法務大臣閣議後記者会見の概要
平成23年5月13日(金)
今日はいろいろございました。まず,午前7時30分過ぎから電力需給緊急対策本部の会議がございました。これは,この夏の電力需給について,東京電力管内は15パーセントの節電をするように,大口,小口,御家庭含め既に決定をしておりますが,併せて中部電力のこともありますし,この夏の電力受給についての方向を決めました。私の方からここでは特別に発言というのはございません。
引き続いて,7時50分ころから,犯罪対策閣僚会議の第17回の会合がございまして,被災地における安全・安心の確保対策を改定いたしまして,これが報告されて,了承されました。そこで私の方から法務省における被災地等における安全・安心の確保対策について皆さんに御報告をいたしました。これから,震災対策,復旧・復興・原発対策,様々な対策を進めていかなければいけませんが,被災地における安全・安心というものは,その基礎となることであって,政府全体としても重要な取組であり,いろんな義援金名義の詐欺事犯も起きていますから,こうしたことに対する厳正・適正な対応であるとか,外国人の親族の皆さんへの情報提供などの外国人支援とか,法テラス及び弁護士会などによる法律相談であるとか,戸籍の再製とか登記の関係とか,あるいは原発の被ばくの風評などにかかる人権侵害を予防する措置であるとか,こうしたことをしっかりやっていくというようなことを皆さんに御報告を申し上げました。
その後,閣議,閣僚懇談会がございました。閣僚懇談会の方では,東京電力の損害賠償に対する国の支援のスキームについて,昨日,農林漁業者に対する仮払いの決定をして,その余については,暫時保留になっておりましたが,これを正式に決定をしました。
今日は皆さんに私の方から一つ御報告しなければいけないことがございます。本日付けでですが,法曹養成に関するフォーラムを開催をすることを決定をいたしました。このフォーラムは前々から懸案になっているものでございますが,法務省と内閣官房,総務省,財務省,文部科学省,経済産業省,6府省の共同開催ということで,6大臣の合意で設置をいたしました。これは御承知のとおり,平成13年の司法制度改革審議会意見書で,我が国の社会の隅々に「法の支配」を行き渡らせるために,21世紀の司法を支えるにふさわしい質・量ともに豊かな法曹を養成することを目指したわけですが,その理念のもとに導入されたのが,新しい法曹養成制度でございます。この制度で,新たな有為な法曹が大きく育ってきていると思いますが,一方でやはり新しい制度ですから,そこに試行錯誤の要素がないわけではなく,いろんな問題点も指摘されておりまして,取り分け法曹志願者の減少といったことが起きているので,司法制度改革の理念を踏まえつつ,改めるべきところは改めるということが必要であって,各省と相談して,このフォーラムを開催することになったということです。構成員としては有識者と関係各省の大臣が指名する政務の者に参加をしていただきますが,法務省としては小川副大臣が担当をいたします。有識者としては幅広い分野から,各分野の第一人者に御参加をいただいておりまして,様々な角度から有意義な議論が行われることを期待をしております。法務省としてもこのフォーラムでの議論を最大限尊重して更なる改革を進めて参りたいと思います。これは法曹養成全体についての再検討ということがございますが,昨年裁判所法の改正の際に衆議院の法務委員会で決議が行われておりまして,ここで法曹養成の経費の問題というのが入っておりますので,これについて早急に答えを出すというのもこのマンデイトの一つでございます。最後にこの場をお借りしまして,若手法曹の皆さんに是非お願いがございます。実はフォーラムの重要な役割の1つに個々の司法修習修了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について早急に検討するということがございまして,検討に当たっては,司法修習修了者等の経済的な状況を把握をするためのアンケートを実施をいたします。かなりの母数にアンケートをお願いすることになりますが,最高裁,最高検,日弁連にも御協力いただいて,若手の法曹や司法修習生を対象に行いますので,この問題についても地に足のついた議論をするためには正確かつ幅広い資料を収集する必要があるので,若手の法曹の方に,是非その趣旨を御理解いただいて,アンケートに御協力をいただきたいと,これがお願いでございます。このアンケートを踏まえ,これからフォーラムで充実した議論がされることを期待をしております。
ハーグ条約に関する質疑について
【記者】
ハーグ条約について,現在,法務省内の検討状況はどうなっているのでしょうか。
【大臣】
これは条約の話ですから,法務省が条約について検討するということにはならないのですが,しかしハーグ条約に加盟をいたしますと,これはいろんな国内法の整備というのが出てきて,その準備は法務省としても関係各省と相談をしながらやってきております。進捗状況ということでいうと,結構スムーズに進捗しており,近々,ハーグ条約加盟の準備を進めるかどうかについて,具体的に踏み込んだ政府の意思決定をしたいと思っておりまして,そういうふうに進むための関係閣僚との協議もこれから進めていきたいと思っております。
福島地方検察庁の被疑者釈放に関する質疑について
【記者】
震災の後に福島地検の方で被疑者を釈放した件があったと思うんですけども,その後の経過というのはどんな感じなのでしょうか。
【大臣】
