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法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年5月26日(金)

 今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
 続いて、私から、「こどもの人権SOSミニレター」に係る各種報道についてお礼を申し上げたいと思います。
 今週火曜日の会見で、私から「こどもの人権SOSミニレター」についてお知らせしましたが、その後、様々な媒体において周知、広報に御協力いただいたことに感謝申し上げます。
 このミニレターは、こどもたちが、親や学校の先生にも相談できない悩みごとなどを書いてポストに投函すると、人権擁護委員や法務局の職員が、相談内容等の秘密を守りながらその全てに目を通し、一通一通丁寧に返事をする取組です。これまでもミニレターをきっかけにいじめや虐待などから救われたこどもたちが多くいます。
 皆様の報道によって、助かるこどもが出てくるのではないかと思うと感謝に堪えません。
 報道機関の皆様方には、引き続き、一人でも多くのこどもたちを救うことができるよう、周知、広報への御協力をお願いします。

刑法等改正法案に関する質疑について

【記者】
 性犯罪の規定を見直す刑法などの改正案につきまして、衆議院法務委員会の与野党4党が修正に合意し、今日にも採決される運びとなりました。受け止めを伺います。

【大臣】
 まず二つの法案につきまして修正協議が行われたことは承知していますが、その点についての所感は差し控えさせていただきたいと思いますが、与野党の皆様において大変熱心に御議論いただいたことに感謝を申し上げたいと思っています。
 性犯罪に関する二つの法案は、いずれも性犯罪の被害の実情を踏まえ、事案の実態に即した対処ができるようにするための法整備を行うものであります。性犯罪は被害者の尊厳を著しく傷つけ、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続けるものであって、決して許されるものではありません。こうした性犯罪への適切な対処は喫緊の課題でありまして、そのための法整備を行うこれらの法案は、大変重要な意義を有するものと考えています。
 今後、これらの法案が衆議院法務委員会で可決された場合には、本会議での採決を経て、参議院で御審議いただくことになりますが、引き続き法案の趣旨や内容をしっかりと説明してまいりたいと思いますし、その上で、十分に御審議をいただいて速やかに成立させたいと思っております。

入管法改正法案に関する質疑について

【記者】
 入管法改正案について2点質問させてください。まず1点目ですが、政府は柳瀬氏の発言を立法事実としていますが、今週の法務委員会では、柳瀬氏の発言を否定する証言というものが出ました。この点について大臣の御見解をお聞かせください。2点目ですが、難民申請者の現状について様々な意見が出る中、柳瀬氏の発言を立法事実としたまま法案審議を進めてよいのでしょうか。大臣の御見解をお聞かせください。

【大臣】
 まず柳瀬参与員は、令和3年4月21日の衆議院法務委員会において、御自身の豊富な御経験に照らして、入管庁が見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない旨や申請者の中に難民がほとんどいない旨を述べられたというふうに承知をしております。また今週の法務委員会でも、柳瀬氏の発言を否定する証言があったとの御指摘につきましては、実は今週の参考人の質疑の中でも、3名の参与員及び元参与員の方がおられまして、これらの方々も、ごく一部の事案でしか認定すべきという意見を出さなかったという事実を述べられていたと承知しておりますので、柳瀬先生の御発言は、これら3人の方の御発言と照らし合わせてみても、難民認定制度の現状をお話しされていると思っています。
 それから二つ目の御質問ですが、柳瀬さんの御発言もありますけれど、それだけで立法しているわけではございませんので、そこはよく御理解いただきたいと思います。現行法下における実情としましては、例えば、送還忌避者数が令和2年末時点から令和4年末時点までに、1,130人も増加をしておりまして、(令和)3年末の統計でいいますと、送還忌避者の3,224人の約35パーセントが刑事事件で有罪判決を受けており、その中には殺人や強姦致傷等の重大犯罪での服役後に難民認定を複数回申請するなど、難民認定制度の濫用と疑われる事案があるということですとか、仮放免許可後に逃亡して、当局から手配中の者は年々増加をしておりまして、令和4年末には速報値で1,400人になっているということに照らしますと、今回の法改正の必要性というものは、私は十分存在していると思っています。
 そしてこれは大事なところですけれども、難民の認定をめぐりましては、各国全体の事情が異なっているので、単純に比較することは国情の違いからできないと私は思っていますが、大事なことは、きちんと庇護すべき方が(庇護)されているかということだと思っていまして、難民認定をされた方と、難民認定されなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた方の合計を見てみますと、処分件数に占める割合が令和4年は約29.8パーセントというふうになっておりますので、これは他のG7諸国と比較しても、極端に低いということはないと思います。
 さらに申し上げますと、令和4年に難民認定手続の結果、難民と認定した者と、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者の合計は、ウクライナやミャンマー、アフガニスタンについて、本国における政情不安等を理由に在留資格の変更許可した者の数を加えますと、庇護率でいいますと約70.9パーセントの方に許可を与えて庇護しているということであります。そして柳瀬さんの発言とも関係するのですけど、平成30年から令和4年までの直近5年間に、難民認定が受けられなくて、その不認定処分の適否が争われた行政訴訟が全部で109件ありますが、104件は国が勝訴しているということでありますので、裁判所も含めて難民の認定については、そういう事実関係になっているということは、是非、御理解いただきたいと思います。

特定技能2号の対象分野拡大に関する質疑について

【記者】
 特定技能2号の対象分野の追加に関してお伺いします。今週の火曜日に自民党の外国人労働者等特別委員会のほうで了承されました。今回の対象分野追加の意義と、特別委員会の中では、日本人の雇用を守ってほしいという注文であったり、あとは、対象分野をさらに追加、人手不足の分野では追加すべきではないかという話も出たようですが、そのあたり、どういうふうに答えていくかをお伺いします。

【大臣】
 特定技能制度は御案内のように、人材確保が困難な状況にある12の特定産業分野において、一定の専門性・技能をさらに有する外国人を受け入れるという前提でありますので、まずそこを理解していただきたいということと、特定2号は、特に熟練した技能を要する業務に従事する外国人を受け入れるという在留資格でありますので、二重のハードルがあるということであります。現在は12の特定産業分野のうち、2号で受入れが可能となっているのは「建設」と「造船・舶用工業」の2分野だということであります。こういうことにつきまして、新たに、特定2号を増やしてほしいという現場からの要望があります。
 御案内のような懸念もありますので、現在、与党の中で了承されて、これからまた必要なプロセスを経ていくということになりますので、今の段階で私からこうだということは、まだ申し上げにくい状況でありますけど、しっかり議論を進めていきたいところであります。
(以上)