法務大臣閣議後記者会見の概要
平成23年5月20日(金)
今日は朝からFTAAP,EPA,それから緊急災害対策本部の会合がございました。そして,閣議,閣僚懇談会と続きました。FTAAPとか緊急災害対策本部で私が発言するということはございませんでしたが,閣議では非訟事件手続法等の三法の公布が決まりました。それから先日来話題になっておりますが,政府としてハーグ条約の締結について準備を進め,必要となる法律案を作成するということが閣議了解となりました。昨日,関係閣僚会議で合意をいたしましたが,そのとおりの内容でございまして,私も閣議で発言をいたしました。政府としてはこの閣議了解をもって,具体的な法律案の作成作業を開始するわけですが,ハーグ条約を締結するために必要となる法律案のうち,子の返還等を援助する中央当局は外務省に設置するということで合意いたしておりまして,その中央当局の任務等を定める部分については,これは中央当局を担う外務省が立案作業を進めると,そして,子の返還等を定める部分については法務省において立案作業を進め,全体の取りまとめについても法務省で行います。さらに,これは閣議の話ではありませんが,子の返還手続については法務省で立案に当たって,法制審議会に諮問する方向で現在検討をしております。
次にもう一つ,これも先日来検討してまいりましたが,新たな時代の刑事司法制度の在り方について,法制審議会に諮問いたしましたので,御報告いたします。経過は皆さん御承知のとおり,検察の在り方検討会議で「取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方を抜本的に見直し,制度としての取調べの可視化を含む新たな刑事司法制度を構築するため,直ちに,国民の声と関係機関を含む専門家の知見とを反映しつつ十分な検討を行う場を設け,検討を開始するべき」ということが提言されました。この提言を受けて,本年4月8日に私が公表した取組方針で法制審議会に対して所要の諮問をする準備を開始するということにしましたが,その準備が整ったことを受けて,できる限り速やかに諮問をした方が良いと思いましたし,法制審議会も速やかにと言っているわけで,5月18日付けで諮問書を発して,法制審議会の野村会長にお渡しして諮問をいたしました。今後は,本年6月6日に予定されている次回の法制審議会総会で審議を始めていただける見込みです。特に取調べの可視化につきましては,検討会議の提言及び私の指示を踏まえ,検察当局で既に取調べの全過程を含む録音・録画の試行が開始されております。他方で,私の下で省内勉強会が行われておりまして,本年6月以降のできる限り早い時期に,その成果の取りまとめを予定しています。そこで法制審議会には,取調べの録音・録画の試行の状況を考慮しながら,省内勉強会の取りまとめを踏まえた速やかな制度設計を始めて,更にこの問題に関する検討を前進させるべく,調査・審議を進めていただけるようお願いしたいと考えているところでございます。刑事司法制度の多岐にわたる課題を検討して,新たな制度を構築していく,これは容易な作業ではないと思いますが,法制審議会で幅広く,多角的な見地から十分な御審議をいただいて,できる限り速やかに答申をいただきたいと思っております。
新たな時代の刑事司法制度の在り方に関する質疑について
【記者】
刑事司法制度に関する諮問はかなり重い話なのですが,この諮問に込めた大臣の思いといいましょうか,どういったことをお考えでしょうか。
【大臣】
これは大阪地検の特捜の件がございまして,そこから始まって,検察への国民の信頼が大変大きく揺らいでいる,これを何としても早急に回復していかなければいけないということで,そのための一つのテーマとして取調べの可視化というものがあるわけで,試行をやっていただいておりますが,併せて取調べの可視化だけではなくて,やはり新しい時代の刑事司法制度全体を見直さなければいかんと,供述やあるいは供述調書に過度に依存した刑事司法になっているのではないか,これを何としても改革をしようではないかという検察の在り方検討会議の提言がございましたので,私としては関係のいろんな皆さんと議論をしながら,特に外部の目,外部の風というものが強調されましたので,これは法制審議会で決めていただくことでございますが,今までの例から言いますと,やはりそこに部会をつくって,部会で外部の目と,専門的な知見,これを組み合わせながら,かなり大きな仕事をやっていただく。大きな仕事でございますが,同時に取調べの全過程を含む録音・録画については,これを特出しで制度化にも取り組んでいただく,こんなことで,6月6日以降に法制審議会に大きな仕事をお願いしなければいけないと思っているところです。
