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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年8月25日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から1件御報告がございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により就労先がなくなった元技能実習生等に対する支援を拡充するため,この度,雇用維持支援の対象の拡大,専用ヘルプデスクの設置などを行うこととしました。
 まず,雇用維持支援の対象の拡大については,これまで,技能実習修了者は,同一の職種カテゴリー内でのみ転職が可能でありましたが,9月初旬からは,カテゴリーが異なっても転職を認めることとし,その生活基盤の安定を図ります。
 次に,専用ヘルプデスクについては,外国人在留支援センター(FRESC)に,技能実習生や留学生等を対象とした多言語・フリーダイヤルによる専用ヘルプデスクを9月1日に設置し,元技能実習生等が抱える問題についての相談に応じ,確実に問題が解決できるよう支援を開始します。
 法務省としては,今後も我が国に在留する全ての外国人を誰一人取り残すことなく,引き続き我が国において安心して暮らせるよう,必要な支援を引き続き検討し,実施してまいります。
 

技能実習修了者等に対する支援策に関する質疑について

【記者】
 冒頭で御発言のありました支援策について,技能実習修了者をめぐる現状認識ですとか,今回新たに始まる支援策の意義について,改めてお聞かせください。

【大臣】
 法務省としては,これまでも,技能実習を修了したものの,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により帰国できない元技能実習生等の方々の状況に応じ,様々な支援策を実施してまいりました。
 しかしながら,現在も,国際的な人の往来の制限が継続しており,元技能実習生等については,帰国困難な状況の長期化,また,それに伴う生活の困窮が予想され,私の方にも様々な声が寄せられております。こうした方々が,日本で安心して生活できるよう,更なる支援を検討いたしました。
 今回実施することとした技能実習生への雇用維持支援の対象の拡大については,先ほどもお話しましたように,これまで,技能実習修了者は,例えば「農業カテゴリー」,「建設カテゴリー」といった同一の職種カテゴリー内でのみ転職が可能でありました。
しかし,同一カテゴリー内での転職ができない方も一定数存在するということを把握いたしましたので,9月初旬から,カテゴリーが異なっても転職を認めることとしたものです。
 これにより,元技能実習生等の就労を可能とし,安定した生活基盤が築かれることを期待しております。
 次に,コモレ四谷にFRESCという名称でオープンした外国人在留支援センターに,専用ヘルプデスクを設置することにいたしました。技能実習生等の中には,本来受けられる雇用保険を申請していない,帰国が困難な状況であるにもかかわらず,雇用先が見つからないなどの様々な問題を抱えている方がいらっしゃいます。
 これらの方々の相談に多言語・フリーダイヤルによる専用ヘルプデスクで応じることで,技能実習生等が抱える問題を確実に解決できるよう支援していきたいと考えております。
 日本で在留する外国人の方々が安心して在留できる環境を構築することは大変重要と考えており,今後も外国人に寄り添った支援に力を入れてまいりたいと思います。
     

入国制限の緩和に関する質疑について

【記者】
 今後の入国制限の緩和の方向性についてお伺いします。
 どういった方の入国が認められているということについては,私はある意味詳しいというか,これまでのことは御説明いただかなくてもいいのですが,今政府の中で動きがあると認識しておりまして,9月1日から入国制限が緩和されるという情報があるのですが,どういった方が,どういった条件で入国・再入国できるようになるのかということについて,具体的な情報をいただければ助かります。

【大臣】
 入国制限の緩和についての御質問をいただきました。これまでは上陸拒否の対象地域となる前に再入国の許可を得て当該地域に出国した外国人については入国の許可をしてきましたし,また,特に人道上配慮すべき事情がある方にも,個別の事情に応じて再入国を認めてまいりました。
 現時点では,それに加える更なる入国制限の緩和について,具体的なものが決まったわけではございませんが,その他の外国人についても,今,政府全体として,感染再拡大の防止と両立する形で,どのように入国を認めることができるかについて真剣に検討を進めている最中です。
今,新たに発表できることはございませんが,法務省としては,引き続き,国内への感染者の流入防止という重要な水際対策に万全を期しつつ,これと両立する形で,国際的な人の往来の更なる再開に向け,政府全体として検討をしながら,法務省としても必要な措置を講じてまいりたいと思います。

