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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年4月28日(火)

  今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
  続いて,私から3件御報告がございます。
  まず,「矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン」の策定についてです。
  昨日の第3回矯正施設感染防止タスクフォースにおいて,「矯正施設における新型コロナウイルス感染症感染防止対策ガイドライン」が策定され,全ての矯正施設に対し,本日付で,これを発出しました。
  本ガイドラインは,専門家の皆様から,重要かつ有効な御助言・御指導をいただきながら,新型コロナウイルスに関する基本的理解,感染防止に向けた取組,感染者等が発生した際の対応,感染防止のために確保すべき物品などの内容を盛り込んでおり,実践的なガイドラインとなっています。
  また,お手元の概要,後ろから2枚目に添付している図にもありますとおり,専門家の御意見等を踏まえ,施設内においてどういう場合に感染が拡大し得るかの感染拡大リスクを図で示し,感染予防のために気を付けるべき点を盛り込むなど,職員に対し分かりやすくする工夫も凝らしております。
  私から矯正施設に対しては,本ガイドラインを全職員に周知した上で,これに基づく適切な感染症対策をとるよう指示したところであり,今後とも,新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  2件目は,上陸拒否対象地域の拡大についてです。
   法務省では,昨日の政府対策本部における報告・公表を踏まえ,明日4月29日午前0時から上陸拒否の対象地域を14か国拡大し,87の国・地域に滞在歴がある外国人等について,特段の事情がない限り,上陸を拒否することとします。
  なお,今回拡大する地域に滞在歴がある外国人のうち,「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する者については,本日までに,再入国許可を受けてこの14の国に出国し,その国から再入国する場合は,原則として,特段の事情があるものとして,上陸を認めることとします。
  他方で,明日以降に出国した外国人については,再入国許可を受けていても,原則として,特段の事情がないものとして,上陸を拒否することといたします。そのため,本邦に在留する外国人に対し,上陸拒否対象地域への渡航を控えていただくよう要請をしております。
  法務省としては,引き続き,国内への感染者の流入防止のための水際対策について,万全を期してまいります。
  3件目は,法務省デジタルトランスフォーメーション総合推進会議,略称「法務省DX会議」についてです。
  法務行政のデジタル化及びAI・ICT化を推進するため,4月24日金曜日,法務省担当のCIO補佐官3名と私とで「法務省デジタルトランスフォーメーション総合推進会議」を立ち上げました。
  法務省においては,既に登記申請や在留資格申請のオンライン化などを進めていますが,更にデジタル化等を進めていくことが可能な業務や分野があると考えています。
  そこで,法務省DX会議を定期的に開催するとともに,この会議の下に,有識者の皆様も交えた会議体を設けるなどし,法務行政のデジタル化及びAI・ICT化について,速やかに検討に着手することとしました。
  また,4月24日に開催した法務省DX会議は,民間のWeb会議サービスを活用して開催しました。今週金曜日も開催しますが,私自らこのWeb会議サービスを活用してみて,今後も活用を拡大していきたいと思っております。
  法務省には,現在,専用回線によるテレビ会議システムがありますが,法務省は非常に重要な情報を有しておりますので,専用の回線によるテレビ会議システムとなっており,この専用回線は法務官署以外の場所とは接続できません。本省内,本省と法務局,本省と矯正施設などですね。有識者の皆様が参加するテレビ会議を行う場合は,地方であればその地方の法務官署に来てもらわなければならないのが現状です。
  そこで,テレビ会議等がより柔軟に開催できるよう,民間のWeb会議サービスを活用してみようということで,私自らやることとしております。今までは民間のWeb会議サービスはセキュリティの保持という点で,法務省で利用することができませんでしたが,技術が進歩して,セキュリティを確保しながら,外部とオンライン会議ができるように進化してきていると思いますので,これを実際に利用しながら,検討を進めているところです。

特別定額給付金の支給対象者に関する質疑について

【記者】
  新型コロナウイルス感染拡大を受けた全国民への一律10万円給付について伺います。受刑者や死刑囚への給付の可否や支給方法についての現在の検討状況を教えてください。
 
【大臣】
  特別定額給付金については,総務省において制度設計を行っているところです。現在のところ,特別定額給付金の支給対象者は,基準日である令和2年4月27日において,住民基本台帳に記載されている者とされており,矯正施設の被収容者であることをもって,特別定額給付金の支給対象から除外されることにはならないと承知しております。したがって,被収容者にも給付されるということであります。
  平成21年に実施された定額給付金においても,矯正施設の被収容者は支給対象になりました。今回の特別定額給付金の被収容者への具体的な支給方法については,平成21年の手続を参考にしながら,現在総務省と調整中です。

法務行政のデジタル化に関する質疑について

【記者】
  先ほどデジタル化のお話があったかと思います。例えば,印鑑などは日本で長く続いてきた慣習だと思うのですが,その問題点がどんなところにあって,これが変わることによって,日本の働き方などがどう変わっていくと思われているか,それから印鑑などは契約の保証という意味合いが大きいと思うのですが,これを無くしてデジタル化していくということで,例えば,欧米のようにサインなどが主流となっていくことが考えられているのかどうか,教えてください。

