法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年2月16日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件として,「後見登記等に関する政令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続きまして,京都コングレス及び京都コングレス・ユースフォーラムの開催について申し上げます。
 第14回国連犯罪防止刑事司法会議,通称京都コングレスの開催まで残り20日を切りました。本日は,その概要と新型コロナウイルス感染症の感染対策について,御説明いたします。
 京都コングレスの開会式は,3月7日に行われ,その後のハイレベルセグメントで,京都コングレスの成果文書となる「京都宣言」が採択されるとともに,国連事務総長や各国代表によるステートメントなどが予定されています。
 京都コングレスでは,このような全体会合のみならず,ワークショップやサイドイベントが開催され,犯罪と戦うための国際協調,官民連携による再犯防止の取組のほか,コロナ禍の影響がとりわけ深刻な途上国の刑事司法機関への支援,コロナ禍が世界の刑事司法に与えた影響やこれへの対処策などについて,一層踏み込んだ議論が行われます。
 これまでにも御説明しているとおり,京都コングレスは,オンライン・テレビ会議システムを活用して,来場参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド方式で開催されます。
 海外からの来場参加者については,現時点で,10か国程度の国から閣僚級の代表団が派遣される予定であると承知しております。
 また,国内からは,加盟国の在京大使館の大使などの参加が予定され,NGOや個人専門家等の参加も予定されております。
 その上で,新型コロナウイルス感染症の感染症対策には万全を期してまいります。
 まず,国連職員や海外から来場参加する代表団には,出国前72時間以内のPCR検査などの通常の水際措置に加え,専用シャトルバスによる移動,来日参加者用に借り上げた宿舎への宿泊,用務以外での外出禁止などの行動制限に従っていただきます。
 政府職員等の国内スタッフは,事前にPCR検査を受けることとし,その他の国内からの参加者にもPCR検査を要請いたします。
 また,会場では,入場時のサーモグラフィー検査,手指消毒剤やアクリル板等の設置,対人距離の確保などの感染予防対策を徹底いたします。
 このように,水際措置や国外からの参加者への行動制限,会場での感染予防対策を行うことにより,安全・安心に京都コングレスを開催できるよう準備を進めております。
 京都コングレスの約1週間前であります2月27日及び28日には,高校生や大学生などの若者が京都コングレスに関連するテーマについて議論するユースフォーラムを開催します。
 その議論の結果は,勧告として取りまとめられ,京都コングレスに提出されます。
 SDGsのターゲットイヤーは2030年です。ユースフォーラムは,2030年以降の社会を担うユース世代の,未来志向で明るい声を京都コングレスに届ける大変重要な催しであると考えております。
 ユースフォーラムにつきましてもハイブリッド方式で開催いたしますが,海外からの参加者については全てオンラインで参加していただきます。
 また,政府職員等の国内スタッフは,事前にPCR検査を受けることとし,その他の国内からの参加者にもPCR検査を要請するとともに,会場での感染予防対策を徹底いたします。
 いよいよ京都コングレスとユースフォーラムが近づいてまいりました。
 国連,関係省庁,開催地京都の自治体,関係する全ての方々とより一層緊密に連携し,様々なリスクを想定しつつ,万全の感染症対策を整えて,安全・安心に会議が開催できるよう,最後まで気を引き締めて努力を重ねてまいります。

ゴーン被告人の逃亡事件に関する質疑について

【記者】
 ゴーン被告人の逃亡事件に関連して,先日アメリカの連邦最高裁判所はテイラー容疑者親子の引渡し差止めの申立てを退けました。法務省が把握している現状と今後の移送手続の見通し,ゴーン被告人への対応も含めて大臣の所見をお願いいたします。

【大臣】
 ゴーン被告人の逃走を支援した米国人2名の引渡しにつきましては,個別事件における具体的な捜査に関わる事柄でありまして,また,アメリカにおける手続に関わる事柄でありますので,お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思っております。
 ゴーン被告人に関してということですが,ゴーン被告人は,裁判所の保釈条件に違反して我が国から逃亡し,刑事裁判そのものから逃避したものであります。
 これは,どの国の制度の下であっても許されない行為と認識しており,申すまでもなく,ゴーン被告人は,我が国の裁判所において裁判を受けるべきであると考えております。
 今後の対応につきまして,詳細は差し控えさせていただきますが,当省といたしましては,引き続き,外交当局と情報を共有しながら,関係国・関係機関等ともしっかり連携して,でき得る限りの措置を講じてまいりたいと考えております。

