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谷垣法務大臣初登庁後記者会見の概要

平成24年12月27日(木)

 谷垣禎一でございます。今回,総理より,法務大臣を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いします。
 まず,抱負を述べますが,何と言いましても,この法務省という役所は,法の支配というのが非常に重要な基本的な原則でありまして,その法の支配を実効あらしめるようにしていくということが法務省の抱えている重要な使命ではないかと思っております。今日,総理からいくつかの御指示もいただいたわけですが,そういう使命を果たしていくためには法秩序の維持,それから国民の権利擁護を通じて,国民の安心安全をしっかり図っていく法的基盤を作っていくということではないかと思っております。総理からは,その意味で司法制度改革も更に推し進めなければいけないという御指示もいただいております。また,個別法によって,きめ細かな人権救済を推進しながら,世界一安全な国,日本を作る。そのためには,犯罪被害者の支援,出所者の再犯防止あるいは社会復帰の支援,それから組織犯罪対策等々,これをしっかり行っていくようにという御指示もございました。また,尖閣諸島の警戒警備につきましては,関係大臣とも緊密に連携しながら緊張感を持って情報収集を行い,事態に応じて,我が国の法令に基づいて適切に処理するようにとの御指示も安倍総理からいただいたところでございます。そういう御指示に加えまして,法務行政としては,適正かつ円滑に出入国管理を行うという業務,あるいは権利関係の一番基本になります,例えば土地所有権,公図等,地図をどう整備していくかというような問題,あるいはアジア諸国に対して法整備支援を行っていくと,こういった政策は極めて重要な仕事ではないかと思っております。様々な課題がありますが,全力を挙げて取り組んで,法の支配を実効あらしめるという仕事を全うしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

法務大臣就任に当たっての抱負等に関する質疑について

【記者】
 先ほど大臣から御抱負をいただきましたけれども,二つ質問させていただきます。一つ目は,法務行政を行うに当たって,特に力点を置いていくようなところについてお聞かせください。二つ目は,死刑制度に対する基本的な考え方についてお願いします。
【大臣】
 一つ目は,先ほど抱負ということで申し上げたのですが,特に今思っておりますのは,決して前政権を批判するつもりはありませんが,やや政治に安定を欠いたという感じが私はしております。法務行政においても,大臣がかなり替わられたりして,安定感がやはり欠けていたのではないかと思っております。私がどこまでできるかは別として,国民の皆様に少しでも政治あるいは法務行政が安定した進展をしていくようになったなあと言っていただけるようになったら,以て瞑すべしという気持ちでおります。個別のことにつきましては,私も一応は法務行政を知っているつもりで来たわけですが,いろいろ新しい事態もあると思いますから,よく勉強させていただきたいと思っています。
 二つ目の死刑制度に関しましては,今もかなり死刑判決を受けた方がおられるわけです。我が国は,死刑制度というのを法律上持っておりますし,その前提の上で裁判所が判決を下しています。もちろん最終的には法務大臣がきちっと判断をしなければいけないわけですが,そういった法制度や裁判所の判断を前提として,さあどうするかということはよく考えないといけないであろうと思います。私は,死刑制度につきましては,被害者感情や国民感情から見て,十分理由があるものであると考えております。私は基本的にそういうスタンスでいるわけですので,そういうことでこれから仕事をしていきたいと思っております。
【記者】
 総理からの指示に関連することで確認なのですが,大臣の今のお考えとしては,公約どおり人権委員会設置法案に関しまして,今後提出するつもりはないということであるかの確認と,個別法ということを今おっしゃったのですが,具体的に何か今,念頭にあるものはあるのかということについて教えてください。
【大臣】
 従来もこの法案に関しては,様々な議論があったことは承知をしております。私も今までどういうふうに法務省が論点整理をしてきたのかということは,またよく伺っていきたいと思っておりますが,当面は,総理の御指示が先ほど申し上げたようなことであったわけですので,前国会に提出したものをすぐにそのまま出していくということは考えておりません。それから個別法というのは何か考えているかということですが,新規立法というよりも,例えば児童虐待の場合や,ドメスティックバイオレンスなどに対する既存の法律はあるわけです。そういったものを適切に使っていくということが,まずは大事ではないかと思っております。もちろん,いろいろ新しい事態が生じてまいりますから,更にいろいろなものが出てきた場合には何か考えなくてはいけないのかもしれませんが,当面はそういった個別法を活用することを考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。
【記者】
 一つ目に,大臣は,法務大臣を希望されたというふうに報道されております。なぜ法務大臣を希望されたのか。あるいは法務大臣として何をしたいと思っておられるのかということをぜひ伺いたいと思います。二つ目に,えん罪の問題は,今年もずいぶんいろいろな問題がありました。パソコンのウィルスで遠隔操作をされたという事件では,4人が逮捕されて2人が嘘の自白をさせられているという状況が続いていて,えん罪防止のことというのは,本当に大事なことだと思うのですけれども,これにはどういうふうに取り組まれるおつもりなのでしょうか。特に取調べの可視化について御意見を伺いたい。それから三つ目に,裁判員制度や,強制起訴制度ですね。これは3年以上やって,いろいろな問題点も出てきていると思うのですけれども,これの改善策ということについて,どう考えていらっしゃいますか。
【大臣】
 私が自分で法務大臣を希望したというふうにおっしゃいましたが,確かに,希望していなかったわけではないです。少し昔の話になりますが,私は,後藤田正晴先生にお話を伺ったことがありまして,そのとき後藤田先生が私に「谷垣君。国家というのは結局のところ財政を扱う大蔵,外交を扱う外務,教育を扱う文部,そして法の支配を担当する法務。この四つが大事なんだ。」というふうにおっしゃったのを今でも記憶しております。もちろん,そのときそのときに,国の行政,政治にも大事な仕事がありますから,それは一つの後藤田先生の国家観であって,それだけが全部でいいのかどうかという議論もあるでしょう。しかし,法務省がそういった非常に大事な役目を負っている役所であることは間違いありません。ついこの間まで野党の総裁でおりましたから,当時の与党を批判する言辞になってしまうかもしれませんが,大臣が変わり過ぎるのは,そういう法の支配がいかに国家の仕組みの上で大事かという視点を,当時の政権は欠いているのではないかという感じを私は持っておりました。法の支配を担当する法務省という仕事をもっと重視した姿勢を打ち出さなければいけないのではないかと,そういう気持ちが私の基本にございます。ですから,現段階で必ずしも個別な話を,これをしようあれをしようと思っているわけではありません。その上で先ほどおっしゃったえん罪の問題は,厚生労働省の村木元局長の無罪事件を始めですね,いろいろな問題が検察捜査の過程で起きております。やはりそういうことはあってはならないことであります。それから,もう一つの,パソコンの遠隔操作の問題は,やはり捜査を担当する方のITに関する素養の問題といいますか,そういったところもあるのだろうと思います。なりすましというのでしょうか,どう表現すれば良いかなかなか難しいところもあるのだろうと思いますが,やはりITに関する捜査も改善,研究する余地は非常にあるのではないかなと私は思っております。捜査の手法等ももっと研究する必要があるのではないかなとは思っておりますが,そういったことは,これからよく勉強してみたいと思っております。

