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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年5月16日(火)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から、「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」の開催について、御報告があります。
 本年3月17日に閣議決定されました「第二次再犯防止推進計画」において、「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討・試行」として、「時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向け、保護司の待遇や活動環境、推薦・委嘱の手順、年齢条件及び職務内容の在り方並びに保護観察官との協働態勢の強化等について検討・試行を行い、2年を目途として結論を出し、その結論に基づき所要の措置を講じる」とされておりました。
 このような状況を踏まえまして、明日17日に、第1回検討会を開催することといたしましたので、お知らせいたします。
 私自身、本年1月には、都内の更生保護施設を視察し、保護司や更生保護女性会の方々と懇談する機会がありましたが、保護司の方々が、包摂的な地域社会の実現を目指し、犯罪や非行から立ち直ろうとしている方の生きづらさに寄り添い、昼夜を分かたず、懸命に努力されていることに深い感銘を受けたところです。
 検討会においては、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向けて、しっかりと御議論いただきたいと考えております。

自民党司法制度調査会の提言に関する質疑について

【記者】
 昨日、自民党の司法制度調査会が、大臣に提言書を提出されました。その受け止めについて伺います。

【大臣】
 昨日、自民党の古川禎久司法制度調査会長、本田太郎司法制度調査会事務局長に御来省いただき、「司法制度調査会2023提言」の申入れを頂きました。
 この提言は4つの柱から成っており、例えば、「全ての人が安全で安心して暮らすことができる社会の実現」では、これまで司法制度調査会が心血を注いでこられた「性犯罪・性暴力への対応」や、総合法律支援の一層の強化を始めとする「様々な困難を抱える方々に寄り添った司法の実現のための取組」、こういったことが取り上げられるなど、いずれも司法・法務行政にとって重要かつ喫緊の課題と認識しています。
 この提言をしっかりと受け止め、各種施策の実現・推進に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

法務省ホームページの閲覧障害に関する質疑について

【記者】
 先週、法務省のホームページが閲覧できなくなった問題で、ハッカー集団の「アノニマス」が日本の難民政策への抗議と犯行声明を出しています。これまでに分かっていますホームページが閲覧できなくなった原因や現在の状況、犯行声明への受け止めを伺います。

【大臣】
 御指摘の「アノニマス」を名乗るSNS上のアカウントにおいて、日本の難民政策への抗議でサイバー攻撃を行ったと主張する投稿がなされていることは承知しています。
 5月8日深夜に発生した法務省ホームページの閲覧障害については、その後、翌9日夜まで断続的に生じていましたが、それ以降、本日朝7時現在まで閲覧障害は発生していないとの報告を受けています。
 この閲覧障害の原因等につきましては、法務省ホームページへのアクセス数が急増したことにより、負荷がかかったものと、このことは判明しています。
 また、そのようなアクセス数が急増した原因等については、現段階でDDoS(ディードス)攻撃の影響によるものであった可能性があると考えており、引き続き、詳細につき必要な調査を、今、行っているところです。
 いずれにせよ、今回のような閲覧障害は、利用者の皆様方に大きな影響を与えるものであり、引き続き、関係府省等と連携しながら、サイバーセキュリティの強化について検討してまいりたいと考えています。

ウクライナ経済復興推進準備会議に関する質疑について

【記者】
 ウクライナの復興に関してお伺いします。昨日、官邸のほうで、ウクライナ経済復興推進準備会議の会合が行われました。その中で、様々な議題が出たかと思いますが、法務省として、今後、ウクライナの復興に対してどのように取り組んでいくか、具体的に決まっていることもあればお伺いできればと思います。

【大臣】
 昨日、ウクライナ経済復興推進準備会議が開催されたということであります。本会議では、ウクライナにおける経済復興を力強く推進する観点から、日本の官民による復興の促進について議論が行われ、関係省庁の緊密な連携を図っていくということが確認されたというふうに聞いています。
 我が省におきましては、御案内のように、入管庁にてウクライナ避難民に対する支援に努めているところです。ウクライナの復興の促進についても、関係省庁の一員として、他省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えていますし、以前お話ししたように、(本年)7月のG7司法大臣会合においても、ウクライナの復興について議論をしていくという予定になっていますので、しっかりと貢献していきたいと考えます。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 難民審査参与員の柳瀬房子氏の発言内容に疑問の声が上がっている今、その審査の内容が適切なものであったのかどうかを確認しなければ、とても審議を継続できないのではないのかと思います。第三者による内部調査など、審査制度が適切に運用されていたかどうかを確認するつもりはありますでしょうか。

