法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年4月17日(金)

  閣議において,法務省案件はありませんでした。続いて,私から4件御報告がございます。
  まず,昨日(4月16日),新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象区域が,7都府県から全都道府県に拡大されました。
  対象区域が全国となったことで,日本で生活する全ての人が,一丸となって新型コロナウイルス感染対策に取り組み,それにより,私たちがこの国難とも言える事態を乗り越えることができればと思っています。
  今回の判断を受けて,私は,本日,法務省新型コロナウイルス感染症対策本部を招集し,日本全国で職務に当たる法務省職員全員が当事者意識を持って感染対策を徹底するよう,あらためて意思統一を図りたいと考えています。
  法務省では,これまで,法務省対策本部の下で,基本的対処方針の策定,専門家会議の設置,矯正施設に特化した対策ガイドラインを構築するためのタスクフォースの設置など,新型コロナウイルス対策に危機感を持って積極的に取り組んできました。
  今回,緊急事態宣言という前例のない対応が全国に広げられたことを受け,より一層緊張感をもって,感染拡大の防止に向けた取組を進めてまいります。
  次に,矯正施設における新型コロナウイルスへの感染事案等についてです。
  本月14日及び15日,大阪拘置所の20歳代,30歳代及び40歳代の職員3名について,新型コロナウイルスへの感染が確認されました。これにより,大阪拘置所においては,合計7人の感染が判明したことになります。今回感染が判明した職員3名は,いずれも,本月5日に,1人目の感染が確認されたときから,自宅待機をさせていた者です。
  また,本月15日,月形刑務所の20歳代の職員1名について,感染が確認されました。この職員は,月形刑務所における1人目の感染者となります。
  これまで各矯正施設においては,消毒やゾーニングなどの感染拡大防止策を講じてきましたが,これら事案の発生を踏まえ,矯正施設に勤務する職員の通勤途上における感染リスクを軽減するため,公共交通機関を利用した通勤から,官舎・研修施設の利用,又は自家用車通勤等に変更するなど,最大限の取組を進めることとしています。   
 さらに,本月14日,義家法務副大臣を座長とする「矯正施設感染防止タスクフォース」の第1回会議を開催し,矯正施設における感染事案や,今後策定するガイドラインの基本的な方針について,専門家の方々から御意見をいただきました。既に設置している「法務省危機管理専門家会議」の中から3名,このタスクフォースに入っていただいております。その先生方には,1例目の感染から現場の拘置所に数度視察に行っていただいておりますので,それらの結果も踏まえたきめ細かい御意見をいただきました。今後,タスクフォースにおいてガイドラインを早急に作成した上で,これを各施設で共有し,新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。
  3件目は,入管施設感染防止タスクフォースの設置についてです。
  出入国在留管理庁の収容施設は,矯正施設と同様,閉鎖空間であるため,ひとたび施設内で新型コロナウイルスの感染者が生じると,急速に感染が拡大して危機的状況となるおそれがあります。
  また,空港や地方官署の窓口等においては,職員が入国者等と接触することから,感染及び感染拡大のリスクが高い状況にあります。
  出入国在留管理庁は,これまでにも,様々な感染防止対策を実施してきており,現時点で職員や被収容者に感染は確認されていませんが,全入管施設を念頭において,更なる丁寧な対策を講じることとしました。
  すなわち,本日,宮﨑法務大臣政務官を座長とする「入管施設感染防止タスクフォース」を新たに設置することといたしました。
  今後,このタスクフォースにおいて,専門家の御意見もいただきながら,入管施設の特性を踏まえた,新型コロナウイルス感染症対策の「マニュアル」を作成し,全国の入管施設で共有することとしております。
  最後に,実習継続困難となった技能実習生等への雇用維持支援についてです。
  これまで,法務省では,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ,外国人の在留諸申請への配慮として様々な対策を講じてきました。
  これらの対策に加え,今回,特例措置として,4月20日から,新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等の我が国での雇用を維持するための支援を行うこととしました。
  措置の内容は,出入国在留管理庁において,関係省庁と連携の上,解雇等で実習継続が困難となったものの,引き続き本邦での就労を希望する技能実習生等の情報を,就労支援が可能な特定産業分野の関係機関に提供し,迅速なマッチングを可能とするものです。
  また,在留資格上の措置として,一定の要件の下,「特定活動」として,最大1年の在留資格を許可し,再就職先での就労を継続することが可能となるようにします。例えば,一定の産業の資格で技能実習をしていた者を,農業であるとか介護であるとか,他の種目へマッチングすることを可能としたものです。
  法務省としては,この措置により,技能実習生等の雇用維持が実現できるよう,引き続き,関係省庁と緊密に連携してまいります。

