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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年8月30日(火)

 今朝の閣議における法務省案件として、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の一部変更」が閣議決定されました。
 続いて、私から1件報告があります。
 少年法の改正の検討の過程で、成年であっても若年の方の中には、やはり可塑性の高い方もいるのではないかという議論があり、令和2年10月に法制審から答申をいただき、おおむね26歳以下の成年について、例えば、少年院における処遇を参考にして矯正を行うことができるのではないか、あるいは、少年院の施設といったものを参考にしていくべきではないかといった答申がなされました。
 まず前者について、今回準備が整い、本年9月1日から、おおむね26歳未満の犯罪傾向の進んでいない若年受刑者について、男子は川越少年刑務所、女子は美祢社会復帰促進センターにおいて、おおむね30名以下の小集団を編成し、少年院の矯正教育の知見等を活用した処遇を行う「若年受刑者ユニット型処遇」の運用を開始することとしました。
 このユニット型処遇は、「対話ベース・モデル」として、少年院で実施されているように、職員が受刑者一人一人の事情、心情等を理解し、共感的に接しながら信頼関係を築きつつ、担任職員と受刑者の対話を通じて、自身の罪と向き合わせ、出所後の社会生活の在り方を考えさせることを基礎としたきめ細かな処遇を行うものです。具体的には、小グループ単位での改善指導や、CAD(Computer Aided Design)・介護福祉科等の職業訓練、タブレット端末等を活用した教科指導などを実施します。
 このユニット型処遇は、本年4月に施行された改正少年法により設けられた特定少年への対応や再犯防止を図るための特性に応じた処遇の充実として極めて重要な取組となります。
 また、先般成立した刑法等の一部を改正する法律により創設された拘禁刑下における受刑者処遇の運用を検討するに当たっても、先駆けとなる取組と考えられますので、私自身、いずれ現場を視察していきたいと思っております。

法令の外国語訳に関する質疑について

【記者】
 法令の外国語訳について伺います。グローバル化を踏まえ、外国の方々に日本の法制を理解してもらうことは経済発展のために欠かせません。法務省では法令の外国語訳の充実化の動きがあるとのことですが、その取組について伺います。

【大臣】
 法令の外国語訳は、社会経済のグローバル化が進む中で、まさにインフラとして、大変重要な取組だと思っています。外国の方に日本の法制を理解していただく、あるいは、日本の企業が海外進出をしたり、対日投資の促進を図る、そういった意味でも極めて重要です。法務省としても、ホームページを開設すること、あるいは、官民戦略会議で決まりましたが、2025年度までの5年間に1,000本以上の英訳法令の公開を目指すこと等を目標として取り組んでいるところです。本年度の予算についても、ネイティブアドバイザー、法令翻訳のコーディネーターといった方々の増員を図るとか、あるいは、AIの翻訳について、更に充実を図るように予算の増額等に努めているところです。

難民認定に関する質疑について

【記者】
 難民認定制度について2点質問します。
 1点目です。札幌高裁で難民不認定処分の取消判決が確定したトルコ国籍クルド人男性が難民認定されたと、先日報道されました。これは、平成31年1月に、法務省難民認定室から各地方入管局宛てに、難民不認定処分の取消しが確定した外国人に関する通知が発出されていますが、これに基づく難民認定と考えてよろしいでしょうか。
 2点目です。今回、トルコ国籍のクルド人が日本で初めて難民認定されました。過去30年間全く難民認定されず、日本に生活基盤ができても、人道的配慮による在留特別許可も年々厳しくなっており、入管収容されたり、仮放免の生活で長年苦しんできました。このような状況はクルド人だけではありません。最近、アフガニスタン人の難民認定が相次いでいますが、これは受け入れる前提で、在外公館でビザを発給して来日できた人たちが大半だったと思います。事実上、日本の空港で難民申請したり、入国してから難民申請しても認定されないし、あらゆる場面で非常に困難な制度になっていると思います。今言ったような形で難民申請するあらゆる場面、一時庇護上陸許可の運用の改善や、難民認定の審査の現状を見直したり、人道的配慮による在留特別許可の運用の見直しなど、難民申請者を適切に受け入れるための法改正や制度運用の見直しの必要性を、大臣は考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】
 まず1点目ですが、個別の事案について、どういうことで認定したかということについては触れるわけにはいきませんが、判決が出た場合には速やかに適切に対応するという平成31年1月の通知を基礎としながら適切に対応していると申し上げたいと思います。
 2点目ですが、やはりこれも個別の事案になります。難民認定については、我々としても、例えばUNHCRとも連携を取りながら、今後もまずは適切な運用を行っていかなければいけないと思っています。法改正については、去年の通常国会で入管法の改正も提出させていただきましたが、色々な御指摘もありました。そういうことも踏まえ、ただ、私どもとしてはやはり入管法を改正する必要性というのは、難民やいわゆる準難民という話だけではなく、色々な面からあろうかと思いますので、しっかり検討させていただきたいと思っています。

