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法務大臣臨時記者会見の概要

平成23年8月8日(月)

 今,笠間検事総長に大臣室まで来ていただきまして,取調べの可視化に関し,検察庁法に基づく一般的指揮のための文書をお渡しして,若干のコメントも申し上げ,また懇談をしたところでございます。
 これは,従来からありました取調べの可視化についていろいろ進めていた中で,法務省の省内勉強会が残っておりましたが,省内勉強会で,被疑者取調べの可視化を実現するとの方針の下で調査・検討をしてまいりました。そして,国の内外の調査というのを6月で一定の目処をつけ,その成果を取りまとめ,さらに,先日,国家公安委員会中野委員長とも協議をし,説明をした上で,本日これを公表することにしたものであります。その中で,国の内外の取調べの可視化に関する調査等を踏まえて,録音・録画の対象とすべき範囲として,まず,最初に裁判員制度対象事件の身柄拘束下における被疑者の取調べが考えられることなど,制度としての取調べの可視化の在り方について一定の方向を示しました。刑事司法が基本的人権を保障しつつ,事案の真相を解明することを目的としているということからすると,取調べの可視化は,えん罪の防止を図りつつ,かつ,国民の安全・安心を求める,その期待にも十分に応える制度としなければなりません。そこで,その具体的な制度設計に資するように,検察の運用により現在実施しております裁判員制度対象事件における取調べの録音・録画について,もっと範囲を拡大して試行してほしい。例えば,否認事件についても録音・録画の対象とするとか,あるいは身柄拘束の初期の段階での取調べも含めるとか,様々な録音・録画を行って,範囲を試行的に拡大して,その方向を1か月以内に各現場の検事の皆さんに具体的な指示をしてほしい,さらに,1年の施行を経て結果を報告してほしい,そういうことを直接指示いたしました。裁判員裁判の身柄拘束事件については,原則,全件を可視化してくださいというのは前にも言ってあるとは思いますが,これはもちろんそのとおりでございます。そして既に私の方から法制審議会に対して,被疑者の取調べを録音・録画する方法により記録する制度の導入など,新たな刑事司法制度を構築するための諮問を発しており,特別部会が設置されて,審議が開始されましたが,今後,法制審議会で,今回の取りまとめや,あるいは,検察による様々な試行を踏まえて,取調べの可視化の制度設計について,関連する諸課題とともに十分な検討が行われることとなります。法務省としては,法制審議会からできる限り速やかに答申を受けて,制度としての取調べの可視化を実現していくつもりでございます。
 それから,現在既に試行中であります,特捜部・特別刑事部における取調べの可視化,これについては,可視化をしたらどういう弊害が本当に起きるのか,そうしたことも分かるように全過程の可視化というものも,是非そうした検討に資するようなボリュームをもって実行していただきたいと既に申し上げております。
 さらに,知的障害者関係の取調べの録音・録画の実施状況について,これは今までのことと別の話になりますが,今までは今回の指示の話,ここから先はそうしたことについて,先日,検察当局から報告がございました。その報告を皆さんに御報告をいたします。全国の特捜部,東京,大阪,名古屋の3庁,それから特別刑事部が10庁あるわけですが,そこでの取調べの録音・録画の実施件数等について,共犯事件は1件と数え,被疑者が数名いても1件と数えますと,7月末日までに最高検に報告のあったものは,全部で10件,被疑者数で合計18名,これだけやって,録音・録画の実施回数は合計101回とのことでした。この中には,全過程を録音・録画した事件も含まれていると聞いております。それから,もう一つが,知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する取調べの録音・録画は,4月8日の私の指示を受けて,パイロット的に試行を開始し,7月8日以降は本格試行を実施しているものと聞いておりますが,その実施件数は,7月末日までに最高検に報告のあったものは,前同様の事件数で合計45件,被疑者数で合計39名,実施回数は合計136回ということでございます。この中にも,取調べの全過程を録音・録画した事件が含まれていると聞いております。特捜部の方は数人が共犯で1件となっていますが,おそらく知的障害者のコミュニケーションの能力の問題という方は一人が何件もやってるということで,事件数の方が被疑者数よりも多くなるというような違いがあって,こういう数字のちょっとねじれ的なところが現れているのだろうと思っています。この数字は,裁判員制度対象事件やその余罪事件などを含むものですが,裁判員制度対象事件とは無関係の事件で,被疑者に知的障害の問題があることを理由に録音・録画を実施したものは,つまり,裁判員裁判ではなくて被疑者に知的障害があるということで,録音・録画を実施したものは,事件数で合計25件,被疑者数で合計24名,実施回数で合計48回とのことでした。

被疑者取調べの可視化に関する質疑について

【記者】
 「取調べの録音・録画に関する取組方針」というものが検事総長に対する一般的指揮の内容という理解でよろしいですか。
