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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年3月15日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件として、「法務省組織令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、我が国への避難を希望するウクライナの方々への対応についてです。
 法務省では、これまでも入管庁が中心となって、内閣官房、外務省等の関係省庁と連携して対応の検討を行ってきたところであり、岸田総理が受入れを表明された今月(3月)2日以降13日までに47人のウクライナ避難民が我が国に入国しています。
 受入れに当たっては、避難民の方々の要望も踏まえ、一人ひとりに寄り添った幅広い支援を政府全体として提供していくことが重要です。
 法務省では、本日、省内において適切に情報を共有し、必要な支援を推進するため、法務事務次官を本部長とする対策本部を設置することとしました。
 対策本部の下、関係部局が一体となり、引き続き積極的な対応に取り組んでいく所存です。
 次に、ウクライナ避難民の在留資格について申し上げます。
 入国後、我が国での就労を希望する方々の在留資格について、先週(3月11日)面会したコルスンスキー駐日ウクライナ大使からも御要望があり、入管庁では、そうした希望に適切に対応するため、個別事情を考慮しつつ、就労可能な在留資格「特定活動」(1年)での滞在を認めることとしました。
 法務省としては、引き続き、ウクライナ避難民の置かれている状況に十分配慮し、在留資格についても柔軟に対応してまいります。
 次に、我が国に退避するウクライナの方々について、既に複数の自治体や企業から受入れの協力が表明されており、こうした協力をいただきながら、受入れに向けた取組をしっかりと進めていくことが重要と考えています。
 そこで、入管庁では、ウクライナから日本への避難民に対して住居や就労機会の提供等の支援を検討されている自治体や企業等からの情報を一元的に把握するための窓口を設置することとし、入管庁ホームページに掲載しました。
 是非、多くの支援・協力の声をお寄せいただけるよう、期待しています。
 2件目は、オンラインによる在留申請手続の対象範囲の拡大についてです。
 明日16日、オンラインによる在留申請手続の対象範囲を拡大するための省令が施行される予定です。
 入管庁では、在留手続の円滑化や効率化を図るため、令和元年7月より、受入れ企業の職員等を対象に、オンラインによる在留申請手続を開始し、その後、対象となる手続や在留資格を順次拡大してまいりました。
 今回の改正では、マイナンバーカードを活用して本人確認を行うことにより、外国人本人から在留資格に関するオンライン申請が可能となるほか、申請できる対象を拡大し、「日本人の配偶者等」の在留資格などを加えることとしています。
 法務省としては、オンライン申請を積極的に活用していただけるよう、更なる利便性の向上や運用の改善に努めてまいります。
 3件目は、「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」における報告書の取りまとめについてです。
 「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」においては、昨年(令和3年)3月から約1年間にわたり、活発な御議論が行われてきましたが、本日(3月15日)午後に開催される第11回会議で報告書の取りまとめが行われる運びになっているものと聞いています。
 座長の小木曽教授を始めとして、委員の皆様方には、大変充実した御議論をいただき、心から感謝申し上げます。
 刑事手続における情報通信技術の活用は、手続に関与する国民の負担軽減や、円滑・迅速な手続の実現に資するものであると考えています。
 もとより、刑事手続で取り扱う情報の性質に鑑み、情報セキュリティ対策に万全を期すことが重要です。
 取りまとめの報告書を頂きましたら、検討会における検討結果を真摯に受け止め、スピード感を持って、更なる検討を進めてまいります。

ウクライナからの避難民への対応等に関する質疑について

【記者】
 ウクライナ避難民への支援についてお尋ねします。国内の企業や自治体から避難民を支援したいという声が相次いで上がっています。冒頭でも対策本部を設置する旨の御発言がありましたが、避難民の受入れやその後の支援について、法務省として具体的に今後どのように取り組まれるおつもりか、大臣のお考えをお尋ねします。

【大臣】
 我が国は、ウクライナとの更なる連帯を示すため、ウクライナから第三国に避難された方々の我が国への受入れを進めていく方針です。
 ウクライナからの避難民を受け入れるに当たって、受入れ規模、避難民に対する支援の在り方等について、政府全体としての対応を至急検討しているところです。
 法務省としても、関係部局が一体となって積極的な対応に取り組んでいくため、先ほど申し上げたとおり、省内に対策本部を設置することとしました。
 具体的な支援の在り方について、避難民を受け入れるに当たっては、当面の滞在先の確保や生活用品の給付、さらには、日本語教育、就労、修学、定住支援など、何よりも我が国への避難民の方々の御要望を踏まえて具体的な支援内容を検討していくことが肝要だと考えています。
 そのために、先ほど御紹介しました入管庁のホームページに自治体や企業から寄せられる支援情報も十分に活用し、避難民の方々の期待に応えられる受入れ支援を実施していきたいと考えています。