新型コロナウイルス感染症拡大を受けた技能実習生の雇用維持支援策に関する質疑について

【記者】
  新型コロナウイルス感染症拡大を受けた技能実習生の雇用維持支援策に関連してお伺いします。これまでも違法な低賃金や長時間労働が問題になったケースがあります。そういった点への懸念や対策がありましたら教えてください。
 
【大臣】
  お尋ねのように,技能実習制度については,一部の受入れ企業等における労働関係法令違反等の問題が生じており,重く受け止めております。
  そういった事案に対する対策としては,まず,外国人技能実習機構において,労働関係法令違反の事案等についての相談業務を行っており,技能実習生本人からの母国語での相談についても8か国語で対応可能となっております。
  そして,監理団体又は実習実施者において労働関係法令違反等の不正が認められた場合には,法務省として,厚生労働省と連携の上,その事案の内容に応じて,監理団体許可や技能実習計画の認定を取り消すなど,厳正に対応しているところです。
  法務省としては,技能実習制度について,関係省庁とも連携し,その趣旨に沿った適切なものとして活用されるよう,引き続き制度の適正化に努めてまいります。

春の例大祭に関する質疑について

【記者】
  21日に開かれる例大祭に合わせ,靖国神社などに参拝する予定はありますか。予定がある場合は何日に行くのか,参拝しない場合でも,供え物の真榊を奉納する予定はありますか。
 
【大臣】
  現時点で,参拝の予定はございません。

緊急事態宣言の対象地域拡大に関する質疑について

【記者】
  冒頭にございました緊急事態宣言の全国への拡大について,法務省は全国に施設をお持ちですが,改めて緊急に,全国に拡大したことについて,大臣の所感をお伺いできますか。
 
【大臣】
  緊急事態宣言,非常に重いものだと思っておりますが,感染拡大を早く収束させたいという思いの表れであると受け止めました。緊急事態下において,経済的にも非常に困難を伴い,個人も企業も大変な苦労をなさっています。宣言の対象を全国に広げることで,全国民の皆様に更なる御負担,御苦労をお掛けすることになるのは,本当に胸の痛い思いのする一方で,この国難とも言える状況を皆で一丸となって頑張ることで,早期の収束の光が見えることを信じて頑張っていきたいと思います。
  特に,昨日,今までの7都府県に,新たに6道府県を加えた13都道府県が特定警戒都道府県とされまして,その上で緊急事態宣言の対象に全国が指定されました。ここに濃淡が付けられているわけですが,まず新たな6道府県については,7都府県と同様の蔓延が見られる一方で,それ以外の地域は,そこまでいっていないとされています。それでも対象を全国に広げた心は,大規模な移動を念頭に置いたものです。すなわち,都道府県をまたぐ人の移動,それが感染拡大にとって良くないんだ,そこを阻止しなければいけないんだ,という強い思いに基づくものと考えています。5月6日までの緊急事態宣言の期間には,ゴールデンウイークも含まれておりますので,そこで大規模な人の移動があっては,これまでの努力が報われなくなる心配もございます。そこを含めて全国の皆様に意識を共有していただく意味が今回の対象拡大にはあるということです。
  それからもう一つ,現在蔓延しているとまでは言えないものの,地方でクラスターが発生している区域の例をウオッチしますと,そこは都市部からの移動が見られるとされていますので,やはり先ほどの13の区域から都道府県をまたいだ移動は我慢していただくということに大きな眼目があるということです。それに伴う痛みに対する経済対策については,総理からも新たに言及がございましたし,私達も補正予算の中で決まったことについて,皆様の意見を聞いて,より具体的な措置,効果的な措置を講じてまいりたいと思います。そして政府としても国民の皆様に全力でお応えしてまいりたいと思います。

大阪拘置所職員の新型コロナウイルス感染に関する質疑について

【記者】
  大阪拘置所の件で,これまで7人の刑務官の方の感染が出ていますが,感染経路について,これはやはり1人目の方からの感染と見られるのか,状況が分かっていれば,お願いします。
 
【大臣】
  1例目の感染が発覚後,専門家会議においてすぐに分析をしていただいて,感染症の専門家の方から,体調不良を訴えた日の2日前から,感染力があると思ったほうがよいというお話もありました。当該職員に接触した可能性がある職員については,広めにとって119名の職員を自宅待機にしました。拘置所において119名の職員が一気にいなくなるというのは大変なことですが,やはりその後の感染拡大を考えて,危機管理においては広めに対象をとっていくのが要諦ですので,そのようにしました。そうしたところ,自宅待機とした職員の中から現在まで6名の感染者が出ているということで,やはり広めに待機させておいて良かったと思っています。拘置所に残っている刑務官や被収容者の中から感染者が出る,ということが一番恐れている事態です。その1例目から7例目までの詳細は調査中の部分もございますので,また事務方にお尋ねいただければと思います。ただ,調査の過程で,例えば,夜勤を一緒にしている,仕事場が近いところにある,同じ食堂を使っている,同じ仮眠室を使っている,また武道を一緒にしていたとか,必ずしもそこで感染したと断定しているわけではないものの,そういった形での接触の事実があったということは,申し上げておきたいと思います。
 