【大臣】
 はい,そうです。
【記者】
 法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会との関係なのですけれども,今回の取りまとめは,今後いろんな素材の一つとして特別部会で使用されていくと思うのですが,改めて今回の取りまとめの重みというか,今後の可視化の制度に関連した位置付けの重みについて,法務大臣としての所見をいただけますでしょうか。
【大臣】
 特別部会に様々な素材を提供し,また,私どもの録音・録画の方向性もお示しをし,更にこれからいろんな試行をやっていますが,その報告がされ,また,国家公安委員会での調査・報告,これも乗っかると思いますが,そういう特別部会の検討の素材として様々なものがこれから素材として乗っかってまいります。これはこれから乗っかるものもあるし,既に乗っけてあるものもありまして,平行して進んでいくということになると思いますが,特別部会の方でそれについて議論していただく。今回は特に内外の調査の結果,これはかなり分厚い冊子が2冊ございます。それとそれを法務省の方で全体で見て,こういう総括になるよというまとめが一つございます。そういうものを前提にして,法務省として,こういう方向で進めていきたいという文章がございまして,ここでかなりはっきりと制度化していかなければいけないということを書いてあるつもりでございます。既に全過程可視化については,4月8日のところで言っていますし,全件可視化についても既に言っておって,今回のものでそれをしっかり押さえて,全件可視化は裁判員制度のことですが,これの範囲を拡大してほしい,しかも具体的な指示もしてほしいということを言っていますので,そうしたことが全て特別部会に乗っかるので,私は,これはいろんな御批判もあるかもしれませんし,御懸念もあると思いますけれども,取調べの可視化については,全過程,あるいは全件ということも,それぞれいろんな部分で方向を出しておりまして,かなり,前に向いた方向になってきていると思っております。
【記者】
 取りまとめのまとめ以外に「被疑者取調べの可視化の実現に向けて」という一枚の紙が出ているのですが,この中を見ると可視化の制度化のチェックも必要であるだとか,非常に前向きな言葉が一杯並んでおりまして,取りまとめ以外にこのペーパーが出た経緯をお聞きしたいということと,取りまとめ本体の中では全過程については非常に消極的な表現もかなり見られるのですけども,全過程の可視化について大臣はどのようにお考えになっているのか改めてお聞きできればと思います。
【大臣】
 率直に言って法務省内部での調査,これは国内のものについても国外のものについてもそれぞれ,国内なら現場で捜査をしている検察官のいろんな聴き取りでとかアンケートとかやったわけで,国外についても現実に国外にいる検察官,これはそのために派遣をした人もいるし,既に留学などで派遣されている人に併せてこのこともやってきてほしいと言ってやってきたわけですが,その結果を集約したわけで,それぞれで調査をする人のいろいろな見方も入っているのかと思います。そういうもの全体を法務省としてまとめたのが今の法務省としての取りまとめで,そんな中には調査対象から受けた様々な判断とか感想とかいろいろなものが入っておりまして,中には取調べの可視化について,こんな問題があるという記述も当然ございます。私どもも取調べの可視化について,何の疑問も懸念も全くないなどと言っているのではありません。しかし,そういうものを踏まえて,法務省の政務三役として,もちろん政務三役だけで勝手にやったわけではなくて,幹部の皆さんも加わった検討の結果ですが,法務省としてどういう方向が必要なんだと考えていますかということで,この今日付けのペーパーで被疑者取調べの可視化の実現に向けて,こういう方向を出したわけです。様々な懸念を越えてこういう方向でやっていきましょうと,法務省としてはこういう方向を是非実現したいと思っているという,ある意味法務省の可視化に向けた意志を明確に示しているつもりでございます。これは,法制審議会の特別部会は,特別部会として独立して審議していただくわけですが,そこに法務省としては一定の,法務省としてはこう考えているという方向性を示したというそういう構図になってまいります。全体としては法制審議会としての特別部会を舞台としたいろんな素材の提供はそういうことですが,更に検事総長に今日指示をしてもう少し試行をこう進めていって,今日その結果を挙げていただいて法制審議会にこれも提供していただきたいということで,検事総長に対する一般的指示はそういう位置付けです。
 私としては,これで取調べの可視化について就任以来,取り組んでまいりましたが,それぞれの場面場面で検討してくださいということを今出しまして,あとはそれぞれの試行の結果が出てきたり,あるいは法制審議会の検討が進んだり,公安委員長の研究会の結果もありますが,そういうことがこれから進んでいくと,とりあえず私が汗をかくところは,今のところここまでで,これからそうしたいろんな動きをずっと見守りながら,これが結実していく,取調べの可視化が制度として実現をしていく過程を見守っていきたいと思っております。
【記者】