法制審議会家族法制部会に関する質疑について

【記者】
 本日午後予定されている法制審議会家族法制部会について伺います。
 まず、前回の家族法制部会では、本日に中間試案の取りまとめが行われる予定になっていました。取りまとめは本日厳しいのではないかという報道もあります。これについて、大臣の御意見を伺えますでしょうか。
 また、今後の家族法、共同親権の選択肢を含めた立法について、大臣の御意見を伺えますでしょうか。

【大臣】
 これから午後に法制審が開かれますので、予断を持って、そこで取りまとめが行われる、行われないといったお話を私から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 そして家族法制の関係については、私も就任時の会見、あるいは法務省の職員に対する訓示等でも申し上げさせていただいているとおり、やはり、国民的なコンセンサスが非常に大切だと考えています。ですから、法制審において、更に各方面から色々な意見を集約しながら制度設計を図っていただけるものだと感じています。

【記者】
 共同親権の質問に関連してお伺いします。先日の自民党法務部会では様々な御意見があって、紛糾するような展開になったと承知していますが、こういうふうに意見がかなり分かれるテーマということで、仮に案が出た後も大変な展開が予想されると思いますが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 私もその会議は冒頭出席しまして、その後色々な意見が出されたということは報告を受けて聞いています。全体としてコンセンサスを得ていくためには、各種の意見が活発に議論されることは、当然歓迎されるべき話だろうと思っています。その上で、それだけ関心が高い課題だということを再認識していますが、だからこそ、先ほど申し上げましたように、国民のコンセンサスを得ることができるように、法制審において、当然公正公平な議論が行われると思いますが、更に各方面の御意見を聞きながら、しかも冷静な環境でしっかりと議論を進めていただきたいと思っています。

旧統一教会問題関係省庁連絡会議に関する質疑について

【記者】
 昨日、消費者庁で「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」が開催され、ネット配信されました。その中でも委員から指摘がありましたが、先日法務省を中心に立ち上げた関係省庁連絡会議の中に、なぜ厚労省や文科省、外務省などが入っておらず、法務省と警察庁、消費者庁だけで構成されているのでしょうか。その理由と、消費者庁の検討会と関係省庁連絡会議の役割の違いについてお答えください。そして、関係省庁連絡会議は来月から1か月だけ設置するといった報道もされていますが、そういった短期間で集約しようとされているのか、お考えについてお聞かせください。

【大臣】
 まず後者についてですが、相談集中強化期間というのは、おおむね9月初旬からおおむね1か月程度を想定していますが、これは飽くまで相談対応を強化する期間ですので、ひと月で関係省庁連絡会議がなくなるという性質のものではありません。総理の指示もあって、体制もしっかり充実させるようにという指示もありましたので、強化期間の中で得られた実態や状況を踏まえながら、関係省庁連絡会議で、更に各省庁の理解とアクションを深めていくことになるだろうと思います。
 消費者庁の検討会については、消費者庁にお尋ねいただきたいのですが、私どもの連絡会議は、被害に着目しているため、被害の状況をしっかり把握していかなければいけませんが、過去に遭った被害、あるいは現在進行形の被害に、現行法等で、どういう形で対応できるんだろうかということで構成しているものです。そして、消費者庁の会議は、いわゆる消費者契約の中で、必ずしも旧統一教会に限らない霊感商法、あるいは占い商法といったものも含めて、消費者被害の拡大を防止するという観点から設置されているのではないかと考えています。両者は決して対立したりするものではなく、消費者庁の検討の状況も十分共有しながら、私どもの会議もしっかり進めていかなければいけないと思っています。
 前者の質問ですが、具体的に省庁の構成として、どういった省庁を入れるかということについては、実際問題として関係者という形で入れることはできる形になっています。ですから、幅広い知見を入れていきたいと思いますが、どこの省庁を入れるかということについては、今申し上げましたとおり、私どもは飽くまで被害に着目した連絡会議ですから、例えば具体の省庁名を今申し上げることは差し控えさせていただきますが、やはり被害ということに関連する範囲ということになるのではないかと思っています。
(以上)