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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年4月12日(火)

 はじめに、今般、私の新型コロナウイルス感染により、国会対応を始め、種々の公務日程等に影響が生じたことについて、お詫びを申し上げます。
 4月3日(日)から、在宅療養してきましたが、体調、検査結果とも問題なく、昨日(4月11日(月))より、職務復帰しました。
 改めて、職務に邁進してまいります。
 続いて、私から2件報告がございます。
 1件目は、日本司法支援センター(法テラス)の取組についてです。
 法テラスの法律相談援助では、昨今のコロナ禍における特別な対応として電話・オンラインによる法律相談を実施してきました。
 これに加え、デジタル化社会の進展へ対応するとともに、司法アクセスの更なる拡充を図る観点から、本月1日から、高齢者・障害者、DVやストーカーなどの被害者、相談場所まで赴くことが困難な方などについては、コロナ禍収束後も恒久的に電話・オンラインによる法律相談の対象とすることとしました。
 また、犯罪被害を受けた方々に支援制度や相談窓口に関する情報を提供する法テラスの犯罪被害者支援ダイヤルについて、本月1日から、利用者の経済的負担の軽減を図るため、通話料を無料化しました。
 法務省としては、今後も、法テラスと緊密な連携を図りながら、身近で頼りがいのある司法の実現に向けた取組を進めてまいります。
 2件目は、第72回「社会を明るくする運動」についてです。
 第72回「社会を明るくする運動」は、第71回に引き続き、「#(ハッシュタグ)生きづらさを生きていく」のキャッチフレーズのもと、犯罪や非行の背景にある様々な“生きづらさ”に思いを致し、再出発を後押しするコミュニティづくりを目指して、多様な発信を行っています。
 今般、岸田内閣総理大臣より、この運動によせてメッセージをいただきました。
 内閣総理大臣からは、毎年、「社会を明るくする運動」によせて書面によるメッセージをいただいていますが、今回は初めて動画によるメッセージをいただきました。
 こちらの動画は、本日より、法務省公式YouTubeチャンネル等にて御覧いただけます。
 「社会を明るくする運動」に御注目いただき、御理解と御協力をお願いします。
 なお、本日、定例閣議が開催されましたが、法務省案件はありませんでした。

ウクライナからの避難民への対応等に関する質疑について

【記者】
 先日、林外務大臣と津島法務副大臣がポーランドを訪問されました。避難民のニーズや課題について、古川大臣も報告を受けられていると思いますが、その結果報告を踏まえて、日本で受け入れるウクライナ避難民に関しては、今後どのような支援が特に重要となるとお考えでしょうか。

【大臣】
 ウクライナ避難民の受入れや支援に当たっては、何よりもまず、避難民の方々のニーズを的確にくみ取ることが重要だと思っています。
 そこで、現地のニーズや課題を的確に把握するため、当初、私自身がポーランドに赴く予定でしたが、結果的に、林外務大臣、それから津島法務副大臣が代わってポーランドへ視察に行かれました。
 視察の結果については、津島法務副大臣から現地の状況や課題・ニーズについて詳細な報告を受けたところです。
 その中で、避難民の約90パーセントを占める女性と子どもに着目した支援の必要性、とりわけ子供に対しては、心理カウンセリングなども含めた「ほっとする支援」の必要性、こういう視点が大変重要であると考えています。
 引き続き、避難民のニーズをきめ細かくくみ取りながら、その受入れや支援を進めていきたいと考えています。

【記者】
 ウクライナ避難民については、今のところ、一応、特例的な「避難民」としての受入れですが、社会保障で日本人と同等に扱われる「難民」として受け入れるべきという意見もあります。こうした課題や意見に対しては、法務省として今後どのように取り組まれるとお考えでしょうか。

【大臣】
 まずは、未曾有の人道危機に瀕するウクライナからの避難民の方々を迅速かつ円滑に保護することが重要だと考えています。
 そのため、我が国は、難民条約上の難民に該当するか否かにかかわらず、ウクライナから逃れてきた方々を幅広く、柔軟に受け入れ、必要な支援を提供することとしています。
 具体的には、身寄りのない避難民の方々への一時滞在場所の提供や生活費、医療費の支給、カウンセリング、日本語教育、就労支援等、受入れ後の各場面に応じた具体的な支援策を実施することとしています。
 その上で、避難民の受入れについて、新たな制度を構築することは、その要否も含めて、適切に検討していきたいと考えています。

【記者】
 ウクライナからの避難民の受入れに関連して、現状、商用機での借上げによる受入れを始めていますが、何人程度の受入れが可能なのか、想定や用意しているものがあれば教えてください。

【大臣】
 ウクライナ情勢の展開次第です。どの程度の方々が日本への避難を希望されるのかなどにもよるため、現時点で具体的な想定を申し上げることは難しい状況です。ですから、前もってこれぐらいの規模ということを具体的に考えているわけではありませんが、情勢をしっかり見ながら適切に対応していきたいと思っています。

