法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年9月10日(金)
今般,法務省では,日本弁護士連合会との間で,出入国管理行政における収容にまつわる諸問題について,より望ましい状況を実現するための方策等を協議する場を持つこととするとともに,その一環として,被収容者に対する弁護士による法律相談等の取組を共に促進することを合意しました。このうち,法律相談については,入国者収容所等の被収容者に関し,弁護士会による電話相談や出張による臨時の法律相談を受け付けることとし,各弁護士会がその態勢を整備するとともに,各入国者収容所等において,案内や面会の場所確保等の協力を行うこととなりました。また,被収容者の代理人となっているなどの一定の弁護士に対しては,その訴訟活動等に関する判断に資するよう,送還予定時期をお知らせすることとしました。法務省としては,収容されている外国人の権利の主張をより尊重するとともに,手続の透明化と国民の皆様の御理解を得た適法・適正な退去強制手続に更に努めていくため,官民の協力という新たな形で一歩を踏み出すものであり,一層適正妥当な入管行政に向けて進化していくよう,そして,そういう形態が進んでいくよう,取り組んでいきたいと考えています。新しい形であろうかと思いますので,どうぞまた御理解と御協力をお願いします。
平成22年新司法試験の結果に関する質疑
【記者】
昨日発表された新司法試験の合格者数が2074人ということで,これからの旧司法試験の合格者と合わせても,政府が計画した今年ころに合格者を3000人にするという計画が実現不可能になったと思われます。法曹人口拡大の計画については,今後見直し等が必要になってくるのではないかと思いますが,大臣の所感についてお伺いします。
【大臣】
御指摘いただきましたように,新司法試験の合格者が2074名だったということです。これについては,適切な合格判断の下で行われたものだと私も認識していますので,結果,こういう数になったということだと思っています。御指摘のように,確かに,平成22年ころに合格者数3000人を目指す旨の閣議決定を考えてみますと,これとはかなり隔たりがあるということは事実だろうと思っています。これから,かなり幅広く法曹養成の在り方を検討する中で,この合格者の在り方というのでしょうか,これも議論をすることが必要となってくるのかもしれません。基本的には司法制度改革における,法曹養成,そして法曹の在るべき姿というのでしょうか,望まれる姿,こういう描いたものと現実とが,ある意味では矛盾,あるいは少し,それとは違った様相を呈しているということはあろうかと思っています。そういう意味では,改めてそういうことをいろいろと考えていくことは必要なのではないかと思っていまして,ただ,かなり幅広い観点からの検証も必要でしょうから,直ちに合格者の数だけを云々ということも少し短絡的なのかなという感じもします。いずれにしても,法曹のこれからの在るべきというか,方向性,また,どんな役割が求められるとか,司法のこれからの充実に向けて何が必要なのかということを改めて考えていかなければいけないだろうと思います。
【記者】
司法試験の合格者のうち,非法学部出身の割合がだいたい2割くらいということなのですけれども,人材の多様化を図るということも新司法試験の目的の一つだと思いますが,2割という数字について,率直に妥当なのか少ないのか,それとも比較的思っていたよりも多いのか,大臣としての所感をお願いします。
【大臣】
描いた法曹の姿とか,あるいは社会の中での職務の果たし方,そういうことから考えますと,いささか残念ながら少ないのかなというふうには思います。多様な人材とそしてこの社会のいろいろな機関等々の中で活躍をしてもらいたいということから考えますと,いささかやはり,少ないというのが私の率直な感じです。
戸籍制度に関する質疑
【記者】
高齢者の戸籍に関して,年齢から考えても生存の可能性がなく,住所の記載もない者が全国に多数存在することが明らかになりましたが,戸籍が人口の実態とかけ離れていることは戸籍制度自体の信頼を損ねることにもなりかねないと思うのですが,こういった現状に対してはどのような御見解ですか。
【大臣】
確かに,改めて戸籍の記載と実際に生存しておられるのかということが食い違っているということがあるのだと,そしてその数も少なからずあるという状況が見えたのかなというふうに思っています。ただ,戸籍というのは,やはり届けによって作られていくものでもありますので,そういう意味では,それが戸籍というものだといえばそういうことなのかもしれません。こういうことが多くあるかは別としても,出生をしても届けを万が一しなければ,生存していても戸籍には載らないということになりますし,逆に今回のように御高齢の方で戸籍には記載があるけれども,生きておられるかどうかはっきりしないというものもあり,必ずしもその人口の実態を戸籍が規定しているというものでもないということを,私もある意味で改めて考えさせられました。だからといって,戸籍の制度を変えなければいけないとか,この制度が全く意味のないものだということではないだろうというふうに思いますが,戸籍というのはそういうものだと認識したという状況です。ただ,できる限り戸籍の記載と実際の生存,存在を一致をさせるという意味では,職権消除について,できる限りやりやすく,そしてまた的確に,迅速にそれが実施できるように,法務省としての協力をしていくという通知は出させていただいております。そういう形でできる限り,自治体などからの問い合わせがあれば迅速に対応していくということはより一層努力していきたいと思っています。
