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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年2月1日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案」及び「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。

出入国在留管理行政に関する質疑について

【記者】
 長崎県大村市の大村入国管理センターに収容されているネパール人男性の健康状態が悪化していることを受けて、1月28日に立憲民主党の議員らが同センターを訪れ、適切な医療を行うよう申し入れを行いました。
 出入国在留管理庁は、12月28日付けで全国の入国管理センター宛てに、医師の所見等をもとに体調不良者と認めた場合、本庁へ連絡した上で仮放免の許否等を判断する旨の通達を出しましたが、体調不良者を巡る入管庁側の対応が野党などから問題視されていることについての受け止めをお願いします。

【大臣】
 一般論として申し上げれば、体調不良を訴える被収容者に対しては、訴えの内容や症状等に応じて必要な診療・治療を適時・適切に受けさせているものと承知しています。
 なお、プライバシー等の問題があるため、詳細な事実関係についての言及は差し控えますが、御指摘の被収容者についても、庁内外の複数の医師の診察を適時に受けさせた上、その診察結果に従った医療的対応を行っているとのことです。
 その上で、名古屋事案を踏まえた改善策の一つとして、昨年12月28日、入管庁は「体調不良者等に係る仮放免運用指針」を策定し、発出したところです。
 この運用指針では、収容継続によって健康状態を大きく害するおそれがある旨の医師の所見が付された被収容者については、原則として仮放免を許可することなどを定めています。
 入管庁においては、現在、医師の所見を踏まえて仮放免すべき者については仮放免するなど、当該運用指針に基づく運用がなされているものと承知しています。

【記者】
 今の質問の関連ですが、大村入管のネパール人男性について、元々2年間以上ほとんど寝たきり状態の方で、根本的な治療として手術が必要だということで、手術を希望し、医師もそのように判断されていたと思うのですが、結局、リハビリ施設に移動されたという話があります。病院に入院する、リハビリ施設に行くといったようなことは、一体どなたが判断されたのでしょうか。
 どこの施設に移るのかという判断、仮放免という形はとてもできる体調ではなかったので、これは治療が必要だということで弁護士が人権の申立てもされたのですけれども、結果として行った先が、手術ができる病院ではなく、リハビリ施設だったということのようなのですが、この件ついて、大臣は情報を受けていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】
 個別の案件については、お答えを差し控えるのが通常ですが、御指摘の件については、様々な報道がなされている状況もあり、正確にお伝えしたいという意味で、この場で触れさせていただきますが、庁内外の複数の医師の診察を適時に受けさせた上で、その診察結果に従った医療的対応をきちんと行っています。
 プライバシーに関わることでもあり、つぶさに申し上げることは控えますが、そのようにきちんと対応しているということは申し上げておきます。

【記者】
 前回の記者会見で、入国者収容所等視察委員会について、大臣は、「入管庁とは一線を画した第三者機関で、専門性・第三者性は十分に担保されている。」、「視察委員会の運営は同委員会によって決定されている。」というふうにお答えになりました。
 しかし、実際の視察委員会の運営は、入管庁が作成した運営要領に細かく定められていて、視察の権限の範囲も、視察委員会の独立性や自主性も制限されていて、委員そのものの選考基準やどういうふうに決まったかという過程も不透明で、予算も非常に少ないと、2020年の日弁連の意見書では指摘されています。
 また、委員の人数もおそらく東西の視察委員会で、それぞれ10人ずつしかおらず、年に数回の予定どおりの視察しかできない状態です。
 入管庁が公表している「視察委員会の活動状況について」という報告文書もあるのですが、今までは本当に僅か数枚程度で、ごく簡単な概要にしかすぎません。
 これでは入管収容の実態も仮放免許可の運用実態も、当然視察委員会の活動範囲に入っていると思うのですが、ほとんど分からない状態です。
 この意見書というのは、日弁連が独自に作ったものというより、国連の人権条約機関からも懸念されていたり、日本政府に是正勧告が出されている内容が多数含まれています。日弁連の意見書は、国連人権勧告や、いわゆるパリ原則に基づく国内人権機関といったものの形を視察委員会が取るようにという指摘になっています。
 そういったことなのですが、視察委員会が今の状態のままで良いと大臣はお考えなのか、そもそも日弁連の意見書を大臣はお読みになったのかどうかということもお答えください。

【大臣】
 視察委員会は、学識経験者、法曹関係者、医療関係者等により構成されており、その運営は同委員会によって決定されています。
 視察委員会は、独立した立場で被収容者から直接意見を聞くことも可能です。また、各収容施設に設置されている提案箱を通じて、視察委員が直接被収容者の意見等を把握できるなど、入管庁とは一線を画した第三者機関であり、専門性・第三者性は十分に担保されていると認識しています。
 日弁連の意見書を読んでいるかという御質問についてですが、意見書に限らず、入管行政については、様々な御意見・御指摘があることは十分承知しており、様々な御意見に耳を傾け、実情をしっかりと踏まえた上で、入管行政の在り方について、あるべき施策が適正に実施されるよう、不断の努力を続けているところです。
 なお、収容の内容について御質問・御指摘をいただいていますが、そもそもの問題を考えたとき、送還忌避・長期収容問題を抜本的に解消することが非常に大きなポイントではないかと考えています。従来申し上げていますとおり、この問題の解消を図るべく、法整備を含めて、しっかりとした対策をしていかなければならないと考えています。

【記者】
 今の質問の最後にパリ原則のことを言ったのですが、国内人権機関についてのパリ原則は、法務省のホームページにも大きく取り上げられています。こういった独立性の第三者機関というのはどういうものかといったことについて、法務省内に、入管庁、刑事施設といろいろありますけれども、そういった拘禁施設の在り方について、国連からもいろいろな勧告が出ているわけですが、そういうことをしっかりと議論する場というのは、本当にあるのでしょうか。
 送還忌避者ということを殊更に強調されているのですけれども、人権機関の在り方について、視察委員会の在り方について、そもそもどういうものであるべきかという議論はされているのか、大臣はどうお考えなのかということについてお伺いします。

【大臣】
 入管行政の在り方について、各方面の方から様々な御意見・御指摘があるということは、よく承知しています。
 そういう御意見・御指摘を真摯に受け止めて、しっかりと現状を把握しながら、入管行政を行うべきという姿勢です。
 人権救済制度の在り方については、これまでにも議論がなされており、その状況を踏まえて不断に検討をしています。これもいつも申し上げているとおりです。

【記者】
 国連からの人権勧告やパリ原則といったものも、いろいろな御意見の一つなのでしょうか。これは大原則ではないでしょうか。それについての大臣の考えを聞かせてください。

【大臣】
 様々な御意見を伺っているところです。
(以上)