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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年4月10日(金)

  閣議において,法務省案件はありませんでした。続いて,私から5件御報告がございます。
  まず,1件目は,大阪拘置所における新型コロナウイルス感染症の職員感染事案の現状についてです。
  本月7日,大阪拘置所において,3例目となる職員の感染が発覚したことを受け,本月8日,義家法務副大臣を同所に派遣するとともに,河野防衛大臣の御協力をいただき,陸上自衛隊の医務官及び看護官の派遣を受けました。また,現在までに,厚生労働省から御紹介を受けた専門的知見を有する大学教授や当省危機管理専門家会議の構成員の先生方にも,現地を御覧いただきました。
  大阪拘置所では,これまでも,感染した職員と接触した可能性のある被収容者を単独室に分離するとともに,職員の自宅待機などの感染防止対策を講じてまいりましたが,今回の派遣等における御指導を踏まえ,ゾーニングや消毒の徹底など,更なる措置を講じることにいたしました。
  このような状況を踏まえて,来週13日,法務副大臣の下に,矯正施設における効果的な感染対策を検討するためのタスクフォースを設置します。感染拡大防止に全力を尽くしてまいります。
  2件目は,防護服やアイソレーションガウンの製作についてです。
  先日の記者会見で刑事施設におけるマスクや防護服の製作について御報告しました。そのうち,防護服については,現在,大阪刑務所と京都刑務所において,月産4,600枚の防護服の縫製作業を実施しており,さらに,横浜刑務所と月形刑務所において月産2,000枚の縫製を新たに計画中です。
  また,今般,経済産業省から,感染症防護として幅広く利用できるアイソレーションガウンの製作を依頼されましたので,全国の刑事施設で製作できるよう検討を開始したところです。
  3件目は,検疫業務への職員応援派遣についてでございます。
  新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた取組として,本日から東京出入国在留管理局の職員を成田空港及び羽田空港の検疫所に応援派遣することとしました。成田空港に20名,羽田空港へ10名それぞれ派遣する予定です。
  水際対策の強化に伴い,検疫所の業務負担が急増している状況にあることから,事務作業の応援要員として,法務省から職員を派遣することとしたものです。
  先日の会見で発表しましたいわゆるCIQの連携の具体策ということでございます。今後も水際対策を徹底するために関係省庁と協力しながら,適切に対応してまいります。
  また,在留申請窓口における感染防止対策でございますが,先日の記者会見で御紹介した東京出入国在留管理局の取組を全国に共有し,各官署の実情に応じて,対策をしっかり講じてまいります。この検疫業務への応援や在留申請窓口における対策については,担当は宮﨑法務大臣政務官でございますので,宮﨑政務官が先日,成田空港を視察いたしましたし,また,この在留申請窓口についても,近々また視察をし,更に指導するということになっております。
  次に,4件目は,法務省職員のテレワークについてです。
  本月7日の緊急事態宣言を踏まえ,法務省では,交替制を採るなどして終日テレワーク勤務を命じるなどの取組を開始し,現在,各局部課等において,その積極的な実施を行っているところでございます。
  5件目は,父母の離婚後の子どもの養育の在り方に関する海外調査の報告書の公表についてです。
  法務省では,昨年来,外務省の協力を得て,父母の離婚後の子どもの養育の在り方に関する外国の法制度の調査を行ってまいりました。
  この度,調査結果の取りまとめが完了しましたので,本日,法務省のホームページに調査報告書を掲載する予定です。
  本調査は,法務省がこれまでに行った海外法制調査より対象国や調査事項を広げて行ったものでありまして,父母の離婚後の子どもの養育の在り方を検討するに当たって有用な情報を提供するものであると考えています。
  また,父母の離婚後の子どもの養育の在り方については,現在,公益社団法人商事法務研究会が主催する「家族法研究会」に担当者を参加させ,検討を行っております。
  私からは,担当者に対し,積極的に議論に関与するように指示しているところですが,今後,今回の調査結果を踏まえて,更に充実した議論が行われることを期待しています。

新型コロナウイルス感染症に関する矯正施設の現状及び対策に関する質疑について

【記者】
  先ほど大阪拘置所の現状について言及されましたが,関連して他の刑事施設の状況や対策についてお伺いできればと思います。
 
【大臣】
  他の矯正施設の状況ですが,これについては,先ほどお話しした矯正施設に特化したタスクフォースを義家法務副大臣の下に設置をしまして,そこで共通の指導マニュアルを作成することにいたしました。今回の大阪拘置所の案件を受けて,専門家の指導の下に行っております対応をマニュアルにして各矯正施設に共有する予定でございます。
   
【記者】
  大阪拘置所の件を受けて設置されたタスクフォースですが,省内の職員で構成するのかなど,今の時点で予定している詳細が分かればお願いします。
 
【大臣】
  タスクフォースの編成については,トップとなる義家法務副大臣にお任せしておりますが,今朝話した中で,今,法務省全体の危機管理に関する専門家会議が設置されており,そちらの下にタスクフォースをぶら下げようということで詰めましたので,専門家会議の中から,特に矯正施設,そして新型コロナウイルス感染症の専門家の方は重ねて入っていただくというイメージです。そのほか,矯正施設の特性を踏まえて関連する関係機関の意見を取り入れられるような形にしていこうと話し合ったところです。

人事異動の延期に関する質疑について

【記者】
  新型コロナウイルスの関連で,今日付けの人事異動の延期が明らかになりました。7日の緊急事態宣言を受けてのものだと思いますが,既に異動の対象になった方には,引っ越しを済ませた方や,お子さんの転校届を出されている方など,現場は混乱している状況にあると思います。このデメリットについて大臣のお考えをお願いします。
 
【大臣】
  緊急事態宣言を受けて,様々な措置がとられています。これは我が法務省だけではなく,すべての国民,企業の皆様に御負担をお願いしているわけです。その中で様々な混乱や,急な変更による負担が生じていることは事実だと思います。それを踏まえてもなお新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために,国民一丸となって力を合わせることが緊急事態宣言の趣旨であると思います。
  そのため,今回は緊急事態宣言の対象となった地域から,170名もの多くの人が異動するという現実を踏まえて,全体について異動を見合わせる判断をしましたが,御指摘のとおり様々な御負担,混乱がありますから,決断するためにはいろいろな議論がありましたし,苦渋の選択ではありました。しかしこれによって生じる混乱,負担については可能な限り法務省において対応してまいりますし,お子様等の問題については個々の事情を踏まえ,しっかりと相談に乗って,問題がないように対処するよう,事務方に指示をしたところです。
(以上)