法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年2月12日(金)

 今朝の閣議におきまして,法務省案件として,主意書に対する答弁書が1件ございました。
 続きまして,私から3件御報告いたします。
 1件目は,法制審議会総会における「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)改正」に係る答申についてであります。
 今月10日に法制審議会の総会が開催され,「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱」の答申を受けました。
 この答申は,所有者不明土地問題の抜本的な解決に資する改正項目が盛り込まれたもので,時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めております。
 法務省としては,この要綱を踏まえ今国会に所要の法律案を提出するよう準備を進めてまいります。
 2件目は,刑事参考記録の指定の在り方の見直しについてです。
 私は,公文書や行政全体に対する国民の皆様の信頼を確保するためには,公文書管理の在り方について不断の見直しをしていくことが重要であると考えてまいりました。
 私が前回大臣を務めていた平成30年4月には,法務省に「公文書管理・電子決裁推進に関するプロジェクトチーム」を立ち上げました。
 以降,法務省では,適正かつ確実な公文書管理のための方策とともに,刑事参考記録を含む刑事裁判記録の保管の在り方等について,令和元年11月以降保管中の全ての刑事裁判記録の廃棄を留保しつつ検討を進め,明治期前半の治罪法時代の刑事参考記録の国立公文書館への移管を試行するなどの取組を実施してまいりました。
 刑事参考記録は,刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料となると考えられる記録であり,全国各地の検察庁で保管されている記録の中から指定されます。
 昨年1年間で90件の記録が刑事参考記録に指定され,昨年末までに合計約850件の記録が指定されて検察庁において保存されております。
 今般,新たに,刑事参考記録として指定されるべき記録が,より一層適切に指定され,保存されるようにするため,その指定の在り方を改善することといたしました。
 具体的には,まず,刑事参考記録に指定する事件の類型について,検察審査会において起訴議決がされた事件を新たに追加するなど,刑事参考記録として指定する事件の範囲を拡大することとしました。
 また,刑事参考記録として指定されるべき事件が漏れなく指定されるように,刑事参考記録の指定に当たっての判断基準を具体的に設定する,研究者や弁護士の方々など,外部の方から刑事参考記録の指定の要望を受け付ける仕組みについて,改めてその周知を図る,外部の方からの要望の判断に当たって,有識者の御意見を聴く仕組みを設ける,検察庁職員に対し,刑事参考記録の指定に関する研修を行うなどの取組を実施することといたしました。
 こうした取組には,国立公文書館のアーキビストの方にも御協力いただくこととしており,刑事参考記録の適切な指定や保存等に関し,専門的知見に基づく貴重な御意見を頂戴できるものと期待しております。
 こうした新たな取組につきましては,本年度中に運用を開始することとしております。
 この新たな方針の下で,刑事参考記録の適切な指定・保存に一層努めてまいります。
 3件目でありますが,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてであります。
 2月5日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員については,6の官署・施設において計15名の感染が判明しました。
 また,被収容者につきましては,千葉刑務所13名,横浜刑務所14名,立川拘置所7名,函館少年刑務所3名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりでございます。
 クラスター事案と認定された刑事施設を中心に,新規感染が判明している状況にあります。私からは,引き続き,職員一人ひとりが法務省職員としての自覚の下,公私において感染症対策を徹底するよう指示しております。職員及び被収容者の新規感染者数ゼロを目指し,職員と一丸となって各種取組を進めてまいります。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の発言に関する質疑について

【記者】
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が辞任の意向を示されています。女性蔑視と取れる発言の責任を取る形ですが,大臣の受け止めを教えてください。

