検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年2月15日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、外弁法に関する政令2件が閣議決定されました。
 続いて、私から4件報告があります。
 1件目は、法制審議会の答申についてです。
 昨日、法制審議会の総会が開催され、4つの答申を受けました。
 まず、民事訴訟手続について、訴えの提起から判決までを全面的にIT化すること等を内容とする答申をいただきました。
 また、今回の答申外の事項ではありますが、離婚訴訟における和解や離婚調停においてウェブ会議による参加で離婚の成立を可能とするための法改正を併せて行うことも検討しています。
 民事訴訟以外の民事・家事関係の裁判手続のIT化に向けては、別途、法制審議会に諮問したところですが、ウェブ会議による離婚成立などについては、これまでの議論状況等も踏まえ、早期に法改正を実現することが望ましいものと考えています。
 法務省としては、速やかに国会に法律案を提出すべく、引き続き準備を進めてまいります。
 次に、民法等の改正について、親子法制の見直しを内容とする答申をいただきました。
 答申に盛り込まれた無戸籍者問題の解消を目的とする民法の嫡出推定制度に関する規定等の見直しや、児童虐待を防止する観点からの親権者の懲戒権に関する規定の見直しは、いずれも国民生活における重要な課題に対応するものと考えています。
 次に、調停に関しては、裁判所の決定により、裁判外の調停で成立した和解合意に執行力を付与する制度を創設することなどを内容とする答申をいただきました。
 答申の内容は、紛争解決に関する最新の国際水準に対応するとともに、国内の重要課題である養育費の履行確保を含め、調停の活性化にも資するものと認識しています。
 民法等の改正及び調停に関する答申についても、それぞれ所要の法律案を、できる限り早期に国会に提出できるよう準備を進めてまいります。
 さらに、刑事法制関係として、組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング罪の法定刑を引き上げることを内容とする答申をいただきました。
 今後、答申の内容を踏まえ、内閣官房をはじめとする関係省庁と連携しながら、できる限り早期に国会に提出できるよう、準備を進めてまいります。
 2件目は、商業登記規則等の一部を改正する省令案についてです。
 明日16日から、商業登記規則等の一部を改正する省令案について、パブリックコメントを開始します。
 会社の基本的な情報については、商業登記によって誰でも確認できる必要があります。しかし、その中に会社代表者等の住所が含まれていることについては、個人情報保護等の観点から問題があるのではないかとの指摘がされていました。
 この省令案は、平成31年の法制審の会社法制部会における附帯決議に基づいて、その解決を図るものです。
 まず、書面で発行される登記事項証明書においては、DV等の犯罪被害を受けるおそれがあるとの会社代表者等からの申出があった場合に、その住所を表示しない措置を講じます。
 また、インターネット上で閲覧可能な登記情報提供サービスにおいては、会社代表者等の住所を一律に表示しないこととしています。
 この省令案は、本年9月の施行を予定しています。
 幅広く御意見をお寄せいただいた上で、商業登記制度が、国民の社会経済生活の基盤としての役割をより適切に果たせるよう、努めてまいりたいと考えています。
 3件目は、特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会についてです。
 先週10日、この勉強会において、田中明彦政策研究大学院大学学長からお話を伺いました。
 田中学長からは、外国人材の受入れ・共生の在り方を考えるに当たっては、高齢化が進む日本社会の未来像、世界の中の日本、技能実習制度や留学生政策における制度の不備・首尾一貫性といった視点が必要であるとの御高説を賜りました。
 その後の意見交換を含め、外国人材の受入れ・共生の在り方について大局的な見地から貴重なお話を伺うことができ、大変有意義な勉強会であったと考えています。
 4件目は、全国中学生人権作文コンテストについてです。
 本日、「第40回全国中学生人権作文コンテスト」の特設サイトを開設しました。
 この特設サイトには、入賞作品の朗読動画や、高円宮妃殿下から賜ったお言葉、過去の入賞者であり、昨年の東京オリンピックで銀メダルを獲得された、女子バスケットボール日本代表の馬瓜エブリンさんのメッセージ動画などを掲載しています。
 この特設サイトを通じて、多くの方々に、互いの違いを認め合うことのできる共生社会の大切さを実感していただけるのではないかと思います。
 是非、多くの方に特設サイトを訪れていただきたいと思います。
 報道機関の皆様におかれては、積極的な周知・広報への御協力をお願いします。

法制審議会の答申に関する質疑について

【記者】
 古川大臣は昨日2月14日、法制審議会から嫡出推定の見直しや民事裁判の手続を全面IT化することなどを盛り込んだ改正要綱について答申を受けました。
 この点についての改めての意義と、法制審議会から答申を受けながら、この中の一部は開会中の通常国会への法案提出が見送られていますが、こうした重要法案の提出が見送られている現状についての受け止めを教えてください。

