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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年9月21日(火)

 今朝の閣議において,法務省案件はございませんでした。
 続いて,私から1件報告がございます。
 所有者不明土地問題の解決に向けて,本年4月に相続登記の申請の義務化等を内容とする民法・不動産登記法の改正法が成立しました。
 この改正法に盛り込まれた新制度の円滑な実施のためには,その内容について,幅広い国民の皆様の御理解をいただく必要があると考えております。
 この度,周知・広報活動の一環として,国民の皆様の関心度が特に高い相続登記の義務化を中心にQ&Aを作成し,本日,法務省ホームページに公表しましたので,是非,御覧いただきたいと思います。
 このQ&Aでは,相続登記の義務化の制度は令和6年からスタート予定であること,「相続人申告登記」という簡便な手続が新たに設けられることなど,相続登記に関する新制度を分かりやすく説明する内容となっており,制度の内容を知るきっかけにしていただきたいと考えております。
 このQ&Aでは,国民の皆様に親しみを持っていただけるよう,不動産登記推進イメージキャラクターの「トウキツネ」を新たに登場させています。
 また,Q&Aの最後に二次元コードがあり,そこから改正法の内容を紹介する法務省ホームページにリンクすることができますので,参照していただきたいと思います。
 今回のQ&Aの公表と併せて,法務省ホームページの内容も充実させ,新制度のポイントをビジュアルでより詳細に説明した資料も掲載しておりますので,是非,御覧いただければと思います。
 法務省としては,今後,この「トウキツネ」も活用しながら,新制度の内容やその意義について,広く国民の皆様に御理解をいただき,所有者不明土地の解消に向け,しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

相続登記の義務化に関する質疑について

【記者】
 相続登記の義務化について質問させていただきます。2024年をめどに施行される見込みですが,現時点で広報周知を始める意義や期待される効果について教えてください。

【大臣】
 相続登記の義務化の制度は令和6年からスタートする予定ですが,これまでは相続登記の申請が義務でなかったため,今般の改正でなぜ相続登記が義務化されたのかといった点について,丁寧に説明する必要があります。
 また,相続登記の義務化に伴って過料の罰則が設けられた一方で,遺産分割がまとまらない場合などのために,当面の義務履行の手段として,「相続人申告登記」が新設されるなどしており,新制度の全体像について分かりやすく説明することが極めて重要です。
 Q&Aは,国民の皆様の御質問にお答えするものであり,しっかりと御理解をいただけるよう,分かりやすさを重視し,また,身近な問題であるという意味での親しみやすさも新たな制度に対する御理解において重要であると考え,先ほど御紹介したとおり,「登記」と「キツネ」をかけた「トウキツネ」というイメージキャラクターを新たに作成して,本日,公開しました。
 このQ&Aでは,例えば,相続登記の義務化の制度は令和6年からスタートする予定ですが,相続登記の申請については制度スタートから3年間の猶予期間があること,また,不動産を相続した場合に,遺産分割がまとまらないようであれば,新たに設けられた簡便な「相続人申告登記」の手続をとることで義務を果たすことができることなどを説明しています。
 今後も広報を充実させていく予定ですが,様々な形で御質問をいただいておりますので,それも踏まえ,回答について,今あるものにプラスをしていきたいと思っています。
 国民の皆様に新制度を十分に御理解いただき,身近なこととして考えていただくきっかけとなるよう,積極的にメッセージを発信してまいります。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性の御遺族のお1人,お姉さんの方ですが,今後のことはまだ分からないのですが,今週中にスリランカに帰国されるということが昨晩報道されました。
 大臣は,スリランカ人女性の御遺族にも面会され,お悔やみの言葉をかけたりとか,8月10日には,結局死因は特定できなかったわけですが,調査報告書を交付した直後に,2時間に編集したビデオを御遺族に見ていただくような流れを一応作られました。
 しかし,御遺族が非常に強く希望されていた代理人弁護士同席の下での視聴は認められず,それから名古屋入管に対する情報開示請求,これも大臣等の裁量で書類を任意に開示できればよかったと思うのですが,結局,一般の情報開示という形で,1万5千枚ほとんど黒塗りでの情報開示しか出てこなかったということです。
 2時間のビデオについても,残りの50分については弁護士の立会いがないので見ることができないということで,結局そういった真相究明ができないという非常に苦しい思いのまま帰国せざるを得ないという状況になりました。
 もう1人の御遺族はまだ残られるわけですが,大臣は裁判になれば情報開示される可能性もあるというお立場だとは思うのですが,これに関しては,裁判は非常に時間がかかります。
 そういったことで,日本に来られて5か月経っても真相究明の糸口を御遺族に与えないということに対して,大臣の責任も非常に重いと思うのですが,それについて,大臣御自身の責任はどのように考えていらっしゃるのかということについて伺います。