【大臣】
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の御発言ということでございましたが,私は男女共同参画担当大臣も務めたことがございますし,また,日本では,女性の活躍推進を掲げ,前政権から今に至るまで,女性の活躍が日本の社会全体の大きな力になるという,大きな方向性の中で取組を進めてまいりました。
 「202030」を目標にしてきましたが,指導的地位に占める女性の比率につきましては,残念ながらまだ達成しそうとは言えない状況であります。もっとも,それぞれ法制度の整備が進んできており,その達成に向けまして,力を合わせて取り組んでいこうということで,着実に前進してきているところでもございます。現段階では残念ながらまだということでありますが,何とか30年度中に達成するということで,努力しているところでございます。
 そういう動きの中で,オリンピック・パラリンピックは大きなスポーツ大会でありますし,世界に向けて一つになって,アスリートの皆さんの国籍や人種,あるいは障害のあるなしにかかわらず,そうした大きなイベントを成功させようと皆で努力してきたところでございます。この段階でそうした発言があったということについては,大変驚きでございます。オリンピック・パラリンピック東京大会の開催をコロナ禍の中でどのように進めていくのかは,全世界の英知を結集して,また国内でも力を合わせて,国民の皆さんの力も借りながら進めてきたということでありますので,私自身としては,更に前進できるようにしていきたいという,前に向かってのメッセージをなるべく早く出していただくことができるようにしてほしいと考えています。また,私も女性議員の一人として,閣僚の一人として,こういう方向性の中でできることに最善を尽くしてまいりたいと考えております。

法制審議会に関する質疑について

【記者】
 親子法制をめぐって,無戸籍問題の解決や今の親子の在り方に合った制度作りを求める声がある中で,今週,法制審議会の部会が中間試案をまとめました。大臣の受け止めと,今後の議論に期待する点などをお願いいたします。

【大臣】
 2月9日に,法制審議会民法(親子法制)部会は,民法(親子法制)等の改正に関する中間試案を取りまとめたものと承知しております。
 中間試案につきましては,大きく2つの点を内容としておりまして,1つ目は,やはり何といっても児童虐待が社会問題になっている現状を踏まえた民法の懲戒権の規定の見直しです。そして,もう1点は,かねてより私も取り組んでまいりました無戸籍者ゼロ運動ということで,無戸籍者の問題を解消する観点からの嫡出推定制度の見直しなどを内容とするものでございます。
 今後,パブリックコメントの手続を取る予定であると承知しております。
 中間試案で取りまとめられた内容につきましては,いずれも子どもの利益に関わり,喫緊の対応が極めて重要な課題であると認識しているところでございます。
 法制審議会に対して諮問した大臣としては,まずは,部会の議論の状況を見守りたいと考えておりまして,パブリックコメントの結果も踏まえて,充実した調査審議が更に行われることを期待しているところでございます。

刑事参考記録に関する質疑について

【記者】
 先ほど発表された刑事参考記録制度の見直しについて伺います。大臣が特に力点を置かれた点と,この運用変更で今後期待されることを教えてください。

【大臣】
 私は,公文書の保存・管理が歴史の評価に耐えるものとなるためには,アーキビスト等の専門家が歴史的重要性の観点からしっかりと評価を行い,そして,大事なものは確実に残していくということが重要であると確信しております。
 このような考えがございまして,私から事務方に対しては,中長期的に,法務省,検察の内部からでは必ずしも気付かないような多角的な視点が指定の判断に反映されるということが大事であるということを伝えてまいりました。
 そのために,特定のお立場にある外部の専門家の方に継続的に御関与いただくとともに,国立公文書館のアーキビストの方にも御協力をいただくことによりまして,刑事参考記録の指定がより一層適切になされていくような枠組みを検討するべきではないかということを指示したところでございます。
 その結果,今般新たに方向性を定めた枠組みにおきましては,有識者としては,法務省特別顧問や法制審議会の委員に御協力いただくこととなり,さらに,国立公文書館のアーキビストの方にも御協力いただくこととしたところであります。
 今回御協力いただく方々は,法律の専門家でありますとか,アーキビストといったお立場にありまして,それぞれの立場から多様かつ専門的な御意見を継続的に頂戴できるものと期待しているところでございます。

【記者】
 刑事参考記録のことについて何点かお伺いいたします。これによってかなり保存については前進というか,いろんなことが決まったわけですが,今おっしゃった有識者の中に,例えば法制史の専門家とか,あるいはそれ以外の日本史の歴史,そういった分野の方を入れるということも考えていらっしゃいますでしょうか。

