検索

検索

×閉じる

法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年3月10日(金)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件はありませんでした。

日ASEAN特別法務大臣会合・G7司法大臣会合に関する質疑について

【記者】
 先日の法務委員会の所信の中で、日ASEAN特別法務大臣会合とG7司法大臣会合の同時開催について言及がありました。大臣は、これまでも「双方の懸け橋の役割を」との御発言をされてきていらっしゃいますが、具体的取組について、現在の検討状況についてお尋ねします。

【大臣】
 ロシアによるウクライナ侵略に終わりが見えません。国際社会が力による一方的現状変更の試みに直面し続けている中で、「司法外交」を推進し、平和で安全な国際社会の基盤となる「法の支配」等の普遍的価値を国際社会に浸透させる必要性・重要性はますます高まってきていると認識しています。
 そこで、法務省では、日ASEAN特別法務大臣会合とG7司法大臣会合を同時に開催し、普遍的価値の維持・促進をより広く世界に発信する「司法外交」を推進していくということにしているわけです。そして、御質問のあった、我が国がASEANとG7の懸け橋としての役割を果たすという点につきましては、まず同時に開催するということ、我が国でやるということでありますが、アジア唯一のG7メンバーという我が国ならではの取組として、双方の大臣等が一堂に会する法務・司法分野における史上初のセッションを開催するということです。もしそこで温度差があるということであれば、それを埋めることができるという会議になろうかと思っています。
 このセッションでは、「インド太平洋における法の支配推進に向けたG7とASEANの法務・司法分野での連携」というテーマの下でG7とASEANの法務大臣等が対話を行い、「法の支配」等の普遍的価値の共有を確認することで、お互いに信頼関係を構築する機会としたいと考えています。
 この会合を成功させることで、我が国がASEANとG7の懸け橋として普遍的価値の維持・促進にリーダーシップを発揮し、「司法外交」を戦略的に推進していくということです。

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
 袴田事件に関連してお聞きします。(本月)13日に東京高裁が再審の判断を出すかどうかが注目されております。衣類の血液の変色が今回争点となるということですけれども、これまで全面的にその証拠を開示すべきではないかとか、そして、また、検事総長等々に対しては、特別抗告しないよう、弁護団や支援団体の方々が再三にわたって要求をされております。大臣として、この事件、どういうふうに受け止められて、向き合っていくつもりかお答えください。

【大臣】
 まず、お尋ねは現在係属中の、しかも個別の再審請求事案に関わる事柄ですので、法務大臣の私がコメントをすることは、やはり差し控えるべきであろうと思っています。
 制度の御質問も含まれていたのではないかと思いますけれども、一般論として申し上げれば、再審請求事件の審理は通常の公判手続とは異なっておりまして、当事者主義に基づく証拠調べの手続が行われるものではなくて、裁判所がその必要に応じて職権により事実の取調べをするということですので、通常の公判手続における証拠開示のルールは適用されないので、個々の事件において適宜・適切に判断すべきものかなというふうに考えています。

【記者】
 先ほどのお答えですと、証拠はその時々に応じてということで、全面開示ということは現状考えていないのかなということが伺われるんですけれども、御存じのように、袴田事件では様々なアリバイに関する調書が出なかったり、変更されたり、それから当初パジャマ着だと言っていた話が、1年後、味噌樽から見つかった5点の衣類だ等々。色々なものがその後に調書として開示されたりということで、これが弁護団を含めて問題視していた一点だと思います。そういった部分を含めて、やはりもうこういう状況に、特に最高裁まで争われるようなものに関しては、全面開示ということを前提に、弁護団も検察側も向き合うべきじゃないかという声が出ていますが、これについては、現状まだそれに向き合うつもりはないという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 まず、袴田さん事件に限って言えば、先ほど申し上げたように、私の立場で、証拠をこうするべきだとか、味噌樽が、ということを発言するのは、控えるべきだろうと思っております。
 制度に関して、再審請求審において証拠開示制度を設けるということにつきましては、かつて法制審議会の部会においても議論がなされております。その際には、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、それから、再審請求審は通常審と手続構造が違うので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が部会で指摘されたところであって、これを踏まえると、慎重に検討する必要があるのだろうというふうに考えています。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正案について伺います。前回閣議決定されてから、日弁連などが反対声明を出しています。例えば、司法審査の導入とか、収容期間に上限設定を設けるといった声に対して、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

【大臣】
 これから国会で審議が行われていくわけでありますので、そういう点も含めて、国会の中できちんとした議論を展開していくということに尽きるのではないかと思っています。日弁連さん以外にも色々な御意見を頂いております。

【記者】
 つい先日も、大学生らが国会・官邸前で、改正法案提出を見送るようにとのデモをされておりました。BOND(バンド)の学生さんたちとも、大臣、お会いするか検討するということでしたが、結果どうなったかということと、そういった学生さんたちの声に対する受け止めというのをお聞かせください。

【大臣】
 まず、学生さんたちに限らず、様々な方から貴重な御意見を頂いているのは事実です。この法案は、前も御説明しましたけれども、そういった前の法案以降の経緯を踏まえて、修正すべきものは修正するということで、閣議決定に至ったものであります。様々な御意見を踏まえた上で出されているものであり、これから国会で真剣な議論が始まると思いますので、そこで我々の考えを丁寧に説明をして、議論を深めていくということに尽きるのではないかなと考えています。

【記者】
 入管法の改正ですけれども、上限規制のこととか、色々様々弁護団等から指摘されている、修正されていないところがあるんですけれども、確認したいのが、今回もし送還忌避罪を適用した場合に対象となる方が、令和3年度で3,224人という法務省側の説明を受けました。ただし、このうち約300人の方々がお子さんということです。法務省、大臣としては、これら3,224人、こどもさんを含めて、全ての対象となる方の送還忌避をできるだけ速やかに進めたいということなのか、どれだけの目標値を設定しているのかということをお答えいただけますか。

【大臣】
 目標という点は、一つ一つの判断の積み重ねになろうかと思いますので、私のほうから申し上げることはできませんが、この法案の趣旨は前々から申し上げておりますように、送還忌避・長期収容問題、これはもうとにかく早く解決しなければならないということ、それと同時に、今おっしゃったような、人道上の危機に直面して、真に庇護する方々を確実に保護する制度という整備の中で、そういった問題の解決に資するということになっているのではないかと考えておりますので、国会で丁寧な議論をしていきたいと思います。
(以上)