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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年4月16日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続いて,私から3件御報告がございます。
 まず1件目は,離婚に関する実態調査の結果の公表についてです。
 法務省では,未成年期に親の離婚を経験した子どもの実態調査を行い,本年3月にその結果を公表いたしました。
 これに加えて,本年3月に,協議離婚の経験がある30代・40代の男女1,000名を対象とした協議離婚の実態調査と,離婚を経験した30代から60代までの男女700名を対象とした財産分与の実態調査をそれぞれウェブアンケートで行いました。
 その集計作業が終わりましたので,本日,法務省ホームページでその結果を公表いたします。
 いずれの調査も,法務省として,離婚を経験した方の声を把握するために初めて実施したものでありまして,先ほど申し上げました子どもの実態調査と合わせ,是非,多くの方にこの調査結果を御覧いただきたいと思っております。
 2件目は,協議離婚時の養育費や面会交流の取決めに関する周知についてであります。
 法務省では,これまで,離婚届用紙に,養育費と面会交流の取決めの有無を尋ねるチェック欄を設け,取決めの重要性を周知してまいりました。この度,一層効果的な周知を図るため,離婚届の書式を改訂することとしました。
 具体的には,例えば,養育費の取決めについて,不払いがあった場合の強制執行を容易にする観点から,公正証書による取決めの有無も尋ねる等の見直しをいたしました。
 また,このチェック欄の趣旨等を説明する動画を作成してインターネット上で公開し,離婚届のチェック欄の横に設けたQRコードからアクセスして視聴できるようにいたしました。
 今回の見直しにより,離婚を検討している父母が,離婚届用紙を通じて必要な情報を取得し,離婚後の子どもの成長について考えるきっかけの一つになることを期待しています。
 最後に,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてであります。
 4月9日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員については,5の官署・施設で計8名の感染が判明しました。
 また,被収容者については,大阪拘置所で1名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりです。

国家公務員法改正案における検察庁法改正部分に関する質疑について

【記者】
 国家公務員の定年を延長する検察庁法改正案を含む国家公務員法改正案が13日に閣議決定されました。検察庁法改正案は昨年の通常国会で,検察幹部の定年延長等の特例規定が批判を浴びた経緯があります。
 閣議決定された検察庁法改正案では特例規定が削除されていますが,法務省として変更になった理由をお願いします。

【大臣】
 昨年の通常国会に提出いたしました国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち検察庁法改正部分につきましては,国会のみならず,国会外におきましても様々な批判がなされ,立法府の御判断で廃案に至りました。
 当時,法律案に対する批判に加えまして,元検事長による非違行為により,法務行政及び検察の活動は,国民からの信頼を損なう事態となりました。
 法務行政及び検察の活動は,国民生活の安全・安心を実現することを使命としており,国民の皆様からの信頼なくしては成り立たないものでございます。
 このような経緯を踏まえて,法務省としては,法案に対する国民の理解が十分に得られなかったことを重く受け止めまして,このような内容のまま法案を再び提出することは,国民の信頼という基盤によって立つことに照らして,避けるべきと考え,国家公務員法上の勤務延長の規定は,検察官に適用しないという規定を置き,検察官の役降りの特例も置かないこととするなど,内容を変更したものです。

入管法改正案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正案についてお伺いします。
 先日,国連の特別報告者からの書簡が公開されましたが,その後,4月9日付けで,UNHCRから法案について非常に重大な懸念を生じさせる側面があるとの見解が公表されました。
 これについて大臣の受け止めと,入管法改正案が本日審議入りする中でどのように説明を尽くされていくかをお聞かせください。

【大臣】
 令和3年4月9日でありますが,UNHCR駐日事務所から,入管法の改正法案に対する見解が表明されたことは承知しております。
 これにつきましては,4月14日,出入国在留管理庁とUNHCR駐日事務所との間でオンライン会議を行いまして,懸念があるとされました部分につきまして,我が国の法制度の在り方や同庁の考え方を改めて説明したところでございます。
 出入国在留管理庁におきましては,難民認定制度の適切な運用を図るために,UNHCRとの連携を重視しておりまして,引き続き,UNHCR駐日事務所から示された提案も踏まえまして,適切な運用の在り方を検討するなどの必要な措置をとってまいりたいと考えております。

【記者】
 本日審議入りする入管法改正案ですが,法案では3回目の難民申請以降は相当の理由がない限り,原則送還忌避罪の対象となるということですが,UNHCR等からも指摘のある日本の難民認定率の低さ,また,地裁が難民と認めても入管が難民とは認めず,高裁まで争い入管が敗訴したケースというのもありました。
 難民申請の乱発を防ぎたいという入管庁の意図は分かりますが,今回の改正で,これによって,これまで以上に救われる可能性のある難民を救えなくなってしまうという懸念が,支援団体,弁護士等から出ています。この点について,大臣はどうお考えでしょうか。

【大臣】
 3回目以降の申請者を送還停止効の例外とするということについて,いろいろと御心配,御懸念がある旨の意見ということでございますが,そもそもこの送還停止効という制度でありますが,難民申請中の者の法的地位の安定を図るために設けられたものでございます。
 その上で,既に二度の難民等の不認定処分が行政上確定した者は,二度に渡りまして,難民等の該当性について判断がされ,その審査が十分に尽くされたものでございます。
 そのような者につきましては,法的地位の安定を図る必要はないと考えられるところでございます。もっとも,3回目以降の申請におきましても,難民等の認定を行うべき相当な理由がある資料を提出した場合につきましては,送還を停止することとしているところでございます。
 今回そうした新しい制度も盛り込んだ上で提出させていただいております。
 今日から衆議院本会議で審議が始まるということでございますが,この制度をしっかり理解していただくことができるように,説明を尽くしてまいりたいと思っております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 スリランカ人女性が入管の収容所で亡くなった件ですが,一部報道で,御遺族が取材に応じまして,娘が点滴をしてほしいと訴えたがなぜ対応してくれなかったのか,何とか助けてほしかった,死ぬ前に私のことを誰も助けてくれないと考えていたかと思うと胸が苦しいと,母親がお話をされておりました。
 報道等を見られたと思うんですが,この御遺族のお話の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 今回の事案でございますが,庁内診療室や外部病院での診療などの医療的対応を行っている最中に死亡に至った事案であると承知しております。
 今回の中間報告は,これまでの事実関係の調査によりまして,今の段階で判明している,医療に係る部分などの状況に基づきまして,亡くなられた方の収容中の診療経過などの客観的な事実関係を取りまとめたものでございます。
 中間報告でもお示ししているところでありますが,亡くなられた方が様々な体調不良を訴えておられたということでございます。
 また,支援者の方からも,この健康状態につきまして,懸念するという申入れもなされていたことは事実でございます。そうした中で死亡に至ったということにつきましては,大変重く受け止めているところでございます。
 その上で,御指摘のような観点からの問題も含めまして,死亡に至るまでの対応全般の適否などにつきましては,今後は司法解剖の結果や第三者の方々の御意見も踏まえまして,適切な時期に最終調査報告及び必要な改善策を取りまとめる予定でございます。
 この事案が発生して直ちに,実態につきまして調査をするようにという指示をいたしました。命に関わる部分を扱っているところでございますので,この事案の解明を通じて,また,医療の体制あるいは庁内における体制につきましても,特に医療については,しっかりと対応していくべき事柄であると,これは一貫してそうでありますが,こうした大変痛ましい事案という,お亡くなりになったということでございますので,そのことを本当にきっちりと対応してまいりたいと思っております。
(以上)