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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和4年12月2日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から3件報告があります。
 1件目は、「G7司法大臣会合」についてです。
 G7司法大臣会合は、今週の月曜日と火曜日、11月28日と29日にドイツ・ベルリンで開催され、我が国からは門山法務副大臣が出席しました。G7司法大臣会合には、G7各国に加え、ウクライナの司法大臣、ICC検察官等が参加しました。
 会議では、特にウクライナにおける戦争犯罪を念頭に、国際法上の中核犯罪等の訴追に関するG7の経験、越境捜査の連携強化等について議論が行われ、我が国からは、アジアの国として唯一ウクライナの事態をICCに付託するなど、ICCの活動への貢献に力を入れていることなどを発信してきました。
 成果文書として、G7が普遍的価値の共有を通じた連帯を強化していくという力強いメッセージを発信する「ベルリン宣言」が採択されたとの報告を受けております。
 本会合は所期の成果を収め、我が国としてもこれに貢献できたものと認識しており、法務省としては、引き続き、G7やウクライナとの連携強化に取り組んでまいります。
 2件目は、12月3日から4日の2日間にわたって京都国際会館で開催する「第2回法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」についてです。
 このユースフォーラムは、国際感覚を持った人材を育成するとともに、将来につながるネットワークを築いてもらう機会を提供すべく、法務省が国連薬物・犯罪事務所の協力を得て開催しているものです。
 開会式では、高円宮承子女王殿下の御臨席を賜り、お言葉を頂戴することとなっています。
 また、世界的に活躍されているダンサーの甲田真理氏から、若者に対し、夢を持ち続けることの大切さについて、基調講演を頂きます。
 今回のフォーラムには、来場参加とオンライン参加を合わせて約50か国から100名以上の若者が参加する予定です。
 議論の結果は、「勧告」として国連に提出され、世界の専門家の議論に新たな視座を提供することが期待されます。
 法務省としては、今後も「法の支配」の浸透のため、継続的に「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」を開催し、若者の声を国際社会に届けてまいります。
 3件目は、「第74回人権週間」についてです。
 12月4日から10日までは、「第74回人権週間」です。
 国連は、「世界人権宣言」が採択された日である12月10日を、「人権デー」と定めました。
 法務省では、この「人権デー」を最終日とする12月4日からの1週間を「人権週間」として、毎年、人権啓発活動を特に強化して行っています。
 今回、法務省では、インターネット上の誹謗中傷等の根絶を呼び掛ける人権啓発動画を、YouTube法務省チャンネルや、テレビCM、電車やコンビニ内のディスプレイなどで幅広く配信します。また、全国各地の法務局でも、トークショーや作品展示など、250を超える様々なイベントが実施される予定です。
 人権週間における取組を通じて、多くの方々が、様々な人権問題を自分の問題として捉え、互いの人権を尊重し合うことの大切さについて、認識を深めるきっかけにしていただきたいと考えています。
 報道機関の皆様方には、人権週間の積極的な周知・広報への御協力をお願いできればと思います。

G7司法大臣会合に関する質疑について

【記者】
 冒頭発言に関連して、「G7司法大臣会合」についてお尋ねします。会合の具体的な成果について、大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 本会合では、全参加国で「ベルリン宣言」を採択し、ウクライナにおける戦争犯罪等の責任追及を含む法務・司法分野での協力を推進することで、G7の連帯を強化していくという力強いメッセージを発信できたことが、私は最大の成果だと認識しています。
 ベルリン宣言では、具体的な取組として、例えば、G7各国が戦争犯罪等の責任追及について情報共有等を行うためのネットワークを構築することや、戦争犯罪等の捜査に関して様々な機関等と協力を強化していくことなどを、G7として確認しました。
 我が国は、ICCの活動を重視し、情報共有や研修といった様々な面でICCとの協力を強化しているところ、引き続きこうした取組を推進することで、G7の一員としての責任を果たしていく考えです。

ワールドカップに関する質疑について

【記者】
 カタールで開催中のワールドカップについてお伺いします。日本が決勝トーナメント進出を決めましたが、それについての受け止めと、開催国カタールで移民労働者や性的少数者への人権侵害の問題が指摘されていますけれども、それについて、もしお考えがあればお聞かせください。

【大臣】
 私自身、学生時代、ハンドボールというスポーツをやっていまして、一応インカレにも出場しましたけれど、極度の緊張感の中で日の丸を背負って戦って、見事最強豪に勝利を収めた日本選手の皆さんに、心からのエールと、本当に大変だっただろうなという敬意を表したいと思います。一方で、これはスタートですので、今後決勝(トーナメント)に進むことになりますので、そこでの健闘を期待したいと思っています。
 人権問題については、言わずもがなですけれども、多様な人たちが共生できる我が国社会に向けて支障があるようなことについては、我々としても対応していかなければならないと思います。

同性婚をめぐる訴訟に関する質疑について

【記者】
 先月30日に、東京地裁で同性婚をめぐる訴訟で、法制度がないのは違憲状態、一方で憲法には違反しないという判決がありました。判決の受け止めと、今後の対応があればお願いします。

【大臣】
 本件は、同性のパートナーとの婚姻を希望する原告らが、日本で同性同士の婚姻が認められていないのは憲法に反するとして、国に損害賠償を求めた事案であると承知しています。
 お尋ねの判決におきましては、原告らの国に対する請求は棄却されたものの、その理由中において、同性愛者についてパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは憲法24条2項に違反する状態にあるが、どのような法制度を構築するかは立法裁量に委ねられているので、婚姻に関する民法等の諸規定が憲法に違反するものではないとの判断が示されたものと承知しています。
 国が勝訴したため控訴することができませんが、現段階では確定前の判決であり、また、他の裁判所に同種訴訟が係属していることもありますので、その判断も注視してまいりたいと思います。

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」の閣議決定に関する質疑について

【記者】
 昨日閣議決定された「救済新法」に関してお伺いします。昨日閣議決定されましたが、新法の中には、法テラスの強化など法務省に関わる内容も入ってきています。今後、法案成立に向けてどのように取り組んでいきたいかということと、今回の新法が正式に公表されましたけれども、内容についてお考え、期待などがあればお伺いします。

【大臣】
 新法については、法人等からの寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護等を図る観点から、例えば、法人等による不当な寄附の勧誘を禁止し、当該不当な寄附の勧誘を行う法人等に対する行政上の措置等を定めるとともに、寄附の意思表示の取消しの範囲を拡大し、扶養義務等に係る定期金債権を保全するための債権者代位権の行使に関する特例を創設する等の措置を講じられることとなっています。
 私としては、先日国会に提出されております消費者契約法等の改正法案と共に社会的に許容しがたい悪質な寄附の勧誘行為を規制するものであり、両法案により、被害者救済・再発防止のための実効性ある法整備が図られるものと考えています。
 私どもとしては、まだ国会審議前ですので確定的なことは申し上げられませんが、この法律案の中で、お困りの方が法律上の権利の適切な行使により被害の回復等を図るために、法テラスと関係機関・団体等との間で連携を図り、利用しやすい相談体制の整備等必要な支援策を講じることは重要であると認識しているところです。
(以上)