法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年9月15日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件として,「刑事訴訟法第350条の2第2項第3号の罪を定める政令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。

法務大臣在職期間の振り返りに関する質疑について

【記者】
 自民党の新総裁が決まり,明日には組閣が行われる見通しとなっていますが,一つの区切りとして,これまでの大臣在職期間を振り返っての御所感をお聞かせください。

【大臣】
 今日,定例閣議としては,最後の閣議になる見通しでございました。数えてみましたら,臨時閣議も含めて89回目の閣議ということでありました。閣議前の待合室で,同僚の閣僚の皆様とも,お世話になったとの言葉を交わしてから,最後の定例閣議に臨んだところでございます。
 昨年10月31日に法務大臣に就任して,10か月余りとなる在任期間でありましたが,法務大臣として,国民生活の安心・安全を守るための法的基盤の整備という重大な使命を担わせていただきました。
 私としては,国民から信頼される法務行政を作り上げるという点に強く決意を持って取り組んでまいりましたので,立ち上げました「法務・検察行政刷新会議」などがそれを代表するものでございますが,今朝,菅官房長官にはしっかりそれを継続してくださいということも申し上げたところです。
 新型コロナウイルス感染症が発生いたしましたので,法務省では,入管業務で感染症の流入を防ぐための水際対策,それから収容施設でクラスターが発生しては大変でございますので,法務省危機管理専門家会議,そして矯正施設と入管施設についてのコロナ対策の会議体を立ち上げて,徹底した感染防止対策のマニュアル化をしてまいりました。
 また,国会関係におきましては,臨時国会で4本,そして通常国会で3本,法案を提出・成立させていただきました。
 臨時国会では,株主総会資料の電子提供制度の創設等を内容とする会社法の一部改正法等の4件を,そして,通常国会においては,外国法事務弁護士等が代理できる「国際仲裁事件」の範囲の拡大等を内容とする外弁法の改正法,また,「あおり運転」による死傷事犯に対応するための危険運転致死傷罪の対象行為の追加を内容とする自動車運転死傷処罰法改正法等の3件でございます。いずれも,社会情勢の変化に対応して,スピーディーに法改正ができたと思います。
 また,特に,女性の法務大臣として力を注いできたものが,性犯罪に対する厳正な対処,それから養育費の不払い問題でございまして,性犯罪の被害者やシングルマザーの皆様など当事者の生の声を大臣室の勉強会でお聞きした上で検討会を開催し,検討会についても,今までないような取組として,被害者の皆様もその委員に入っていただき,また,委員の数が女性の方が圧倒的に多いという検討会をそれぞれ立ち上げたということで,強力に取組を進めてきたつもりです。
 また,法務省職員がワークライフバランスを実現するために,育休取得100%を目標に掲げ,また,その後生じた新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴ってテレワークを強力に推進するなどしてまいりました。また,「法務大臣デジタル目安箱」を設けて,職員の生の声を取り上げてまいりました。先日,直近でも,昼休みの過ごし方が密にならないようにということで,一つまた新しい取組を指示したところでございます。
 先ほども申し上げましたが,「法務・検察行政刷新会議」,これはカルロス・ゴーン被告人の国外逃亡を契機にした,国際的に日本の刑事司法手続についての批判の声を受けて,また,元検事長が金銭を賭けて麻雀を行った問題について,国会の審議において,また,国民の皆様からも,勤務延長問題や検察庁法改正をめぐり様々な御指摘・御批判を頂きましたので,これらを契機に立ち上げたものです。
 国民の皆様から信頼をいただける法務・検察行政の在り方という,一番最初に申し上げた私の目指すべき在り方を実践するために,有識者の皆様,特に民間委員の皆様を入れて,こういった法務行政のスペシャリストだけではない,国民の皆様の目をしっかりと反映していきたいと思いますので,これはしっかりと継続をしていただきたいと思っています。
 自分なりのカラーを出しながら,力の限り取り組んできたつもりでございますが,大変に問題も多く,国会で答弁する回数も,予算委員会で答弁する回数も非常に多かった法務大臣任期でございました。
 そんな私を支えてくださった義家法務副大臣,宮﨑法務大臣政務官,そして法務省の全職員に,心から感謝申し上げます。
 ところが,昨日大変なことが勃発しまして,週刊誌の方が私に取材してきたので初めて分かったのですが,法務省内で不祥事があったやに聞いております。それが2か月間も私に報告されなかったということが,昨日記者さんに聞いて初めて分かったのですが,これが本当なのかどうなのかということを,この記者会見の直後に事務次官を大臣室に呼んでおりまして,真実かどうかを聴き取ろうかと思っているところでございます。「法務・検察行政刷新会議」でも議題となっている検察官,そして法務省職員の倫理問題でございますが,やはりしっかりとそれに取り組んでいただきたい。問題はやはり透明性だと思いますので,政務三役に報告なく済ませてしまうというようなことがないように,これが真実かどうか分かりませんが,今から聴取するところではございますが,そういったことが国民の目に触れなければ,それでばれなければいいんだというようなことが,まだ行われているのかなという,ちょっとがっかりする思いで最後の日を迎えております。しっかりその点も含めて,最後の1分1秒まで法務大臣として,法務省の改革に力を尽くしたいと思っているところでございます。