【記者】
法務省としても自治体などからの問い合わせに協力するようにという通知を出されたということですが,具体的にどのような通知をいつ頃出されたのか教えてください。
【大臣】
9月6日付けで,120歳以上の御高齢の方で,戸籍の附票に住所の記載がないものについては,職権消除の許可申請の手続を迅速に進めることができるよう通知を発出しています。具体的には120歳以上の御高齢の方で,戸籍の附票に住所の記載がないという場合には,その戸籍に記載があって,附票に住所の記載がない旨記載した書類を出していただければ,それをもって職権消除の許可を迅速に出すというやり方です。
【記者】
100歳以上の高齢者の方で戸籍の附票に住所の記載がない方が23万人強という数が出たのですが,これを受けての率直な感想といいますか,その数をお聞きになってどのようにお感じになられますか。
【大臣】
100歳以上の方でということになると,その間にいろいろな,非常に厳しい状況とか戦争の時代もありましたし,いろいろな形で戸籍がそのままになっているとか,あるいは手続が取られないままにと,そういうものもあると思いますし,そういうことを含めてもこれだけの方が戸籍にありながら,なかなか生死などが明確でないと,そういう社会にあるのかなと率直に感じました。一人一人がいささか,何というか孤立をしているような,そういう状況もあるのかなと,若干こんな感じもしたところです。
【記者】
先だって仙谷官房長官が日本の戸籍制度というのは世界でも冠たる制度だという発言があったのですが,千葉大臣は日本の戸籍制度を今後どういうふうに是正していけば良いとお考えですか。今一度確認の意味でお願いします。
【大臣】
どうでしょうか。今回のような状況が改めて分かったということをもって,戸籍制度がやはりおかしかったということではないというふうに私は思います。ただ,国際的には戸籍というような方式だけではなくて個人登録のような制度もありますので,これからいろいろと議論していくことはあろうかと思います。ただ個人登録のような制度であったとしても,やはり届けをして登録されるのでありましょうから,それであったとしても登録されていることと,生存の実態ということは,必ずしも全て一致するというものでもないのだろうと思っています。
死刑制度等に関する質疑
【記者】
昨日死刑の在り方についての勉強会の第3回目が開かれました。そこで改めて死刑についてお伺いしたいのですが,7月28日に死刑を執行されましたが,もともと死刑に反対の立場であった大臣がなぜ死刑執行の書面にサインされたのかということと,もう一つが昨日の勉強会では遺族の方のお話があったと思いますが,死刑執行に立ち会われたときの感想をできるだけ具体的におっしゃっていただけないでしょうか。
【大臣】
一点目ですが,これは私も大臣の任務を受けたときから申し上げていますように,死刑というのは非常に重い刑罰であり,それから廃止の意見,存続の意見,そういうことがあることも当然承知をしていますし,将来に向かって廃止という,そういう方向も日本の社会の中であり得ることだろうということは私も理解をしています。ただ,法務大臣を受けるにあたりましては,大変重い任務があるということも念頭に職務を遂行してまいりました。そういう中での私の職務の執行ということだというふうに受け止めていただければと思います。それから二点目ですが,これは,個別の執行に関わることですので,今私が申し上げるべき状況ではないと思っています。
【記者】
昨日,有識者を招いて開催された死刑の在り方についての勉強会で,外部の方の意見を伺った上での大臣の所感と,今後の勉強会の方向性といいましょうか,これまでの議論を含めてその成果をどのように還元していくのかその辺のお考えをお願いします。
【大臣】
昨日は,それぞれの有識者の皆様に意見の表明をいただきまして,私も大変重く受け止めさせていただきました。それぞれの皆様が死刑という問題を本当に正面から考えていただいているということを感じさせていただきました。勉強会は,これで終わるということではありません。さらにいろいろな皆様からも御意見を聞くという機会を設けなければいけないだろうと思いますし,皆様からも御指摘がありますように,情報の提供の在り方等々も検討しなければならない課題だと思っています。こういうことを勉強しながら,そしてできるだけの資料等を国民の皆様にお知らせをして,幅広い,本当に多くの皆様が参加するというか,議論ができる,そういう場がいろいろなところにあるだろうと思いますし,そういう場をできる限り,私たちも作っていくような努力をして,そういうところに繋げていかなければいけないのではないかというふうに思っています。