【大臣】
 人選につきましては検討中ということでございますが,今申し上げましたとおり,法務省の特別顧問の方とか,法制審議会の委員の方々ということを考えてございまして,早急にお願いしてまいりたいと思っております。

【記者】
 残す基準ですが,適切に残るように判断基準を定めたということですが,これについて詳細を教えていただければと思います。

【大臣】
 刑事参考記録として指定されるべき記録が適切に指定されるような方策といたしまして,まず,刑事法制及びその運用に関する調査研究に資するものの具体的な例として,「最高裁判所刑事判例集」などの主要な判例集に掲載された事件であること,また,犯罪に関する調査研究に資するものの具体的な例として,判決が主要全国紙の1面に掲載されるなど大きく報道された事件であることなどを具体的に示すこととしたもので,対象を具体的に示したということであります。
 基準については,今既にある類型に加えて,更に拡大していくということでもございますので,そういったことが,運用の段階におきまして,きちっと担当の地方検察庁に指示することができるように,ガイドラインというかマニュアルというか,そういう指示書のような形で,皆さんがしっかり判断していただくことができるように,更に研修などを通して進めてまいりたいと思っております。
 それから,そうしたことが的確に行われているかどうかということのチェックという意味もあって,先ほど申し上げたような第三者の皆様にも関わっていただく,しかも専門的な観点からチェックしていただくというようなスキームを併せて作らせていただき,全国の事件がしっかりと刑事参考記録にふさわしいものであるかどうかの判断に対して,そういう客観的な目,多層的な目が加わるようにしてまいりたいと思っております。

【記者】
 残す方はかなりの前進になったと思うのですが,あとは活用の方なのですが,現在刑事参考記録ではなくて,保管中の記録ということであっても,例えば,オウム真理教の事件などは,前回大臣をお務めになったときに,全件ちゃんと残しますということで,それは本当に大きな前進だったのですが,ただ実際にそれを見ようとすると,刑事確定訴訟記録法の中で3年経ったら見せなくていいというような規定もあって,見せてはいけないって書いてあるわけではないのですが,それを理由に見せないという,せっかく調査研究のために残していても,調査研究に今,使えていないという現状があるようなのですが,使い方については今後何か検討を加える,あるいはこの3年というものを削ってしまうとか,何かお考えになっているところがあれば教えていただきたいと思います。

【大臣】
 刑事参考記録は,刑事確定訴訟記録法によりまして,刑事参考記録を保存している検察庁の長が,学術研究のため必要があると認める場合及び法務省令で定める場合には閲覧させることができるとされています。
 このような枠組みがなぜあるかということでございますが,関係者の方々のプライバシーや生活の平穏等に影響を及ぼすおそれがあるかどうかということを考慮する一方,刑事参考記録が刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であり,その重要性に鑑みて,閲覧の必要性にも配慮した内容になっております。
 どのようにそれを活用していただくかということにつきましては,不断の見直しが必要であると考えておりますので,引き続き,在り方につきましても,検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 刑事参考記録をちゃんと残しておきますということを指定する基準の中に,全国紙の1面に判決が載るというようなことを例示として挙げられました。民事については,最高裁は主要日刊紙2紙以上,1面じゃなくても掲載されたものは残すということとしています。民事と刑事ではちょっと性格が違うので,同じにというわけではないでしょうが,刑事は1面に判決が載るという事件は本当に限られていると思うので,非常に狭いような気がするのですが,これについてはもう少し広げる余地は今後あるのでしょうかということと,それからオウム事件なのですが,せっかく大臣が指定された後にも,発表された刑事参考記録のリストを見ると,「西信徒事件」しか出ていない状況がずっと続いているのですが,今後指定は進められていくと理解してよろしいのでしょうか。
 