菅新総裁に関する質疑について

【記者】
 昨日の自民党両院議員総会で菅新総裁が選出されました。安倍政権下で同時期に閣僚を務めた1人として,新総裁の手腕や能力をどのように評価されていますでしょうか。
 また,就任後の記者会見などでは,行政改革や既得権益の打破などに意欲を見せていますが,こうした政策への期待も併せてお願いします。

【大臣】
 安倍政権の閣僚として,安倍総理がこれまで進めてきた政策を法務大臣として全力で支えてきたところでございます。
 自民党の総裁選については,法務大臣の立場でコメントすべきではないと思いますので,差し控えさせていただきます。
 先ほど申し上げましたとおり,最後の1分1秒まで,法務大臣として安倍総理を支え,また,法務省のために全力を尽くす所存でございます。
 

平成22年に発生した中国漁船衝突事件に関する質疑について

【記者】
 10年前の尖閣衝突事件について,大臣が当時野党時代に,この問題に取り組まれたということですけれども,先だっての報道から当時の菅直人首相が,保釈,釈放せよという指示を出したということを前原外相,当時の外相が証言されたことについて,当時の閣僚などからも証言が相次いでおります。当時のこの判断について,改めて調査する考えはございませんでしょうか。

【大臣】
 当時,自民党政権でございませんでしたので,私は野党としての自民党副幹事長でございまして,中国漁船衝突事件を,私が自民党の代表で調査に行きました。
 当時の那覇地方検察庁の検事正にも面会してインタビューを行いました。石垣島の様々な施設等で聴き取り等も行い,当時の自民党に調査報告をしたところでございまして,それは私が国会で質問していますので,きっと御存じであるとは思います。現在は法務大臣の立場でございますので,先日の記事を受けて,私は法務大臣として,法務省の職員に実際どうだったのかということを質問して,報告を受けたところでございます。

【記者】
 報告を受けたということですけれども,今おっしゃれる範囲でどういった状況が確認できたのかということを教えていただけますでしょうか。

【大臣】
 報告は10年前のことについてでありまして,残っていた資料が僅かでございまして,それをあちこちからまとめて,まとめ直したものを私に報告してくれました。その報告の内容は,那覇地方検察庁の方がその上級庁である福岡高等検察庁及び最高検察庁と協議した上で,中国人船長の釈放を決定したものであると,そういう報告でございました。