【記者】
 今月末に何らかの発表が期待できるのでしょうか。

【大臣】
 今,時期や内容について何か具体的なものが決まっている段階ではございません。

河井前法務大臣の公判に関する質疑について

【記者】
 河井前法務大臣の初公判が今朝ほど開かれました。大きな注目を集めておりますが,大臣の受け止めがありましたらお願いいたします。

【大臣】
 御指摘の事件について,本日,東京地裁において,初公判が開かれることは承知しておりますが,公判係属中の個別事件について,法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
 

入管収容施設における医療体制等に関する質疑について

【記者】
 入管施設での長期収容に伴う医療体制についての質問です。
 現在も,大変深刻な病状の方の長期収容が東日本入国管理センターで続いています。例えば,ウガンダ難民の申請者のケースですが,本人や面会支援者が病状をセンター側に訴えても,血液検査をしたり,痛み止めや睡眠薬等の投与はあっても,経過観察するだけで,根本的な治療を受けることができず,診断書すら出されない状況が1か月以上続いています。食事をとる気力もないという状況で,そもそも誰が医師で,誰が医療スタッフを名乗る入管職員なのかも説明がない状況です。
 現在はこういった関係ですから,医師と患者の信頼関係も成り立ちませんし,まともに治療するためには,仮放免で身柄を解放する以外に方法はないと思われますが,被収容者の健康状態が悪化した場合の緊急の医療の対応や仮放免,治療のための在留特別許可の判断は,各地方入管局長任せなのか,法務省本省との間できちんと情報共有して,どういう対処をするかという判断をされているのか,大村収容所での餓死事件以降,それ以前からも深刻な状況が続いていますので,緊急の状況があった場合,どういう対応をされていくお考えなのかということをお伺いしたいのですが,いかがでしょうか。

【大臣】
 個別の案件については,お答えを差し控えさせていただきますが,一般論として,入管収容施設においては,法令に基づき,被収容者に健康上の問題がある場合は,医師の診療を受けさせ,医師の指示に基づき,病状に応じた適切な措置を講じているところです。
 また,被収容者の処遇全般について,法令に基づき,被収容者の人権に配慮して適正に行うよう私からも指示をし,これを徹底させているところでございます。
 仮放免に関するお尋ねもございましたが,仮放免は,入管法の規定に基づき,被収容者の健康状態その他の情状を考慮した上で,入国者収容所長又は各地方出入国在留管理局の主任審査官が行っているところです。
 在留特別許可は,通常,法務大臣から権限を委任された地方出入国在留管理局長が行っております。
 なお,「収容・送還に関する専門部会」で取りまとめられた御提言には,医療上の措置等の被収容者の処遇に関する内容が含まれており,私は,出入国在留管理庁に対し,頂いた提言を十分に踏まえ,必要な検討をしっかり行うよう指示を出しておりますので,出入国在留管理庁において,必要な検討が行われていると考えております。

【記者】
 一般論としては分かるのですが,実際にまだ収容されている方がたくさんいるわけですし,それに対する緊急の医療体制,以前から指摘されてきたと思うのですが,それにどう対処していくのか。そういった深刻な状況がある場合に,特に医療関係者と言いますか,医師など,誰が責任を持ってチェックするのかということについてお伺いしたいのですが,いかがでしょうか。

【大臣】
 先ほどお答えしたとおりですが,健康上の問題がある場合には,医師の診療を受けさせ,医師の指示に基づき,病状に応じた適当な措置を講じているところでございまして,その責任は地方出入国在留管理局長が担っているということになります。

(以上)