法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年12月11日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ありました。
 続いて,私から2件御報告がございます。
 まず,司法外交関係で2点ございます。
 1点目は,ベトナムにおける法制度整備支援についてです。
 昨日10日,ベトナムにおける法制度整備支援の新規プロジェクトを記念する式典が開催されました。この式典は,オンライン会議システムを活用して,ベトナム・ハノイの会場と法務省の会場を結んで行われ,私は,ベトナムのロン司法大臣とともに,オープニングスピーチを行いました。
 法務省は,1994年以降,関係省庁・関係機関と連携しながら,ベトナムに対する法制度整備支援に力を注いでおります。
 その支援を通じ,民法や民事訴訟法などの重要法令の制定や人材育成におきまして,大きな成果を上げてきました。また,長年にわたり法制度整備支援を続ける中で,両国間の人材交流が進み,確固たる人と人とのつながりが築かれ,両国の協力関係は強固なものとなってきました。
 これを礎として,来年1月から開始される新規プロジェクトでは,新たに,法令間の整合性の確保などの課題から重要なものを選別し,その課題の解決に取り組んでまいります。
 本年10月には,菅内閣総理大臣とベトナムのフック首相の立会いの下,法務省とベトナム司法省との間の協力覚書が交換され,両国の法務・司法分野における緊密な協力関係の更なる発展が大きく期待されております。
 また,ロン司法大臣は,1999年にJICA長期研修員として来日し,その後も両国の協力関係の発展に大いに貢献されており,私自身も,ロン大臣との間で友好な関係を築いてまいりました。
 今回の新規プロジェクトの開始は,両国の協力関係を新たなステージに進めるための大きな一歩であり,今後とも,ロン司法大臣を始めとするベトナムの関係者の方々と連携し,両国の協力関係を一層強化してまいりたいと考えております。
 2点目は,京都コングレスの準備についてです。
 一昨日9日,コングレスを主催する国連薬物・犯罪事務所(UNODC)のワーリー事務局長とオンラインで意見交換をいたしました。京都コングレスの準備はもとより,その後の成果(レガシー)の展開についても協力していくことで一致いたしました。
 また,昨日10日,「京都コングレス2020を成功させる議員連盟」の第2回総会が開催され,私も出席いたしました。総会では,ワーリー事務局長や開催地京都の皆様から,コングレス成功への意気込みを語っていただきました。関係団体の皆様からも,大変温かい御支援のお言葉を賜りまして,大変心強く感じました。
 京都コングレスまで,90日を切りました。本日で86日になります。今後は,定期的に京都コングレスについて発信してまいりたいと思います。
 法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 12月4日金曜日から昨日までの1週間に,職員について,大津地方法務局1名,仙台地方検察庁1名,京都医療少年院1名,近畿公安調査局1名,計4名の感染が判明しております。詳細は既に公表させていただいたとおりです。
 なお,被収容者の感染判明はございませんでした。

夫婦別氏に関する質疑について

【記者】
 夫婦別姓を認めず,婚姻届を受理しないのは憲法に違反すると訴えた3件の家事審判の特別抗告審で,最高裁の審理が大法廷に回付されました。憲法判断が変わる可能性がありますが,大臣の受け止めについて教えてください。

【大臣】
 御指摘のとおり最高裁判所が事件を大法廷に回付したことにつきましては承知しています。係属中の裁判について法務大臣として所見を述べることにつきましては,適当ではないと考えております。

アスリートへの性的目的写真撮影に関する質疑について

【記者】
 最近,一部の女性運動選手が,無断で性的目的写真を撮影され,その写真をSNSなどに投稿された問題について声を上げています。大臣はこの問題を認識しているのでしょうか。この問題に現在の法律で対応できるのでしょうか。それとも,法改正が必要だと思いますか。また,こんな写真を撮ってしまう人たちに対するメッセージはあるでしょうか。

【大臣】
 アスリートの皆さんへの写真による性的ハラスメントが大変大きな社会的な問題になっているということにつきましては認識しております。
 一般論として申し上げるところでございますが,現行の刑罰法体系の中で,検察当局においては,法と証拠に基づきまして,刑事事件として取り上げるべきものについては,適切に対処するものと考えております。
 その上で,どのような場合に犯罪が成立するか否かでありますとか,犯罪の成否に関わる部分については,捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でありますので,一概にお答えすることはなかなか難しいということであります。
 今,法務省におきまして,「性犯罪に関する刑事法検討会」が開催されております。この検討会におきまして,他人の性的な姿態を同意なく撮影する行為等を処罰する規定を設けるべきかについても,論点の中に挙げられておりまして,御議論が行われているものと聞いております。
 法務大臣として今,検討会での御議論について,充実した議論が行われるように期待しているところであります。

再審審理期間に関する質疑について

【記者】
 袴田死刑囚は,再審を求めて最高裁判所の決定を2年以上前から待っていますが,現在何も動きがありません。一般的な話として,最高裁判所の判断が遅いと思われますか。こんな状況が起きないように,例えば決定まで1年以内,あるいは2年以内など,締切りを定めることが可能ではないでしょうか。