入管法改正法案等に関する質疑について

【記者】
 入管法改正について質問させていただきます。一部報道で伝えられている内容や,あるいは「収容・送還に関する専門部会」の提言などを見ていますと,先日,国連人権理事会の恣意的拘禁ワーキンググループで指摘された問題はクリアされていません。つまり,国際人権規約に反するとかなり厳しい指摘をされたわけですが,収容できる期間の期限を定めること,収容の是非について裁判所等の判断によるものというような部分が現在の案や提言には含まれていないのですが,これについて大臣はいかがお考えでしょうか。

【大臣】
 出入国在留管理行政におきましては,退去強制令書の発付を受けた外国人による送還忌避や,これに伴う収容長期化の問題が生じているところでございます。
 そのため,「収容・送還に関する専門部会」において御検討をしていただき,昨年7月にその提言を頂いたところでございます。
 現在,出入国在留管理庁におきまして,この提言を踏まえ,様々な御意見,御指摘にもしっかりと耳を傾けながら,入管法改正法案につきまして,今国会に提出できるよう,検討を行っているところでございます。
 検討の方向性として申し上げますが,在留が認められない外国人を迅速に本国に送還するということのみならず,在留を認めるべき外国人を適切に保護する,直ちに送還することができないときに収容の長期化を防止するための措置を講じる,収容中の適正な処遇を実施するというコンセプトの下で,様々な方策を組み合わせ,パッケージで問題を解決していこうというものでございます。
 また,御指摘いただきました恣意的拘禁作業部会の意見書につきましては,現在,出入国在留管理庁におきまして,その内容の精査・検討を行っているところでございまして,その精査の上で,関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 法案の具体的内容についての御質問もございましたが,今,検討を進めているという段階でございまして,内容につきまして,この場でお答えすることはなかなか難しいということについては御理解いただきたいと思っております。

【記者】
 今,大臣もおっしゃったように,特にナイジェリア人の大村収容所での餓死事件があって以来,送還忌避という言葉が入管行政の中で独り歩きをしている感じなのですが,いわゆる難民申請者や,あるいは在留特別許可の実態についてどこまできちっと精査されたのでしょうか。送還のみならずというお話でしたが,99パーセント以上が不認定の難民認定制度ですとか,この10数年間で10分の1に減った在留特別許可について,どのように再検討するのかといったようなメッセージが全然伝わってこないのですが,そのことについてどの程度検討し,それを受け止めていらっしゃるのか,そのことについてお願いいたします。

【大臣】
 一連の制度というのは,今の法律の体系に基づきまして,現場の中で,それを適正に運用するというのが基本でございます。
 難民認定手続につきましては,申請内容を個別にしっかりと審査した上で,難民条約の定義に基づきまして,難民と認定すべき者を難民と認定しているということでございます。
 また,条約上の難民とは認定できない場合であっても,本国情勢などを踏まえまして,人道上の配慮が必要と認められる場合には,我が国への在留庇護を認めているというものでございます。
 その上で,先ほど申し上げたように,様々な課題や問題がございましたので,こうした様々な課題に対して,「収容・送還に関する専門部会」におきまして検討を行っていただき,昨年7月に報告書が提出されたところでございます。
 報告書では,庇護を要する者が確実に保護されるよう,難民認定制度に関する専門部会の提言に基づいて,それぞれの内容について政策を実施することも提言しているところと承知しています。
 現在,重ねて申し上げるところではございますが,出入国在留管理庁におきまして,「収容・送還に関する専門部会」の提言を踏まえた入管法の改正について,検討を更に深めているという状況でございます。この間,様々な御意見をいただきましたことにつきましても,しっかりと耳を傾けながら,これからの我が国にふさわしい出入国在留管理制度の実現に向けて,しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

【記者】
 国連人権理事会のワーキンググループの指摘にもあったのですが,過去10年にわたって,様々な国連の人権関係の委員会から日本の活動の難民認定や収容に関して度重なる是正勧告を受けているわけです。そのことについて,どれほど危機感があるのかということと,もう一つ,先ほどから送還忌避というような話が出ていますが,そもそも難民認定制度の濫用事例として,例えば最近で言うとミャンマーの方々も濫用事例にかなり含まれている。入管の資料などを見ていますと,ロヒンギャの方も含めてです。濫用と決めつけてきたことが果たして正しかったのかどうか,その点は検証する必要があるかと思いますが,それはどうでしょうか。