【記者】
 つまり官邸からの指示うんぬんということについては,報告内容にはなかったということでしょうか。

【大臣】
 そのようなことは,その報告の中にはございません。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 大臣の在職期間に,安倍政権の在職期間において,入管行政についてもいろいろな問題がありました。
 先ほど,コロナ問題以降の仮放免の問題を大臣は取り上げてお話されましたけれども,長期収容の問題,これは専門部会が作られて,議論も今されているわけですけれども,その提言,「収容・送還に関する専門部会」の報告書について,法制度というのを今検討中だと思うのですが,国会に上程する予定があるのかどうかということと,それと退去強制の手続の一方で,やはり受入れの問題,今コロナの問題でいろいろ大変だと思うのですけれども,技能実習生の問題であるとか難民認定制度の在り方,それから在留特別許可の在り方といった受入れの在り方について,やはり政策課題が多数残っていると思うのですが,そういったことについて,大臣在職中の感想等と,それと今後どういう点について至急取り組むべきだというふうに考えていらっしゃるのか,この点について伺いたいのですが,よろしくお願いします。

【大臣】
 まず,専門部会からの御提言に関しては,従来からお答えしておりますとおり,しっかりとその趣旨を踏まえ,また,それ以外の皆様からの様々な声にも耳を傾けて,今後取り組むようにという指示を出しているところでございます。
 入管法の改正法案の提出スケジュールについても御質問があったかと思いますが,様々な情勢次第であり,確定的なことは困難でございますが,私からは,やはりこれは重要であり,また喫緊に取り組まなければならない課題が入っておりますので,スピード感を持って取り組むようにという指示を出しているところでございます。
 また,外国人材の受入れ等の様々な諸問題について御質問がありましたが,法務大臣任期中,記者からの毎回の質問に対して,私も非常に勉強させていただきました。その質問に答えるために,法務省職員にレクをさせて,勉強をしている中で,やはり外国人の皆様,この国でお暮らしになる中で様々な課題が本当に多くあるなということを勉強させていただきました。その上で,先ほどのような指示を出しているところでございますし,また,コロナ禍も含めて,仮放免の積極的な運用も大臣として指示してきたところでございますが,今後も法務省がしっかりとそういった問題に目を配って,また,政府全体で取り組んでいくように指示を出しているところでございます。私は,法務大臣の任を解かれても,しっかりとこの問題には関心を持って取り組んでいきたいと思っています。

国連の勧告に関する質疑について

【記者】
 今年の10月に自由権規約委員会があります。これがちょっと延長されるようなのですが,そこでは,法務省案件では,未決勾留の問題ですとか,それから入管難民問題についても取り上げられています。
 それと大臣は野党の頃に,原発事故の避難者の子ども被災者支援法の取りまとめを自民党でやっておられました。そのときにちょっと取材させていただいたこともあるのですが,そういったことで,福島選出の議員ということもありまして,国連のそういった日本政府に対する勧告に対して,やはり日本政府がもう少し実質的に答えるような,対応するような取組が必要だと思うのですが,今まで様々な国連の勧告が出ていますが,法務大臣として,それに対しては,どのように対処すべきか,どうしても外務省が,通り一辺倒の答えをして問題を済ませてしまうことが多いのですが,国内政治にどういうふうに反映させたらいいか,今後の課題として,是非御見解を伺いたいのですが,よろしくお願いします。

【大臣】
 国連から様々な御意見を頂いております。これに関しては,やはり担当窓口は外務省でございますので,外務省と連携してしっかり取り組んでまいることはもちろんなのですが,法務省が担当する分野においては,この間も私はアメリカに向けて講演をしましたが,しっかり説明をしていくということがまず基本にあるのではないかと思います。
 国際社会では黙っていると全部認めたということになってしまいますので,まず,自国の状況や,それから自国の意見をしっかり国際的に発信していくということが基本にあり,その上で,国際社会の理解や意見交換というものに進んでいくのかなと。その中で,国内で見直すべきものがあれば,それは見直す努力をしていくべきであるし,国民としっかり話し合って,見直すべきものは見直していくという姿勢は失ってはならないと思っております。

不祥事に関する質疑について

【記者】
 最初の質問のお答えの中で不祥事についてお話されましたけれども,今大臣が把握している限りの事実関係を教えていただけますでしょうか。

【大臣】
 今から事務次官に報告をしていただきますので,そこで事実関係が把握されると思います。記者さんから質問状が昨日来まして,その範囲でございますので,確定的な事実の把握というのは,これから事務次官から受ける予定です。
(以上)