【大臣】
 2点目について,現在の状況を申し上げますと,法務省において作成,公表している刑事参考記録のリストにおきましては,事件関係者のプライバシー等に配慮した事件の特定の在り方を検討した上で,事件名等を記載しているという状況であります。
 同リストに記載されておりますとおり,昨年12月31日時点では,オウム真理教関連事件の刑事参考記録のうち,オウム真理教関連事件としていわゆる事件名が付されているものは,1件ということでございます。
 この他にオウム真理教関連事件としてどのようなものが指定されているのか明らかにするということにつきましては,プライバシー等の問題がございまして,慎重に検討していく必要があると思っております。
 どのような事件であればということの一つの目安として,民事についての御指摘がございましたが,判断基準のところにおきましては,先ほど全国の主要全国紙の1面に掲載されるなどと申し上げたところでございますが,例えば,大きく報道された事件の一つの考え方といたしまして,そのような考え方とともに,いわゆる全国紙のうち縮刷版が発行されている3紙につきまして,毎月のトピックとして取り上げられているような事件ということも併せて考慮してまいりたいと考えております。

入管法改正案に関する質疑について

【記者】
 2月10日,一昨日ですが,日本テレビが入管法改正案の全容解明,監理措置新設という2つのニュースを配信しました。その中に入管法改正案は来週にも国会に提出される予定ですとあるのですが,そのような公式発表を法務省,出入国在留管理庁はしたのでしょうか。この報道が事実なのかどうか,この報道があった時点で大臣はこのことを御存じだったのか。まとめてお願いします。

【大臣】
 まず,入管法改正につきましては,今の現状を踏まえまして,必要性があるということでこの間申し上げてきたところでございます。今国会に提出できるように,現在,出入国在留管理庁で必要な検討を行っているということでございます。記事がどういう内容になっているか,私は十分に把握しておりませんが,今御質問にありました公式に発表しているという状況ではございません。今回の通常国会におきまして提出できるように努力しているところでございます。

【記者】
 監理措置制度といったことも触れられているわけですが,このことは過去にも報道されたことがあるのですが,この監理措置制度ですとか,難民申請者の送還停止効の例外規定を設けるとか,強制送還を拒否した者に対する刑事罰の創設といったことについて,各弁護士会からも非常に反対する声明が相次いで出され,なおかつ国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会からもそれに対して反対するような意見が日本政府に対して出されているわけです。
 入管法の改正に当たっては,当然こういったことについて,今まで出された声明,それから国連の作業部会の勧告に対して,やはり大臣もきちっと回答を示す必要があるのではないかと思うのですが,今までの声明等について意見を反映した上で,入管法改正案を提出されるかどうかということについて伺います。
 それから,今,東日本入国管理センターなどでもいまだに5,6年,中には7年間も収容されている方もいらっしゃって,今,ハンガーストライキも5,6人の方がやっていらっしゃいますが,そういった現状を大臣は御存じなのかどうかということについてもお伺いいたします。

【大臣】
 様々な組織や機関等から様々な意見が出てきているということについては承知しております。
 また,先ほど御指摘がありました恣意的拘禁作業部会の意見書につきましては,現在,出入国在留管理庁におきまして,その内容の精査,検討を行っているところでございます。その精査の上で,関係省庁と連携しながら,適切に対応してまいりたいと思っております。
 入管法改正については,現段階におきましては,出入国在留管理庁で鋭意必要な検討を進めている状況でございますので,そうしたことを踏まえて,国会の中で御審議に付すことができるように,法案の内容につきましてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

【記者】
 最後に質問した,東日本入国管理センターで5,6人の方がハンガーストライキをやっていらっしゃいます。その中で5年,6年,7年といった長期収容の方もいらっしゃるのですが,そういった現状は,御存じなのかどうかということをお伺いします。

【大臣】
 今,御指摘がございました入管行政についての様々な状況については,随時報告を受けている状況でございます。私も入管行政を預からせていただいている者といたしまして,どのように適正に業務が行われているかということについて絶えず情報を得ながら,これから先のことにつきましても考えて動いていくということを信条としておりますので,そういったことも含めて把握しているところでございます。
 個別に御指摘があったような案件についてどうなのかということについて,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
(以上)