窓口の混雑を緩和し,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,本年3月,4月中に在留期間の満了日を迎える外国人について,その在留に関する申請の受付期間を延長する措置を講じてきました。
 現下の情勢に鑑み,本日,この取組を拡充し,本年3月から6月までに在留期間の満了日を迎える方について,満了日から3か月後まで申請を受け付けることとしました。さらに,対象とする在留資格について,「短期滞在」の方も対象といたします。
 また,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,本国への帰国が困難な方について,「短期滞在」又は「特定活動」への在留資格変更等を認めてきましたが,この取扱いについても,現下の情勢を踏まえて拡充いたします。すなわち,許可する在留期間を「短期滞在」は従来の「30日」から「90日」に,「特定活動」は従来の「30日」から「3か月」に伸長いたします。
 法務省としては,引き続き,状況に応じた柔軟な対応に努めてまいります。

新型コロナウイルス感染症対策に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルス感染症の水際強化策として,政府は本日から入国拒否の対象を73か国・地域に拡大しました。大臣としての改めての御所感をお聞かせください。また,出入国在留管理庁の現場体制強化や感染防止策など,これまで行ってきた対応や,今後執る予定の方策がありましたら教えてください。

【大臣】
 お尋ねのように,今般,上陸拒否の対象地域を73の国・地域に拡大しました。これは,世界の国の3分の1を超えるわけですが,これらの上陸拒否の対象地域は,政府において,感染者数等を総合的に考慮し,我が国国内への感染者の流入及び国内での感染拡大を防止するとともに,世界的な更なる感染拡大を防止するとの観点から,当該地域に滞在歴のある外国人の本邦への上陸を拒否すべき緊急性が高いと判断された地域となります。
 法務省としては,国内への感染者の流入防止を図るため,政府全体としての様々な情報や知見に基づく検討を踏まえ,弾力的な措置を講じたものです。
 今後も引き続き,適正かつ厳格な上陸審査を行い,水際対策について万全を期してまいります。
 また,出入国審査の現場においては,外国人の上陸拒否対象地域での滞在歴の確認等について,適切かつ丁寧に審査を実施するために必要な人員を配置しております。
 感染防止策については,審査場に手指消毒液を配備するとともに,審査に従事する職員にはマスクを配布して着用を指示し,さらに,手袋及びゴーグルを配備し,必要に応じて着用させるなどして,職員への感染が生じないよう細心の注意を払っております。そのほか,審査場で上陸審査を待っている方に,密集することのないよう一定の間隔を置いて待機していただくよう,職員等が案内するなど,我が国国内への感染の拡大防止にも努めています。今朝ほどもまた私から徹底をするよう指示をしたところです。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況が,時々刻々と変化している中,今後も引き続き,職員の体制や感染防止策について,状況に応じた適切な対応を実施し,新型コロナウイルス感染拡大防止のために万全を期してまいります。
 

性犯罪に関する刑事法検討会に関する質疑について

【記者】
 先日,法務省で,性犯罪の厳罰化を規定した改正刑法の見直しが必要かどうかを議論する検討会を立ち上げたと承知しています。これにはやはり女性の視点を取り入れる必要があると思われますが,今の段階での検討会での女性の割合はどうなっているでしょうか。

【大臣】
 前回の刑法改正から3年を目途に見直しをするように附則が付いております。ちょうど今年度が3年目ですが,それに向けてまず法務省内でのワーキンググループで調査・研究を行い,その取りまとめを急がせまして,3月31日に取りまとまりました。それを受けて,有識者の方に入っていただいて検討会を設置しました。
 メンバーについては,女性の委員をなるべく多く入れるようにと私から強く指示をして,構成しました。17人のメンバーのうち,12人が女性ですので,約3分の2が女性です。その中には性犯罪被害者の方,被害者の目線で活動してきた法曹実務家などもおられます。法曹は確か全員女性です。性犯罪には様々な被害者の方がおられますが,その中でも被害者に占める女性の割合は高いわけです。被害者目線でしっかりした法改正の検討をしていただけるよう期待しています。
 
(以上)