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法務大臣臨時記者会見の概要

令和3年12月21日(火)

 本日,髙根沢智明,小野川光紀,藤城康孝の3名について,死刑の執行をしました。
 いずれの事件も,誠に身勝手な理由から,被害者の尊い人命を奪うなどした極めて残忍な事案であり,命を奪われた被害者はもちろん,御遺族の方々にとっても,無念この上ない事件だと思います。
 そして,裁判において,十分な審理を経た上で,最終的に死刑判決が確定したものです。
 以上のような事実を踏まえ,法務大臣として,慎重な上にも慎重な検討を加えた上で,死刑の執行を命令した次第です。
 なお,この度の死刑の執行について,大臣である私から公表したいと考えていましたが,国会への出席を求められたことから,まずは事務方から事実を公表することとしたものです。私からは以上です。

死刑執行に関する質疑について

【記者】
 今回の3人は,死刑の確定から短い死刑囚でも6年以上経ってからの執行となりました。刑事訴訟法では6か月以内の執行を定めていますが,この点についての所感をお願いします。
 また,それと関連して,収容中の確定死刑囚107人の収容期間が平均で13年を超え,平均年齢は59歳で,今年だけでも高齢の死刑囚3人が病死しました。
 今後,死刑とどう向き合っていくかお考えをお聞かせください。

【大臣】
 まず,個々の死刑執行の判断に関わる事柄については,お答えを差し控えさせていただきます。
 御指摘のとおり,刑事訴訟法には,死刑の執行の命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない旨の規定がありますが,これは一般に訓示規定であると解されているところです。
 死刑というのは,言うまでもないことですが,人の命を絶つという極めて重大な刑罰ですから,その執行においては,慎重な態度で臨む必要があるものと考えています。
 それと同時に,法治国家においては,確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことも言うまでもないところです。
 特に,死刑の判決は,裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものですから,法務大臣としては,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものと考えています。

【記者】
 前回の死刑の執行からおよそ2年の期間が空きました。この時期に執行の御判断をされた理由と,今回の3名の執行を御判断された理由をそれぞれお願いします。

【大臣】
 個々の死刑執行の判断に関することについては,お答えを差し控えさせていただきます。

【記者】
 死刑執行は,去年はありませんでしたが,ほぼ毎年12月に行われているのですが,何か理由がありますか。

【大臣】
 一般論として申し上げますが,死刑執行に関しては,個々の事案について,関係資料,関係記録を十分に精査した上で,刑の執行停止,あるいは再審事由があるかないかということを慎重に検討し,それらの事由がないと認められた場合に,初めて死刑執行の命令を発することとしています。

【記者】
 もう1点お願いします。先ほども指摘されていましたが,判決確定の半年以内の死刑執行を法律で定めているのに,ほとんどが半年を超えているのですけれども,なぜ法律を改正しないのでしょうか。

【大臣】
 御指摘の刑事訴訟法の規定は,訓示規定と解されています。

【記者】
 先ほど質問の中で刑の執行停止や再審事由とおっしゃいましたが,例えば再審の請求中は執行しないということをおっしゃっているのでしょうか。再審について,死刑との関係を教えてください。

【大臣】
 死刑の執行は,極めて慎重に向き合うべき話ですから,個々の事案につき,関係の記録をまず十分に精査します。
 そして,刑の執行停止,あるいは再審事由があるかどうかなどを慎重に検討します。その上で,それらの事由がないと認めた場合に,初めて死刑執行の命令を発することとしています。

【記者】
 重ねて確認ですが,再審の請求というのは,死刑の執行に何か影響を与えているのでしょうか。

【大臣】
 再審請求は,刑事訴訟法上,それ自体をもって,執行停止を命ずる事由には当たらないとされています。

【記者】
 諸外国でも死刑を廃止する国も増えてきております。以前,就任会見でも伺いましたが,改めて大臣の死刑制度に対するお考えをお聞かせください。

【大臣】
 死刑制度の存廃ということについては,基本的に各国において,国民感情,犯罪情勢,刑事政策の在り方などを踏まえて,独自に決定すべき問題だと考えています。

【記者】
 差し支えなければ,今回死刑の御決断をされたときの御自身の心境について教えてください。

【大臣】
 署名をしたのは12月17日です。
 コメントは以上とさせていただきます。

【記者】
 先ほど死刑制度の存廃については,国民感情とか刑事政策の在り方も踏まえてということですが,日本の国民感情について,大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

【大臣】
 今現在,国民世論の多数が,極めて悪質凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えていると認識しています。
 凶悪犯罪が,いまだに後を絶たない状況を鑑みたときに,やはり罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては,死刑を科することもやむを得ないと思っています。
 したがって,私は死刑を廃止することは適当でないと考えています。

【記者】
 今回の死刑が二つの事件ということですが,例えば他に考慮した事件などはありますか。例えば複数の事件の中からこの2件を選んだというのはありますか。

【大臣】
 個々の死刑執行の判断に関わることについては,お答えを差し控えます。

【記者】
 先月,死刑囚2人が,死刑執行の本人への告知が当日直前に行われるという現在の運用は違法だと主張して,国に対して訴えを起こしました。
 それに対して,当時法務省は適切に対応していきたいという回答をしていらっしゃいますが,改めて死刑が執行されたことに合わせ,大臣自身は訴えについてどのように対応していきたいというお考えでしょうか。

【大臣】
 本人に対する告知は,執行の当日,執行に先立って行うこととしています。これは,それより以前に告知をすることによって,本人の心情に著しく害を及ぼすおそれを懸念しているからです。

【記者】
 死刑囚の心情に配慮してということですが,事前に告知することに対する影響について,今後の対応はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 訴訟については,国として適切に対応していくわけですが,お尋ねの告知の時期をどうするかについては,先ほど申し上げたとおり,執行日の当日に告知をするという方針に変わりはありません。

【記者】
 前に出た質問と若干重なるのですが,大臣就任後初の執行となりました。御所感をお聞かせ願えますでしょうか。

【大臣】
 死刑は,人の命を絶つという極めて重大な刑罰ですから,慎重な態度を持って臨む必要があると考えています。
 それと同時に,法治国家ですので,確定した判決の執行は,厳正に行わなければならないと考えています。
 特に,死刑の判決に関しては,裁判所が慎重な審理を尽くして,その上で言い渡すわけですから,法務大臣として,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めに従って,慎重かつ厳正に対処しなければならないと考えています。

【記者】
 死刑制度は,社会にとって何か良い点があるのでしょうか。何かメリットがあるのでしょうか。社会のために,国民にとって,そういった重大な刑罰は何を意味するのでしょうか。

【大臣】
 先ほどもお答えしましたが,国民世論の多数が,死刑の存在についてはやむを得ないものと考えている現状があります。
 また同時に,凶悪犯罪がいまだ絶えないという現状がありますから,こういう状況を考えたときに,やはり,罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては,死刑を科することもやむを得ないと考えています。

【記者】
 海外からの批判に対する答えは何かありますか。

【大臣】
 死刑制度の存廃は,刑事司法制度の根幹に関わる問題です。刑事司法制度の在り方については,基本的に各国において,国民感情,犯罪情勢,それから刑事政策の在り方等を踏まえ,独自に決定するべき問題だと考えています。
(以上)