法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年9月7日(火)
死刑の在り方についての勉強会等に関する質疑
【記者】
9月9日に開かれる死刑の在り方についての勉強会で,今回外部の有識者の方からのヒアリングが行われるということですが,どのような方がどういう立場で御発言されるかという予定について,具体的なところを御紹介いただきたいのですが。
【大臣】
第3回目の勉強会を本月9日午後1時30分から予定しています。今回は,これまでいろいろなところで,それぞれ御発言,あるいは,書いておられたり,そういう中で死刑の存置を基本にお考えの方,あるいは廃止を基本にお考えの方,それぞれの立場を明確にしている方を含めて,4名の方からヒアリングをさせていただくという予定です。明治大学名誉教授の菊田幸一先生,全国犯罪被害者の会代表幹事の岡村勲先生,日弁連の副会長の道上明先生,それから元検察官で現在公証人をされておられる本江威憙先生,今回はこの4名の方々からお話を伺うという予定になっています。
【記者】
死刑の在り方についての勉強会のヒアリングというのは,とりあえず今回1回だけを予定されているのでしょうか。今後も継続する予定ですか。
【大臣】
基本的には,私は今後も継続をして,更にいろいろな皆様からの御意見を伺うという予定です。
【記者】
大臣として今後ヒアリングを行った結果をどういうふうに省内で揉んだ上で情報公開していくか,それを今後どうやって結論に持って行きたいかということについてお願いします。
【大臣】
最初から,例えばどういう結論を得るためにヒアリングをしたり,議論をしたりという形ではありません。そういう意味ではいろいろなヒアリングをさせていただいたり,御指摘をいただいているように,例えば,更なる情報の提供の在り方とか,そういうことも含めて少し継続的に議論をさせていただき,この議論,あるいは,その際の資料等についてはできる限り皆様に開示をさせていただいて,そして,その議論の上に立って,更なる国民的な議論ができる場につなげていきたいと思っています。
【記者】
既に過去の質問に出ているかもしれませんが,死刑に関する議論について,積み重ねのために勉強を始める,またその議論に資するために刑場公開に踏み切るということがございました。しかし,そのための議論の前提となる情報公開としては,もしかしたら不十分ではないかと思われます。記者クラブに対しては刑場が公開され,記者クラブ外のメディアは法務省の説明会にとどまった。私も法務省内での説明会の方に参加させていただき,大変きちっと説明はしていただけました。けれども,記者クラブと記者クラブ外の記者の取扱いを峻別するような,差別的な取扱いがないというのであれば,どちらも同じように扱うべきではなかったのでしょうか。刑場の公開に参加できなかった理由として,場所の制約,狭いということをおっしゃられたのですけれど,これは2度とか3度に分けて公開すればいいことで,その優先はあると思いますけれども,仮に後になってでも刑場の公開を他メディアも含めて行うということを御検討いただけないでしょうか。大臣の記者会見をオープンにしているという,そういう精神に則って,きちっと平等な公正な取扱いをしていただくことは御検討いただけないでしょうか。
【大臣】
今回の刑場の取材をいただいたということ,これが情報提供のすべてだとは全く思いませんし,議論のための情報の一つということだと私は考えていますので,今後更なる情報の提供がどのようにあるべきかということは検討はしていきたいというふうに思っています。それから刑場については,どのような形で,更なる取材や公開ということが必要なのか,あるいは出来るのか,こういうこともこれからの議論の中で検討の一つの課題だというふうに思っています。
【記者】
死刑の論議のために情報公開をしていく,そのうちの一つとして刑場の公開がありました。まだまだ公開されるべきいろいろなテーマがあると思います。中でも,死刑確定囚自身の肉声を取材することが出来るということが非常に重要なテーマではないかなと思いますが,これは例えば諸外国,アメリカなどでは,死刑確定囚に対するインタビューということが可能だと聞いています。死刑の瞬間の取材というものも行われているとも聞きますが,死刑の瞬間はともかく,死刑確定囚自身に話を聞くということを検討課題に挙げられることはあり得るでしょうか。
【大臣】
これも,死刑確定者の様々な心情,あるいは立場の尊重,こういういろいろな難しい問題が私はあるというふうに思います。ただ,これから死刑確定者の処遇の状況,あるいは,それを含めてどのような情報をきちっと皆様にお伝えをしていくか,そして議論をいただいたり,あるいはまた裁判の場で裁判員としての判断なども下していただくという,こういうこともありますので,情報提供の具体的な内容,あるいは在り方,それから御指摘をいただいたことも含めてもっと幅広く検討をしていかなければいけないと思います。
