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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年5月12日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。続いて,私から2件御報告がございます。
 まず,1件目は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う申請受付期間の延長についてです。
 法務省では,在留申請窓口の混雑を緩和することで,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,これまで本年3月から6月中に在留期間の満了日を迎える外国人について,在留諸申請の受付期間を通常より3か月間延長するなどの措置を講じてきました。
 今般,現下の状況に鑑み,本年7月中に在留期間の満了日を迎える方についても,同様に,申請受付期間を3か月間延長するなどの措置を講じることとしました。
 この取扱いについて,法務省のホームページや,各国の在外公館を通じて周知し,特にお急ぎでない方には,申請窓口への来庁をお控えいただくことで,引き続き申請窓口における感染拡大防止を図ってまいります。
 次に,2件目は,会社法施行規則及び会社計算規則の改正についてです。
 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により,株式会社の決算,監査業務に遅延が生じることが懸念されていることを踏まえ,緊急的かつ時限的な措置として,会社法施行規則及び会社計算規則を改正することとしました。
 具体的には,従来,定時株主総会の招集の通知に際して書面により株主に提供することが求められていた貸借対照表や損益計算書などについても,一定の条件の下,所定の期間,継続してインターネット上のウェブサイトに掲載し,そのURLを株主に通知すれば,株主に提供されたものとみなすこととします。
 改正省令は,今週末を目途に公布し,即日施行することを予定しております。
 この改正により,従来は,株主総会の招集の通知に際して,書面の印刷や封入等に要していた時間を,決算,監査業務に充てることができ,これらの業務の負担が軽減されることが期待されます。
 他方で,今回の改正は,新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた緊急的かつ時限的なものですので,企業においては,その趣旨を踏まえ,株主の利益を不当に害することがないよう配慮しつつ,運用していただきたいと考えています。

検察庁法改正案を含む国家公務員法等の改正案に関する質疑について

【記者】
 検察庁法改正案を含む国家公務員法改正案は,先週から,衆議院内閣委員会で審議されていますが,改正案についてツイッター上で抗議の投稿が相次いだことについて,大臣としてどのように受け止めていますか。
 また,野党などから,新型コロナウイルスへの対応が議論されている状況の中で,この改正法案を審議することへの批判も一部ありますが,それについてもどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 もとより命を守ることが大事ですので,現下の新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言下においては,国民の皆様の命と健康,そして生活と経済を守ることを最優先にすることは言うまでもないことです。
 また,国民の皆様の誤解や御疑念については真摯に説明してまいりたいと思います。
 その上で,今般の改正法案の内容については問題のないものと思っております。具体的には,今般の国家公務員法等の改正法案の検察庁法の改正部分については,一般職の国家公務員の定年の引上げに合わせて,検察官についても,定年を65歳まで段階的に引き上げるものです。
 また,国家公務員法が,組織の新陳代謝を確保する趣旨で,一定の管理又は監督の地位にある管理監督職の職員を対象とした役職定年制を導入することに合わせ,検察庁法においても,その趣旨を踏まえた制度を導入するものであり,その内容に問題はないと考えております。
 また,2つ目の質問で,この時期に審議することについての御質問がありましたが,法案審議のスケジュール,国会の運営状況については,私ども行政機関が決めることではなく,国会でお決めになることですので,お答えする立場になく,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ,冒頭でも申し上げましたとおり,国民の皆様に対して真摯に説明をしてまいるという姿勢はこれまでも貫いてまいりましたし,今後もそうしてまいります。

【記者】
 関連で,誤解や懸念があるとお答えになられましたが,ツイッター上の抗議などで,国民に,どこに誤解や懸念があるとお考えでしょうか。

【大臣】
 具体的に全てについてこの場でお答えすることはなかなか難しいのですが,例えば個別の人事とは関係のないことですので,それについての誤解も御説明してまいりたいと思います。

【記者】
 個別の人事と関係ないというのは,東京高検の検事長の定年延長とは関係ない,切り離して考えるという趣旨でしょうか。

【大臣】
 東京高検の黒川検事長の人事と今回の法案については関係のないものでございます。人事については決定したものであるという趣旨です。
 また,   法案自体の内容についても,先ほど御説明いたしましたが,国家公務員法に合わせて数年前から検討されてきた内容ですので,問題のないものと考えております。