福島地検における被疑者釈放というのは,いろいろと皆さんにも御心配いただき,現場にも若干の混乱を起こしたかと思います。釈放された被疑者が,後にまた住居侵入をやったりとか,また,軽微な事案だと言っていたのが,どうも軽微の事案といって,さっと済ますにはやや不適切だったかなとのこともあったりで,それから,関係の各官署との調整も十分できていなかったりで,現場にも混乱があったり,あるいは関係の住民の皆さんにも心配を与えたりというようなことがあったと思います。この点については私の方からも必ずしも適切ではなかったと申し上げ,国会の場でもお詫びしたところでございます。しかし,その後は,捜査は当然その段階では終了していなかったのですが,鋭意捜査も進んで,個別の事案になってしまいますので,あまり細かなことまで言えませんが,私の言える限りで言えば,大部分についてちゃんと終局の処分までできたということを申し上げておきます。福島地検の検事正につきましては,違法なことがあったということではないのですけれども,いろんな混乱があったり,関係各官署との調整が十分できていなかったということもあって,この点については,今月9日に,仙台高検検事長から福島地検検事正に対して,今後そういうことのないように指導はいたしました。
法曹養成フォーラムに関する質疑について
【記者】
法曹養成フォーラムの会議については公開で行うよう求める声も随分あったと思うのですが,結局,非公開で行うこととなった経緯についてお聞きしたいのですが。
【大臣】
公開にすべきだという声があるのも十分に理解できるところではありますが,関係大臣の申し合わせで,非公開ということに決まっております。ただし,秘密でやるというのもどうも本意ではないので,会議終了後,座長による記者ブリーフを行いますし,また,速やかに会議資料や発言者名を記載した議事録,こうしたものを公開することによって,議論の内容については十分御理解いただけるものと思っております。
人権救済法案に関する質疑について
【記者】
人権救済法案を巡って先日,民主党の安住淳国会対策委員長が臨時国会に提出する方向だという発言がありました。党の方の会議も進んでいるようですけども,大臣のお考えをお願いします。
【大臣】
人権救済法制については,私の前々々任者の時代に政務三役の中間取りまとめというのもあって,前に進めるというスタンスは変わらないのですが,特に私の代になって,国会に対する所信の表明でも,力を入れるテーマの一つだということを申し上げてきたとおりでございます。これはもう御承知のとおり政府案があったり,民主党案があったり,いろんな経過がこれまでございました。そうしたものについて,すごく様々な意見がございましたが,そうした様々な意見で,進みかけては止まり,進みかけては止まりして,そこで,しかしやっぱり今,裁判所による救済だけではやはりかゆいところに手が届くようになっていかない,法務省の人権擁護委員の皆さんの活動ももちろんあるのですけども,もうちょっと権限のあるものの方がいいんじゃないかと,いろいろ考えて,多くの皆さんの御心配も考慮しながら,みんなに納得をいただけるような案ということで,党の方でPTが立ち上がって,いろんな考えがまとめられつつあると聞いております。その内容については,私の方もいろいろ調整に関わってきていますし,だんだんまとまりが見えてきているような感じは受けています。そうしたことを受けて党の方で,今日明日というわけではありませんが,しかしそんなに遠くない将来に,具体的には臨時国会とかいう話も流れたと聞いておりますが,私が実際に聞いたわけではないですけれども,そんなイメージの日程感で立法に向けた会議が進んでいったらいいなと思っております。
【記者】
旧自民党政権時代の政府案が出された際に,メディアに対する規制の条項に,批判を集めた部分があったと思います。かつて大臣が座長となって取りまとめた民主党案には,特別救済からはメディアは外すということが盛り込まれたかと思いますが,今の大臣のメディア規制条項に対する考えをお願いします。
【大臣】
メディアの皆さんの活動が人権侵害になることが,松本サリンの場合とかいろいろあるので,これは私はやっぱりあるのだろうと思います。例えば日弁連のかなり古い案ですが,かなり厳しくメディアの人権侵害に対する対応策が入っていたり,また政府案にもあったりしましたが,私ども民主党案では,メディアの皆さんの自主的な改善というものが,メディアの場合には一番大事だろうということで,特別救済から外していたところでした。ただ,この間の状況を見ていて,メディアの皆さんもいろんな自律性といいますか,メディアの自主的な人権救済ということに取り組んでおられて,ペンであれ,カメラであれ,一定の効果も確かに上がっているということもあるので,今はメディアの皆さんのこうした取組に大いに期待をするということで,今私たちが考えている法案の中には,メディアに関することは取り込まないということでよろしいんじゃないかと思っております。
死刑確定者の記事に関する質疑について
【記者】
昨日発売の写真週刊誌で,死刑確定者の写真を含む内容の記事が掲載されたという事例がありましたけれども,これに対する法務省としての,また大臣としてのお考えをお願いします。
【大臣】
これは写真週刊誌に出ていることはもちろん分かっておるのですが,名古屋拘置所面会室でのケースですが,諸般の事情から面会室には撮影機器は持ち込んでいただかないようにお願いをしておるのですが,どうも面会室で写真が撮影されたというのは事実のようでございます。個別の被収容者に関する事項でございますし,こういうことが起きたことにどういう不備な点があったのか,それともなかったのか,またなぜ起きたのかということをこれから調査に努めていきたいと思いますが,それ以上のことについてはお答えを差し控えておきたいと思います。