【記者】
昨日,アムネスティインターナショナルの方々が大臣に死刑制度について要請されたと思うのですけれども,その中で情報公開を更に進めるべきだということもあったと思いますが,それについて大臣はどのように受け止めて,今後具体的に何か行動をとられるのでしょうか。
【大臣】
昨日,御提起をいただきました。それは真しに受け止めさせていただき,今申し上げておりますように,今後,御要請をいただいたということに限らず,情報の提供の在り方は検討の課題だというふうに思っていますので,併せて議論したいと思っています。
平成22年新司法試験に関する質疑
【記者】
新司法試験の合格者が近く発表されますが,合格者数については,2010年に3000人という当初の政府の計画を下回る可能性が高いというふうに,これまでの結果からみますと思われますが,法曹人口のあるべき水準や法科大学院での教育の在り方というものについて,現時点でどのようにお考えかということをお聞かせください。
【大臣】
合格発表は本月9日と承知をしていますので,どのような合格者数なのかということは今確定はできません。そういうことですけれども,そもそも法曹人口の在り方とか,あるいは法科大学院の教育の在り方,これらはもともと,司法制度改革の中でいろいろ論議があり,3000人の合格者を目指すこと,そして法科大学院の創設と,そういう形になったところだと思います。ただ確かにいろいろな意味で,実際の運用実施をされてきたこの間の中で,皆様にもいろいろと御意見があったり,あるいは,考えていかなければいけない課題もいろいろ見えてきているところであると思います。そういう意味では,今,法務省と文部科学省とが共同して,法曹養成の在り方についていろいろ議論を検討させていただき,一旦中間的な取りまとめ,論点整理をさせていただいたということで,これからまた少し幅広いフォーラムを作って,そういう中での議論をしなければいけないのではないかと思います。そういう中で法曹人口の数,水準,それから法科大学院の教育というか,法科大学院の在り方なども大きなテーマであろうかというふうに思います。そういう議論をさせていただく中で,私は法曹人口,あるいは,法科大学院の在り方等,方向性を出していくことが必要なのではないかと思っています。
【記者】
法曹人口の閣議決定なのですが,一応2010年ころを目処に3000人という内容だったと思いますが,先ほど大臣もおっしゃいましたが,実際上,その運用や解釈等もあって,必ずしも2010年がデッドラインではないのではないかとか,3000人というのは一つの目標であって幅があるとか,いろいろな解釈があってだんだん分かりにくくなっていると思うのですが,先ほど文部科学省と法務省が中間取りまとめをした検討会の話もありましたが,なかなか役所で対応するのは限界があるというか,改めて法曹人口については,内容確認の閣議決定をするなり,政治的なメッセージが必要かなとも思うのですが,それについての大臣の御意見を伺いたいのですが。
【大臣】
この3000人というのも,閣議決定という形でなされているものだと思いますので,そういう意味では,今後議論の中で更に政府全体というのでしょうか,そのような形でこの司法制度改革の,ある意味でのフォローアップ,そして新たな方向性というものを検討していかなければいけないだろうと思います。そういう意味で中間取りまとめをして,論点を整理した上で,もう少し大きないろいろな関係省庁,あるいは,政府一体となったフォーラムなり,そういう場を作って議論しなければならないなと考えているところです。そういう意味ではそういう中で法曹人口についても,例えば改めて政治的な方向性を打ち出していくということも全くないということではないと私も思いますが,今の段階でどのぐらいの法曹人口にするかについて結論を出せる,あるいは,変更をするという状況にはないかなというふうに思います。
法務大臣記者会見の概要に関する質疑
【記者】
大臣の記者会見がオープン化されるようになりまして,気づいたことなのですが,法務省のホームページにこの会見の記録が載っておりますが,そこではQ&Aという形になっておりまして,どこの社のだれが質問されたかということが判然としておりません。記者会見のオープン化が進むにつれて,外務省とか金融庁であるとか,先行した役所では,私は,その度ごとに質問させていただいて,なぜ,こうした社名,記者名が掲載されないのか,どのような社のどんな記者がどのような質問をしたかということもきっちり分かるようにすることも国民の知る権利の対象になるのではないかと,こういう質問というか提案をさせていただいて,概ね各省庁,オープン化で先行しているところは社名,記者名がきちんと載るようになっているのですけれども,今後そうした変更といいますか,氏名を明らかにする,そういうお考えはありますでしょうか。
