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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年2月10日(木)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から2件報告があります。
 1件目は、民事・家事関係裁判手続のIT化についてです。
 現在、法制審議会では、民事訴訟手続のIT化につき調査審議がされておりますが、民事訴訟手続以外にも、民事執行、民事保全、倒産及び家事事件の手続などといった重要な民事・家事関係の裁判手続があります。
 これらの民事・家事関係の裁判手続についてもIT化を進めることは、重要な課題であり、令和3年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」でも、令和5年の通常国会に必要な法案を提出することとされています。
 このような状況を踏まえ、今月14日に、民事・家事関係の裁判手続のIT化に関し、法制審議会に諮問することとしました。
 2件目は、船荷証券の電子化についてです。
 現行の商法では、船荷証券は書面により作成されることとされ、その電子化は想定されていません。
 しかし、近年、商取引において電子的な手段の利用が急速に拡大していることに鑑みますと、船荷証券についても電子化を可能にする法制を整備することは喫緊の課題であると考えています。
 令和3年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」においても、国際的な動向等も踏まえ、船荷証券の電子化に向けた制度設計を含めた調査審議を進めることとされています。
 そこで、法改正に向けた具体的な検討を行っていただくため、この度、船荷証券の電子化等について、法制審議会に諮問することとしました。
 いずれにつきましても、法制審議会において、充実した調査審議が行われることを期待しています。

司法外交に関する質疑について

【記者】
 法務省は昨年京都コングレスを開催するなど、司法外交に力を入れています。8日にはラーム・エマニュエル次期駐日アメリカ大使が古川法相を訪れ意見交換を行っていますが、現状の司法外交の進捗状況と成果について教えてください。

【大臣】
 司法外交は大変重要な案件です。8日のエマニュエル次期大使との意見交換でも、司法外交の取組について、我が国のリーダーシップを歓迎するとの心強い発言をいただきました。
 司法外交の推進は、ルールに基づく国際秩序の維持・強化、国際社会の平和と安全の確立に寄与する重要な取組と考えており、京都コングレスで採択された京都宣言の具体化を始めとする取組を通じて、これを更に発展させていきたいと考えています。
 例えば、法務省では、長年にわたってアジア諸国を中心に、法制度整備支援を実施し、法の支配の定着に力を尽くしてきました。
 2023年には、日ASEAN友好50周年を迎えます。このタイミングに、ASEAN各国の法務大臣との会合を主催すべく、準備を進めており、これを機に、法制度整備支援を更に発展させ、自由で開かれたインド太平洋の実現に貢献していきたいと考えています。
 また、紛争解決のグローバルスタンダードである国際仲裁の活性化を推進してきたところですが、今後は、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)などの国際機関とも連携を強化して、ルールに基づく紛争解決を国際社会に浸透させるとともに、我が国企業の海外進出、そして経済活性化にも一層貢献していきたいと考えています。

法制審議会への諮問に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言に、船荷証券の電子化と民事執行・倒産手続などのIT化に関して法制審議会に諮問するという発言がありました。
 改めて諮問の意義とそれぞれの諮問内容についての具体的な検討項目を説明いただければと思います。

【大臣】
 船荷証券の電子化は、輸出入大国である我が国にとって、国際的商取引の一層の効率化、円滑化に資するという重要な意義があるものと考えています。
 具体的な検討項目については、法制審議会において御議論いただくべきものと考えていますが、船荷証券を電子化する際の制度設計などについて、幅広く検討がなされることを期待しています。
 民事・家事関係の裁判手続のIT化は、国民の司法アクセスを向上させ、ひいては国民に身近で頼りがいのある司法を実現することにもつながるものであり、重要な課題であると認識しています。
 今回の諮問により、民事訴訟手続以外の民事・家事関係の裁判手続についても、IT化に向けた法制度の見直しに関する具体的な検討が進むことを期待しています。
 具体的な検討項目については、法制審議会で御議論いただくべきものと考えていますが、例えば、申立書等のオンライン提出や、事件記録の電子化、ITを活用した期日を実施することなどについて、先行する民事訴訟のIT化に関する検討の成果を踏まえつつ、それぞれの手続の特性を踏まえ、幅広い検討がされることを期待しています。
(以上)