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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年4月15日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、ウクライナ避難民の方々に対する支援についてです。
 昨日(4月14日(木))、入管庁において、3月2日以降、4月11日までに入国された538人の避難民の方々に、我が国が提供する支援等に関する案内資料を発送しました。
 具体的な内容は、FRESCヘルプデスクでウクライナ語での電話相談も受け付けていること、在留資格変更申請等についてのお知らせ、今後、支援に関する情報をメールでも発信することなどをお伝えするものです。
 また、昨日、全国の自治体に事務連絡を発出し、ウクライナ避難民の方々に案内資料を発送したこと、自治体からの問合せに対応する国の相談窓口の案内をお伝えしました。
 さらに、来週4月21日(木)には、全国の自治体向けにオンライン説明会を実施し、国による支援の内容などについて御説明いたします。
 引き続き、政府一丸となって、避難民の方々にしっかりと寄り添った支援に努めてまいります。
 2件目は、在留ミャンマー人に対する緊急避難措置の見直しについてです。
 ミャンマーでは、昨年(令和3年)2月に国軍によるクーデターが発生しました。入管庁では、同年(令和3年)5月28日以降、本国の情勢不安を理由に日本での在留を希望するミャンマー人の方々への緊急避難措置として、個別の事情を踏まえつつ、就労可能な「特定活動」の在留資格により、原則として6か月の在留を認めてきました。
 しかし、ミャンマーの情勢には、今もなお改善が見られないため、「特定活動」で許可する在留期間について、原則として「6か月」から「1年」に見直すこととしました。
 また、難民認定申請については、適切かつ迅速に審査を行うこととしており、令和3年においては、32名のミャンマー人の方々を難民と認定しました。
 法務省としては、引き続き、個々の外国人の置かれた状況に十分配慮し、一層適切な対応に尽力してまいります。
 3件目は、特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会の実施についてです。
 昨日(4月14日)、「特定技能制度・技能実習制度に係る勉強会」を行い、ウスビ・サコ教授からお話を伺いました。
 サコ教授は、マリ共和国御出身であり、日本で初めてアフリカ出身者の学長として、京都精華大学の学長も務められました。
 御自身の経験も踏まえ、世界から見た日本社会、日本における異文化の捉え方、「共生社会」の実現と多様性などについて、貴重なお話を伺い、大変有意義な意見交換ができたと考えています。
 今後は、弁護士の市川正司氏や早稲田大学教授の都丸潤子氏から御意見を伺う予定です。

ロシア軍の関与が疑われる非人道的行為に関する質疑について

【記者】
 ロシアがウクライナで行った疑いのある「人道に対する罪」あるいは「戦争犯罪」についてお伺いします。
 岸田首相はICCへの分担金の前払いについて表明しました。また、ICCに法務省から検事を派遣することを調整しているとの報道もありました。
 今後、ロシアの関与が疑われる非人道的な犯罪について、法務省としてどのように対応して、また、国際社会でどのような役割を日本が果たすべきだとお考えでしょうか。

【大臣】
 御指摘の報道は承知しています。
 我が国は、ウクライナの事態を国際刑事裁判所(ICC)に付託しており、ICC検察官による捜査の進展を期待しているところです。
 ICCの活動は「法の支配」に基づく国際秩序の維持・強化という観点から極めて重要であり、法務省はこれまでも、人的交流等を通じ、協力関係を深めてまいりました。
 ICCに対して、今回法務省として、更にどのような支援ができるか、あらゆる選択肢を検討してまいりたいと考えています。
 法務省は、引き続き、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的原理の国際社会への浸透に取り組み、「法の支配」に裏打ちされた国際秩序形成に貢献をしていく所存です。

入管法改正案の検討状況に関する質疑について

【記者】
 紛争地からの避難民を難民に準じる形で保護する、いわゆる「準難民」の制度についてお伺いします。
 法務省では、難民条約上の5つの理由以外の理由で迫害を受けるおそれのある人を適切に保護するために、難民に準じて保護する仕組みの検討を進めていると承知しています。入管法については、去年の通常国会に提出された後廃案になりましたが、昨日、津島法務副大臣が夏の参院選が終わった後の臨時国会に提出したいと明言したと一部報道が出ていることについて、法務省としての見解をお願いします。また、今のウクライナ情勢等を考慮して、入管法案を再度提出する場合に、補完的保護の対象の、いわゆる準難民のところだけを切り離して、法案を提出するということも検討されているのでしょうか。

【大臣】
 法案についてですが、現在検討中でございまして、その具体的な内容、国会への提出の時期等の見込みについて、今の時点でお答えすることは、なかなか難しいです。
 あらゆる場面で申し上げていますけれども、日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心に暮らせる共生社会を実現するためには、外国人の人権に配慮しつつ、ルールにのっとって外国人を受け入れるとともに、そして同時に、ルールに違反する者には厳正に対処することが非常に重要であり、これが原則だと考えています。
 その上で、現行入管法の下で生じている送還忌避・長期収容問題の解決は、喫緊の課題であると考えています。これはいつも申し上げているとおりです。
 また、難民条約上の難民には該当しないものの人道的な配慮を要する方々をより確実に保護する制度を設けることも、課題の一つであると考えています。
 要するに、入管制度全体を適正に機能させ、保護すべきものを確実に保護し、そして、ルールに違反した者には厳正に対応する、そういう制度とするためには、現行入管法の課題を一体的に解決する法整備でなければならないと思っています。
 前回の入管法改正案は廃案になってしまったわけですけれども、そこには、補完的保護対象者の認定制度の創設、在留特別許可制度の見直し、送還停止効の例外等が盛り込まれていました。
 こういった様々な方策を組み合わせて、パッケージとして、制度全体の適正化を目指していく必要があると考えています。必要な法整備に向けて準備をしていく、その考えに変わりはございません。

特定技能2号の認定に関する質疑について

【記者】
 特定技能制度についてお伺いします。今月13日、中国籍の男性について、特定技能2号への変更が許可されました。2号が初めて認定されたことに対する大臣の受け止めと今後の見通し、また、2号の対象分野の追加についての検討状況を教えてください。

【大臣】
 特定技能2号は、熟練した技能を要する業務に従事し、上級技能者として高い専門性を有する人材に限って受け入れる在留資格であり、現在、14の特定産業分野中、建設及び造船・舶用工業の2分野で受入れが可能となっています。
 建設分野につきましては、国家検定である技能検定1級又は建設分野特定技能2号評価試験に合格することなどが要件となっていますが、今回、建設分野において、この要件を満たした方について、初めて2号特定技能外国人としての在留資格を付与したところです。
 今後も、同様に要件を満たす方から申請があれば、この在留資格を付与することとなります。
 特定技能2号の対象分野の追加については、現在、分野所管省庁において、慎重に検討を行っていると承知しています。その結果を踏まえて、法務省としても、関係省庁とともに検討を行っていくこととしています。
(以上)