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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年7月9日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続いて,私から2件報告がございます。
 1件目は,電子的な受取証書についてのQ&Aの公表に関してであります。
 本年5月12日に成立したデジタル社会形成整備法によりまして,民法が改正されました。本年9月1日から,原則として,受取証書の交付の請求に代えて,その内容を記録した電子データの提供を請求することができることとなりました。
 この改正を受けまして,実務の参考とするため,電子的な受取証書についてのQ&Aを,関係府省との連名により作成し,本日,法務省ホームページで公開することといたしました。
 このQ&Aでは,電子的な受取証書にどのような内容を含めるべきか,また,例外的に電子的な受取証書を請求することができないのはどのような場合かなどを分かりやすく説明しており,実務の参考にしていただきたいと考えております。
 2件目でありますが,法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況についてであります。
 7月2日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員については,5つの官署・施設で計6名の感染が判明いたしました。詳細は既に公表されたとおりです。
 なお,被収容者の感染判明はございませんでした。

参議院広島選挙区をめぐる大規模買収事件に関する質疑について

【記者】
 参院選の広島選挙区をめぐる大規模買収事件で,東京地検特捜部は今週,現金を受領した被買収側の100人全員を不起訴処分としました。地検は買収事件が河井克行元法務大臣の主導で,被買収側は「受動的だった。」などと説明しているようですが,河井元大臣の一審判決では最高300万円の受領が認定されています。
 過去の買収事件で,被買収側は1万円前後でも略式起訴されており,検察OBだけでなく現職検事らからも「元大臣らを有罪にするための実質的な司法取引だ。」,「今回の処分が基準になったら,買収事件で今後は捜査できない。」といった声が上がっていると聞きます。
 今回の検察の処分について,法務大臣としての受け止めを教えてください。

【大臣】
 御指摘の事案についてでありますが,検察当局は,令和3年7月6日,受供与者らを不起訴処分としたものと承知しております。
 個別事件における検察当局の事件処理につきまして,法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

民事訴訟における被害者の氏名等の秘匿制度に関する質疑について

【記者】
 民事裁判について伺います。有識者の研究会が,性犯罪やDVの被害者を保護するため,氏名などを秘匿したまま民事裁判手続を進めることができる制度の創設を求める報告書をまとめました。大臣の受け止めと,今後法制審議会での議論に期待すること,また,改正に向けたスケジュールについて教えてください。

【大臣】
 民事裁判の手続につきましては,昨年2月に,そのIT化に向けまして,法制審議会に諮問がなされ,以後調査審議が重ねられているところでございます。
 その審議におきましては,御指摘の性犯罪やDVの被害者が,氏名や住所を明らかにせずに民事裁判の手続を進められる制度を創設するよう求める意見が出されたものと聞いているところでございます。
 こうした中,その新たな制度の創設につきまして,本年2月より,有識者からなる民間の研究会において議論が重ねられ,本年6月に,具体的な制度案を提言する報告書を取りまとめたものと承知をしております。
 性犯罪やDV等の被害者が,加害者に自分の氏名や住所を知られることを恐れて,加害者に対して裁判を起こすことをためらうことがないよう,被害者の氏名等を秘匿することができるような制度を検討することは,重要な課題と理解しているところでございます。
 法制審議会におきましては,今般の研究会における議論の結果も参考にしつつ,引き続き,充実した調査審議が行われるものと期待しているところでございます。
 今後のスケジュールについての御質問もございましたが,現在,法制審議会におきまして調査審議がなされているところでございますので,引き続き,その議論を待ちたいと思っております。

公証人の旧姓使用に関する質疑について

【記者】
 内閣府は旧姓が使用できる資格や免許の調査をまとめ,各府省が所管する303の国家資格や免許のうち,旧姓が使用できないのは全体の13%に当たる40資格だったと明らかにしました。
 このうち法務省が所管する公証人が,旧姓を使用できない資格に含まれています。調査によると法務省は公証人が旧姓を使用できるようにする方針とのことですが,旧姓の使用を可能にする具体的なスケジュールや検討のプロセス,大臣の受け止めについて回答をお願いします。

