法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年7月17日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から2件報告がございます。
 まず1件目は,「犯罪被害者支援弁護士制度検討会」の設置についてです。
 本日,法務省に,「犯罪被害者支援弁護士制度検討会」を立ち上げます。この検討会では,日本司法支援センター(法テラス)による犯罪被害者支援について,従来の運用の改善や見直し及びその立法課題について検討していただきます。
 これまで法務省では,総合法律支援法に基づく法テラスによる犯罪被害者支援等を行ってきたところです。今般,このような犯罪被害者支援の更なる充実を求める様々な御意見等があることを踏まえ,この検討会を立ち上げることとしました。
 今後,この検討会において,論点を抽出・整理して,議論・検討を進めていただきたいと考えております。
 2件目は,「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」の改訂についてです。
 昨日,宮﨑法務大臣政務官を座長とするタスクフォースにおいて策定した,「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」を改訂し,全ての出入国在留管理官署に対して発出しました。
 今回の改訂の主なポイントは,「新しい生活様式」の実践など,法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針の改訂内容の反映,熱中症を防ぐための水分補給など,盛夏時における留意点の追記,消毒の徹底やゾーニングの在り方の追記,感染が疑われる来庁者に対する適切な対応の在り方の追記などです。
 本マニュアルは,各分野に精通した専門家の皆様からいただいた,重要かつ有意義な御助言・御指導を踏まえ,入管施設の特性に応じた感染防止策,感染者が発生した場合の対応などが盛り込まれており,具体的かつ実践的な内容となっています。
 法務省ホームページに掲載しましたので,他の施設,場面等における対策にも参考としていただければと思います。
 法務省としては,今後とも,新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に万全を期してまいります。

「収容・送還に関する専門部会」の提言等に関する質疑について

【記者】
 外国人の長期収容問題についてお伺いします。「出入国管理政策懇談会」は14日,大臣に対して対応策を提言しました。国外退去を拒否した場合に刑事罰を科すことなどを盛り込んでおりますが,支援者からは「罰則は解決につながらない」との懸念の声も聞かれます。提言を踏まえ,法改正の必要性についてどのような認識でしょうか。また,いつ頃の法案提出を目指して検討を進めるお考えでしょうか。
 
【大臣】
 私が,本年7月14日に提出を受けた「収容・送還に関する専門部会」の提言の内容は,出入国在留管理行政にとって喫緊かつ重要な政策課題である送還忌避者や収容の長期化の問題の解決のために有益なものであると考えております。
 私は,出入国在留管理庁に対し,頂いた御提言を十分に踏まえ,その他の様々な御指摘にも耳を傾けながら,収容及び送還に関する制度や運用の改善に向けて必要な検討をしっかりと行うように指示しました。
 御指摘の法改正については,私の指示を受けた出入国在留管理庁において,今後,その要否も含め,必要な検討を行っていくことになります。
 したがって,現時点で法案を提出する場合の内容やスケジュール等をお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

【記者】
 「収容・送還に関する専門部会」の報告書のことでお伺いします。まだ法改正をどうするかということは決まっていないとのお話でしたが,この秋には,国連自由権規約委員会で日本審査が予定されています。入管の長期収容問題や,難民認定制度などについても過去に勧告が出ているわけですが,それに対して日本政府がどのように対応してきたのかということについて,また改めて審査が行われると思います。もし,今後法改正をするということであれば,こういった国連の勧告を踏まえた改正というものも考えていらっしゃるのかどうか。また,与党内,公明党には,難民対策のプロジェクトチームのようなものも存在しますが,与党内でもこの報告書の提言を受けた検討を考えていらっしゃるのか,お伺いします。