司法制度改革等に関する質疑について

【記者】
 裁判員制度や強制起訴制度などが始まって3年以上過ぎているので,その問題点も見えてきたと思うのですけれど。
【大臣】
 強制起訴制度が始まったときに,率直に言うと私は批判的な目で見ていたのです。ただ,私は3年経ってそれはある程度問題点も出てきたのかもしれませんが,もう少し見てみたいなという気持ちがございます。今までもいくつか問題がありましたので,そこはよく研究していかなければいけないと思っております。裁判員制度は,長い間掛けて司法改革をやってきたわけですけれども,問題はまだあるのかもしれませんが,全体としては比較的うまく行っているのかなという認識を持っております。しかし,これもこの役所に来ましたので,本当に問題はないかどうかよく勉強してみたいと思っております。また,司法制度の中で,司法試験制度やロースクール制度は,やはり相当問題があって,これは政府の中にも関係閣僚会議などを作っておりますので,その中でじっくり議論も煮詰めていかなければいけないのであろうと思っております。
【記者】
 先ほど司法制度の中でロースクール制度にも問題があってという発言もありましたが,自民党政権時代に規制緩和の流れの中で74校が乱立したということが,一つの要因であるとの指摘もされていますが,具体的にどのような問題があると捉えられているのかという点についてお考えかお聞かせください。
【大臣】
 ロースクールは,あの当時,私も党の司法制度調査会等でその議論に多少関与していたのですが,あのときは今,御指摘のようにロースクールの定員やロースクールの設置数を人為的に抑えると,そこで参入障害,参入障壁が起きてしまうという意見が非常に強かったのです。今となってそう言っても,ずるい言い方かもしれませんが,私はそうかなあという気持ちは多分にありましたけれども,当時はそういう規制緩和論が非常に強かった。しかし,現実にはなかなか合格者を出さないところもたくさん出てくるし,あまりロースクールの数が多過ぎると,結局,司法試験を受けようという人の先行きも見通しも立たないという状況もあったと思います。他方,では,もう少しロースクールの数を制限するかといっても,今度は大都市にあるロースクールはそれなりに人が集まって,教員の能力等も高くて合格者が出せるけれども,地方ではやはりロースクールが必要であると思って作っている例もあって,なかなかそういうものを本当にやりだすと,地方の法曹養成ができるのかという,いろいろな問題があると感じています。ただ,まだそこのところは,私も十分考えが整理できていません。その辺のところは,また関係閣僚会議でも議論していたと思いますので,その議論の成果を聞いてみたいと思っております。