 先日,中野国家公安委員長との意見交換があったときに,そういったやりとりがあって,これにも反映されたというより,報告したということだったのかということと,先ほどの検事総長との口頭でのやりとりの中で裁判員裁判対象事件においても全過程の可視化の試行をということを促すような発言があったように受け取ったのですけれども,その辺の兼ね合いについてお願います。
【大臣】
 中野委員長には,これまで法務省で検討してきたことがまとまりましたので,それを報告をして,とりわけ,警察との違いは検察は公訴官ですから,公訴を提起する役割を担っていて,警察の方は公訴提起という役割を担っていないので,そこの役割の分担が自ずとありますから,私どもの方は公訴官という立場を踏まえて,こういうことでいきたいというので公安委員会の方は公訴官という立場を踏まえて,検察の方が,あるいは法務省の方からはそういうことをやることになりましたということについて報告を受けましたと,こういうことになりました。警察としては捜査の大部分は第一次的に警察がやっているので,警察の方は国民の期待に応えるために更に頑張りたいというようなお話でした。
 それから,先ほどのことについては,私は言い間違いをしていないと思うのですが,裁判員裁判対象事件については原則として全件と言ったつもりなんですけどね。全過程というのは特捜部,特別刑事部これについて,全過程をやった結果が法制審議会で検討できる程度にまでのボリュームが必要ですので,全過程の可視化もやってくださいと申し上げているので,先ほどあえてくどいように言ったのですが,全件については,今の裁判員裁判でちゃんと一歩前出て,全過程については特捜部で前に出ていると,こういうものを踏まえて制度化について十分検討してほしいということであって,よく世上,全面可視化という言葉があるのですが,全面というのは,なんだか言葉の定義としてよく分からないので,全面の中には,全件というのも,全過程というのもあると,全件といってみたって,刑事事件全件というと交通違反から何から全部あるわけですから,そうはいかないので,そこは裁判員裁判ということでくくって,全過程についても,全過程はやはりきっちりやってみて,是非試行の材料を提供してほしいということで全過程についても触れている。私としてはみんなの理解を得ながら前へ進めていく。そのみんなの理解を得ながらですが,こっちの方向で理解をしてくださいというある種の多くの皆さんの理解をこういう方向でという方向性は示したつもりでございます。
【記者】
 先ほど全過程録画の特捜部の方なんですけども,特別部会で検討に資するボリュームというような表現をされており,それに加えて取調べの録音・録画の実施件数等は10件,18名,101回だということですが,大臣の認識の中では,検討に資するためにはどれぐらいのボリュームが必要だと考えておりますか。
【大臣】
 これではまだ不十分。
【記者】
 あと例えばどれぐらいでしょうか。
【大臣】
 どれぐらいと言っても,例え話で話せるようなものじゃありません。この10件では不十分だと思いますし,4月8日の指示依以来のことですから,まだ,本格的に全過程可視化を試行してみるところまで至っていないのではないかなという気はしています。これから数が増えてくることを期待しています。
【記者】
 これまで大臣が可視化に向けて取り組んできた中で,検察サイドでは当初なかなか消極的な意見というものもあったかと思うのですが,これまで取り組んできて,あるいは,今回の取りまとめを出す上で,温度差みたいなものは最後まであったのでしょうか。
【大臣】
 どうでしょうね。これはスタートのときから温度差はあるし,今も温度差はあるし,これからもあるでしょう。私はそれはよく分かるので,検察の皆さんは現に生きた事件をしっかり処理していかなければいけない現場の責任を負っているのですね。現場の責任の在り方というのは,これまでやってきたやり方で今までやってきているわけですから,そのことを変えるというのは,できるかな,どうやったらいいかな,そういう気持ちを現場の検察官がお持ちになるのは当然だと思います。だってそうでしょ。今までこれではいけない,いけないと思いながらやってきたわけではないので,やはりそれぞれ現場でやってきた人たちはやり方について,一定の自信も確信も,あるいは誇りも持ってきてやっている,そのことを私たちは大切にしていかないと,この皆さんと一緒に良い刑事司法を作っていくことはできないので。だけど我々の立場からすると,そこだけではなく,例えば検察にもいろんな間違いがあったということも明らかになってきているし,あるいは他の識者の皆さんからのいろいろな見方もありますし,そういうものを検察の皆さんにぶつけながら反応もいただいてきたので,私はこの半年ほどの間で,検察の皆さんの中にも,これはやはり,今までのやり方でやっていればいいんだとはいかないものがあるということを感じるようになってきた要素というのは随分あるのではないかと思います。検事総長もそのことをしっかり受け止めて,現場の検察官の皆さんと対話を繰り返しながら,より良い検察行政に向けて頑張ろうというおつもりでおられると思っています。
(以上)
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