【大臣】
 今回,名古屋入管において,こうした事案が発生したということを受け,私自身は,これまでも申し上げてきたところですが,しっかりと真相究明を図るということで,医師を含めた外部有識者の方々の御協力も得てチームを編成し,客観的・公正なしっかりとした調査を行うことをお願いしてきたところです。
 8月10日に公表した調査報告書は,大変に分厚いものですが,全てを翻訳する手続をとっているところです。
 真相究明というお話がありましたが,真相究明は,専らこの調査チームの役割であり,その調査結果をしっかりと御理解いただくために,翻訳も含めて対応している状況です。
 御遺族が苦しい思いを持っていらっしゃるであろうことから,私は,御遺族の方々と個人的にもお会いし,また,大臣としてもお会いしました。
 あらゆる情報について,情報公開法も含め,法律に基づいてしっかりと対応していくという意味で,公明・公正に対応するという方針で臨んでいるところです。
 しかし同時に,御遺族の方々の思いを感じますと,名古屋局で御説明をしたり,御遺族に限り居室を御覧いただいたりしましたが,亡くなられた方がそこにどういう状況でいらっしゃったのかについては,なかなか触れることができませんでしたので,御遺族に限り,ビデオ映像を御覧いただくこととしました。
 御遺族には,1回目の閲覧では用意した全てのビデオ映像を御覧いただけませんでしたので,そのときのお気持ちも考えて,様々な負担の解消,閲覧の際の心身の状況もケアできるような体制を整え,2回目の閲覧をお待ちしていたところです。
 9月10日の閲覧の際には,御遺族の負担に配慮した対応をしていくため,事前に臨床心理士の御助言を受けたのに加えて,別室で臨床心理士及び看護師に待機してもらう準備もしていました。
 このように,出入国在留管理庁においては,できる限りの準備をして,御遺族に御用意したビデオ映像を御覧いただきたいと思っていた次第です。
 先ほど申し上げたように,客観的・公正に調査していただくため,外部有識者の御協力を得て,その方々には,ビデオ映像の全部を見ていただいた上で判断をしていただき,御指摘があった課題や問題について,しっかり改善していくことが,私どもの重要な責務であると思っています。
 出入国在留管理庁長官に対しては,調査報告書で示された改善点を具体化し,組織の改革をしっかりと進めていくため,時間を置かず担当チームを立ち上げて取り組むように指示し,絶えずPDCAをしっかり回して改善をしていくという一般的なルールとともに,今回の事案に照らして特に重要なことについては迅速に対応するよう指示し,改革PTも既に動いている状況です。
 私自身,この作業にしっかりと着手していくこと,そして医療体制の強化,「出入国在留管理の使命と心得」の策定等について,全力で取り組んでいくよう,改めて強く指示しているところです。

【記者】
 大臣もビデオを御覧になったということですが,大臣は2時間に編集されたものを御覧になったのか,どこを御覧になったのかということと,この編集は一体誰の指示で誰が行ったのでしょうか。
 それと,ビデオの視聴に代理人を立ち会わせないということについては,これは大臣の指示でしょうか。代理人が立ち会ってはいけないというのは,情報公開法にはそういう法文はないと思うのですが,誰が代理人弁護士の立会いを認めないという指示を出したのか,この2点をお願いします。

【大臣】
 先ほど御説明しましたが,今回のビデオ映像については,収容施設内や被収容者等の具体的状況の記録であるため,情報公開請求に対しても,基本的に不開示情報として取り扱っています。
 調査報告書が公表された現在においてもなお,保安上の問題に加え,亡くなられた方の名誉・尊厳の観点からの問題もあるため,代理人弁護士の方も含めて,ビデオ映像を公開することは,適当ではないと考えています。
 また,映像データの提供については,御遺族であったとしても適当ではないと考えています。
 つまり,公開はしないということであり,ただ,重ねて申し上げますが,御遺族の方に対しては,どのような状況で亡くなられたのかということについての思いを私も感じていましたので,亡くなられた方の日常の御様子や,調査報告書で不十分・不適切な対応等があったと指摘されている場面などを御覧いただいたところです。
 今回,1回目の閲覧の際には御遺族にビデオ映像を御覧いただきましたが,2回目については,様々な状況の中で,いまだ実現していない状況です。
 私がどのようにビデオ映像を見たのか,それに対してどう判断したのかなどについては,お答えを差し控えさせていただきたいと思っています。

【記者】
 今の質問に関連しますが,スリランカ人女性の遺族が,今週急遽帰国することになりました。この点についての大臣の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
 来日された上で,お姉様の状況について,緊張感を持っていらっしゃった長い期間を考えますと,それでなくても異国の地でありますので,大変お疲れになっていらっしゃると拝察いたします。
 大臣室に来られたときにも,そういう思いを私は感じましたので,そのようなお気持ちの中で判断されたのではないかと思っております。
 また,お母様もお待ちでいらっしゃるということですので,もちろん今は携帯電話もありますが,直接いろいろなことをお話ししたいというお気持ちもあったのではないかと拝察しているところです。

被害者等通知制度を利用した私企業における防犯対策に関する質疑について

【記者】
 JR東日本が,駅構内などで重大な犯罪を犯して刑務所から出所した人や仮出所した人について,顔情報をデータベースに登録して,顔認識カメラを使って検知するという防犯対策を7月から実施しています。
 検知された場合には,手荷物検査が実施されるということもありまして,刑期を終えた人の監視にもつながるものですが,出所者の更生やプライバシーの問題上,どのような影響があるとお考えでしょうか。
 また,この登録は被害者等通知制度に基づいて提供された情報を基に行われることになっていますが,被害者等通知制度が民間企業などで,こうした利用の仕方につながることについて,制度の趣旨上問題はないのかや,懸念される点があれば教えてください。

【大臣】
 御指摘のような報道があったことは承知しています。
 私企業の犯罪防止に向けた具体的な取組について,法務大臣として個別に言及することは差し控えるべきと考えています。
 その上で,飽くまでも一般論として申し上げれば,御指摘のありました被害者等通知制度は,犯罪被害者の権利救済と再被害防止のため,被害者等の方々に,その御希望を踏まえ,捜査・公判についての情報や釈放年月日等について検察庁からお伝えしているものです。
 なお,提供する情報に顔写真等の画像情報は含まれていません。
 被害者等通知制度に基づいて提供する情報は,高度のプライバシー情報であることを踏まえ,再被害防止等の被害者等通知制度の目的の範囲内で適切に取り扱っていただくことを想定しているところです。
 制度そのものは,その趣旨に基づいてしっかりと運用してまいりたいと思っています。
(以上)