矯正施設における感染防止対策に関する質疑について

【記者】
 矯正施設に勤務する方の移動途中の感染リスクを軽減する目的で,官舎の活用という話が出たと思うのですが,これは大阪拘置所だけで進んでいるものか,それ以外も含むのかということについてお願いします。
 
【大臣】
  大阪拘置所以外にも検討するよう指導済みです。全国,私の指示どおりにしているようです。ガイドラインにもその旨を書き込んで,全国の矯正施設,いろいろありますが,横展開を徹底していきたいと思います。
  官舎もそうですし,官舎以外の泊まれる部屋もあります。大阪拘置所では割と近くに研修施設があって,応援職員にはその研修施設に入ってもらいました。先ほど119名を待機させたと言いましたが,そこから2例目,3例目が出てくると感染した職員と接触した職員が少しずつ増えてきて,最大で146名くらいまでいったんですね。奈良や京都から応援に来てもらっていますが,応援に来た者が通勤の間に感染してはいけませんし,感染拡大してもいけませんので,研修施設に入ってもらって,専用のバスで送迎しております。こういった具体的な手法を全国に展開してまいりたいと思います。

緊急事態宣言の対象地域拡大に伴う現金給付に関する質疑について

【記者】
  昨日の緊急事態宣言で,安倍総理から,「全ての国民に一律10万円の給付をする」方向で検討する旨の御発言がありました。全ての国民にということなのですが,日本政府は国際人権規約の批准や1981年の難民条約への加入を踏まえて,内外人平等の原則を適用しています。これは,社会保障分野や教育分野など幅広い分野に適用され,入管法においてもこれが適用されます。
  まだいろいろ実施されていない部分もありますが,「全ての国民」の中には,日本に生活基盤を持つ在日外国人にも適用されると大臣はお考えですか。基本的な考えをお願いします。
 
【大臣】
  お尋ねの現金給付が外国人にはどうかということですが,昨日,総理が言及したものの制度設計については,これから与党において検討をお願いするとおっしゃっていたかと記憶しております。まだその内容がはっきりしているわけではございませんので,私からそれについてなかなかお答えすることが難しく,法務大臣としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 
【記者】
  今,法務大臣としてということでしたが,内外人平等の原則というのはまさに法務大臣の所管でもあると思うのですが,そこについては大臣はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
 
【大臣】
  内外人平等の原則については,もちろん,在日外国人にもその趣旨を尊重してまいらなければならないと思いますが,今,10万円の現金給付についてお尋ねになったので,それに関連してということになりますと,私の方でお答えすることが難しい状況でございます。

入管収容施設における感染防止対策等に関する質疑について

【記者】
  法務省も13日に,新型コロナウイルス感染症対策として基本的対処方針を決定し,公表されました。
  先ほども,矯正施設における閉鎖空間についてお話が出ましたが,こういう状況について,入管施設に対しても,4月15日に日弁連の会長が,入管収容施設における3つの密のリスクの解消を求める会長声明を出しました。大臣はまずこれを御覧になったのかということと,この中で「在留特別許可,特別放免,仮放免,仮滞在等の諸制度を最大限活用し,速やかに収容を解き,集団感染のリスクを大幅に削減すること」という項目が入っています。こういった入管施設からの速やかな解放となりますと,やはり大臣の強いリーダーシップが必要だと思うのですが,この日弁連の会長声明に対する大臣の御所見を伺います。
  また,先ほどおっしゃったガイドラインの策定の専門会議の概要と,スケジュールについてもお願いします。
 
【大臣】
  まず,1つ目の御質問の日弁連会長からの4月15日の声明ですが,この声明は承知しております。
  収容施設においては,矯正施設と性格は異なるものの,3つの密を解消をするための努力をしなければならないという点では,先ほどお話した矯正施設と同様で,入管関係のタスクフォースを立ち上げて,感染が拡大しないようにという観点から慎重に検討していこうということにしております。
  また,前回の記者会見のときにもお答えしたと思いますが,仮放免等に関しては,今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の実態を踏まえて,柔軟に活用することを指示しているところです。
  2点目のガイドラインについて,本日タスクフォースを立ち上げますので,まだその内容については具体的に決まっておりませんが,これは新型コロナウイルス関連の対策ですので,もちろん迅速にするよう指示をしていきたいと思っております。矯正施設はガイドラインと呼んでおりますが,入管の方はマニュアルとネーミングをしたいと思っておりまして,そのマニュアルの策定時期については,スピード感を持って検討してまいりたいと思います。
(以上)