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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和2年12月15日(火)

 今朝の閣議におきまして,法務省案件はございませんでした。
 

性犯罪・性暴力対策に関する質疑について

【記者】
 「性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟」が,12月11日に,性犯罪・性暴力対策に関する緊急提言を提出しました。大臣の受け止めについてお聞かせください。

【大臣】
 先週金曜日12月11日に,自民党の「性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟(ワンツー議連)」から緊急提言を頂いたところであります。
 性犯罪・性暴力の根絶を求める国民の皆さんの声を踏まえつつ,緊急性の高い施策の実施・検討について取りまとめられたものでありまして,大変重く受け止めております。
 法務省の施策に関するものとしては,「障害者に対する被害の潜在化を防止するための方策の強化等」の一つとして,被害者が障害を有することに乗じた罪の検討を含めて検討がなされるべきとの内容が盛り込まれているところであります。
 障害を有する方が,その脆弱性ゆえに性犯罪の被害に遭うことや,障害の特性などから被害を申告することができずに被害が潜在化することについては,決してあってはならないと考えております。
 今回,様々な御意見を頂いたところでございますが,現在,法務省において開催している「性犯罪に関する刑事法検討会」におきまして,心神喪失・抗拒不能の要件の在り方,地位・関係性を利用した犯罪類型の在り方の検討におきまして,被害者が障害を有する場合の対応につきましても議論を行っているところでございまして,その内容について,充実した議論が行われるよう期待をしているところであります。
 

死体遺棄事件に関する質疑について

【記者】
 死産したとみられる赤ちゃんをマンションに遺棄したとして,警視庁に逮捕された20代女性は,事前に「赤ちゃんポスト」を運営する熊本市の慈恵病院に相談していたことが分かりました。慈恵病院の院長は,「女性は保護されるべきで,逮捕は非常に遺憾だ。」と指摘しました。院長と同じように,違和感というか,怒りを覚える女性が多いと思われます。妊娠して辛い状況に陥った女性を,ほぼ犯罪者として扱うのは平気でしょうか。一般論としてで結構ですが,望まない妊娠に伴ってこのような事件が増える中,女性を逮捕するよりももっと他の人道的な方法がありませんか。

【大臣】
 報道の内容は承知しているところでございます。
 警察の捜査活動に関しまして,法務大臣としてお答えをすることにつきましては,差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で,一般論ということでありますが,妊娠・出産は,母子ともにいのちがけの,そのいのちに関わる大変重要な事柄であります。いのちを守るという意味でも,大変重要な事柄であると思っております。母子を保護する,母体と子どものいのちを守る,その安全を確保するということは何よりも重視すべきであるということについては言うまでもないと私自身は思っております。私は,これまで,「いのち」を守ることに一貫して取り組んでまいりましたので,こうした事件が起こるということについては,大変痛ましいと思っております。
 子どもを安心して産み育てることができる環境をどのように作っていくのか,また,支援の在り方につきましても検討し,十分に努力してまいりたいと思っております。
 今,御質問の中に予期せぬ妊娠に関する取組ということがございましたが,現在,政府におきまして,妊婦の孤立化を防止し,母体と子どもの安全を確保していくために,教育や相談体制の整備なども含めて,総合的に検討を進めているものと承知しております。
 すぐに相談ができる,不安に思ったらそれに対して寄り添って支援することができる,そうした体制の整備については待ったなしだと思っております。
 

入管法改正に関する質疑について

【記者】
 入管手続の「在留特別許可に係るガイドライン」と,入管法の改正の関係について質問します。このガイドラインは2005年に第三次出入国管理計画などを踏まえて策定され,その具体例として,在留特別許可がされた事例,されなかった事例というのを,法務省の入管局が公表するようになりました。
 しかし実際には,在留特別許可の件数は2004年に13,000件を超えていたのが,2018年には約10分の1の1,300件余りに激減しています。以前であれば在留特別許可されたようなケースでも,この数年は全く許可されなくなりました。日本人や永住者の配偶者がいても,在日歴が30年近く経っている難民申請者も,在留特別許可されず,そして,日本で育った子どもなどでも,中学生になっても高校生になっても在留資格が認められず,将来に期待を持てないお子さんもたくさん出ています。そういった中で,「在留特別許可に係るガイドライン」の策定から15年が経過しましたが,問題が長期化,多様化している状況だと思います。
 今回の入管法改正において,強制送還の強化ということ以前の問題として,やはり在留特別許可の在り方について,制度的にも政策的にも抜本的に見直す必要があるという声がいろいろと出ています。「在留特別許可に係るガイドライン」の今までの運用の検証をし,特に退去強制令書を発付した後の在留特別許可の運用を見直す考えがあるのかどうか。今の入管法の改正作業の中で,どの程度その点について重きを置いて作業を行っていらっしゃるのか,お分かりの範囲でお答えください。

【大臣】
 現在,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」の御提言を踏まえた入管法の改正につきまして必要な検討を行っているところでございます。御質問の在留特別許可の在り方につきましても,その検討対象に含まれているところでございます。
 これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けまして,在留特別許可の在り方に関する様々な御意見をお寄せいただいているところでございますので,そうした御意見にしっかりと耳を傾けながら,御指摘の「在留特別許可に係るガイドライン」を含む運用面につきましても,しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 今,「この国の在り方にふさわしい」といったようなお答えをされましたが,大臣はどういうことが「ふさわしい」と考えていらっしゃるのか。やはり日本にいる在留特別許可を求めている方の実態を検証すると,そこから始めなくてはいけないと思うのですが,それについてはどう考えていらっしゃるのか。特に,「この国の在り方」,「ふさわしい」といったようなことを今おっしゃっていたので,御見解についてお願いします。

【大臣】
 今,お答えの中で,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現ということで申し上げたところでありまして,様々な課題,問題が生じていることにつきましては事実でございます。また,御指摘のように,絶えず検証を積み重ねながら,それに基づいて施策の遂行と,そして更なる課題に向けての検討ということについても極めて重要だと思っておりますので,数字が変化しているというようなことも含めまして,十分にPDCAをしっかりと回しながら,これからの在り方につきましても検討を深めてまいりたいと思っております。
 そういう中で,今の段階で必要な制度につきましては,よりよく検討しながら,法制度の改善,あるいはガイドラインの見直し等に反映させていきたいと考えております。

 (以上)