【記者】
死刑の在り方についての勉強会なのですけれども,第1回,第2回の議事録というかやりとりが公開されていないかと思うのですが,第3回でのやりとりも含めて公開される意思はありますでしょうか。
【大臣】
申し上げましたように,今回の勉強会は,まず省内で私どもがもう一度改めて勉強しようということですので,それ自体の議事録というのは公開をするという形はとっておりません。
【記者】
昨日死刑の在り方についての勉強会終了後に今回第3回の議事録は公開されるのですかということで報道係の方に伺ったところ,公開しますということだったのですけれども,それはいかがでしょうか。
【大臣】
議事録というか,有識者の方々から御発言をいただいたそういうものをお知らせをするということです。
【記者】
それは公開されるということでよろしいでしょうか。
【大臣】
はい。
【記者】
8月27日に報道機関に対して刑場を公開したことで,その目的としては国民的な議論に資するようにしたいということでした。それから2週間ほど経っていろいろな反響というのが直接大臣のところにも入ったりしているのではないかと思うのですが,その後の反響というか,議論の起き方とか,それについてどんなことがあったとかどのように感じておられるでしょうか。
【大臣】
刑場の公開取材をしていただく形をとったというのは,いろいろな議論の一つの参考といいましょうか,議論の一つとして私は認識しています。やはり多くの御意見としては,決してマイナスではないけれどもそれだけで十分ではないという御指摘をいただいています。それから昨日の勉強会の御意見の中では,被害者の御遺族の皆様からの話では,その犯罪の情報というのでしょうか,それも提供すべきではないか,こういう御意見もあります。様々な御意見を私もいただいたり,届けていただいたりしております。大変私も考えさせられています。
【記者】
先般,現在の死刑確定者が全国で107人というふうに伺いました。その死刑確定者の死刑執行に至るまでの順番についてなのですけれども,これはどうやって決まるものなのでしょうか。死刑の判決が出た後の順序を越えて先に執行されるというケースもあるかと思うのですけれども,それはどのように決まっているかということについて,法務省の方から説明をするお考えはありますでしょうか。
【大臣】
個々の刑の執行について具体的に申し上げるということはなかなか難しいところがあると思いますが,いずれにしてもどのような更なる情報の開示,あるいは提供が必要なのかということ,これは今勉強会などで多くの方から御意見を頂戴をしながら,そして省内でも検討する課題だというふうに私は考えていまして,そういう方向で勉強も進んでいくということになろうかと思います。
【記者】
死刑制度について,刑罰の本質論として,応報刑論,あるいは目的刑論というものがあるかと思うのですが,死刑についてその目的,なぜ死刑というのが必要なのかということについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
これは,目的刑論,それから応報刑論とありますけれども,やはり死刑の在り方としてどちらだけということではないと思います。今の制度はある程度やはり応報的なそういうものに応えるということもありましょうし,しかしやはり刑罰というものは,教育刑ということに重きを置いて様々な処遇の中で教育を施していくと,そして更生を図っていくと,そういうことが主流だろうとは思いますが,そういう中で死刑という制度はどちらを考えてもなかなか非常に重いというか究極の刑罰だろうというふうに思います。
【記者】
目的刑ということですと,いわゆる死刑を廃止している国が必ずしも凶悪犯罪が増えていないということから,死刑には犯罪の抑止効果がないという意見があるのですが,死刑には犯罪の抑止効果というものがやはりあるというふうにお考えでしょうか。
【大臣】
それを今いろいろ勉強会等を通じながら,いろいろな皆様から考え方や御意見をいただいているところです。
【記者】
単純にお伺いしますけれども,今死刑執行の順番というのはだれが決めておられるのでしょうか。サインをしなければ死刑は執行されませんけれども,死刑執行命令書を持ってくる順番というのはどなたが決めておられるのでしょうか。
【大臣】
それは最終的には執行を判断する者が判断したことが順番です。
【記者】
その前段階として。
【大臣】
それはいろいろな形だろうというふうに思います。いろいろな形というのは全てそれぞれを総合的に判断をしなければいけない,チェックするそういうことがありますので,最終的な決定をした,そういうことが順番ということになります。
日本振興銀行の経営破綻に関する質疑
【記者】
日本振興銀行の経営破綻の件で,何か所感がありましたらお願いします。
【大臣】
これについては直接の所管というわけではありませんが,今,金融庁等がきちっとした指導,あるいは対応をとっているというふうに思いますので,それを注視をしていくということだというふうに思っています。