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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年10月20日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。
 続いて,私から1件御報告がございます。
 昨日19日,ベトナム・ハノイにおいて,訪問中の菅内閣総理大臣及びフック首相の立会いの下,山田駐ベトナム日本国大使とロン司法大臣によって,法務省とベトナム司法省との間の協力覚書(MOC)が交換されました。
 法務省が関係省庁・関係機関と連携しながら力を注いできた法制度整備支援は,25年以上の歴史を有しており,1994年にベトナムに対する協力を開始したのが原点であります。
 その後,ベトナムに対しては,基本法令の起草や人材の育成,実務の改善などに関する支援を続け,民法や民事訴訟法などの重要法令の制定を始めとする多くの成果を上げてきました。
 私自身,平成29年に自民党司法制度調査会長としてベトナムを訪問した際,ロン司法大臣と会談を行うなどし,ベトナムにおきまして我が国の法制度整備支援が高く評価されていることを実感いたしました。
 ロン大臣は,1999年にJICA長期研修員として来日され,名古屋大学で国際法を学ばれて博士号を取得した経歴をお持ちであります。そして,その後も両国の協力関係の発展に大いに貢献されておられました。
 ロン大臣のほかにも,これまで延べ600人を超えるベトナムの法律専門家などが我が国で研修を受けており,その中では,政府高官として活躍している方も数多くいらっしゃいます。
 また,法学を専門とする留学生が我が国に多数留学するなどしており,ベトナムとの人的交流のすそ野も広がっているところでございます。
 司法外交を本格化させるべき「司法外交元年」である本年に,司法外交の出発点とも言うべきベトナムとの間で,法務・司法分野における協力関係を更に一段高めるためのインフラとしてMOCを交換できたことは,極めて大きな成果であり,大変喜ばしいことと考えております。
 このMOCを基盤として,今後,法務・司法分野におけるベトナムとの連携・協力関係を強化するとともに,司法外交をより一層推進してまいります。

ベトナムとの協力覚書(MOC)に関する質疑について

【記者】
 今,大臣から御発言があったベトナムとの協力覚書(MOC)なのですが,こちらについて改めて意義や受け止めをお願いいたします。

【大臣】
 法務省が他国の法務省・司法省との間で協力覚書(MOC)を交換することによりまして,双方の協力基盤を構築することができます。この協力基盤は,法務・司法分野だけではなく,二国間の関係全体を支える極めて重要なインフラであると考えております。
 法務省におきましては,国際社会における法の支配の確立に向けまして,司法外交を戦略的に推進するツールとして,また,各国との間で,幅広い専門分野で知見の共有や人的交流を活性化させるためのツールとして,各国の法務省・司法省とMOCの交換を進めているところでございます。
 今回MOCを交換いたしましたベトナムにつきましては,長年にわたりまして法制度整備支援を行い,人的交流も含めて,これまで大変良好な関係を構築してきたところでございます。今回のMOCの交換を契機に,幅広い専門分野で協力関係を強化し,更に発展させ,関係省庁・関係機関とも連携しつつ,ベトナムとの連携をより一層進めてまいりたいと考えております。

入管法改正に関する質疑について

【記者】
 来週26日から臨時国会が始まりますが,現在検討中の入管法改正案は国会に提出されるのでしょうか。法案をめぐっては,国連人権理事会から先日,恣意的拘禁である,国際法違反であるといったような日本政府に是正を求める見解が出たり,日弁連を始め全国の弁護士会も「収容・送還に関する専門部会」の提言に基づく入管法改正案の内容について,やはりいろいろ問題が多いという声明を出しています。そういったことを含めて,収容期限の上限の設定や司法審査の導入などを求める趣旨の声明が相次いでいるわけですが,そういった内容は法案に反映されるのかどうかということも含めてお願いいたします。

【大臣】
 入管法改正法案につきましては,できるだけ早く国会に提出できるように,出入国在留管理庁において検討を進めているところでございます。
 もっとも,法案提出の具体的な時期等につきましては,様々な情勢次第ということでございますので,今この場で確定的にお答えすることがなかなか困難であるということを御理解いただきたいと思っております。
 法案の内容についてですが,「収容・送還に関する専門部会」からの提言を踏まえた上で,御指摘いただきました日弁連会長声明等を始め,送還忌避や長期収容の問題に関する様々な御意見にも耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けて,しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 先ほどのお話の中で,国際社会における法の支配といったようなこともおっしゃっていましたし,国際法を遵守するというのは,日本政府の立場でもあると思うのですが,そういった中で国連からの勧告,これは別に今回の恣意的拘禁のワーキンググループだけではなく,拷問等禁止条約とか自由権規約とか,いろいろなところから,入管の収容問題については,今までも日本政府に対して勧告が出ているわけですが,刑罰目的ではない入管収容施設に,帰国できない事情があるということで外国人を無期限に収容するような今の入管の在り方,そこには問題意識を持っていらっしゃると思うのですが,それは,やはり根本的に改めないといけないという気持ちを大臣はお持ちなのでしょうか。その辺の基本的な認識をよろしくお願いいたします。

【大臣】
 入管収容施設における収容についてでありますが,入管法の定める慎重な手続により退去強制令書が発付された外国人について,送還可能のときまで行われるというものでございます。
 したがいまして,この収容は,被収容者が退去強制令書に従い出国すれば,すぐさま終了する性質のものであるということでございます。
 帰国することができない事情がある外国人の方々に対しましては,難民認定手続や,在留特別許可制度によって対処されているということであります。
 さらに,被収容者につきましては,健康状態その他の事情を総合的に判断して相当な場合には,仮放免により収容を一時的に解除する措置がとられているということであります。
 私といたしましては,今申し上げましたような様々な制度をその趣旨に従って適切に運用しつつ,送還の促進により長期収容を速やかに解消していくということが重要であると考えております。
 その上で,現在,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」の提言を踏まえた入管法改正につきまして,様々な御意見がございますので,そうしたものにもしっかりと耳を傾けながら,必要な検討を行ってまいりたいと思っておりまして,我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けて,しっかりと更に検討を進めてまいりたいと考えております。
(以上)