【大臣】
今ある意味で問題の御提起,御指摘をいただきました。私もそういう意味ではちょっとそこはこれまで十分に考えていなかったところがあると思いました。そういう意味で御指摘を検討させていただきたいというふうに思います。
【記者】
今の質問の中で,氏名を出すかどうかを検討していただくことは結構なのですが,一点誤解があるといけないと思うので,確認させてください。基本的に大臣の記者会見については,私も2003年に法曹記者クラブにいて幹事社をやっていたのですが,昔からオープン化していて,ただ単に人気がなくてフリーの人が来なかっただけの話で,記者クラブ以外の人間を断ったことはほとんどなく,学生さんかなんかでジャーナリストでない人は断ったかもしれませんけれども,フリーの人を断ったことはないので,それについて法務省として確認していただければと思います。フリーの人に質問権もありました。
【大臣】
私もそう認識はしております。
小沢前幹事長の発言に関する質疑
【記者】
民主党の小沢前幹事長が昨日のテレビ出演で検察審査会の決定には従うと,それから以前に素人判断はいかがかみたいな批判をしていたんですが,そういったことは言った覚えはないといった発言があったのですが,小沢前幹事長のこれらの発言についての御所見があればお願いします。
【大臣】
私もそれを直接聞いていませんので,言った言わないということ,,それ自体はなんとも申し上げることは出来ませんが,一般的に検察審査会の制度というのは裁判員制度と共通な背景であろうというふうに思います。市民が社会の一員として,司法,あるいは犯罪に対する様々な判断に対して参加をする,市民としての責任を果たしていく,こういう背景に基づいて作られ,あるいは改正されたという経緯があると思っています。今,それがようやく動き始めているということなのではないかというふうに私は認識をしています。
法務大臣出張に関する質疑
【記者】
明日,大臣が西日本入国管理センターへ出張されるということなのですが,そのねらいはどういったところにあるのでしょうか。
【大臣】
ねらいというか,これまで東日本入国管理センター,西日本入国管理センターについて,様々な収容の在り方,あるいはいろいろな御意見,御指摘をいただいていたり,また,いろいろな所で収容されている皆さんから申し立てや苦情があったりとか,そういうこともいろいろあります。そういうことも併せて,収容の在り方とか,あるいは退去強制手続の在り方,こういうことも考える一つの材料として,施設の実態を私もきちっと見てまいりたいと思っています。
被疑者取調べの可視化に関する省内勉強会に関する質疑
【記者】
取調べの可視化の問題については御検討が進んでいるというふうに度々御発言されていますけれども,今回の死刑制度を考える議論の様に,勉強会を立て続けに回数を重ねて,しかも,外部から人を呼び,その模様をオープンに見せていく,そうした積極的な学習とか勉強とか,研究の積み重ねの様子が可視化に関しては見られないような気がするのですが,この点はいかがでしょうか。任期の間に可視化に関して,もし研究,勉強というものをお続けになるのであれば,もっと積極的な展開があってもよいのではないかと思われるのですが,この検討に関してお願いします。
【大臣】
可視化については,可視化を実現するということを一つの目標にして,どのような実務的な準備が必要なのか,あるいはそれに伴う他の制度との関連,あるいは整理,どういうことが必要なのかということをむしろ詰めていく,あるいは諸外国等の実情等も踏まえて詰めていくと,そういう意味で目標があって,それに向かっていろいろ詰めていくというプロセスを考えていただければというふうに思います。そういう意味で別にいろいろな皆様からの御意見を全く聞かないとか,そういう姿勢でやっているわけではありませんで,むしろもう,可視化ということについて賛否を問うて何かやるというよりは,実現に向けてどのように積み重ねていくか,そういう過程にあるというふうに私は認識をしています。
【記者】
公開の討論とか,公開の議論をする段階は終えて,実務的な段階に入っていると,こういう認識ですか。
【大臣】
これまで,公開というか,これは国会等の中の議論でも,かなり議論が展開されている課題ですので,私あるいは法務省の議論としては可視化についてこれから議論をして,やるかやらないかを決めるのではなくて,実現をしていくという方向に向けてどのように詰めをしていくかと,問題を整理していくかと,こういうことだというふうに考えていただければと思います。