【大臣】
 御質問の国連の自由権規約の審査が10月頃に予定されているということは承知しております。
 この審査に向けて,政府全体で,法務省としても,外務省を始めとした関係省庁としっかりと連携し,適切に対応してまいりたいと思っております。
 法改正については,先ほど申し上げたとおり,その要否も踏まえ,その内容をこれから検討していくことですので,必ずしもそれについては何かしら決まっているわけではなく,お答えすることが困難なのですが,いずれにせよ,国連の審査については,適切に対応してまいりたいと思っております。
 
【記者】
 今の質問内容でお答えになっていない部分なのですが,与党内での検討,先ほど申し上げましたとおり,公明党の中には,難民対策プロジェクトチームがあり,過去に法務大臣にも提言を出されているのですが,こういった与党内での報告書の内容を検討することを考えているのかどうか,法案にするかどうかも含めてお願いします。

【大臣】
 与党内の御検討につきましては,しっかりとそのお考えも傾聴しながら,政策に反映させていただきたいと思っております。

「犯罪被害者支援弁護士制度検討会」に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言にありました,「犯罪被害者支援弁護士制度検討会」について,更なる充実を求める声があるため検討会を設置するとのことでしたが,具体的にどんな声が上がったのか教えてください。
 
【大臣】
 私も弁護士のときは被害者サイドの弁護士でありました。御存じのとおり,刑事でも民事でもですが,特に刑事においては,加害者側において,当番弁護でありますとか,国選弁護の制度が運用されております。ただ,被害者の方にはそのような制度がほとんどございません。そのため,被害を受けたときに報道機関の皆様による取材が被害者の方のところに来てしまって,殺人事件ですと御遺族になるのですが,そういった方々が辛い思いをされたり,対応に悩まれたりいたします。
 または,刑事事件の場合,示談交渉等の際に,加害者側に弁護士がいらっしゃることがございます。
 そういうときに,やはり被害者側にも弁護士がいて,その報道機関との間に立っていただいたり,それから加害者弁護士と弁護士同士で交渉をすることができれば良いのですが,被害者側に支援弁護士が就いたとしても,私の時代もそうでしたが,被害者側の支援弁護士は国庫の御支援がない中で,持ち出しのような形でやっております。そのような様々な問題点があって,私自身も非常に問題意識を持っていたところ,そのような被害者の方の助けになれるように,被害者のために支援活動をしている弁護士の方々等からいろいろな御意見をいただきましたので,この制度の検討に踏み切ったわけです。
       
【記者】
 関連ですが,そういった声があって,大臣の決断で検討会を開かれるということですが,その検討会のメンバーや,いつ初会合を開かれるかなど,具体的な内容を教えてください。

【大臣】
 本日検討会を立ち上げまして,7月末頃に第一回を開催する予定です。
 構成員については,具体的には,日弁連の被害者支援委員会の委員である弁護士,法テラスの業務に精通している弁護士,研究者,そのほか,被害者の生の声をいただくために犯罪被害者支援団体の関係者などにも参加いただく予定です。

【記者】
 細かいことは今後だと思うのですが,議論するテーマとしては,犯罪被害者の弁護士支援の制度を国として何か制度化できないかということを検討するということでしょうか。

【大臣】
 法務省では,これまで,犯罪被害者の方々に対する法的支援としては,例えば,法テラスによるDV等被害者法律相談援助等の犯罪被害者支援事業を実施してまいりました。今回立ち上げる検討会では,弁護士による犯罪被害者の支援を充実させる観点から,支援の対象とする犯罪被害者の範囲でありますとか,支援の在り方について,法制度化に向けた課題を広く検討して,論点整理をして議論を行うということにしております。
 また,現在,日弁連から犯罪被害者の支援弁護士が来たとき,国からは被害者の支援の予算というのは乏しく,日弁連から援助事業をするという格好になっており,援助費用について国庫負担をすることができないかという御意見もいただいています。まだ決まったことではございませんが,そういった課題について,先ほど申し上げた有識者,法律実務者,研究者,被害者団体の方に御意見を聴いて,スピード感を持って取りまとめていただきたいと思っております。
(以上)