法務大臣閣議後記者会見の概要
平成22年9月14日(火)
被疑者取調べの可視化に関する質疑
9月10日に厚生労働省の元局長に対して,大阪地方裁判所が無罪判決を言渡しました。裁判所は,検察官調書の多くについて,誘導で作られたなどと指摘して採用しなかった上での判断でした。調書に依存した特捜部の捜査の在り方について批判の声もあがっていまして,特捜部の事件を取調べの可視化の対象にすべきではないかといった意見もあります。今回の判決を受けまして,特捜部の取調べの在り方,またその可視化の必要性についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
大阪地方裁判所で判決が言渡されたこと,そして,その内容,概要を私も承知しています。今,お話がありました取調べの可視化という問題につきましては,今回の判決を受ける前から可視化をしなければいけないという考え方の下に省内で勉強会を続け,そして一定の中間的なとりまとめをしながら,さらに研究を続けているという状況です。そういう意味では一般論としても可視化という問題は避けては通れない,こういう課題だと思いますので,今続けています勉強や調査,研究,これをしっかりと継続して,可視化の実現というところに流れをきちっと進めてまいりたいというふうに考えています。そういう意味では,今回の事件が何か特別な意味を持つということではなくて,可視化という方向をきちっと見定めて進めていくということであろうというふうに思っています。
法曹養成制度に関する質疑
司法修習生の給費制から貸与制に切り替わることについて,大臣御自身としては貸与制と給費制について,どちらが良いと思っているか,お聞かせください。
【大臣】
これについては,私もこの議論の経過に参加をさせていただいてきたという経緯があります。そういう中で,法曹人口を増やしていこうと,そして,社会のいろいろな部分で法曹が活動するという,そういう方向を目指していこうではないかという議論の中で,給費制を貸与制にという法改正がなされてきたという経緯があります。私もそれを尊重しながら,この間の対応をさせていただいてきたということです。今,いろいろな御議論あるようですので,改めてそれは見守っていかなければいけないと思っていますが,これまでの司法制度改革全体の議論の経緯,そして,それによるこのような制度改革ということでもありましたので,それを基本にしながら考えていかなければいけないのではないかと思っています。
【記者】
大臣の発言の中で,いろいろな議論があるようなのでということでしたが,民主党としては,部門会議の中で,今後も給費制を継続しようという方向で考えているようなのですが,この司法制度改革の長い議論で決まったことを突然というか,ここに来てそんなに議論せずに変えようとしていることについてどのように思われますか。
【大臣】
昨日の部門会議の議論の詳細は承知をいたしていませんが,そういう検討といいますか,それをされているということは承知しています。まだ,民主党として,何か決定したというまでには至っているわけではないと思いますので,それはまた部門会議の御議論だと思いますが,ぜひより深い議論をしていただければと思います。
【記者】
今の問題に関連して,給費制の存続というのは,法曹養成に国がお金を出すという在り方としては良いという意見がある一方で,確かに弁護士の貧困とかそういう問題がクローズアップされていますが,のべつ幕なしに全員に一律に給付することに対して,国民の理解が得られるだろうかという議論もあります。今回,給費制継続という方向性が出ましたが,その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
まだ方向性が出たということではないのだろうと思いますが,今御指摘がありましたように,司法制度改革全体の中で国民の多くの声も受けながら,給費制から貸与制という方向になったわけですので,やはり,もしまた議論というか別な方向を出すとすれば,それが国民の納得を得ることができるのかということは大変大事なところだろうと思っているところです。
【記者】
給費制,貸与制の話で,議論の在り方を見守りながらとおっしゃいましたけれども,昨日の法務部門会議もそうなのですが,貸与制に本当に移行するのか,給費制を継続するのかという議論が,日弁連が主張し,それに対し最高裁が質問書を出し,法務部門会議が突然開かれて話題になりと,全体としてクローズといいますか,国民の声を本当に反映しているのかという印象なのですけれども,この話題について,現状の議論の在り方,要するに国民を巻き込む議論になっているかどうか,また,望ましい議論の進め方として,今後どういうふうに進められるべきかということについて大臣の所感をお願いします。
【大臣】
こういう問題というのは,多くの関係者の皆様の関心事にはなりながらも,なかなか国民全体としての関心事にはなりにくいということもあると思います。そういう意味では,先ほど言いましたように,司法制度改革という大きな議論は,これまでいろいろな方が参加し,開かれた検討の場などを通じて進められてきたということもありますので,やはりその司法制度改革の議論,それから法曹養成の在り方等々も含めて,やはり議論するとすれば,開かれた,あるいは,いろいろな識者の皆様等も含めて議論するような,そういう場も必要なのではないかなと思います。
【記者】
司法修習生の給費制と貸与制の関連なのですけれども,そもそも11月1日から新制度に移行するということで,実際運用面でも準備が進んでいると思うのですが,実際変わるかどうかというのは立法府の判断となってくると思うのですけれども,それをこの施行実施2か月前で動かすと,制度を預かる行政府の立場として,ぎりぎりで制度の変更をするということに関して,大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
もう本当に時間がありませんので,なかなか今から制度を変え,あるいは例えば財政的な措置についてきちっとしたものを作っていくということは,そんなに簡単なことではないと思います。ただ,これは立法府がもし給費制維持ということであれば,それは当然立法府の判断ですから,こちらで何か言うという話ではないかと思いますけれども,手続的には大変窮屈なところはあろうとは思います。
刑場の公開に関する質疑
【記者】
先月27日の刑場公開について,これまで申し上げてまいりましたとおり過去の刑場公開についての新しい情報がございます。元毎日新聞記者の勢藤修三さんと同時期に法曹記者クラブに詰めていた元産経新聞記者の俵孝太郎さんの著書で,「政治家の風景」という94年のものなのですけれども,同様の刑場見学について書かれた箇所がございます。以下は質問です。今回の刑場公開では結果的に絞縄がはずされたり,刑場の中では記者が質問できなかったりという各種の制限がなされたようですけれども,当初大臣が思い描いてきた公開の仕方と比較して,どういったことが実現できどういったことが実現できなかったとお考えでしょうか。具体的にお考えをお聞かせください。
【大臣】
前段にお話されたことについては私もちょっと承知をしていませんので,前提は別として,私は先般の刑場の公開,そして取材をいただいた,これが私なりの公開の一つだという認識です。ですから,皆さんに取材をいただくということによって,一つ情報の公開ということが出来たというふうに思っています。
死刑の執行停止に関する質疑
【記者】
刑事訴訟法の479条の個別の死刑の執行停止について先日からいろいろと要請があったと思うのですが,そのことについて改めて大臣はどうお考えかということをお聞かせください。
【大臣】
個別の死刑執行に対する停止ということについては,これは不断に死刑確定者の状況等,報告あるいはその心神状況等を受けながら決定をしているということですので,そういうことに基づいて適切に判断をするということになると思います。
民主党の代表選挙に関する質疑
【記者】
民主党の代表選挙について,今日午後に新しい代表が選ばれることになりますけれども,新しい任期を得た代表に対してどのような政権運営,党運営を期待されるか,また選挙戦の中では党を二分するような激しい争いになりましたけれども,今後何を期待されているのか大臣のお考えをお願いします。
【大臣】
私は今,内閣の一員として任務をやらせていただいているという立場ですので,今申し上げるのは適切かどうかということがあります。いずれにしても国民の皆様の将来に向けた元気と,そしてまた安心が作られていくのが政治の役割だと思いますので,これはどちらがということではなくして,そういう姿勢でこれまでも私たちもやってまいりましたし,これからもそうやっていくことが大事なんだろうと思います。