【大臣】
 法務省におきましては,これまで,所管する国家資格や免許の旧姓の使用を拡大してきたところでございます。
 法務省が所管する国家資格や免許のうち,現在のところ旧姓の使用ができない公証人に関しましても,旧姓使用を認める方向で検討を進めておりまして,近く,民事局長通達によりまして,そのための手続を定める予定でございます。
 男女共同参画につきましては,基本計画が随時策定されてきているところでございます。
 政府全体での取組として旧姓使用をできる限り早期に実現できるようにということでございますので,法務省としても,迅速に対応してまいりたいと考えております。

ワクチン接種をめぐる差別や偏見に対する法務省の取組に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルスのワクチン接種に関してお聞きします。ワクチン接種をめぐっては,接種を受けていない人への差別や偏見が懸念されています。こうした懸念に対して,法務省として既に取り組んでいらっしゃることはありますでしょうか。また,今後の取組の予定についても併せてお聞かせ願います。

【大臣】
 ワクチン接種は,今の状況の中で大変重要な課題でございまして,政府におきましては,このワクチンの安全性,有効性等について情報提供するなどし,国民の皆様が自らの意思で接種の判断を行うことができるように取り組んできたところでございます。
 ワクチン接種は,最終的には国民の皆様に御自身で御判断いただくものでございますので,ワクチン接種を強制することや,ワクチン接種をしないことを理由とする不当な差別や偏見は,あってはならないと考えております。
 法務省の人権擁護機関におきましては,これまでに,新型コロナウイルス感染症に関しまして,新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長からビデオメッセージを寄せていただき,「不安を差別につなげちゃいけない」のキャッチコピーを軸としたキャンペーンを実施するなどし,新型コロナウイルスに関する正しい知識の普及や,偏見・差別等の防止に向けた啓発活動を行ってきたところであります。
 また,全国の法務局・地方法務局におきまして人権相談に応じているところであり,人権侵害の疑いのある事案を認知した場合につきましては,人権侵犯事件として事案に応じた適切な措置を講じているところです。
 ワクチン接種に関する偏見や差別につきましては,例えば,持病のためにワクチン接種ができない方において,職場から出勤をやめるよう言われたり,施設の利用を断られた,などの相談が寄せられております。こういった相談にしっかりと対応してまいりたいと考えております。
 法務省の人権擁護機関といたしましては,引き続き,ワクチン接種をしていない方や接種できない方が不当な偏見・差別等を受けないよう,様々な方々に御理解をいただけるような啓発の在り方などを絶えず検討しながら進めてまいりたいと考えております。

東京オリンピックの無観客開催に関する質疑について

【記者】
 大臣の所管とは違うのですけれど,昨日,東京オリンピックに関しまして,東京都内での会場での無観客が決まったのと,首都圏3県での無観客も併せて決まりました。東京オリンピックについて,こういう形で開催されることになったことに対して,大臣の受け止めをお聞かせ願います。

【大臣】
 昨日,東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会におきまして,東京オリンピックに関しましては,1都3県で行われる競技を無観客で開催すると発表したものと承知をしております。
 安全・安心に東京オリンピックを開催するために,緊急事態宣言の発出などを踏まえて御判断されたものと考えております。
 私は,今年3月に開催されました京都コングレスの開催の状況の中で,感染状況が時々刻々と世界的にも変わっておりましたので,実際に来日いただく国連職員の方々あるいは外国政府の規模,日本国内で現地に赴く政府職員の人数等につきまして,主催者であります国連,法務省,地元の自治体等におきまして,この感染状況などを踏まえまして開催直前のぎりぎりまで協議を重ねて,そして当日を迎えたことを思い出すわけであります。
 オリンピックと国際会議とではいろいろ違いはあろうかと思いますが,こうしたことを想像してみましても,東京オリンピックについては,感染状況も踏まえてぎりぎりまで協議を加えて,こうした判断に至ったものと考えております。
(以上)