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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年5月12日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件として、主意書に対する答弁書が4件ありました。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管難民法改正案に関してお尋ねします。(本月)9日に衆院を通過し、本日から参院本会議での審議に入るかと存じます。衆院通過の受け止めと、今日からの審議への大臣の思いをお聞かせください。また、立憲民主党や共産党などは、独立した難民等保護委員会の設置を柱とする対案を提出しておりますけれども、こちらに関する所感もあればお聞かせください。

【大臣】
 この法案は、「保護すべき者を確実に保護した上で、在留が認められない者については迅速に送還可能とする」、「長期収容を解消し、収容する場合であっても適正な処遇を実施する」という考え方の下で、様々な方策を組み合わせ、パッケージで課題を一体的に解決し、外国人の人権を尊重しつつ、適正な出入国在留管理を実現する、バランスの取れた制度にしようとするものです。
 このように、日本人と外国人が互いに信頼し合い、安全・安心に暮らせる共生社会を実現していくためにも、本法案による諸施策の実現は重要であると考えています。
 私としては、このような本法案の重要性について、広く国民の皆様に御理解いただけるよう、今後も丁寧に説明してまいりたいと考えています。
 御質問で、国会審議のお話ですとか、議員立法として提出された法案についての所感等もお尋ねいただいていますが、法務大臣としてそれを述べることは、この場では差し控えさせていただきたいというふうに思います。

【記者】
 昨日、野党の共産党の仁比議員が法務委員会で質問した関係でお聞きします。昨日、議員のほうが「年に何人送還忌避者が増えているのか。また、何人任意で帰国を逆にしているのか。また、何人送還できたのか。送還忌避者の中に難民認定された人が何人いたのか。」という、非常に重要な今回の3回目の難民申請を認めないという法律を作る上で重要な事実について、(出入国在留管理庁)西山次長に問いただしておりますが、一切これ全て統計を取っていないという非常に問題のある発言が出てきました。毎年三千数百人が強制送還忌避罪の対象になるとか、四千数百人がなるとか、これまで法務省は何度も説明してきましたが、年に何人送還忌避者が増えているかという数値さえ出せない中で、今回の法案を作っていることは非常に問題だと思うんですが、この件について大臣の所感をお願いします。

【大臣】
 まず、昨日の西山次長の答弁と、今、私の答弁が変わるということはないわけでありまして、お尋ねの人数については、いずれも通常の業務において統計を作成していないのでお答えすることは困難ですけれど、その上で、年末時点での送還忌避者数というのは、その時点で把握をしておりまして、令和2年末時点では3,103人、令和3年末時点では3,224人。ストックで121人増えているということになります。令和4年末の時点では、速報値ですけれども4,233人ということですので、前年と比べると、末時点でのストックが1,009人増えているということです。
 本法案の必要性を理解していただくためには、これだけではなく様々、今までも我々は意見を申し上げてきているところですが、令和3年末の統計でいうと、送還忌避者3,224名の約35パーセントが刑事事件で有罪判決を受けており、その中には殺人や強姦致傷等の重大犯罪の服役後に難民認定を複数回申請するなどという事例があったり、それから、仮放免許可後に逃亡して当局から手配中の者が年々増加して、令和4年末には速報値で(約)1,400人になったというような、本法案の必要性を裏付ける社会的事実もお示しするなどしてきたところですので、御理解いただきたいと思っております。

難民認定手続に関する質疑について

【記者】
 難民審査参与員のことについてお伺いします。柳瀬房子氏が2021年の参考人質疑で、対面で2,000件調査したと述べており、大臣もそのようにおっしゃったかと思います。ところが、その根拠となる記録は、入管は集計していないということなんですよね。ですから、大臣は過去のデータに当たって確認されたのかということと、あともう一点、実は柳瀬氏は、2019年10月21日の収容・送還に関する専門部会第1回会合の会議録で「1,000人の口頭意見陳述、3,000人近くの書面審査を行った。」と。つまり、2,000件の対面審査というのと、この1,000件の対面審査ですよね。発言に柳瀬氏はぶれがあるんですよ。これ、大臣は御確認しましたか。