【記者】
 一部報道で,野党が,検察庁法の改正案について,野党案として検事総長の人事について内閣が3年の延長を決定できるという部分を削除する案を検討しているということですが,野党案について大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】
 野党の皆様の法案に関する報道があることは承知しておりますが,この段階でお答えすることは差し控えたいと思います。いずれにしても,国会の運営に従ってまいりたいと思います。

【記者】
 関連ですが,内閣委員会で審議されるということで,検察庁法を所管する法務大臣が不在の状態で審議され, 法務委員会では審議されないと。そのことに対して大臣としてどう考えていらっしゃるか。やはり,今誤解があるとおっしゃっていましたが,元検察官も含めて500万人近い市民が審議の進め方を問題視しているわけですが,大臣が現場にいらっしゃらないことについて,どう考えているかお聞かせください。

【大臣】
 国会の審議の進め方について御質問いただきましたが,審議の進め方については私ども行政機関が申し上げる立場になく,国会において決められる事柄ですので,それに従っていきたいと思います。
 いずれにせよ,あらゆる機会を捉えて,国民の皆様の御疑念や誤解等に対して真摯に説明をしていきたいと思います。

【記者】
 関連です。先週,内閣委員会で法案が審議入りしたわけですが,その日大臣はどこにいらっしゃったのでしょうか。記者会見もなく,もちろん委員会にも参加されなかったと思うのですが,どこにいらっしゃったのか。閣議の後,安倍首相や菅官房長官から何か指示を受けて記者会見をやらなかったのか,その理由を教えてください。

【大臣】
 先週金曜日のことでしょうか。記者会見については,記者クラブと打ち合わせをして,新型コロナウイルス感染症対策ということで,ゴールデンウイークの中日については実施しなかったものです。
 また,国会の対応については,内閣委員会でございますので,所管が武田大臣になります。私の方は国会の運営については国会の決めたとおりに従っており,内閣委員会については私は答弁に立たなかったということです。
 これについては国会がお決めになることですので,決められたことに従っていくということです。

【記者】
 真摯に御説明をされていくということですが,束ね法案である必要性であったり,定年延長制度の必要性をこれまでもおっしゃってきていると思うのですが,それで納得されない方が多いので,こういったツイッター上で,抗議が上がっているのかと思うのですが,これ以上どのような説明をされていくお考えでしょうか。

【大臣】
 今までも,例えば,法務委員会等でも御質問がなされた折には,丁寧に説明してまいりました。また今記者会見の場でもお答えをしているわけですが,あらゆる機会を捉えて国民の皆様に向けて御説明をしてまいりたいと思います。

【記者】
 どのような説明をされていくのでしょうか。

【大臣】
 丁寧に説明をしてまいります。
 束ね法案については法案を提出する際に,どのような出し方をするかということは内閣全体で話し合いまして,内閣法制局にも見ていただいた上で,これは根本が共通している改正であると,すなわち,先ほど申し上げましたとおり,数年前から全体として,自衛隊法も含めて国家公務員の定年をこの高齢化の中で引き上げる,という趣旨で準備してきた法案ですので,これは一括で束ね法案として提出したものです。
 それから,役降りの特例については,これまでも法務委員会等で御質問があればお答えしてきたとおりですが,まず国家公務員法に設けられた役職定年制と類似の制度である,検察官役降り制度というものを検察庁法にも入れました。そしてそれに対する特例として,延長の必要性があれば延長するという制度を入れたということです。
 これは,元々勤務延長について,勤務延長するということが決まったのですが,そうであれば役降り制についても延長をする必要性がある場合があるのではないかということで入れたということです。

【記者】
 検察庁法について,検察官は,独特の,一般の国家公務員とは違う,非常に強い権限もあって独立性も強いと思いますが,検察庁法については法務委員会で審議する必要性がないと大臣はお考えなのでしょうか。

【大臣】
 検察官も一般職の国家公務員でして,検事総長,次長検事,検事長の任命については内閣が担うということは法律で決まっている事柄でございます。その上で,準司法官という性格のことを今御質問されたかと思いますが,その検察官の独立を守っていくという意味で,それについてはきちっと対処をしてあると考えます。
 最後に国会の審議を法務委員会で行うべきであるかどうか,という御質問については,重ねてで恐縮ですが,国会の運営については国会がお決めになることですので,それについては私がお答えする立場にないので,お答えを差し控えさせていただきます。
(以上)