死刑制度に関する質疑について

【記者】
 民主党政権時代に政務三役の会議で,主に死刑制度の絞首刑の執行方法の在り方を検討するという議論を続けていたのですが,今後もそれを続けていく考えがあるのかということと,それに絡んで死刑制度の在り方に関する議論の場というのを設けるお考えはありますでしょうか。
【大臣】
 基本的に,私は死刑制度は必要であると思っていますので,そういう前提の中ですが,今までどういった形で民主党政権の中で議論していたかということはフォローしてみたいとは思っています。
【記者】
 大臣は,かつて終身刑のプロジェクトチームの座長をなさっていたのですけれども,現段階で終身刑の導入の是非についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
 あの当時議論して,私は途中で何かの閣僚になって,座長を代わってしまってので,最終的な結論がどうなったかということまで記憶が定かではないのですが,これだけ長寿社会になった中で,終身刑で長い間収監しておくということによって,様々な問題があると記憶しております。そういうことがあって,当時はなかなかこれは難しい制度であるなとは思っておりました。また,現段階でどう議論が進んでいるのかについては,これもちょっと勉強していきたいと思います。

危険運転致死傷罪等の法改正に関する質疑について

【記者】
 法制審議会の部会の中で,危険運転・自動車運転過失に関しての議論が今進んでいますけれども,この点に関しての大臣の見解をお聞かせください。
【大臣】
 正にその問題は,今の私の選挙区ではないのですけれども,中選挙区時代の選挙区であった亀岡でそういった事故が起こりました。確か無免許で,あれだけの事故を起こして,上限が懲役7年以下ですから,それでいいのかどうかというのは,もう少し議論を煮詰める必要があるのではないかと思います。もう一つ,京都の祇園でてんかんの方の事故も起こりました。ここはなかなかデリケートですね。てんかんの治療の問題等とどういうふうに組み合わせていくかとか,なかなかデリケートであると思っています。まだあまり軽々に外で見ていた考え方をこれだと決めつけるほど,私の考えも熟していませんので,法務省の中でどういう検討をしているのかも少し聞いてみたいと思っております。
【記者】
 危険運転の絡みで,法務大臣としては厳罰化する方向というものについてはどのように思われていますか。
【大臣】
 一つは厳罰化するということもあるいは必要かもしれないという感じは持っております。ただ,それは全体の中でよく見てみなければならないですから,今までどのように議論してきたかということはよく聞いてみたいと思います。

指揮権の発動に関する質疑について

【記者】
 検察に対する指揮権発動についてどのようにお考えかお聞かせください
【大臣】
 指揮権の発動については,これはあまり変な言い方をすると誤解を受けるかもしれませんが,法務大臣の指揮権というものが,法律上用意されているという趣旨は,十分に重んじなければならないと思います。最終的に発動しなければならない局面も,全くないとは言えないと思います。ただ,どちらかというと,昔ですと,そういうことを言うと非常に過剰な反応を受けて,捉えられたところがあると思います。基本は,指揮権発動が用意されていますのも,本来検察というのは,ある程度独立で動かなければならないという前提があって,政治等があまりに容かいするのはよくないという前提があってのことですから,そういう趣旨を十分踏まえて,悪しき政治的影響を与えるような指揮権の行使というのは当然に慎まなければならないと思っています。

検察庁の不祥事に関する質疑について

【記者】
 陸山会事件に関連しまして,検察官が虚偽の捜査報告書を作成するという問題がありました。民主党政権下で検察の不祥事というものがいろいろ出てきたと思いますが,谷垣大臣は,こういった問題にどのように取り組んでいかれるのか。また,取調べの全面可視化についてどのようにお考えかお聞かせください。
【大臣】
 今おっしゃった問題は,当時,私も時々報告は受けておりましたけれども,いろいろな検討をして,今,検察改革も進んでいると思うのです。もちろんあのような問題は起こしてはならないことですので,こういった検察捜査の適正さ,モラルを向上させていく手段をいろいろ考えていかなくてはいけないと思います。
 また取調べの全面可視化については,実は,私は10年程前に国家公安委員長をさせていただきまして,この問題は検察と警察のそれぞれが問題意識を持っていました。,当時は検察も警察も可視化については否定的であったと思います。しかし,その後,いろいろ積み重ねてきまして,現在では検察の意識も警察の意識も変わってきているように思いますので,今後も,そういう試みをいろいろやっていく必要はあると思います。他方,当時,検察も警察も否定的であったのは,それによって犯罪の摘発率が落ちてしまうのではないかというのを心配しておりました。そういう点が果たしてあるのかないのかについても十分見極めながらやっていく必要があるのではないかと思います。

その他の質疑について

【記者】
 民主党政権のときには,こうやって,私のようなフリーランスの記者も大臣記者会見に出られるようになって,結構いろいろと開かれていった経緯もあったのですけれども,法務省においては,谷垣大臣の間は,オープンな形でやっていく方向性で変わらないということでよろしいでしょうか。
【大臣】
 特別な問題意識を持ってこちらに来たわけではありません。ただ,私が総裁をやっておりました間,自民党ももちろん記者クラブの方にも出ていただいておりましたが,フリーランスの方が来た場合にも出ていただいておりましたので,それがまずかったというふうには思っていません。
(以上)
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