【大臣】
  印鑑については,担当官庁で検討していると思いますが,法務省としても,政府全体の動きに従っていこうと思っているところです。
  法務行政のデジタル化の中で申しますと,例えば,現在では,法人登記など,法務局での手続がオンライン化されております。今度の金曜日にも法務省デジタルトランスフォーメーション総合推進会議を開くのですが,そこに有識者の方に来ていただいて,さらに不便なところがないかという現場の意見もいただきながら,改革していきたいと思っております。
  いずれにせよ,印鑑については政府全体の方向性に従いながら,新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下においても不便がないように,そしてさらに将来のデジタル化が進んで,国民の皆様の利便性が増すように,法務省の所管分野で進めていきたいと思います。
   
【記者】
  Web会議の関係で,先週試験的に開催されてみて,大臣として感じられた課題があれば教えて下さい。また,先週は省内の方のみで実施されたかと思うのですが,省外にも広げて今後使われるのか,活用方針について現時点で決まっているものがあれば教えてください。
 
【大臣】
  省内なのか,省外なのかということはともかく,CIO補佐官というのは外部の方,法務省のCIOを補佐していただく民間の方でして,3名の民間のCIO補佐官がそれぞれ外部からネットワークに接続する形で会議を行いました。それが成功していきましたら,先ほども申し上げたとおり,有識者会議など,さらに外部の方というか,その線引きは分かりませんが,いずれにせよ,民間のWeb会議サービスを使って,有識者会議などにも広げていきたいと思っているところです。
  今週金曜日に,Web会議で有識者のお一人のヒアリングをするのですが,有識者の方も外部から,また,CIO補佐官もそれぞれ自宅やオフィスから接続してもらい,省外4か所と法務大臣室とを繋いで,5人でやってみたいと思っています。
  使ってみての感想ですが,音声や画像とか,スピードなど全く問題なく,リアルな空間で会議しているのと全く同じ感覚で会議をすることができましたし,十分に充実した意見交換ができましたので,そういう点では私は使い勝手がいいなと思いました。問題はセキュリティの保持というところですので,しっかりと見極めながら進めていきたいと思います。
 

入管収容施設における面会制限に関する質疑について

≪入管収容施設における面会制限に関する質疑について≫
【記者】
  入管施設の面会制限の部分について何点か伺います。27日,昨日からですが,全国の入管施設での面会制限が開始されました。弁護士と領事館の職員以外は基本的に面会できないということですが,そのことを各地方入管や入国管理センターがツイッターで告知して,その内容が法務省のWebサイトにも掲載されています。しかし,発出元が明記されていません。いったいどこがその指示を出したのか,どこが取りまとめているのかということを教えてください。
  それが一点と,先週金曜日に第1回の入管施設のタスクフォースが開催されたわけですが,今回のこの面会制限は検討課題になっているのかどうかといったことが一点,それからそうしたことを踏まえて,先週末まではアルコール消毒とかマスクとかいろいろありましたけれど,基本的に面会は自由だったのになぜ急に面会制限を各地の入管施設で行うようになったのかという理由についてお答えください。
 
【大臣】
  お尋ねの面会制限の措置は,出入国在留管理庁からの指示でございます。
  出入国在留管理庁は全国に緊急事態宣言が発せられている現状を踏まえ,各収容施設に対し,感染防止のため,4月27日から当分の間,領事官又は弁護士以外の方による面会を原則として実施しないことを指示したものです。
  これと併せて,御希望がある場合には,面会に代わる電話通話の機会を,一定の時間・回数の範囲内で提供することについても指示を行ったものと報告を受けております。
  また,現在,入管施設感染防止タスクフォースが開かれておりますが,そのタスクフォースにおいても感染防止策に関する検討の中で,専門家から面会を通じた感染の危険性が指摘されております。
 
【記者】
  今のお答えの中で,面会の代替措置のことがあったのですが,昨日,東日本入国管理センターの被収容者の方に実際に電話してみました。週2回,1回につき10分以内という非常に厳しい制限があって,入管職員の立会いもあるということで,従来の面会室での面会の趣旨とは全く違うわけです。ですから,代替措置とは言えないのではないかという実感を持ちました。それで,全国の各入管施設によってその運用の仕方が違うと思うのですが,こういったきちっとした面会の代替措置になるようなことを,全国の入管施設がどういう状況なのかということを把握して,改めてその件について指示を出すことは考えているのか教えてください。
 
【大臣】
  お尋ねの電話通話の時間や回数,あるいは通話の場所や具体的な実施方法については,目安は出しているものの,それぞれの施設ごとに,感染防止の観点や,通話実施場所の状況その他の実情を踏まえて定めるものとなっています。
  今の御指摘を踏まえて,運用に変更や緩和をすべき点があるか否かについては,出入国在留管理庁において,各施設ごとの今後の具体的な運用状況を踏まえつつ,必要に応じて検討をしてまいるというふうに考えますが,何より今,この新型コロナウイルス感染症の拡大防止・感染防止が大前提でございますので,その旨は御理解いただきたいと思います。
  詳細については,出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思います。
(以上)