【記者】
 ウクライナ避難民のことで再度質問します。現在、条約上の難民ではなく、避難民という形で受け入れていますが、UNHCRが2015年に、難民認定基準の見直しというか、新たな補足という形で難民保護に関する国際基準とか新たなガイドラインを作成して、難民の定義を、戦争や紛争、占領、大規模な人権侵害などから逃れてくる集団的な避難者にも適用するよう条約難民の定義を拡大しました。
 しかし、日本で基準が厳しくて、いまだに難民認定率が1パーセントに満たない状況ですし、近年紛争とか軍事クーデターから逃れて来日したり、あるいはそれ以前から日本に在住する難民申請者、例えば在日ミャンマーの方ですとか、アフガニスタン、シリアなどから日本に庇護を求めている人たちに対しては難民認定せず、特にアフガニスタン人に対しては、難民申請しないように、外務省だと思うのですが、働きかけたり、それからミャンマーの人ですと退去強制令書が発付されて、仮放免の大変厳しい生活状況にある方が後を絶ちません。
 今回、ウクライナ避難民の緊急受入れ対策とやはり余りにも差があるのではないかという声が難民申請者から上がっています。今、現在の難民認定制度は、統括的な難民保護政策の確立に向けた取組を、今回のウクライナ避難民の受入れということを契機にして、政府全体で見直す必要があるんではないかと、古川大臣は感じているか、あるいは、今のままウクライナの緊急避難対策だけでいいというふうに考えているか、お答えください。

【大臣】
 御指摘の条約難民とは、あくまで、難民条約上の五つの理由により、迫害を受けるおそれのある者をいうと承知しています。
 あらゆる制度の在り方や運用については、様々な要素を踏まえつつ、必要に応じて適時・適切に検討・対応していくことが重要であると考えています。
 入管行政は、我が国の在り方に関わる重要な任務を担っており、多様な関係者の御意見に耳を傾けて、実情をしっかりと踏まえた政策の立案・施策の実施に努めてまいります。

技能実習制度の在り方に関する質疑について

【記者】
 昨日、熊本県で死体遺棄罪で逮捕され、地裁及び高裁で有罪判決が出されたベトナム人技能実習生リンさんの最高裁への上告趣意書の提出と無罪を求める嘆願書の提出が、弁護団によって行われました。どの程度事件のことを大臣が把握されているかどうかはっきりしませんが、取材する限り、このベトナム人のリンさんは2018年8月に来日しました。その後、2019年の3月に法務省入管として、妊娠等によって技能実習生が不利益を被ってはならないという通知を出しているそうですが、監理団体や農家の方から、そのような話は一切、リンさん、また、一緒に雇用された20代のベトナム人技能実習生は聞いていないと話しているそうです。こういう通知の内容がしっかり本人に伝わらない中で、妊娠をしたことを誰にも打ち明けられない中で、彼女は孤立出産をしています。しかしながらこの結果として、死体遺棄罪で逮捕・起訴され、有罪まで持ち込まれてしまいました。
 大臣にお聞きしたいのは、この監理団体、熊本ワールド事業協同組合というところなんですが、彼らがしっかりと技能実習生、熊本に8000人ぐらいいるらしいのですが、特に女性たちに、妊娠や出産、意図しない妊娠というのはたくさんあると思うのですが、こういった場合に、「あなたたちは妊娠したことをしっかり雇用主に伝えて、それが不利益を被らないように手当てされるんですよ」ということをその実習生に伝えなければ、彼女たちが妊娠したときに伝えることもできません。監理団体側は伝えたと言っているそうですが、弁護団はそのような話をもし聞いていれば、リンさんは妊娠後孤立して出産する必要はなかったと言っております。昨日の会見でも、リンさんは全くそういう話を監理団体から知らされていなかったと言っています。また、非常に問題があったのは、死産をしてしまう2日前、監理団体側がいきなり妊娠検査薬で検査をしたらしいのですが、その時に、監理団体職員が「まだ若いから妊娠したら大変ですからやめてください」と言ったそうです。こういったことが、彼女を孤立させて、出産を隠すということにつながってしまったと思いますが、まずその孤立出産、それから外国人技能実習生の問題、それから特にアジア系の外国人に対する、この差別的な対応、意識ですね。こういったことを含めて、やはりこの監理団体に対する厳しい調査と指導を多分全くやっていない感じがするんですが、これどういうふうにやっていくおつもりなのか、本来管理する技能実習機構(OTIT)に対してもしっかりとした調査ができていないんじゃないかという話が出ています。この監理団体の在り方、そして技能実習機構の在り方、妊娠出産に対する対応、大臣としてどう取り組むべきと思うか、御意見をお願いいたします。

【大臣】
 まず、個別の事案については、コメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で、技能実習制度の在り方については、様々な御指摘や御意見があるということを、私自身よく承知しております。そこで、御案内のとおり、法務省内に特定技能・技能実習制度に係る法務大臣勉強会を設置しまして、今、幅広く各界の意見をお聞きしたりするなど、この論点の整理について鋭意進めているところです。
 このように、様々な御意見もしっかり幅広く虚心坦懐にお聞きしながら、あるべき制度の姿となるように、不断の努力をしていくという私の姿勢に変わりはありません。
(以上)