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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年7月6日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。

在留ミャンマー人への緊急避難措置に関する質疑について

【記者】
 母国の政情不安が続く在日ミャンマー人を保護するため,大臣は,5月28日,希望するミャンマー人には緊急避難措置として在留と就労を認めると発表し,ミャンマー人の難民認定申請も迅速に審理する方針を示されました。
 ミャンマー国軍に抗議の意思を示して帰国を拒否したサッカーのミャンマー代表の方も,大阪出入国在留管理局に緊急避難措置の適用が認められたとの報道もありました。
 緊急避難措置の発表から既に1か月余りが経過しましたが,在日ミャンマー人全体に対する緊急避難措置や難民認定の申請数,適用状況などはどのようになっているのでしょうか。今後の対応も含めて教えてください。

【大臣】
 緊急避難措置につきましては,東京出入国在留管理局だけでも1,000件を超える申請がございまして,現時点で,全国で約300件を許可していると報告を受けております。
 また,本件措置開始以降のミャンマー人からの難民認定申請件数は約50件でありまして,現時点では,難民認定又は難民不認定の判断に至ったものはないと報告を受けているところでございます。
 法務省といたしましては,引き続き,個々の外国人の置かれた状況に十分配慮しながら,適切に対応してまいりたいと考えております。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 スリランカ人女性の最終報告書に関連してお聞きいたします。スリランカ人女性死亡事件の真相究明のため,全国の学生の支援団体を中心に,明日,スリランカ人女性の死亡事件の真相究明を求める学生市民の会が結成され,監視カメラのビデオ開示等を求めるオンライン署名を始めるとのことです。
 ビデオ開示に関しまして,大臣は保安上の観点から開示できないと,再三にわたって答弁されています。確認ですけれども,最終報告が出てもビデオ開示は拒否という姿勢に変わりはないのかという点。そして入管庁の遺族への聴取が来週ということなのですが,五輪開催の前にこの最終報告書が出せるのか。この2点をお答えください。

【大臣】
 まず,今回の死亡事案に関しましては,現在,出入国在留管理庁の調査チームが,最終報告に向けまして,資料の分析,外部病院の医師や第三者であります医師を含む関係者からの聴取,そして事実関係の評価などの調査・検討を進めているという状況でございます。
 出入国在留管理庁に対しては,十分な内容の最終報告書をできるだけ速やかに取りまとめるべく,最大限の努力をするよう指示をしているところでございまして,今,同庁におきまして,調査・検討に全力を挙げているものと理解をしているところでございます。
 最終報告の時期ということでございますが,できる限り速やかに取りまとめるということでございまして,そのための最大限の努力をしていくということでございます。この日,この時ということを特定することについては,調査チームの方に任せておりますので,その旨,御理解いただきたいと思っております。
 ビデオの件につきましては,正に今このことも含めまして調査チームの中で検討をしていくということでございます。このビデオの取扱いにつきましては,この間,再三にわたりまして私の方からも説明を加えさせていただいているところでございますが,閲覧については,現段階におきましては,今申し上げたところでございます。

米国国務省発表の「2021年人身取引報告書」等に関する質疑について

【記者】
 ビデオ開示はこれまでどおりしないという理解でいいのかという点と,アメリカ国務省作成の人身売買取引報告書に関してもう1点お聞きします。
 アメリカ国務省が独自に作成したもので,法務省として答える立場にないというのが,先週の大臣の御答弁でしたが,報告書には,実習生が技能を学べず契約と違う仕事をさせられたり,移動や通信の自由を制限されたり,パスポートなどを没収されたり,身体的暴力,強制労働を押し付けられたりするなどした実習生がいることなどが詳細に書かれております。
 法務省は,アメリカ国務省が指摘するこのような劣悪な実習制度の状況をそもそも今把握できているのでしょうか。これは日本で起きていることだという指摘ですので,本来,法務省としては,アメリカ国務省以上に詳細にレポートを作成・公表し,改善に向けた改革に取り組むべきだと思うのですが,この点についての大臣の御見解をお願いします。