【大臣】
 出入国在留管理行政に当たりましては,退去強制令書の発付を受けた外国人による送還忌避の問題がありますし,また収容につきましては,大変長い期間収容されているという現実もございまして,いろいろな課題や問題が生じているということは十分認識しております。
 そこで,「収容・送還に関する専門部会」におきまして,様々な御意見をいただきまして,昨年7月に提言を頂いたところでございます。
 検討の方向性として,在留が認められない外国人を迅速に本国に送還するということのみならず,在留を認めるべき外国人をいかに適切に保護するか,直ちに送還することができない場合,収容が長期化するということは避けなければいけないということでございますので,それを防止するためにどのような措置を講じるのか,収容中の適正な処遇をどう実施するのかというコンセプトをしっかりと位置付けながら,様々な方策を組み合わせて,パッケージで問題を解決していこうと,こういう方向で今,検討を進めてきたところでございます。
 これから法案を御審議いただくべく検討しているということでありますので,コロナ禍のこうした事態も含めまして,しっかりと法案にまとめ上げていきたいと考えております。

【記者】
 質問の後半の部分で,濫用事例に本来保護すべき難民ではないかと疑われる人々がかなり入ってしまっているのではないかと私としては思いますし,また,国内の人権団体及び弁護士の方々,NGOの方々も似たような意見を言っているわけなのですが,その濫用ということに対して,これまでの判断が正しかったのか検証することはないのでしょうか。

【大臣】
 制度は絶えず検証しながら適正な運用を図らなければいけないということであります。個別の事案に即して調査を重ねて,1人ずつの案件について丁寧に審査しております。
 したがいまして,いろいろなところで問題,課題になっていることにつきましても,ペーパーワークのみをしているわけではございませんので,1人ずつの申請の背景でありますとか,置かれている状況等を調査した上で対応していくということが大変大事だというベースで動いているということは,御理解いただきたいと思います。ひとくくりで濫用というようなことで,御指摘の濫用事例ということで,あれもこれもという形でのくくり方はしておりません。1ケースずつ丁寧に対応していくということであります。

仮放免に関する質疑について

【記者】
 緊急事態宣言が10都府県で3月7日まで延長されたということを受けて,自民党の国会議員70数人が,一律10万円の特別定額給付金の再支給を求める要請書を1週間前に下村政調会長に提出されました。
 昨年の特別定額給付金に関しては,総務省が都道府県に対して事務連絡を出して,住民基本台帳に登録されていない仮放免者は一律に排除されました。昨年春以降,入管収容されずに仮放免許可される非正規滞在外国人とその家族は増加したのですが,就労も,行政支援を受けることもできず生活困窮が深刻化している状況です。
 長年日本で生活し,難民申請中の仮放免世帯でも定額給付金の受給ができなかったのみならず,児童手当ですとか住宅確保給付金,国民健康保険などの通常の行政サービスを受けることもできず,地方自治体に相談しても,住民基本台帳に登録されていないという理由で一律に適用除外されています。
 仮放免でも外国籍住民の居住情報を入管庁と地方自治体はある程度共有できると大臣の記者会見でのお答えもありましたが,そういう状況であれば,仮放免世帯への行政支援も可能だと思います。仮放免世帯の生活困窮問題は非常に深刻だと大臣も受け止めているというお話でしたが,今後,特別定額給付金の再支給ですとか,現在のやり方次第で仮放免世帯でも受給できる行政サービスについて,総務省や厚生労働省,内閣府などの関係省庁と再検討する考えがあるのかどうか,そもそも在留資格の有無で命や最低限の暮らしを線引きするのは,行政差別ではないかという声もありますが,大臣はどのようにお考えでしょうか。
   