【大臣】
 まず、難民審査参与員制度は、外部有識者からなる難民審査参与員が、法務大臣から指揮を受けることなく、3名1組の班で審理を行って、その結果を意見書として法務大臣に提出する役割を負っている、いわば中立性、公平性が担保されている制度になっています。
 したがって、第三者による内部調査など、審査制度が適切に運用されていたかどうかを確認する必要はないと考えています。
 その上で、御指摘の柳瀬さんのお話ですけれども、参与員制度が始まった平成17年から現在に至るまで、最初から長年にわたり参与員を務めておられて、他の参与員の代わりに審理に入ることにも協力いただいている方であり、昭和50年代から長きにわたり難民を支援するNPO団体の設立に関わり、その運営もしっかりと務められてきた方です。
 このように難民認定に対する知識及び経験が豊富かつ長年にわたって難民の支援に真摯に取り組んできている方が、御自身の豊富な御経験に照らし、入管が見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない旨や申請者の中に難民がほとんどいない旨を述べられているわけです。私は、この御発言は重く受け止めなくてはならないと思っていますし、我が国の難民認定制度の現状を長年にわたって見ているわけですから、的確に表しているのではないかと考えているところです。

【記者】
 4月18日の衆議院法務委員会での公明党の大口議員の質問に関して質問します。難民申請者の送還停止効の例外類型に該当する場合の行政訴訟についての質問がありました。それに対して、西山入管庁次長が、送還停止効の例外に該当するか否かに関する行政訴訟などを可能とする仕組みを設ける必要はないというふうに回答されています。これは、難民処分取消しですとか、退去強制令書発付処分の取消訴訟ができるからというお話ですが、ということは、3回目の難民申請が送還停止効の例外に当たるというふうに入管のほうで判断された場合には、訴訟を起こすことなく直ちに強制送還される可能性があるのかどうかということ。これは要するに、一昨年9月に、東京高裁で、難民不認定になった翌日にチャーター便で強制送還されたスリランカ人男性2名が国を訴える裁判で、これは裁判を受ける権利を侵害すると。なおかつ、難民申請の濫用かどうかの判断についても司法判断が必要であるという判決でした。送還停止効の例外類型に該当するということで行政訴訟を想定しないというのは、この東京高裁判決にも反するのではないかと思いますが、それについてどのようなお考えでしょうか。

【大臣】
 送還停止効の例外規定そのものに対して行政訴訟ができないということの御質問だと思いますけれども、まず、送還停止効の例外は、難民認定申請中であっても、送還可能となる類型を設けるというもので、送還停止効の例外に該当するか否かにつき行政訴訟等を認めても、難民と認定されることにはならないわけです。そして、難民認定を求める外国人にとっては、根本的な問題の解決とはならない、まずここは押さえていただきたいと思います。
 その上で、退去強制令書を発付された者が、難民認定を求めて入管当局の判断を争うというのであれば、退去強制令書発付処分ですとか、難民不認定処分等に対する行政訴訟を提起でき、併せて退去強制令書の送還部分の執行停止等を求めることもできるわけです。
 そのため、御指摘のような送還停止効の例外に該当するか否かに関して、行政訴訟等を提起できるということの必要性はないのではないかというのが我々の判断です。

芸能事務所前社長に係る報道に関する質疑について

【記者】
 ジャニーズ事務所前社長の性加害疑惑についてお伺いします。御案内のとおり、複数の元タレントが被害を訴えていて、社会的な関心が非常に高まっています。一方、今週末金曜日にG7サミットが行われ、当然、人権問題というものが重要な議題の一つになると思われますし、そもそも岸田政権を含めて、歴代政権の外交方針として、基本的人権とか法の支配という、いわゆる普遍的価値観を共有する国との連携強化というのが外交方針であった。こういった状況を踏まえて、人権擁護局を抱えて人権問題を所管する大臣として、あるいは、主権者である国民から選挙で選ばれた政治家として、この問題について率直にどういう思いを抱いているのかというのが1点と、制度上、任意の調査権というのが法務省にあるわけで、必要に応じて勧告とか説示とか要請ができます。大臣として、この制度を使って何らかの報告を求めるとか聞き取りを行うとか、何か行政的に対応するお考えがあるのか。以上、2点お願いします。

【大臣】
 御指摘は、大変重要な御指摘だと思っておりますが、まだ会見がなされた直後でありまして、我々としては精査をする必要がある段階だろうと思っているので、それ以上のコメントは現時点では差し控えさせていただきたいと思います。まだ事実関係も確定できていない段階ですので、それ以上のコメントを、今、この場でするのは適切ではないだろうと思いますが、しっかりフォローしていきたいと考えています。
(以上)