【大臣】
 先ほどビデオの件ということでお答えしたつもりでございましたけれども,このビデオ映像の閲覧につきましては,これまで説明してきたとおり,施設・収容者等の具体的状況の記録であるということから,情報公開請求に対しまして,基本的に不開示情報として取り扱っているものでございます。また,ビデオに関しては,保安上の問題に加えまして,亡くなった方の名誉・尊厳の観点からの問題や,最終報告を取りまとめている第三者の方々への影響という問題もございまして,法務省として,御遺族との関係におきましても,ビデオの公開は相当ではないと判断をしているものでございます。正に今最終報告に向けまして,そうした中での取扱いということでございますので,今の段階におきましては,公開は相当ではないと考えております。
 それから2点目の御質問でございますが,アメリカの国務省が作成した人身取引報告書については,これはアメリカが独自の立場に基づいて作成したものでございます。法務省として,その内容についてお答えをするという立場にはないと前回申し上げたところでございます。
 その上で,一般論として申し上げるところでございますが,もちろん人身取引につきましては,これは人権侵害として大変大きな課題でございますので,大変重要であると認識しておりまして,出入国在留管理庁におきましても,人身取引の被害者である可能性があれば調査等の対応をしっかりと行うと,こうした措置を執っているところであります。また,被害者であると認知した場合につきましては,人身取引被害者の立場に十分配慮した上で,その法的地位の安定を様々な形で図っているということでございます。詳しいことは出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいということでございます。
 この技能実習生の様々な課題につきましては,これまでも説明してきましたけれども,外国人の技能実習機構におきまして,監理団体,また,実習実施者に対しての実地検査,そして技能実習生の方々からの相談や申告に応じた様々な不適正事案の確認等をしているところでございます。
 そうした中で,法令違反等を把握した場合につきましては,同機構が改善勧告等をしっかりと行って,そして必要な改善を図らせるということでございます。違反の態様等に応じまして,法務大臣,主務大臣等におきまして,監理団体の許可の取消し,また,技能実習実施者の技能実習計画の認定の取消しといった措置を行っているところでございます。
 正に不適正事案のしっかりとした把握,更にそれに対しての対応,こうしたことについては極めて重要な課題であるということで,国内でも様々な御指摘も頂いておりますので,お一人お一人の人権に配慮した対応に努めてまいりたいと考えております。

松本元死刑囚の遺骨の承継に関する質疑について

【記者】
 オウム真理教の代表だった松本元死刑囚の遺骨について伺います。次女が引き取るという決定が昨日までに確定しましたが,この受け止めと法務省の引渡しの対応について,そして,併せて遺骨をめぐっては宗教的に利用されるのではないかという懸念もありますけれども,どのように対応されるのか教えてください。

【大臣】
 御指摘の事案につきましては,国が当事者となっていない審判手続における裁判所の判断でございまして,法務大臣としてコメントする立場にはございませんので,その限りということでございます。
 関連する御質問につきましても,私の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

「e-LAWS」の一元的な整備に関する質疑について

【記者】
 河野規制改革相が7月2日の会見で法令データベース機能を持つ執務支援システムe-LAWSをめぐって,法務省が担当して法令データベースを作成する形に改め,業務フローに関しても見直す方針を示しました。
 法務省として同業務を担うに当たっての具体的な体制整備や見込まれている業務の迅速化等の方針について教えてください。

【大臣】
 御指摘をいただきましたとおり,令和4年4月から,法務省は,各府省庁等の協力を得まして,政府の法令データであるe-LAWSの一元的な整備を担うことといたしました。
 これは,本年6月29日の法案誤り等再発防止プロジェクトチームの取りまとめにおきましても盛り込まれたものでございます。
 今後の具体的な取組といたしましては,本年秋以降,デジタル庁,総務省と協力をいたしまして,本格実施に向けた試行を行う予定でございます。
 この試行を通じまして,国会で成立した法案は原則として公布の日にデータ更新ができるよう,業務フローを見直すとともに,それに併せた体制整備につきましても,しっかり図ってまいりたいと思っております。その検討を進めてまいりたいと考えております。
 法務省といたしましては,関係府省庁と協力の上で,正確な法令データの整備に向けまして,しっかりと取り組んでまいる所存でございます。
(以上)