【大臣】
 まず,仮放免中の外国人の方々は,退去強制処分を受けてということでございまして,基本的には処分に従って早期に帰国していただくことが何よりも重要であると考えております。
 コロナ禍ということもございまして,なかなか帰国が難しいということでございましたので,出入国在留管理庁におきまして,関係省庁とも連携しながら,関係国と調整した上で,国費による送還を積極的に実施するなど,こうした外国人の方々の速やかな帰国のために,この間力を尽くしてまいりましたし,これからもそうした方向でございます。
 御質問の自治体との関係ということでございますが,仮放免中の外国人につきましては,入管当局が仮放免を許可するときに,その外国人に自らの居住地等の情報を市町村に提供することの可否につきまして意向を確認しております。そして,その意向確認の上で,その外国人の希望に基づきまして,入管当局からその外国人の居住地等を当該市町村に通知しているということであります。
 そして,各市町村等におきまして,提供可能な行政サービスについては適切に対応しているものと承知しております。行政サービスが提供可能であるかどうかにつきましては,所管省庁がそれぞれございまして,そこから市町村等に通知されているものと承知しております。
 加えて,是非相談していただきたいということにつきましても,出入国在留管理庁の方で体制を整えているところであります。特に仮放免中の外国人の方々が生活に困窮している場合につきましては,所轄の地方入管等に連絡・相談いただき,そして帰国の支援も含めまして,個別にきめ細やかな対応を行うこととしているところでございます。御相談に応じるということにつきましては,しっかりと対応してまいりたいと思っております。

京都コングレスに関する質疑について

【記者】
 冒頭に御発言があった京都コングレスについてお伺いします。3月7日から12日まで6日間開催されるわけですが,議長国として議論をまとめることに尽力されると思うのですが,どのような議論が行われることを期待したいか,改めて伺えますでしょうか。

【大臣】
 1年延期ということでありましたが,今回コロナ禍で開催される会議でございますので,対面でなかなかできないという限界の中,この間,ステートメントに込められる様々なテーマ,論点につきまして,オンラインで事前の議論をしてきたところであります。
 こうした作業をしっかりと踏まえた上で,当日を迎えるということでございますので,その意味では,法の支配に基づく,特に,「誰一人取り残さない」というSDGsの大きな方針の下で取り組んでいくということであります。SDGsが2015年に国連で採択されて以降,国連の初めての大規模な国際会議ということでありますので,丁寧な議論をしてまいりたいと思っております。
 社会の安全・安心,また国際的な安全・安心がしっかり保たれるためには,それぞれの国の中で,様々な制度について,また,その運用につきましても,事例をしっかりと共有しながら,より良い制度を作っていくということが大事だと思います。
 特に,日本の中では再犯防止という観点が大変重要であるということで,力を入れてまいりました。過去に犯罪を犯した人が社会に出ても,再犯を犯す確率が高い実態もございまして,これにつきましては,長い間日本でも苦労しながら,そして民間の方々の協力もいただきながら対応してきたところであります。そういった面についてのそれぞれのレッスンというか教訓ということを共有して,日本の中での取組につきましても,幅広く理解していただき,また各国のミッションの方々には,そうした施設も見ていただくような形で,総合的に法の支配に基づく日本の刑事司法の在り方について,体感していただきたいと考えております。
 政治的メッセージは「京都宣言」ということで行いますし,それに付随した様々なサイドイベント,これには保護司制度そのものについての議論もございます。
 また,ユースフォーラムからの提言もございますので,幅広い観点から集約して,一つの大きな流れを作っていくための議論の集約に努めてまいりたいと考えております。

【記者】
 京都コングレスのことですが,大臣自らミャンマーの司法関係者にも参加要請をされたと思うのですが,ミャンマーに対してどういう働き掛けをしてるのかということが1点,それからミャンマーの難民の質問がありましたが,ミャンマーの方で難民申請中で仮放免の方もいらっしゃるし,ロヒンギャの方でもやはり難民認定されない,そういう状況があるわけですが,今のクーデターの状況を見て,難民認定制度の在り方について改めて再検討するようなお考えがあるのかどうか,この2点についてお願いします。

【大臣】
 まず,今回の京都コングレスにつきましては,国連に加盟している国・地域の皆様に御案内しているところで,等しくどの国・地域にも要請しているところであります。ミャンマーを特出ししておっしゃったわけでありますが,他の国々と同じ形で御案内しているところであります。
 それから,ミャンマーの難民認定ということで御質問がございましたが,難民認定制度に基づきまして,申請内容を適宜適切に審査していくということが極めて重要であるということであります。これは今御指摘のロヒンギャの方々も含めまして,申請者ごとに申請内容をしっかりと審査していくことで対応しておりますし,これからもそういう方向で対応してまいりたいと思っております。
(以上)