【大臣】
 個別事件についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが,一般論として申し上げれば,再審請求審に要する期間については,具体的事件における個別の事情に応じて裁判所がどのような審理を行うかによることでありまして,その期間が長すぎるかどうかということを一概に申し上げるということはなかなか難しい,困難なことであると思っております。
 御指摘のような法改正をすることにつきましては,慎重な検討を要するものと考えております。

仮放免に関する質疑について

【記者】
 今年の春以降,新型コロナウイルス感染症対策ということもあり,各地方入管で,仮放免許可を以前に比べて積極的に運用するようになりましたが,難民申請者や帰国できない事情がある非正規滞在者の数年間に及ぶ長期収容は,いまだに各入管で続いています。
 身元引受人などがはっきりしているにも関わらず,何回仮放免申請しても却下され続けているような被収容者がいるのですが,実際に仮放免された人と何の条件が違うのか,理由が全く不明です。
 国連人権理事会の作業部会が指摘した恣意的拘禁であるということに,こういった仮放免の条件の件も該当すると思うのですが,国連からの勧告を受けて,法務省本省と各地方入管局の間で,検討ですとか,検証をされているのかどうか。今の仮放免の条件の現状について,どのような検討をされているのか,お答えください。

【大臣】
 今の御質問について,様々な御指摘もございましたが,個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で,一般論として申し上げるところでありますが,仮放免を行うかどうかにつきましては,入管当局におきまして,退去強制手続に至るまでの在留状況のほか,被収容者の健康状態,収容期間その他の事情を総合的に考慮し,個別の事案ごとに適切に判断を行うこととしているものと承知しております。
 また,御指摘の恣意的拘禁作業部会の意見書については,現在,出入国在留管理庁において,その内容の精査・検討を行っているところでありまして,その精査の上で,関係省庁と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
 その上で,出入国在留管理庁におきまして,現在,「収容・送還に関する専門部会」の御提言を踏まえた入管法改正について必要な検討を行っているところでございます。仮放免の在り方もその検討対象に含まれているところでございます。
 収容や仮放免の在り方に関しましては,様々な御意見を寄せていただいているところでありますので,そういった御意見にもしっかりと耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けまして,検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 仮放免について,もう1点お伺いしたいのですが,仮放免の条件として就労禁止というのが,今現在仮放免になった方についております。10数年前までは,仮放免の条件に就労禁止がついていることはありませんでした。実際,就労している方も,仮放免の方でたくさんいました。
 この間,何回も質問させていただきましたが,新型コロナウイルスによる経済の悪化の中で,今まで仮放免状態で家族や親族等の身近な支援者から経済的援助を受けていた方も,そういう援助がなくなり,また,在留資格がないということで,地方自治体からの様々な公的支援も受けることができない方が続出しています。その中には元技能実習生,また,在留資格が切れてしまったような方もいらっしゃいます。
 例えば12月8日に,田村厚生労働大臣が,ひとり親世帯を支援する臨時特別給付金を改めて支給するといった政策を公表されましたが,この年末年始に非常に生活に苦しむ仮放免世帯がどんどん出てくると思います。公的支援についても受けられず,就労も駄目,それから,県外移動も駄目ということで,一体どうすればいいのかと途方に暮れている方が多いと思うのですが,法務省として何らかの対策を講じることはできないのか,就労許可や公的支援の対象にする,特定活動といった在留特別許可関係などは法務省でも検討できると思うのですが,他との関係,関係省庁との間で,何か対策を考える必要があると大臣はお考えなのかどうか,お答えください。

【大臣】
 まず就労の問題ということでありますが,在留資格がない仮放免中の外国人には就労が認められないということは,現行の仮放免制度の当然の前提として従来から変わらず維持されてきたものと承知しております。
 かつては,こうした当然の前提について,あえて仮放免条件として明記しないという場合もあったとのことですが,現在は,就労の禁止を明記することを原則としていると聞いております。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁の方にお尋ねいただきたいと思います。
 次に,困窮等の場合の対応についてですが,基本的には,所轄の地方出入国在留管理局に御相談いただきたいということであります。在留資格を有しない仮放免中の外国人に対しては,現行制度の下の出入国在留管理の一環として公費による生活支援を行うことは困難であると考えております。
 もっとも,仮放免中の外国人の方が希望する場合は,居住地などを当該市町村に通知しております。各所管省庁や市町村におきまして,提供可能な行政サービスについては適切に対応しているものと承知しております。
 また,仮放免中の外国人の方につきまして,生活に困窮するなどの問題がある場合には,所轄の地方出入国在留管理局に連絡・御相談いただきまして,個別にきめ細やかな対応をとることとしているということでございます。
 それから,関係省庁との連携という御指摘がありました。コロナ禍において様々な課題を抱えていらっしゃる皆さんの帰国実現についてです。帰国を希望しながら航空便の状況等により帰国ができない状況にある外国人につきましては,出入国在留管理庁において関係省庁とも連携しながら,関係国と調整の上で,早期の帰国を期して必要な取組に力を尽くしている状況でありまして,これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 最後でありますが,仮放免中の外国人を含めまして,帰国が困難な外国人の問題につきましては,引き続き,関係省庁と連携しながら,出入国在留管理行政を所管する法務省としても,適切な役割を果たしてまいりたいと思っております。
(以上)