【大臣】
 まず、御指摘の私の発言部分は、御指摘の難民審査参与員が難民該当性が低い案件のみしか審査していないのではないかという懸念に基づいた御質問があったことなので、その誤解を解くべくお答えしたものの一部です。
 すなわち、確かに、平成28年以降、迅速な審理が可能かつ相当な事件をまとめて配分する取組を行っており、このような事案は、通常、対面審査を実施しておりませんけれども、御指摘の参与員は、「2,000件以上の案件を、3対1で対面審査した」旨述べているものですから、同参与員の言及された案件は、当然、対面審査を実施した通常の案件についてのものであると、指摘したものです。
 その上で、御指摘の参与員の方は、参与員制度が始まった平成17年から現在に至るまで、長年にわたり参与員を務めており、ほかの参与員の代わりに審理に入ることにも協力をしていただいている方であり、昭和50年代から難民を支援するNPO団体の設立に関わり、その運営も務めてこられた方であります。
 このように難民認定に対する知識及び経験が豊富かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んでいる方が、御自身の豊富な御経験に照らし、入管が見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない旨や申請者の中に難民がほとんどいない旨を述べられたものであり、御発言は、私は我が国の難民認定制度の現状を的確に表していると考えています。
 データの件ですけれども、お尋ねのデータについては、統計を取っているものではない。その上で、繰り返しになりますが、御指摘の私の発言は、当該参与員の言及された案件は対面審査を実施した通常の案件についてのものであると指摘したものであり、その審査件数を特定したということではありませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
 それから、後段の質問について、先日、私が一件一件、難民認定申請者に面接して審査したと発言したわけですが、これは先ほど申し上げたとおりですけれども、(御指摘の難民参与員による)「1,000件」の発言につきましては、我々のほうで特定の難民審査参与員の事件処理件数等については、統計を取っていないため、お答えすることは困難であるということでありますが、御指摘の令和元年10月21日の柳瀬氏の御発言は、飽くまで「1,000件以上」とされておりまして、私は、本人に御確認するしかないですけれども、矛盾を生じるものではないと考えています。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議に関する質疑について

【記者】
 昨日、技能実習の関係の有識者会議が、大臣のほうに中間報告書を提出しました。今回の中間報告書は、技能実習の現行制度の撤廃だったり、新制度の創設を求めていて、かなり踏み込んだ内容になりましたが、それについての、中身の評価は難しいかもしれませんが、これまでの議論全般の評価・受け止めをお伺いしたいのと、今後、詳細な制度設計について話し合われると思うんですけども、今後の議論についての期待だったり求めていきたいことをお伺いします。

【大臣】
 昨日、有識者会議の田中明彦座長から中間報告書を御提出いただきました。
 有識者会議においては、両制度の在り方について、私は大変熱心に御議論いただいたというふうに報告を受けています。
 中間報告書では、外国人との共生社会の実現に向けて、両制度が直面する様々な課題を整理していただいて、その解決の方向性について、大変重要な御提案を頂いたものと受け止めています。
 具体的には、両制度の在り方の検討の方向性として、「現行の技能実習制度は廃止して人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設、すなわち、実態に即した制度への抜本的な見直しを検討すること」、それから、「特定技能制度は制度の適正化を図り、引き続き活用する方向で検討すること」、こういったことをお示しいただいたと受け止めております。
 引き続き、最終報告書の取りまとめに向けて、実りある議論がなされることを期待いたしておりますが、いずれにしましても、私としては、有識者会議での議論を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、この重要な課題について政府全体としてしっかりと検討を行ってまいりたいと考えています。
 それから、今後の段取りの御質問がありました。具体的な日程は調整中ですが、準備が整い次第、次回の有識者会議を開催すると報告を受けております。これから、最終報告書に向けて議論を詰めていくというところです。

刑事訴訟法等の一部を改正する法律に関する質疑について

【記者】
 刑事被告人等の逃亡防止に関してお尋ねします。(本月)10日の参院本会議で、海外逃亡防止のため裁判所が被告人にGPS端末の装着を命令できる改正刑事訴訟法等が成立しました。今後は、端末の開発や具体的な運用方法の取決めが必要になると存じますが、法務省の対応予定をお聞かせください。

【大臣】
 この度成立させていただいた「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」は、保釈中の被告人や刑が確定した者等の逃亡を防止し、公判期日等への出頭及び裁判の執行を確保するとともに、刑事手続全体を通じて被害者の氏名等の情報を保護するため所要の法整備を行うものであり、したがいまして、安全・安心な社会を実現し、被害者等のより一層の保護を図る上で、大変重要な意義を有するものと認識しています。
 お尋ねの位置測定端末装着命令制度の施行に向けて、法務省としましては、御指摘の点を含め、適正な運用が可能となるよう、改正法の趣旨等を踏まえ、最高裁判所等の関係機関と連携しつつ、必要な準備を適切かつ着実に進めてまいりたいというふうに考えています。
(以上)