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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和3年12月10日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件として,「公証人手数料令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続いて,私から1件報告があります。
 12月9日(木曜日),ニューヨークの国連総会において,日本が主導して取りまとめた国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)構成国拡大決議案がコンセンサスにより採択されました。これにより,UNCITRAL構成国数が60か国から70か国に増えることとなりました。
 UNCITRALは,国際商取引法の調和と統一の促進のために設立された機関であり,国際商取引法分野での国際スタンダードの形成に,大きな役割を担っています。
 法務省は,外務省と連携し,2019年のUNCITRAL総会において,構成国の拡大を提案し,以来,議長役として,約2年間にわたり各国と協議・調整を続けてきました。
 本決議案の採択は,我が国のこれまでの努力が実を結び,各国からの幅広い支持を得たものであると受け止めています。
 構成国の拡大は,国際商取引法分野におけるルール形成について,より多様な意見の反映に資するものであり,我が国の一層積極的な参画の基盤強化にもつながるものと期待しています。
 今後とも,自由かつ公正なルール形成のため,積極的に貢献してまいります。

名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する質疑について

【記者】
 名古屋入管の施設でスリランカ人女性が亡くなった問題に関連してお尋ねします。
 入管庁の調査チームが8月に調査報告書をまとめ,その中で12項目の改善策が示され,大臣も7日の会見で,改善策を「着実に実行することが最優先の課題」とおっしゃいました。
 改善策には「使命と心得」の策定や医療体制の強化,監察指導部署の設置などが挙げられていますが,進捗の状況と進捗の現状に対する受け止め,今後の見通しについてお聞かせください。

【大臣】
 名古屋事案は,あってはならない事案であり,二度とこのようなことを起こさないという強い決意を持って臨んでいます。
 そのためには,調査報告書で示された改善策を着実に実現していくことが大事だと,先日も申し上げました。
 入管庁では,プロジェクトチームを中心として,調査報告書で示された12項目の改善策の着実な実施に向けて取り組んでいます。
 名古屋局における非常勤医師の増員,被収容者の健康状態の情報を共有する体制の構築,看守勤務体制の強化などを実施するとともに,名古屋に限らず,全官署において,体調不良の訴えがあった場合や医師による診察を受ける際における通訳の一層の活用,過去の死亡事案を踏まえた再発防止策の実施状況の再点検,それから,DV措置要領が作成されたのに活用されていなかったことから,これを周知徹底することなどにより,4項目については,既に実施済みとなっています。
 また,その他の8項目についても,適切な「使命と心得」を策定するための全職員の意見集約,外部有識者からの意見聴取を行っているほか,外部医療関係者等で構成された会議体での医療体制の強化についての活発な議論も進めていただいています。更に監察指導部署の早期設置に向けた準備など,その実現に向けて鋭意努力し,作業を続けているところです。
 このような取組を更に加速化させ,調査報告書に基づく12項目をしっかり実現していくため,引き続き尽力してまいります。

区分所有建物の建替え等の要件緩和に関する質疑について

【記者】
 法制審議会に関連してお伺いします。今朝の日経新聞の記事で,分譲マンションの建替えをする際の条件を緩和するために,建替えの際の所有者の賛同割合の引下げなどを柱にした区分所有法の改正を目指すとする内容を,来年度の法制審議会に諮問するという報道がありました。これについての検討状況を教えてください。

【大臣】
 法務省も参加する研究会において,区分所有法の見直しを含めた論点整理が進められていると承知しています。
 今後,老朽化したマンション等の区分所有建物が急増していくことが見込まれ,将来に向けて,これらの管理や建替え等の円滑化を図っていくことは,とても大事なことですから,関係省庁と連携しながら,しっかりと取り組む必要がある課題だと思っています。
 今,研究会において,多角的な検討が進められており,具体的な方策について,しっかりとした方向性が示されることを期待しています。

公証人手数料の引下げに関する質疑について

【記者】
 今朝閣議決定された公証人の手数料の引下げについてですけれど,起業しやすくするという狙いがあると思うのですが,改めて,どういった効果を期待されるのかということをお聞かせください。

【大臣】
 御指摘のように,手数料の金額を,法人,企業の規模に応じて引き下げるという方向での改正であり,起業の促進を期待したいということです。

【記者】
 今回,起業を促進するということが,経済の活性化につながるという狙いがあったと思うのですけれど,今回の定款の認証に係る手数料を,条件によっては引き下げるということに,法務省としてどういった狙いがあるのか,改めてお聞かせいただけますか。

【大臣】
 定款認証の手数料については,かねてから,負担軽減に関する意見や要望が寄せられていました。
 起業の促進のために,この負担を引き下げることは有用であるとの考えに基づき,今回,引下げを行ったわけです。
 これまで一律5万円だったものを,今後は,資本金額が100万円未満のものについては3万円に,100万円以上300万円未満のものは4万円に引き下げることにしたという内容です。
 これが,起業の促進につながることを期待しています。
(以上)