【大臣】
 答申の意義については、先ほど申し上げたとおりであり、いずれの答申も時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めています。
 民事訴訟手続のIT化に関する答申に関しては、今国会に法律案を提出する予定です。
 また、他の答申についても、先ほど申し上げたように、いずれも重要な課題を解決するためのものであり、できる限り早い時期に、改正法案を国会に提出したいと考えています。

商業登記規則等の一部を改正する省令案に関する質疑について

【記者】
 会社の代表者の住所をネット経由で一律非開示、DVなどの被害者については申出を経て非開示にできる制度改正について発言がありました。この点について1点お伺いします。
 本件については、特にネット経由の一律非開示について、信用調査の実務などに関して影響が大きいと、法制審の議論の段階から指摘されていました。
 この点について、大臣として、影響についてどのように捉えているかを教えていただければと思います。

【大臣】
 登記情報提供サービスにおいて、会社の代表者等の住所を確認することができなくなることから、同サービスの利用者に一定の影響があるものと考えています。
 しかし、この改正は、そのような影響を考慮しつつ、個人情報保護の必要性という観点から法制審議会で議論が重ねられた上で、必要な見直しを行うものであることを御理解いただきたいと思います。
 なお、改正後も、登記事項証明書を取得することにより、会社の代表者等の住所を確認することは原則として可能です。

水際対策に関する質疑について

【記者】
 水際対策についてお伺いします。総理は先週、水際対策の骨格の緩和を検討するという方針を示されました。大臣として、経済界からの要望も強い中で、どのように緩和を進めていったら良いとお考えか教えてください。

【大臣】
 総理も述べているとおり、基本的な考え方として、蓄積されてきたオミクロン株の特性についての知見、国内外の感染状況の変化、海外の水際対策の有り様などを総合的に勘案し、新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で、緩和に向けた検討を進めているところです。
 引き続き、政府全体として必要かつ適切な対応を行い、法務省もその一員として努力していきたいと思っています。

「出入国在留管理官署の収容施設における医療体制の強化に関する有識者会議」に関する質疑について

【記者】
 入管庁の有識者会議が、収容施設の医療体制を強化するため、外部医療機関との連携強化や医師の兼業を認める法整備などを求める報告書案をまとめたと、2月9日にNHKが報道しました。
 この有識者会議ですが、入管収容施設の医療体制の強化というのは、名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性の調査報告書の12項目の改善策の一つです。今後この報告書は、いつ頃をめどに、どのような形で公表されるのかということが1点。
 また、入管庁のホームページでは、この有識者会議は2月3日までに計5回行われており、3回目までは簡潔な議事要旨が掲載されているのですが、議事内容はほとんど書かれていません。この議事内容というのは、調査報告書に基づいて法務省入管庁が提案したものなのか、参加した有識者自身が検討した議事内容になっているのか、まずこの2点について、よろしくお願いいたします。

【大臣】
 御指摘の有識者会議は、調査報告書で示された改善策の一つである「収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化」について、その具体的な方策を検討することを目的として、医療や出入国在留管理行政に関する専門的知見を有する5人の方々に委員となっていただいています。
 会議では、収容施設の実情や調査報告書で示された改善すべき点を十分に踏まえ、専門的見地から幅広く議論を行っていただき、現在、提言の取りまとめに向けた調整が進められているものと承知しています。

【記者】
 報告書をまとめたということをNHKの報道で知ったのですけれども、この報告書をいつ頃にまとめるのかという点と、名古屋入管のケースでは最終報告書を公開されたわけですけれども、この有識者会議の報告書というのは、先ほど言ったように議事内容が全然書いていないので、詳細について報告や公開をされるのかどうかということを伺います。

【大臣】
 この有識者会議は、外部の有識者の方々において検討がなされているものであるため、私は、提言の取りまとめ時期・内容について、お答えする立場にはありません。
 ただ、入管収容施設における医療体制の強化は喫緊の課題であり、提言をいただいたならば、その内容を速やかに公表するとともに、必要な対応を早急に実現していく考えです。

【記者】
 内容については有識者の方に任せているという御回答だと思うのですが、この有識者会議の座長は国際人権法学者の坂元茂樹先生です。
 そうしますと、国連からも、例えば恣意的拘禁のワーキンググループが入管の今の収容制度の在り方そのものが国際法違反であると指摘した意見もありますし、基本的な被収容者の患者としての人権、医療の受診に関するインフォームドコンセントの保障ですとか、診療情報を本人や代理人に開示するといったようなことが現在は全くされていません。
 そういったことが今までの入管医療の欠陥としてあるわけですが、座長が国際人権法学者の先生であるということも含めて、そういった患者、入管被収容者の人権に配慮するようなことをしっかり討論してくれといった要望というのは、入管庁の方から出して、有識者会議の中できちんと議論はされているのでしょうか。
 これは被収容者の基本的な人権の根幹に関わる部分だと思うので、是非大臣の考えをお聞かせください。

【大臣】
 何度も申し上げますけれども、外部有識者の方々にお願いをして検討していただいているものです。その内容について、私は具体的にコメントする立場にありません。
(以上)