【記者】
 閣議の前に大臣は首相と面会をされておりますが、この中でどのようなやり取りがなされたのか、ウクライナ避難民に関する検討が進んだのか、この点についてお伺いしたいと思います。

【大臣】
 閣議前に、ウクライナからの避難民の日本への受入れに関して、現状と今後の対応について意見交換を行いました。
 総理からは、しっかり体制を作るように指示がありました。

【記者】
 冒頭発言にあったウクライナからの避難民を受け入れるに当たって法務省内に対策本部を設置するという話ですけれども、これまで内閣官房が中心となって、政府として避難民の受入れを進めていくという話をされていたかと思うのですが、方針を変えて法務省が中心となってやっていくというのではなく、政府、内閣官房が中心となってやっていくものとは別のものとして作られているのでしょうか。

【大臣】
 飽くまでも、避難民の受入れに関しては、政府全体として、政府一体として臨むことになります。
 内閣官房、外務省等の関係省庁と連携して行ってまいります。その中に法務省の所管があり、法務省が避難民の受入れに向けて存分に活動ができるようにするため、省内に対策本部を設けて、法務省が一体となって対策に取り組むことができるようにするという、飽くまでも省内の話です。
 岸田総理のリーダーシップの下で、政府全体として一丸となって取り組む方針と、全く矛盾するものではありません。

【記者】
 総理からの指示についてですが、避難民の受入れは、いわゆる知人や家族のみならず、人道的な配慮で受け入れる避難民の方々を含めた体制作りの指示があったということでしょうか。

【大臣】
 そのとおりです。

【記者】
 冒頭の発言に関して、法務省の役割として、まず1年間の特定活動というお話でしたが、いわゆる難民認定制度を通さずに、特定活動というのは定住者ということなのでしょうか。それともウクライナ難民に限っての何か特定の在留資格ということでしょうか。
 また、難民認定の手続について、インドシナ難民のときも、いわゆる難民認定という形ではなく、スクリーニングのような形で受け入れて、その後、難民申請する人もいたのですけれども、難民認定制度との兼ね合いについて、何か決まったことがあれば教えてください。

【大臣】
 受入れに関しては、今回避難して来られるウクライナ国籍を有する方々を含めて、外国人から難民認定の申請があった場合には、これまでどおり、難民条約に照らして、その適否を適切に判断することになります。
 そして、今回のウクライナの方は、難民認定されないという場合であっても、人道的な観点から、人道的な配慮が必要と認められる場合に在留を認めるという方針です。
 具体的な在留資格については、まずは短期滞在ということですが、その後、御本人の御希望等に応じて、適宜、それに見合った在留資格を付与することになります。

【記者】
 この数年間、シリア、ミャンマー、アフガニスタン、そして今回のウクライナからの希望者ということで緊急の受入対策が続いているのですが、一方で、他の国・地域から、紛争や深刻な人権侵害を逃れて来日して、難民申請しても不認定となり、入管に長期収容されたり、仮放免が長期化して生活に苦しむ難民申請者が送還忌避者という扱いをされています。
 この間、相次いで避難民の受入対策がうまくいったり、うまくいかなかったりといろいろあるとは思うのですが、試行錯誤しているという状況にあります。そういったことで、現行の難民認定制度の運用を大幅に拡張、改善して、今の緊急事態に対応するということだと思うのですけれども、現行の入管庁による難民認定制度と補完的保護の在り方を見直して、新たな枠組での受入制度を検討する必要性を大臣は考えていらっしゃるのかどうか。あるいは、難民認定制度は今までのままでいいと、緊急的な受入れがあるときにまた対応すればいいというお考えなのか。その辺りの基本的な考えがあれば、お聞かせください。

【大臣】
 ウクライナ国籍を有する外国人を含め、我が国において、難民認定申請がなされた場合には、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定することとなります。
 また、難民条約上の難民とは認められない場合であっても、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる者については、我が国への在留を認めることとなります。
 それから、先の通常国会に提出した入管法改正案では、補完的保護対象者の認定制度を創設することを目指していました。残念ながら、この改正案は成立に至らなかったわけですが、真に庇護を必要とする者を確実に保護するため、この補完的保護対象者の認定制度は必要であるという思いを強くしています。

【記者】
 2014年だったと思いますが、当時は上川法務大臣でしたが、その時に難民認定制度の在り方についての検討会議のようなものが、出入国政策管理懇談会の中に提言を出しました。ただ、その中で実施されていない項目が非常に多いのですけれども、大臣はこの提言は読まれましたでしょうか。今後、難民認定の在り方を見直す、そういう部分を参考にしてもう1回検討するようなことは考えていらっしゃるのかどうかということをお願いします。

【大臣】
 難民認定の在り方については、難民認定に限らず、出入国在留管理行政の中の様々な論点と合わせて、一体的に検討を進めています。具体的なことは申し上げませんが、あらゆることについて、不断の見直しは大事であるという考えに変わりはありません。
(以上)