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法務大臣臨時記者会見の概要

令和2年12月17日(木)

 令和3年度予算案につきまして,本日,財務大臣との間で大臣折衝を行いました。
 法務大臣としての折衝事項として,大きく2点ございます。
 まず,1点目でありますが,『「誰一人取り残さない」社会の実現に向けた人権擁護活動や総合法律支援の充実及び司法外交の積極的な展開』であります。折衝の結果,56億円の予算が認められました。
 私は,これまで,国連で採択されましたSDGs,持続可能な開発目標に掲げられました「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し,法務行政に取り組んでまいりました。
 このような観点から,コロナ禍におきまして,感染症を始めとする様々な人権問題や法的問題を抱える方々を支援するため,人権擁護活動や法テラスによる総合法律支援の施策の充実を図るとともに,国際社会におきましても法の支配の貫徹やSDGsの達成に向けた取組がより一層進むよう「司法外交」を積極的に展開する必要があると考えております。
 これらの施策につきまして,大臣折衝において重点的な予算措置を求めた結果といたしまして,先ほど申し上げた所要の経費が認められたものでございます。
 2点目でありますが,『「世界一安全な国,日本」の実現に向けた再犯防止対策の推進及び経済安全保障体制の強化』であります。折衝の結果,286億円の予算が認められました。
 「世界一安全な国,日本」を実現し,国民生活の安全・安心を守ることは法務行政の重要な使命の一つであります。
 このような観点から,刑務所等での施設内処遇や,保護観察対象者等に対する社会内処遇の充実を図るとともに,その土台となります法務省施設の整備等を進めまして,再犯防止施策を着実に推進していかなければならないと考えております。
 また,近時問題となっております先端技術等の流出事案等の「経済安全保障」に関しましては,関係機関との連携を緊密にしつつ,情報収集・分析体制の強化を図ることが必要であると考えております。
 これらの施策について,大臣折衝において重点的な予算措置を求めた結果,所要の経費が認められたものであります。
 法務省におきましては,本日の大臣折衝により措置されることになりました経費を含めて,令和3年度に措置される予算を最大限に活用し,誰一人取り残さない,安全・安心な社会の実現に向けまして,全力を尽くしてまいりたいと存じます。

令和3年度予算案大臣折衝に関する質疑について

【記者】
 様々な課題がある中で,どうしてこの2項目を選んだのかについて教えてください。

【大臣】
 先ほども少し触れさせていただきましたが,私自身は,これまで,二度の法務大臣在任時から一貫して,法の支配の貫徹された社会,そして,国連で採択されたSDGs,持続可能な開発目標に掲げられました「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し,法務行政に取り組んでまいりました。
 今後も,引き続き,これを大きな目標に掲げまして,より一層の覚悟と熱意をもって様々な取組を一層前に進めていきたいと考えているところでございます。
 そのため,まず,第1点目として,「誰一人取り残さない」社会の実現に向けましては,先ほども申し上げましたとおり,様々な人権問題に直面している方に対する人権擁護活動を充実させるのと同時に,様々なトラブルを解決する体制として法テラスにおける総合法律支援の充実と,さらに,対外的には司法外交の積極的な展開を折衝事項としたところであります。
 また,2点目の「世界一安全な国,日本」の実現ということでありますが,これにつきましては,法務行政の重要な使命であると考えております。法務省では,この「世界一安全な国,日本」の実現を目指して,これまで再犯防止対策について力を入れて取り組んできているところであり,これを更に前に進めてまいりたいと思ってきたところであります。
 また,近時,先端技術等の流出事案等の「経済安全保障」という新しい切り口の問題が大きく取り上げられるようになっております。この問題に関しまして,法務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりまして,この2点目の施策の全体像としては,『「世界一安全な国,日本」の実現に向けた再犯防止対策の推進及び経済安全保障体制の強化』という形で折衝をしたところであります。
 令和3年度に措置される予算は大変重要な予算となりますので,各施策につきましても,その成果がしっかりと上がるように,更に過去のこれまでの施策についてしっかりと検証を進めながら,力を入れてまいりたいと思っております。

【記者】
 先ほどお話がありました,「司法外交」を積極的に展開するために必要な経費ということについて,可能な範囲でもう少し具体的に御説明いただけますでしょうか。

【大臣】
 「司法外交」につきましては,力を入れてきた大きな柱であります。法制度整備支援の大きな成果につきましては,更に「司法外交」の下で力強く展開していくということで,着実に成果を上げているところでもあります。
 様々な世界各国から研修生を受け入れる研修制度という形での支援も行っており,また,この間もベトナムと新たな協定を結んだように,時代がまた次のステージに向かっているということで,この芽が大きく育っているという状況であります。
 そういう中にありまして,京都コングレスが来年3月に開催されますが,これは開催してそれで終わりではございません。むしろ,開催を一つの大きなステップとして,その後のレガシーをどういう形で持続可能な形につなげていくかということについても考えながら,これまで取り組んできたところであります。その果実がしっかりと花開くことができるようにしていきたいと考えています。この開催後の取組のための準備につきましては,今,開催の準備と並行して行っているところです。コングレスでは,政治宣言等も含めて行う予定であり,そういったことを具体的に展開していくことについて,特に法務行政には法の支配ということ,そしてまた,SDGs,持続可能な開発目標が掲げる「誰一人取り残さない」という大きな使命がありますので,充実させてまいりたいと思っております。
 具体的な新しい施策として打ち出させていただいておりますものとして,アジア太平洋地域における刑事国際協力フォーラムの開催を,新規プロジェクトとして企画をさせていただいているところであります。
 また,前回のカタールの会合で初めてスタートしたユースフォーラムにつきましては,来年の3月に大変力を入れていきたい分野ということであり,そうしたことを持続可能にするために,5年に1回の開催ということではなく,毎年の開催につなげていきたいということで,アジア太平洋犯罪防止刑事司法ユースフォーラムも継続的に開催していく,これも新規プロジェクトということであります。
 さらに,再犯防止の国連の準則として,「京都モデルストラテジー」の策定に向けた取組ということで,これもUNODCを始めとして,国連の機関としっかりと連携しながら,この分野におきまして,日本がリーダーシップを果たしていくことができるようにしていくということでありますので,そういう全体像を描きながら,具体的な施策についても継続して推進していくということが重要であると考えております。
 その意味で,今回,それを明確に打ち出させていただきまして,予算も認めていただいたということについては,大変力強い追い風になっているなと思っております。
(以上)