西岡参議院議長の発言に関する質疑について
【記者】
西岡参議院議長の発言について,今日の閣議後会見で様々な閣僚の方々がそれぞれの思いを発言されているのですけれども,大臣はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
【大臣】
西岡さんの発言はマスコミの皆さんの報道で知っているだけなのですが,昨日も参議院の議長公邸で別の企画がございまして,西岡さんにもお会いしましたが,そこは確認とかいう場でもないので,確認しておりませんが,今の菅首相に対して,即時退陣,不信任案についても言及したということですよね。私はこれは全く見解は違います。自分が閣僚ということですから,当然と言えば当然ですが,菅首相を始め,震災対策や様々な問題,目下の懸案について精一杯取り組んでいると思っております。なかなか国民の皆さんに伝わらない部分があって,ちょっといらいらするところも確かにございますが,しかし精一杯やっておりまして,今日も早朝からFTAAPであるとか災害であるとか,いろんなことに取り組んでいるので,議員としては西岡さんが先輩でありますが,西岡さんの御指摘は当たらないものと思っております。それと議長というのがどうあるべきかというのがもう一つテーマとしてあると思いますが,私は既に参議院議長を3年務め終わったものでございますが,議長の在り方というのは様々あって,私はああいう発言をする,そういうタイプの議長職の務め方はしてきませんでした。私は私のやり方について悪いとは思っておりません。
ハーグ条約に関する質疑について
【記者】
ハーグ条約をめぐってなんですけれども,返還拒否事由について,子どもへの虐待の可能性がある場合に拒否できるということで,外国の一部の意見なんですけど,何をもって虐待なのか,また虐待の審査の仕方が日本だけだと心配なので外国の調査機関を一緒に審査に加えさせてほしいという意見もあるんですけど,その点についてはどうでしょうか。
【大臣】
日本に連れて帰られた子どもを常居所地国に戻すかどうか,これは私どもが考えているのは,やはり日本の司法機関でここは判断をしてもらうものだろうと思います。子どもは誰が育てるのがいいかというのも一つの司法審査の対象になるんですけれども,言ってみればそれが本案で,そしてその本案の前の仮の手続として常居所地国へ戻す手続として日本の司法機関が戻すのがいいかどうかの判断をするということです。日本の司法機関が判断する手続をこれから作りますが,そこに外国の皆さんが入っていただくというのは,なかなか制度設計上,難しいのではないかと思います。
人権救済機関に関する質疑について
【記者】
人権救済機関なんですけれども,慎重派の方の意見の中で,3条委員会という可能性が指摘されておりまして,その権限が強いことについて懸念を持っている方がいるんですけど,その辺はいかがでしょうか。
【大臣】
これまで政府の法案もあったし,民主党の議員立法もあったし,具体的には,そのほか民間の皆さんが考えたのもありますが,国会にかかった制度的提案としてはその二つですよね。私どもというか政府も検討していますが,同時に民主党のPTで検討していまして,その制度設計がまだ固まったというところまで来ていないので,その制度設計が固まってみないと,権限が強すぎるとも何とも言えないんじゃないでしょうか。今まだ制度設計をやっている最中ですから,やっている最中にそういう批判をされても,どうも何を批判しているのかよく分からないということだと思います。
原発事故の賠償に関する質疑について
東京電力による原発事故の賠償問題なんですけども,一応政府としてのスキームは決まって,これから法案という段階に進んでいくんですけども,今までの議論で与謝野大臣が東電を免責すべきだと持論を重ねた経緯もありますが,大臣としてのお考えをお聞かせください。
【大臣】
これはいろんな主張があったと思いますが,これは法務省が所管しているわけではないんですけど,私は法律家として考えれば,原子力損害の賠償に関する法律第3条第1項の本文かただし書かという問題で,これは本文の適用の場面だと,法律家としては思います。与謝野さんは,ただし書の適用の場面だという御主張があったんでしょう。直接そういう主張が,これまでの検討の場で,ただし書の適用の場面だという明確な御主張を聞いたわけではありませんが,そういう思いがあったのだろうと思います。しかし,報道でしか知りませんが,与謝野さんはそういう思いはあったが,早急な支払いに資するために,この枠組みで了解をしたということをおっしゃっているのだと理解しておりまして,政府の枠組みは,3条本文の適用場面だということで作っておりますから,この点の議論は終わったと思っております。